PHPでHTMLタグを除去してテキストのみ抽出する方法

PHPで開発を行う際、ウェブページからテキストを抽出する必要がある場合があります。特に、ユーザーから入力されたデータや外部のHTMLコンテンツを扱う際には、HTMLタグを除去して純粋なテキストのみを取り出すことが重要です。これにより、表示内容の整理やセキュリティの向上が図れます。本記事では、PHPのstrip_tags関数を用いてHTMLタグを取り除き、テキストのみを抽出する方法について詳しく解説していきます。

目次

strip_tags関数とは


strip_tags関数は、PHPで提供される組み込み関数の一つで、文字列からHTMLタグを取り除くために使用されます。この関数は、指定された文字列中に含まれるすべてのHTMLおよびPHPタグを削除し、純粋なテキストのみを返します。

基本的な構文


strip_tags関数の基本的な構文は次の通りです:
“`php
string strip_tags ( string $str [, string $allowable_tags ] )

- `$str`は、HTMLタグを取り除きたい文字列を指定します。  
- `$allowable_tags`は、除去しないで保持したいタグを指定するオプションのパラメータです。  

`strip_tags`関数はシンプルで使いやすい一方、特定のタグを保持することも可能で、柔軟にテキスト処理を行えます。
<h2>基本的な使用例</h2>  
`strip_tags`関数を用いると、簡単にHTMLタグを文字列から除去できます。以下の基本的な例を通して、どのように使用するかを説明します。

<h3>シンプルなHTMLタグの除去</h3>  
次の例では、HTMLタグを含む文字列からすべてのタグを削除します:  

php
$input = “

Hello, world! This is a link.”;
$output = strip_tags($input);
echo $output; // 出力: Hello, world! This is a link.

このコードでは、`<p>`, `<strong>`, `<a>`といったタグがすべて取り除かれ、テキストのみが残ります。

<h3>特定のタグを保持しない場合の動作</h3>  
特定のタグを許可せずに`strip_tags`関数を使用すると、すべてのHTMLタグが削除されるため、結果として純粋なテキストだけが残ります。この基本動作により、クリーンなテキストデータを取得することが可能です。
<h2>特定のタグを残す方法</h2>  
`strip_tags`関数では、特定のHTMLタグを削除せずに保持することも可能です。この機能を利用すると、必要なタグだけを残しながら不要なタグを除去できます。

<h3>特定のタグを許可する方法</h3>  
`strip_tags`関数の第2引数を使用することで、保持したいタグを指定できます。指定されたタグは削除されず、文字列内に残ります。例を見てみましょう:  

php
$input = “

Hello, world! This is a link.”;
$output = strip_tags($input, ‘‘); echo $output; // 出力: Hello, world! This is a link.

この例では、`<strong>`タグと`<a>`タグが許可され、それ以外のタグ(`<p>`など)は削除されます。

<h3>複数のタグを許可する場合</h3>  
複数のタグを保持したい場合は、許可するタグをカンマやスペースで区切る必要はなく、単純に続けて記述します。上記の例のように、第2引数にタグ名を列挙するだけで複数のタグを許可できます。

<h3>保持するタグの用途</h3>  
保持するタグの指定は、ユーザーが入力したデータをフィルタリングする際に便利です。例えば、ユーザーが提供するテキストに基本的なフォーマット(太字、リンクなど)を許可したい場合に活用できます。
<h2>実際の応用例</h2>  
`strip_tags`関数は、実際のウェブ開発において多くのシーンで役立ちます。以下では、特定のケースでの実用的な使用方法を紹介します。

<h3>フォームからのユーザー入力のフィルタリング</h3>  
ウェブアプリケーションでは、ユーザーがフォームに入力したデータを受け取ることが多く、その際に悪意のあるコード(スクリプトタグなど)を含む可能性があります。`strip_tags`関数を使って入力をフィルタリングし、安全なテキストデータを確保する方法です:  

php
$user_input = “

Hello, world!”;
$safe_input = strip_tags($user_input);
echo $safe_input; // 出力: Hello, world!

この例では、`<script>`タグが削除され、テキスト部分だけが残ります。XSS(クロスサイトスクリプティング)対策として有効です。

<h3>メール本文のHTMLタグ除去</h3>  
HTMLメールの内容をテキストメールとして表示する際に、HTMLタグを削除することが必要な場合があります。`strip_tags`関数を用いることで、テキストのみを抽出して、プレーンテキストメールとして扱うことができます:  

php
$email_content = “

Welcome!

Thank you for signing up.”;
$plain_text_content = strip_tags($email_content);
echo $plain_text_content; // 出力: Welcome! Thank you for signing up.

