TypeScriptでnever型が関数の戻り値として使われるケースを徹底解説

TypeScriptには多くの型が存在し、その中でも特に特殊な役割を持つのがnever型です。never型は、関数が決して値を返さない場合や処理が終了しないケースで使用されます。これは、プログラムが「決して戻らない」ことを表現するための型です。しかし、この型の特性や使用場面は、TypeScriptの初心者にとっては少々難解に感じることがあるかもしれません。本記事では、TypeScriptのnever型が関数の戻り値として使われる具体的なケースやその利点について、実例を交えて詳しく解説します。

目次

never型とは何か


never型とは、TypeScriptにおける特殊な型で、決して値を返さない関数や、終わらない処理を表現するために使われます。これは「この関数は正常に終了しない」という意味を持ち、関数が例外を投げたり、無限ループに入ったりする場合に使用されます。never型は他のどの型とも互換性がなく、どの値もnever型として扱われることはありません。これは、TypeScriptがより安全な型チェックを行うために用意された型の一つであり、エラーハンドリングやプログラムの不正な動作を防ぐために非常に有用です。

never型が使われる典型的な状況


never型が使われる典型的な状況には、関数が正常に終了せずにプログラムのフローを途絶えさせる場合があります。以下に、never型が使われる具体的なケースを挙げます。

例外を投げる関数


関数が例外を投げてプログラムを停止させる場合、その関数は戻り値を返すことがありません。この場合、TypeScriptはその関数の戻り値としてnever型を推論します。例えば、次のコードでは例外を投げる関数がnever型として扱われます。

function throwError(message: string): never {
  throw new Error(message);
}

この関数は例外を投げるため、値を返さずに処理が終了します。このような場合、TypeScriptはその関数がnever型を返すと認識します。

無限ループを持つ関数


無限ループに入る関数も、通常の処理が終わらず、戻り値を返しません。この場合も関数はnever型を返します。例えば、次のコードでは無限ループを持つ関数がnever型と推論されます。

function infiniteLoop(): never {
  while (true) {
    // 無限ループ
  }
}

この関数も戻り値が発生しないため、TypeScriptはこの関数をnever型として扱います。

これらの状況では、never型が用いられることで、TypeScriptはプログラムが予期しない形で終了しないことを保証し、型チェックをより厳密に行うことができます。

エラーハンドリングとnever型


エラーハンドリングにおいてnever型は非常に重要な役割を果たします。特に、例外処理を行う際に、関数が終了せずにエラーをスローする状況を明示的に示すために利用されます。これにより、TypeScriptはコードの安全性を高め、予期しない動作を防ぐことができます。

例外処理におけるnever型


例外処理を行う関数は、正常な値を返さずにプログラムの実行を中断させます。このため、これらの関数は戻り値を持たず、TypeScriptではnever型として扱われます。次の例は、エラーメッセージを表示し、プログラムを終了させる関数です。

function fail(message: string): never {
  throw new Error(message);
}

この関数はthrow文によって、実行が途中で止まり、値を返さずに終了します。このため、関数の戻り値の型はneverとなります。never型を使用することで、エラー処理が確実に行われ、プログラムの動作が予測可能になります。

型安全なエラーハンドリング


never型は、エラーハンドリングで型安全性を確保する手段としても利用されます。例えば、TypeScriptのswitch文やif-else文で全ての分岐が網羅されていることを保証するために、never型を使ったエラーチェックを行うことができます。次の例は、全てのケースを処理した後のnever型を利用したチェックです。

function checkType(value: string | number): string {
  if (typeof value === 'string') {
    return 'This is a string';
  } else if (typeof value === 'number') {
    return 'This is a number';
  }
  // このコードには到達しないはず
  const exhaustiveCheck: never = value;
  throw new Error(`Unexpected value: ${value}`);
}

このコードでは、never型を使って全てのケースが処理されていることを確認しています。このようにして、意図しないエラーや未処理のケースを防ぎ、型安全性を確保できます。

never型は、エラーハンドリングの一環として、予期しない動作を防ぐための強力なツールです。エラーが発生する可能性のある部分においてnever型を用いることで、コードの予測可能性と堅牢性を向上させることができます。

