SQL(Structured Query Language)は、データベースから情報を取得、追加、更新、削除するための言語です。しかし、単純なSELECT文やINSERT文だけでは、複雑なデータ処理は難しい場合もあります。そこで役立つのが「サブクエリ」や「CTE(Common Table Expressions)」といった高度な手法です。この記事では、サブクエリとCTEを用いて、複雑なデータ処理を行う方法を詳しく解説します。
目次
サブクエリとは
サブクエリとは、一つのSQLクエリ内で別のクエリを用いることを指します。基本的には、メインのクエリが実行される前にサブクエリが実行されます。
サブクエリの基本形
サブクエリの基本的な形は以下のようになります。
SELECT column1, column2
FROM table1
WHERE column3 = (SELECT column4 FROM table2 WHERE condition);
サブクエリの用途
サブクエリは以下のような用途でよく使われます。
- 条件の指定
- 集計処理
- 行のフィルタリング
サブクエリの種類
サブクエリにはいくつかの種類があります。
サブクエリの種類 | 説明 |
---|---|
スカラーサブクエリ | 1行1列の値を返す |
行サブクエリ | 複数列を返す |
列サブクエリ | 1列複数行を返す |
テーブルサブクエリ | 複数行複数列を返す |
CTE(Common Table Expressions)とは
CTEは、一時的な結果セットを生成し、その結果セットを同じSQLクエリ内で何度も使用できるようにする機能です。
CTEの基本形
CTEの基本形は以下の通りです。
WITH CTE_NAME (column1, column2) AS (
SELECT column1, column2 FROM table WHERE condition
)
SELECT * FROM CTE_NAME;
CTEの用途
CTEは以下のような用途で使用されます。
- 階層データの処理
- 複雑なJOIN操作
- 再帰クエリ
CTEとサブクエリの比較
CTEとサブクエリは似ているが、以下のような違いがあります。
項目 | CTE | サブクエリ |
---|---|---|
可読性 | 高い | 低い |
再利用性 | 高い | 低い |
複雑性 | 高い処理が可能 | 限られた処理しかできない |
サンプルケースでの適用例
具体的なデータ処理の例を見てみましょう。
サブクエリの適用例
以下は、サブクエリを用いて特定の条件にマッチする商品を検索するSQLクエリです。
SELECT 商品名, 価格
FROM 商品
WHERE 価格 < (SELECT AVG(価格) FROM 商品 WHERE カテゴリ = '食品');
CTEの適用例
以下は、CTEを用いて特定の階層の社員情報を取得するSQLクエリです。
WITH 社員階層 (社員ID, 上司ID, 階層) AS (
SELECT 社員ID, 上司ID, 1
FROM 社員
WHERE 上司ID IS NULL
UNION ALL
SELECT e.社員ID, e.上司ID, h.階層 + 1
FROM 社員 e
JOIN 社員階層 h ON e.上司ID = h.社員ID
)
SELECT * FROM 社員階層;
まとめ
この記事では、SQLにおけるサブクエリとCTEによる複雑なデータ処理の手法を解説しました。サブクエリは、単一のクエリ内で別のクエリを用いることで、より複雑なデータ処理を可能にします。一方で、CTEは再利用可能な一時的なテーブルを生成することで、より高度なデータ処理を行
うことができます。両者の特性を理解し、適切に使用することで、データ処理の幅が広がります。
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