この方法により、HTMLフォーマットのメールをプレーンテキストに変換できます。

<h3>ブログや掲示板の投稿での安全なHTML表示</h3>  
ブログや掲示板などの投稿で、基本的なHTMLフォーマットを許可しつつ、他の危険なタグを取り除くことで、安全にユーザーが投稿したコンテンツを表示することができます。  

php
$post_content = “Bold text and italic text “;
$safe_content = strip_tags($post_content, ‘‘); echo $safe_content; // 出力: Bold text and italic text この例では、`<b>`および`<i>`タグのみを残し、その他のタグはすべて削除されます。 これらの応用例により、`strip_tags`関数を適切に利用することで、セキュアでクリーンなデータ処理が実現できます。 <h2>セキュリティの考慮</h2> `strip_tags`関数を使用する際には、セキュリティ上の考慮が重要です。HTMLタグの除去は便利ですが、過信するとセキュリティリスクが残る場合があります。以下では、`strip_tags`を用いる上での注意点を解説します。 <h3>XSS(クロスサイトスクリプティング)対策としての限界</h3> `strip_tags`関数はHTMLタグを除去することでXSS攻撃のリスクを軽減しますが、完全に防ぐことはできません。特に、JavaScriptイベントハンドラ(`onclick`など)のようにタグの内部で発生する攻撃や、不完全なタグを利用した攻撃には対応できません。XSS対策を徹底するには、`htmlspecialchars`関数などでエンコード処理を行うことが推奨されます。 php
$user_input = “Click me“;
$safe_input = htmlspecialchars(strip_tags($user_input));
echo $safe_input; // 出力: Click me <h3>許可するタグの選定に注意する</h3> `strip_tags`関数の第2引数で特定のタグを許可する場合、それが引き起こすセキュリティリスクについても考慮する必要があります。たとえば、`<a>`タグを許可するとリンクの挿入が可能になり、フィッシング詐欺に悪用される可能性があります。許可するタグは必要最小限に留め、タグの属性についても別途検証する必要があります。 <h3>特殊文字の処理</h3> `strip_tags`関数はタグを取り除くだけで、特殊文字のエンコードを行いません。たとえば、ユーザー入力の中にHTMLエンティティ(`&lt;`や`&gt;`など)が含まれる場合、それらはそのまま表示される可能性があります。これを防ぐためには、エンティティをエンコードする`htmlspecialchars`を併用すると安全です。 <h3>データベースへの格納前にサニタイズする</h3> ユーザー入力をデータベースに保存する場合、`strip_tags`を使ってクリーンにしたとしても、SQLインジェクションなど他の攻撃に対する対策が必要です。SQLクエリに直接挿入する前に、適切なサニタイズやプリペアードステートメントを使用しましょう。 <h3>まとめ</h3> `strip_tags`関数はセキュリティ対策の一環として役立つものの、他の対策と組み合わせることで効果を発揮します。安全なウェブアプリケーションを構築するためには、入力データの多層的な検証・サニタイズが不可欠です。 <h2>他の方法との比較</h2> HTMLタグを除去するためには、`strip_tags`関数以外にもいくつかの方法があります。それぞれの方法には特有のメリットとデメリットがあり、目的に応じて適切な手段を選択する必要があります。ここでは、`strip_tags`と他の方法を比較し、その違いを明らかにします。 <h3>正規表現によるタグ除去</h3> 正規表現を使ってHTMLタグを除去する方法もあります。正規表現は柔軟性が高いため、タグのパターンを自由に指定できますが、正規表現によるパターンマッチングはHTMLの構造が複雑になるとエラーを引き起こしやすいという欠点があります。 php
$input = “Hello, world!“;
$output = preg_replace(‘/<[^>]*>/’, ”, $input);
echo $output; // 出力: Hello, world! 正規表現は一時的な解決策には適していますが、HTML解析のための信頼性が低いため、一般的には`strip_tags`の方が推奨されます。 <h3>DOMDocumentクラスによる解析</h3> PHPの`DOMDocument`クラスを利用することで、HTMLをパースしてタグを除去することが可能です。この方法は、HTML構造をより正確に解析できるため、より複雑な処理が必要な場合に適しています。しかし、実装がやや複雑で、パフォーマンスも正規表現や`strip_tags`より劣ることがあります。 php
$input = “Hello, world!“;
$dom = new DOMDocument();
@$dom->loadHTML($input);
