Pythonにおいてセキュアなパスワードストレージを実装するための手法と考え方を紹介します。この記事では、ハッシュ関数とサルトの基本から、実際のコード例とその解説、さらに応用例まで詳しく解説していきます。
なぜセキュアなパスワードストレージが必要なのか
セキュアなパスワードストレージが求められる背景には、攻撃者によるパスワードクラックの脅威があります。プレーンテキストで保存されたパスワードは、データベースが漏洩した際に瞬時に盗まれてしまいます。したがって、パスワードを安全に保存する仕組みが不可欠です。
ハッシュ関数とは
ハッシュ関数は、任意の長さのデータを固定長の文字列に変換する関数です。この性質を利用してパスワードを保存する場合、元のパスワードを簡単に逆算できないようにします。
ハッシュの基本
Pythonでよく使用されるハッシュ関数には、SHA-256やSHA-3があります。これらは`hashlib`ライブラリで利用できます。
import hashlib
# SHA-256を使用してハッシュを生成
hashed_password = hashlib.sha256("password".encode()).hexdigest()
print(hashed_password)
ハッシュの落とし穴
単純なハッシュ関数の使用には問題があります。それは「レインボーテーブル」と呼ばれる手法で破られる可能性があることです。
サルトとは
サルトはランダムなデータで、それを元のデータに結合してハッシュを生成することで、レインボーテーブル攻撃を防ぐ役割があります。
サルトの使用例
Pythonでサルトを使用する基本的なコードは以下の通りです。
import os
# ランダムなサルトを生成
salt = os.urandom(16)
salted_password = salt + "password".encode()
# サルト付きパスワードのハッシュを生成
hashed_salted_password = hashlib.sha256(salted_password).hexdigest()
print(hashed_salted_password)
応用例
独自のサルト生成法
標準ライブラリ以外でサルトを生成する方法としては、独自のアルゴリズムを使用することも考えられます。
# 独自のサルト生成法
custom_salt = "customSalt123".encode()
salted_password_custom = custom_salt + "password".encode()
hashed_custom_salt_password = hashlib.sha256(salted_password_custom).hexdigest()
print(hashed_custom_salt_password)
ストレッチング
ハッシュ関数を複数回適用することで、計算量を増やし攻撃者による総当たり攻撃の難易度を上げる手法です。
# ストレッチング
stretched_password = "password".encode()
for i in range(5000):
stretched_password = hashlib.sha256(stretched_password).digest()
print(stretched_password)
まとめ
この記事では、Pythonを用いてセキュアなパスワードストレージを実装する基本的な考え方と手法について解説しました。ハッシュ関数とサルトを適切に使用することで、より安全なパスワードの保存が可能です。独自のサルト生成法やストレッチングを用いることでさらにセキュリティを強化できます。
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