無限ループとnever型


無限ループを持つ関数も、TypeScriptにおけるnever型の代表的な利用ケースの一つです。無限ループが発生する関数は正常に終了せず、関数が値を返すことはありません。このような関数が存在する場合、TypeScriptはそれをnever型として扱います。

無限ループの例


無限ループは、プログラムがずっと繰り返し動作し続けるため、通常の戻り値を返すことがない典型的なパターンです。次のコードは、無限ループを持つ関数の例です。

function runForever(): never {
  while (true) {
    // 無限ループ
    console.log('This will run forever');
  }
}

この関数は、常にループし続けて終了しないため、戻り値は発生しません。TypeScriptはこのような関数をnever型として扱い、値を返すことが決してないことを明示します。

無限ループとエラーチェック


無限ループがある関数は、特定の処理が終了しないことを意図して設計されています。例えば、サーバープログラムやゲームのメインループなどは、無限ループを用いて常に実行状態を維持します。このような場合に、never型を適用することで、関数が意図的に終了しないことを明確に伝えることができます。

function waitForUserAction(): never {
  while (true) {
    // ユーザー入力を待ち続ける
    if (someUserActionHappened()) {
      // エラーメッセージを表示して終了
      throw new Error("Unexpected user action");
    }
  }
}

このコードは、常にユーザーアクションを待ち続ける設計ですが、予期しない動作が発生した場合は例外を投げてプログラムを停止させます。このような関数では、無限ループと例外の組み合わせによりnever型を活用することが可能です。

never型の意図的な使用


無限ループを持つ関数が存在する理由は、システムやアプリケーションが終了しないことを保証するためです。これにより、特定の処理が常に実行され続けることが明確にされ、誤って処理が途中で終わってしまう事態を防ぐことができます。

never型を使用することで、無限ループが含まれる関数が常に適切に設計されていることを明示し、誤った型推論や終了処理のミスを防ぐことができるため、より堅牢なコードを書くための助けとなります。

例外を投げる関数とnever型


never型は、例外を投げる関数にも非常に適している型です。例外を投げる関数は、正常な戻り値を返さず、処理が途中で停止するため、never型として扱われます。このような関数が存在することで、コードの安全性が向上し、予期しないエラーに対処しやすくなります。

例外を投げる関数の例


次の例は、例外を投げることで処理を停止させる関数です。この関数は戻り値を持たず、エラーを生成するだけで処理を終了させます。

function throwError(message: string): never {
  throw new Error(message);
}

この関数は引数としてエラーメッセージを受け取り、そのメッセージを含む例外をスローします。このため、正常な値を返すことはなく、TypeScriptではnever型として推論されます。never型を用いることで、この関数が決して終了しないことが明確に表現されています。

例外を投げる関数とプログラムの流れ


例外を投げる関数は、プログラムの流れを意図的に停止させる役割を果たします。例えば、APIから予期しないレスポンスを受け取った場合や、処理中にエラーが発生した場合に例外をスローすることで、エラーハンドリングを容易にします。

以下の例では、条件に合致しない場合に例外をスローする処理を行っています。

function validateInput(input: unknown): string {
  if (typeof input === 'string') {
    return input;
  }
  throwError("Invalid input: expected a string");
}

このコードでは、inputが文字列でない場合にthrowError関数が呼び出され、プログラムの実行が停止します。これにより、予期しない入力に対する安全な処理が可能となります。

エラーを投げる関数のメリット


例外を投げる関数をnever型で定義することには以下のような利点があります:

  • コードの安全性向上: 関数が値を返さないことを型レベルで保証し、予期しない動作を防ぎます。
  • エラーの早期検知: 例外が発生する箇所を明示し、エラーが発生した際の処理を明確にします。
  • 型推論の向上: never型によって、TypeScriptの型推論がより厳密に行われ、他のコード部分での型安全性が確保されます。

このように、never型を使った例外処理は、堅牢なプログラム設計の一部として非常に重要です。エラーハンドリングが必要な場面では、never型を適切に活用することで、予期しないエラーに強いプログラムを作成できます。

never型と型ガードの活用


never型は、TypeScriptで型ガードを行う際にも活用されます。型ガードは、ある変数が特定の型に属するかどうかを確認する仕組みで、TypeScriptではコードの安全性を高める重要な手法です。never型は、全ての型ガードが適切に適用されているかを確認し、処理されていない型が存在しないことを保証するために使用されます。

