画像ファイルを複数ページのPDFに変換するニーズは、ビジネスや個人利用の場面で増加しています。例えば、プロジェクト報告書のスクリーンショットやスキャンした書類を一つのPDFにまとめることで、共有や保管が容易になります。本記事では、PHPを使って複数の画像を順にPDFに変換し、各画像が別ページとして出力される方法を詳しく解説します。PHPの初心者でも実践できるように、基本的なライブラリやコード例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
画像をPDFに変換する必要性と活用例
画像をPDFに変換する理由として、データの保管や共有の利便性が挙げられます。PDFは異なるデバイスや環境でもレイアウトが崩れにくいため、画像を複数まとめて一つのPDFにすることで、データがより整理され、簡単にアクセスできるようになります。ビジネスの場面では、プレゼン資料やスキャンした契約書などを一つにまとめることで、効率的な管理や送付が可能です。また、個人利用としても、イベントの写真をまとめて共有したり、レシピや旅行記録の写真をPDFにして保存することで、情報をコンパクトに整理できます。PHPを使えば、サーバー上で画像をPDFに変換する処理を自動化することもでき、ウェブアプリケーションでの活用も期待されます。
PHPでPDF変換を行うためのライブラリ紹介
PHPで画像をPDFに変換する際には、PDF生成をサポートするライブラリが必要です。特に広く使用されているのが FPDF と TCPDF です。これらのライブラリを活用することで、複数の画像をスムーズにPDFファイルとして出力できます。それぞれの特徴を以下に紹介します。
FPDF
FPDFは、軽量でシンプルな構造が特徴のPDF生成ライブラリです。基本的なPDF生成機能が備わっており、無料で利用可能です。画像の追加やテキストの挿入など、PDFの基礎的な操作が簡単に行えるため、初心者にも適しています。しかし、高度なレイアウト機能や特殊なフォーマットのサポートは限られているため、シンプルなPDF作成に向いています。
TCPDF
TCPDFは、FPDFを基に開発された強力なPDF生成ライブラリで、FPDFにはない追加機能が豊富に揃っています。特に、カスタマイズ性が高く、複雑なレイアウトや多言語対応(Unicodeフォントなど)をサポートしている点が特徴です。また、画像やテキストだけでなく、バーコードやQRコードの生成も可能で、ビジネス用途の多様なニーズに対応できます。複雑なPDFを作成したい場合や多機能が求められる場合には、TCPDFが最適です。
これらのライブラリを活用することで、PHPで簡単かつ効率的に画像をPDFに変換できるようになります。次の項目では、これらライブラリを用いた具体的な実装例を解説します。
基本的なコード例:画像を単一ページのPDFに変換する
まずは、単一ページのPDFに画像を変換する基本的なコードを紹介します。ここでは、FPDFライブラリを使用して、1枚の画像をPDFに変換する方法を解説します。この手順を通じて、FPDFを利用した基本的なPDF作成の流れを理解できます。
FPDFを使った単一画像PDFの作成
FPDFを用いることで、シンプルなPDF作成が可能です。以下のコードでは、1枚の画像ファイルをPDFの単一ページとして保存します。
<?php
// FPDFライブラリをインポート
require('fpdf.php');
// PDFインスタンスの作成
$pdf = new FPDF();
$pdf->AddPage();
// 画像を追加(file.jpg は対象の画像ファイル名)
$pdf->Image('file.jpg', 10, 10, 180); // x, y座標および幅を指定
// PDFを保存
$pdf->Output('F', 'single_image.pdf'); // 'F'でファイルとして保存
?>
このコードは以下の手順で動作します:
- PDFインスタンスの作成:
new FPDF()
でPDFのインスタンスを生成します。 - ページの追加:
AddPage()
メソッドで新しいページを追加します。 - 画像の挿入:
Image()
メソッドで画像を指定位置に配置し、サイズを調整します。 - PDFの出力:
Output()
メソッドでPDFを生成し、指定したファイル名で保存します。
コードのカスタマイズポイント
このコードでは、以下の部分を変更することで、画像の位置やサイズをカスタマイズできます。
- 画像ファイルパス:
file.jpg
の部分を任意の画像ファイル名に変更。 - 画像サイズ:
Image()
メソッド内のパラメータでサイズを調整。例えば、180
の部分を変更することで画像の幅が変更できます。
このシンプルなコードを基に、さらに複数ページ対応などに発展させることができます。次の項目では、複数の画像をそれぞれ異なるページに配置する方法を解説します。
複数ページ対応:複数画像をPDFに変換するコード例
複数の画像ファイルを、それぞれ別のページとしてPDFに追加する方法を解説します。この実装により、例えば複数のスキャン画像やスクリーンショットを一つのPDFファイルにまとめることが可能になります。ここでは、FPDFライブラリを使用し、複数ページのPDFを生成するコード例を紹介します。
FPDFを使った複数画像のPDF作成
以下のコードは、複数の画像を読み込み、それぞれを異なるページに追加する方法です。
<?php
// FPDFライブラリをインポート
require('fpdf.php');
// 画像ファイルのリストを配列で準備
$images = ['image1.jpg', 'image2.jpg', 'image3.jpg']; // 各画像ファイル名を記載
// PDFインスタンスの作成
$pdf = new FPDF();
// 各画像ファイルを順にPDFの新しいページとして追加
foreach ($images as $image) {
$pdf->AddPage(); // 新しいページを追加
$pdf->Image($image, 10, 10, 180); // 各ページに画像を配置
}
// PDFを保存
$pdf->Output('F', 'multi_page_images.pdf'); // 'F'でファイルとして保存
?>
コードの動作解説