echo $dom->textContent; // 出力: Hello, world! DOMDocumentを使用すると、HTMLの内容に応じて柔軟に処理を行えるため、より詳細な制御が必要な場面で役立ちます。 <h3>htmlspecialchars関数との併用</h3> `htmlspecialchars`は、HTMLタグをエンティティに変換することで、ブラウザによるタグの解釈を防ぎます。`strip_tags`と併用することで、タグの削除とエンティティ化の両方を行い、安全性を高めることができます。ただし、この方法はHTMLタグを完全に削除するわけではなく、無効化するにとどまります。 php
$input = “Hello, world!“;
$output = htmlspecialchars(strip_tags($input));
echo $output; // 出力: Hello, world! <h3>ライブラリの使用</h3> HTML Purifierなどのライブラリを使うと、HTMLのフィルタリングを高度に制御できます。特定のタグや属性のみを許可したり、不正な構文を修正する機能も備えています。セキュリティの高いウェブアプリケーションを構築する際に便利ですが、設定が複雑であるため、使用の際には十分な知識が必要です。 <h3>比較まとめ</h3> - **`strip_tags`**:シンプルで手軽にHTMLタグを除去できるが、高度な制御には向かない。 - **正規表現**:柔軟性が高いが、HTML解析には不向き。 - **DOMDocument**:正確なHTML解析が可能だが、やや複雑でパフォーマンスに課題がある。 - **htmlspecialchars**:タグを削除せずにエンティティ化する。`strip_tags`との併用が有効。 - **ライブラリ**:高度な制御が可能だが、設定が複雑。 用途に応じてこれらの方法を使い分けることが、効率的な開発の鍵となります。 <h2>strip_tagsの制限と注意点</h2> `strip_tags`関数は便利なHTMLタグ除去の手段ですが、いくつかの制限や使用時の注意点があります。これらを理解して適切に対処することが、安全で正確なデータ処理につながります。 <h3>不完全なタグの扱い</h3> `strip_tags`関数は不完全なタグや閉じられていないタグを正しく処理できない場合があります。不完全なHTML構文に対しては予期しない動作をすることがあるため、事前に入力を検証したり、整形式に変換する処理が必要です。 php
$input = “Hello, world!”;
$output = strip_tags($input);
echo $output; // 出力: Hello, world!
上記のような場合でも正しくタグが除去されますが、より複雑な不完全な構造に対しては注意が必要です。 <h3>属性やコメントの除去は不可</h3> `strip_tags`関数はタグそのものを除去しますが、HTMLコメントやタグの属性は除去できません。例えば、`<!--コメント-->`や`<a href='#'>リンク</a>`の属性を削除するには、別の手段を用いる必要があります。属性まで考慮したセキュリティ対策を講じる際には、専用のフィルタリングライブラリを使用することが推奨されます。 <h3>危険な要素の完全除去は困難</h3> `strip_tags`関数では、`<script>`タグや`<style>`タグを削除できますが、それらのタグの内部で使用されているコンテンツ(JavaScriptやCSS)までの詳細な制御は行えません。安全なコンテンツを保証するには、`HTML Purifier`などの専用ライブラリを使用するか、タグと内容の両方を徹底的に検証する必要があります。 <h3>多言語対応の課題</h3> 多言語サイトにおいて、文字エンコーディングの違いが原因で`strip_tags`関数が正しく動作しないことがあります。特にマルチバイト文字(日本語、中国語など)を扱う場合、エンコーディング設定を適切に行うか、マルチバイト文字に対応した関数(`mb_convert_encoding`など)を併用することが重要です。 <h3>意図しないタグの除去</h3> `strip_tags`関数は、許可されていないタグを全て除去しますが、時にはそれが意図しない結果を引き起こすこともあります。例えば、`<code>`や`<pre>`のようなフォーマットタグが必要な場合でも、許可しないと削除されてしまいます。特定のタグを残す必要がある場合は、第2引数を活用して除外対象を指定することが推奨されます。 <h3>まとめ</h3> `strip_tags`関数は、HTMLタグの除去に便利なツールですが、その制限を理解しておくことが重要です。不完全なタグ、コメント、属性の扱いには注意し、必要に応じて他の手段やライブラリと組み合わせて使用することで、セキュアで効果的なデータ処理が実現できます。 <h2>演習問題</h2> `strip_tags`関数の理解を深めるために、いくつかの演習問題を用意しました。これらの問題に取り組むことで、HTMLタグ除去の実践的な使い方を学ぶことができます。 <h3>演習1: 基本的なHTMLタグの除去</h3> 以下のコードを実行した場合、どのような出力になるでしょうか? php
$input = “Welcome!Learn PHP today.”;
$output = strip_tags($input);
echo $output; **問題:** 上記のコードで表示されるテキストを答えてください。 <h3>演習2: 特定のタグを保持する</h3> 次のコードでは、`<em>`タグのみを保持するように変更してください。 php