型ガードとは


型ガードは、プログラムが実行中に特定の変数がどの型を持っているかを判定し、その型に基づいた処理を行うために使われます。例えば、typeofinstanceofを使って、ある変数が文字列か数値かを判別し、それに応じた処理を行うことができます。

次の例は、文字列と数値に対して異なる処理を行う型ガードの例です。

function processValue(value: string | number) {
  if (typeof value === 'string') {
    console.log('String value: ' + value);
  } else if (typeof value === 'number') {
    console.log('Number value: ' + value);
  } else {
    // ここはnever型となる
    const exhaustiveCheck: never = value;
    throw new Error(`Unexpected value: ${value}`);
  }
}

このコードでは、valueが文字列か数値である場合に対応する処理を行い、それ以外のケースに対してはnever型を利用してチェックを行います。

never型を使った網羅性チェック


型ガードで全てのケースが網羅されていない場合、never型を利用することで、誤った型の入力を検出できます。特に、switch文や複雑な型分岐がある場合に、この手法は非常に役立ちます。次の例は、switch文を使用して型ガードを行い、網羅性を確認するものです。

type Animal = 'dog' | 'cat' | 'bird';

function handleAnimal(animal: Animal) {
  switch (animal) {
    case 'dog':
      console.log('Handling a dog');
      break;
    case 'cat':
      console.log('Handling a cat');
      break;
    case 'bird':
      console.log('Handling a bird');
      break;
    default:
      const exhaustiveCheck: never = animal;
      throw new Error(`Unexpected animal: ${animal}`);
  }
}

ここでは、Animal型に含まれる全てのケースを処理し、defaultケースに到達した場合にはnever型を利用してエラーチェックを行っています。このようにすることで、将来的に新しい型が追加された場合や、漏れが発生した場合にすぐにエラーが検知されます。

型安全性の向上


never型を型ガードで利用することで、以下のようなメリットがあります。

  • コードの網羅性を保証: 全ての型が適切に処理されているかどうかを検証でき、誤ったケースを防ぎます。
  • エラーチェックの強化: 型ガードが不完全な場合、never型を使って未処理の型を検出し、型安全性を向上させます。
  • 将来の拡張に対応: 型の拡張が行われた場合でも、型ガードが自動的に未処理のケースを検出し、新しい型に対して適切な処理を行うように誘導します。

このように、never型は型ガードの網羅性を保証し、プログラム全体の型安全性を高めるために非常に有効です。これにより、エラーを未然に防ぎ、堅牢なプログラム設計が可能となります。

never型を利用した高度な例


never型は、シンプルなエラーハンドリングや型ガードの場面だけでなく、より複雑なプログラムや高度な型推論を行う場面でも役立ちます。特に、ジェネリックや条件付き型などを活用することで、never型を利用した高度な型システムの実装が可能になります。

条件付き型とnever型


TypeScriptでは、条件付き型を使用して特定の条件に基づいた型推論を行うことができます。この中で、never型は不可能なケースを排除する役割を果たします。以下の例では、条件付き型を使ってTstring型である場合はstringを返し、そうでなければnever型を返す型定義を行っています。

type StringOnly<T> = T extends string ? T : never;

function processStringOnly<T>(input: T): StringOnly<T> {
  if (typeof input === 'string') {
    return input;
  } else {
    throw new Error('Input is not a string');
  }
}

この関数は、inputstring型である場合にのみinputを返し、他の型が渡された場合にはnever型として扱われます。このように、never型を条件付き型と組み合わせることで、特定の条件に合致しない場合にプログラムが安全に終了することを保証できます。

ユニオン型とnever型の組み合わせ


ユニオン型を使用する際にも、never型はその型の排除や型推論に役立ちます。次の例では、ユニオン型を使って複数の型を受け取り、その中で特定の型だけを処理する関数を実装しています。

type NonStringType<T> = T extends string ? never : T;

function filterNonStrings<T>(input: T[]): NonStringType<T>[] {
  return input.filter((item): item is NonStringType<T> => typeof item !== 'string');
}

この関数は、入力された配列からstring型を除外し、それ以外の型だけを返します。never型は、条件に合わないstring型を取り除くために使われています。これにより、型安全なフィルタリングが可能となり、誤った型が含まれることを防ぎます。

型の精緻化とnever型


高度なTypeScriptプログラムでは、型の精緻化を行うことでプログラムの安全性や柔軟性を高めることができます。never型は、この型の精緻化プロセスにおいて不可能なケースを排除し、型推論を正確に行うための基盤として機能します。

次の例では、特定の型Tに対してnumber型とboolean型の処理を行い、それ以外の型を排除するためにnever型を使用しています。

type HandleNumberOrBoolean<T> = T extends number | boolean ? T : never;

function processNumberOrBoolean<T>(input: T): HandleNumberOrBoolean<T> {
  if (typeof input === 'number' || typeof input === 'boolean') {
    return input;
  } else {
    throw new Error('Input must be number or boolean');
  }
}

この関数は、inputnumberまたはbooleanである場合にのみその値を返し、それ以外の場合には例外をスローします。このように、never型を使うことで、関数が期待される型以外の入力に対して厳密にチェックを行うことができます。

never型を活用した型推論の応用


never型を活用することで、TypeScriptの型推論はより精密になります。複雑なジェネリックやユニオン型の処理では、never型が型を排除する役割を果たし、残された型に対して精密な推論が行われます。この結果、プログラム全体の型安全性が向上し、バグの発生を防ぐことができます。

まとめると、never型は、単なるエラー処理だけでなく、複雑な型システムを実現するための重要な要素です。条件付き型やユニオン型と組み合わせて利用することで、柔軟で強力な型チェックが可能となり、TypeScriptの高度な型システムを最大限に活用できます。

使い方に関する注意点とベストプラクティス


never型を使用する際には、特定のルールや注意点を理解しておくことで、効率的かつ安全にプログラムを設計できます。never型は非常に強力な型ですが、誤用するとコードの可読性やメンテナンス性が低下する可能性もあります。ここでは、never型を使用する上での注意点と、ベストプラクティスを紹介します。

1. 無駄な`never型`の使用を避ける


never型は、関数が終了しない場合や、全ての型が処理されることを保証するために使うべきです。しかし、無理にnever型を使おうとすると、かえってコードが複雑になり、意図を理解しにくくなることがあります。基本的には、エラーハンドリングや型ガードの網羅性を確認する際に使用するのが適切です。

// 過剰なnever型の例
function checkType(value: string | number | boolean): never {
  if (typeof value === 'string') {
    console.log("It's a string");
  } else if (typeof value === 'number') {
    console.log("It's a number");
  } else {
    // boolean型も処理されるべきなのに、無駄にnever型を使っている
    const exhaustiveCheck: never = value;
    throw new Error(`Unexpected type: ${value}`);
  }
}

このように、型が完全に処理されていない場面でnever型を使うと、エラーの原因になります。適切な型の網羅性を確認しつつ、never型を無駄に使わないことが重要です。

2. 全ての分岐がカバーされていることを確認する


never型は、型ガードやswitch文で全てのケースがカバーされていることをチェックするのに有効です。型を拡張したり、新しいケースを追加した場合でも、never型を利用して未処理のケースを検出することができます。このように、将来的なメンテナンス性を考慮して、型ガードにnever型を導入することがベストプラクティスとなります。

type Animal = 'dog' | 'cat' | 'bird';

function handleAnimal(animal: Animal) {
  switch (animal) {
    case 'dog':
      console.log('Handle a dog');
      break;
    case 'cat':
      console.log('Handle a cat');
      break;
    case 'bird':
      console.log('Handle a bird');
      break;
    default:
      // 未処理の型がないか確認
      const exhaustiveCheck: never = animal;
      throw new Error(`Unhandled animal: ${animal}`);
  }
}

これにより、新しい型を追加する際に、忘れていた処理を見逃さずに済みます。

3. `never型`を適切に使ったエラーハンドリング


エラーハンドリングにおいて、例外を投げる関数は通常never型を返します。このような関数は決して戻り値を返さないことを明示するために、never型が適しています。これにより、プログラムの意図を明確にし、予期しない動作を防ぐことができます。

function throwError(message: string): never {
  throw new Error(message);
}

このように、例外処理には必ずnever型を使用し、関数が終了しないことを明示するのがベストプラクティスです。

4. `never型`を使ったコードの可読性を意識する


never型を多用しすぎると、コードが複雑になり可読性が低下する恐れがあります。エラーチェックや型ガードに使う際には、その意図を明確にし、他の開発者が理解しやすい形で書くことが重要です。過剰なnever型の使用を避け、必要な場面でだけ活用するように心がけましょう。