$input = “Important:Do not miss it!“;
// 修正後のコードを記述してください
$output = strip_tags($input, ”); // ヒント: 第2引数を修正
echo $output; **問題:** 修正後のコードを記述し、出力結果がどうなるか説明してください。 <h3>演習3: 不完全なタグの処理</h3> 次のコードを実行すると、出力はどうなるでしょうか? php
$input = “Hello, world”;
$output = strip_tags($input);
echo $output; **問題:** 不完全なタグがある場合、`strip_tags`関数がどのように動作するかを考えてみましょう。 <h3>演習4: 複数のタグを許可する</h3> `strip_tags`関数を使って、以下の文字列から`<b>`タグと`<i>`タグのみを保持し、それ以外のタグを削除してください。 php
$input = “Bold and italic text with underline.”;
// 修正後のコードを記述してください **問題:** `strip_tags`関数を適用した後の出力を予測してください。 <h3>演習5: セキュリティを考慮したフィルタリング</h3> 次のコードでは、`strip_tags`関数を使ったHTMLタグ除去に加えて、`htmlspecialchars`関数を使用してさらに安全なテキスト処理を行う方法を示してください。 php
$input = “Secure text”;
// コードを修正し、両方の関数を適用してください **問題:** XSS攻撃を防ぐための修正後のコードと、その出力結果を答えてください。 これらの演習を通して、`strip_tags`関数の使い方をさらに深く理解し、実践的なシナリオでの適用方法を学びましょう。 <h2>よくある質問</h2> `strip_tags`関数に関するよくある質問とその回答をまとめました。これにより、利用時の疑問点を解消し、適切な使い方を習得できます。 <h3>Q1: どのようなタグが削除されますか?</h3> **A:** `strip_tags`関数は、指定した文字列内のすべてのHTMLおよびPHPタグを削除します。タグ名に関係なく削除されますが、特定のタグを保持したい場合は、第2引数にタグ名を指定することで除去を回避できます。 <h3>Q2: 特定のタグを許可する方法は?</h3> **A:** 第2引数で許可するタグを指定します。たとえば、`<b>`タグと`<i>`タグのみを保持したい場合、以下のように書きます: php
$output = strip_tags($input, ‘‘);
“`
このようにすることで、指定されたタグは削除されず、他のすべてのタグが除去されます。
Q3: `strip_tags`関数はすべての不正な入力を取り除けますか?
A: いいえ、strip_tagsは完全なセキュリティ対策にはなりません。特に、JavaScriptイベントハンドラやエンティティ化された文字を含む場合には対策が必要です。セキュリティを強化するためには、htmlspecialchars関数や専用のフィルタリングライブラリを併用することが推奨されます。 Q4: 文字エンコーディングの違いによって問題が発生することはありますか?
A: はい、特にマルチバイト文字(日本語、中国語など)を含む場合には注意が必要です。エンコーディング設定を適切に行わないと、文字化けや予期しない動作が発生する可能性があります。mb_string関数と併用することで、マルチバイト文字に対応した処理を行うことができます。 Q5: PHPのバージョンによって動作が異なることはありますか?
A: strip_tags関数はPHPのバージョンによって微妙な動作の違いがある場合があります。特に、古いバージョンのPHPでは、タグの除去やエンコーディング処理に違いがある可能性があるため、最新バージョンでの動作確認を行うことが推奨されます。 Q6: `strip_tags`はXMLデータでも使用できますか?
A: XMLデータにも適用できますが、XMLの構造がHTMLと異なるため、DOMDocumentや専用のXMLパーサーを使う方が適切です。XMLデータの解析や処理を行う際には、strip_tagsではなく、専用の処理方法を採用することが望ましいです。 Q7: `strip_tags`を使ってHTML以外のタグを削除できますか?
A: strip_tagsはHTMLやPHPのタグを削除するための関数であり、特定のカスタムタグなどには適用できません。そのようなタグを削除したい場合は、正規表現やカスタムのフィルタリング関数を使用する必要があります。 これらのFAQを参考に、strip_tags関数の使用方法や制限を理解し、最適な方法でデータ処理を行いましょう。 まとめ
本記事では、PHPでHTMLタグを除去してテキストのみを抽出する方法について、strip_tags関数を中心に解説しました。strip_tagsはシンプルで使いやすい関数ですが、完全なセキュリティ対策にはならないため、他の方法と組み合わせて使用することが推奨されます。特定のタグを保持する方法やセキュリティの考慮点を理解し、適切に使い分けることで、安全で効果的なテキスト処理が可能になります。

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