5. テストや型チェックと組み合わせる


never型を使ったコードも、しっかりとテストを行い、型チェックを活用してエラーが発生しないか確認することが必要です。特に型ガードを使ったロジックは、想定外のケースに対する処理を忘れがちです。never型を使う際には、型の網羅性を意識し、しっかりとテストすることで、より安全なコードを実現できます。

このように、never型を正しく活用するためには、過剰に使用せず、適切な場面でだけ使うことが重要です。型の安全性を高めつつ、可読性とメンテナンス性を維持するための注意点を意識してコーディングを行いましょう。

never型を使った関数の設計演習


ここでは、never型の理解を深めるために、いくつかの演習問題を提示します。これらの問題を通じて、never型がどのようにプログラムに組み込まれ、実際の開発でどのように役立つかを学びます。問題は、段階的に難易度が上がっていきますので、順に解いていくことをお勧めします。

演習1: 例外を投げる関数を設計する


例外を投げる関数を設計し、その関数がnever型として適切に動作するか確認しましょう。以下のコードでは、エラーが発生した場合に例外を投げる関数を作成してください。

function validateNumber(input: any): never | number {
  if (typeof input !== 'number') {
    // エラーメッセージを表示し、例外を投げる関数を実装
    throw new Error("Invalid input: not a number");
  }
  return input;
}

目標

  • 引数inputnumber型でない場合に例外をスローするnever型の関数を作成してください。
  • 正常なnumberが入力された場合にはそのまま返すようにしてください。

演習2: 型ガードとnever型を使った網羅性チェック


次に、型ガードを使用してnever型がすべてのケースをカバーするかを確認する関数を作成します。次のコードは、stringnumberbooleanの3つの型を受け取り、それぞれに応じた処理を行う関数です。未処理の型がある場合にnever型を利用してエラーをスローしてください。

function processInput(input: string | number | boolean): string {
  if (typeof input === 'string') {
    return `String value: ${input}`;
  } else if (typeof input === 'number') {
    return `Number value: ${input}`;
  } else if (typeof input === 'boolean') {
    return `Boolean value: ${input}`;
  } else {
    // ここでnever型を使い、未処理のケースにエラーを投げる
    const exhaustiveCheck: never = input;
    throw new Error(`Unexpected input: ${input}`);
  }
}

目標

  • 型ガードを使って、inputstringnumberbooleanであるかどうかを確認し、それぞれに対応する処理を行ってください。
  • 他の型が入力された場合にはnever型を使ってエラーを投げることを実装してください。

演習3: 条件付き型とnever型を使った型フィルタリング


条件付き型を使って、特定の型だけを返すようなロジックを実装しましょう。ここでは、ジェネリック型を使って、文字列以外の型をフィルタリングする関数を作成します。

type NonString<T> = T extends string ? never : T;

function filterStrings<T>(input: T[]): NonString<T>[] {
  return input.filter((item): item is NonString<T> => typeof item !== 'string');
}

目標

  • 条件付き型を使用し、string型以外の値をフィルタリングする関数を作成してください。
  • ジェネリック型とnever型を使い、stringが含まれている場合にそれを除外するロジックを実装してください。

演習4: never型を使った高度な型推論


最後の演習では、ユニオン型とnever型を組み合わせて、複雑な型推論を行う関数を作成します。次の関数は、T型がnumberまたはbooleanの場合のみその型を返し、それ以外の型をneverとして排除します。

type FilterNumberOrBoolean<T> = T extends number | boolean ? T : never;

function processValue<T>(value: T): FilterNumberOrBoolean<T> {
  if (typeof value === 'number' || typeof value === 'boolean') {
    return value;
  } else {
    // ここでnever型を使ってエラー処理を追加
    throw new Error('Invalid type');
  }
}

目標

  • 条件付き型を使って、numberまたはboolean型を受け取る関数を作成してください。
  • その他の型に対してはnever型を利用して、エラーハンドリングを行いましょう。

これらの演習を通じて、never型の使い方を実践的に学び、実際のプログラム設計に役立てることができます。問題を解きながらnever型の特性を理解し、エラーハンドリングや型ガードなどの場面で適切に活用できるようにしましょう。

実務でのnever型の活用場面


never型は、実務においても重要な役割を果たします。特に、複雑なアプリケーションのエラーハンドリングや、API設計、型安全なコードの構築などで役立ちます。ここでは、実際の開発現場でnever型がどのように利用されるか、いくつかの具体的なシナリオを紹介します。

1. API設計におけるnever型の活用


APIを設計する際、クライアント側から予期しない入力を受け取ることがあります。このような場合に、never型を使ったエラーハンドリングが非常に有効です。例えば、REST APIで無効なリクエストが送られた場合や、入力パラメータが不適切である場合には、never型を使ってエラーレスポンスをスローします。

function handleApiRequest(request: any): never | Response {
  if (isValidRequest(request)) {
    return new Response('Valid request');
  }
  throw new Error('Invalid request');
}

このように、APIの設計時にnever型を活用することで、エラーハンドリングを明示的に行い、予期しない動作を未然に防ぐことができます。

2. フロントエンドアプリケーションの状態管理


フロントエンドアプリケーションでは、状態管理が重要です。状態の遷移において、すべての状態が適切に処理されているかを保証するために、never型を利用して網羅性を確認することができます。特に、Reduxのような状態管理ライブラリを使う場合、全てのアクションが処理されているかをチェックするのに有効です。

type Action = { type: 'INCREMENT' } | { type: 'DECREMENT' } | { type: 'RESET' };

function reducer(action: Action): number {
  switch (action.type) {
    case 'INCREMENT':
      return 1;
    case 'DECREMENT':
      return -1;
    case 'RESET':
      return 0;
    default:
      const exhaustiveCheck: never = action;
      throw new Error(`Unhandled action type: ${action.type}`);
  }
}

この例では、すべてのアクションが正しく処理されていることをnever型で確認しています。これにより、未処理のアクションタイプが存在した場合にはエラーをスローし、状態管理の安全性が向上します。

3. 型安全なライブラリ設計


never型は、型安全なライブラリ設計においても重要な役割を果たします。ライブラリのユーザーが誤ったパラメータや型を使用した場合、never型を使うことでエラーを早期に検出できます。これにより、ライブラリの利用者が意図しない動作に遭遇することを防ぎ、信頼性の高いライブラリを提供できます。

function processInput<T>(input: T): T extends string ? string : never {
  if (typeof input === 'string') {
    return input;
  } else {
    throw new Error('Invalid input type');
  }
}

このように、ライブラリ内でnever型を使用することで、ユーザーが適切な型で関数を利用しているかを型レベルでチェックすることができます。

4. ユニットテストの強化


ユニットテストにおいて、never型はテストケースの網羅性を確認するためのツールとしても利用されます。特に、型ガードや条件分岐が多いコードでは、全てのケースがテストされていることをnever型でチェックし、見落としを防ぐことができます。

function assertNever(value: never): never {
  throw new Error(`Unexpected value: ${value}`);
}

function testValue(value: 'a' | 'b' | 'c') {
  switch (value) {
    case 'a':
      return 'A';
    case 'b':
      return 'B';
    case 'c':
      return 'C';
    default:
      return assertNever(value);
  }
}

このように、未処理のケースが存在しないことを確認するための関数を設計することで、テストの網羅性を高め、意図しない動作を防ぎます。

5. アプリケーションのエラーハンドリング


実務では、複雑なアプリケーションでエラーハンドリングが不可欠です。never型を使用して、エラーの発生箇所を明示的に指定することで、予期しないエラーを効率的に処理できます。特に、予期しないユーザー操作や外部APIのエラーを処理する場合に、never型を活用した堅牢なエラーハンドリングが有効です。


これらの例から分かるように、never型は実務においても様々な場面で活用されます。特に、型安全なコードの設計、エラーハンドリング、状態管理の正確性を高めるためにnever型を使うことで、信頼性の高いアプリケーション開発が可能となります。

まとめ


本記事では、TypeScriptにおけるnever型の概要から、その具体的な活用方法、さらに実務での利用場面までを解説しました。never型は、関数が決して値を返さない場合や、型ガードの網羅性をチェックする際に非常に有効な型です。エラーハンドリングや無限ループの処理、条件付き型やユニオン型との組み合わせによる高度な型推論など、never型の適切な活用によって、型安全で堅牢なコードを作成することができます。

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