このコードは、指定された複数の画像ファイルをループ処理で順にページに追加します。動作の流れは以下の通りです:
- 画像ファイルのリスト作成:
$images
配列に各画像のファイル名を格納します。 - ページの追加と画像の挿入:
foreach
ループを用いて、画像ごとに新しいページを追加し、画像を配置します。 - PDFの出力:
Output()
メソッドで、全ての画像を含んだPDFファイルが生成されます。
カスタマイズポイント
- 画像のサイズと配置:各ページの画像サイズを調整したい場合は、
Image()
メソッド内のパラメータを変更します。 - 画像ファイルのリスト作成:特定フォルダ内の全画像を自動で取得する場合は、
glob()
関数などを利用し、ファイル名を動的に読み込むことも可能です。
動的に画像リストを取得する例
例えば、特定のフォルダ内にある全画像ファイルを自動取得する場合は次のように記述します:
$images = glob('path/to/images/*.jpg'); // 特定フォルダ内の全画像を取得
この方法を使えば、新しい画像が追加された場合もコードの修正なく自動でPDFに追加できます。このようにして、複数の画像を簡単にPDFとして出力し、ドキュメントの作成やレポートの生成を効率化できます。
画像サイズ調整とページレイアウトの設定方法
画像をPDFに配置する際、画像サイズやページレイアウトの設定が重要です。特に、複数ページのPDFで異なるサイズやレイアウトを使用する場合、見やすく整えた配置が必要です。ここでは、FPDFライブラリを使って、画像サイズの調整やレイアウトの変更方法について解説します。
画像サイズの調整
FPDFのImage()
メソッドでは、画像の幅と高さを指定できます。この設定を行うことで、PDF上での画像の大きさを柔軟に調整できます。
$pdf->Image('image.jpg', 10, 10, 100, 150); // 幅を100、高さを150に設定
上記のコードでは、画像の位置を左上から10ミリメートル、幅を100ミリ、高さを150ミリに設定しています。このように幅と高さを指定することで、PDFのレイアウトに合った大きさに調整可能です。
ページ全体に画像を配置する
画像をページ全体に表示させる場合、PDFのページサイズに合わせて画像サイズを指定します。以下はA4サイズ(210 x 297ミリ)のページ全体に画像を配置する例です。
$pdf->Image('image.jpg', 0, 0, 210, 297); // A4サイズに合わせて配置
このように設定すると、画像がページの端から端までフルサイズで表示されます。
ページレイアウトの指定
FPDFでは、ページの向きを縦(Portrait)または横(Landscape)に設定できます。PDFを横向きに設定することで、横長の画像を効果的に表示できます。
$pdf = new FPDF('L', 'mm', 'A4'); // LはLandscape(横向き)を指定
$pdf->AddPage();
$pdf->Image('landscape_image.jpg', 10, 10, 270, 180); // 横向き用のサイズ設定
この例では、横向き(Landscape)でA4ページを作成し、横長の画像を表示しています。画像の幅と高さをページサイズに合わせることで、見やすいレイアウトを実現できます。
ページマージンの設定
ページの余白(マージン)を設定して、画像がページの端に近すぎないように調整できます。FPDFでは、SetMargins()
メソッドで上下左右のマージンを設定します。
$pdf->SetMargins(15, 15, 15); // 左右上下の余白を15ミリに設定
$pdf->AddPage();
$pdf->Image('image_with_margin.jpg', 15, 15, 180, 267); // マージンを考慮した画像サイズ
この設定により、ページの端から15ミリメートルの余白が作られ、画像がバランスよく配置されます。
異なるサイズの画像をPDFに追加する際の注意点
異なるサイズの画像をPDFに追加する場合、それぞれのページでサイズやレイアウトが変わると見た目が統一されにくくなります。そのため、以下の点に注意して画像を調整しましょう:
- 統一したページサイズに揃える:画像ごとにページサイズを変更せず、固定のサイズで統一する。
- 必要に応じてトリミング:重要な情報を残しながら画像をトリミングし、余白を調整する。
- 一貫した位置とサイズで配置:特定の位置とサイズに揃えることで見やすく配置する。
これらの方法を活用すれば、複数の画像を含むPDFで一貫したレイアウトとデザインを保つことができます。次の項目では、ユーザーからの入力によって画像を選択し、動的にPDFを生成する方法について解説します。
ユーザー入力に応じた動的な画像選択とPDF作成
ユーザーが指定した画像ファイルを元に、動的にPDFを生成する機能を実装することで、柔軟なWebアプリケーションを構築できます。例えば、アップロードされた複数の画像をユーザーの順序でPDFに変換するなど、ニーズに応じたPDF作成が可能になります。ここでは、PHPとFPDFを使って、ユーザー入力に基づき画像を選び、動的にPDFを生成する方法を解説します。
ユーザーによる画像アップロードフォームの作成
まず、ユーザーが複数の画像をアップロードできるHTMLフォームを作成します。このフォームから受け取った画像ファイルを処理し、PDFに変換します。
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>画像をPDFに変換</title>
</head>
<body>
<form action="upload_to_pdf.php" method="post" enctype="multipart/form-data">
<label for="images">画像ファイルを選択(複数選択可能):</label>
<input type="file" name="images[]" id="images" multiple accept="image/*">
<input type="submit" value="PDFに変換">
</form>
</body>
</html>
このフォームでは、multiple
属性を利用することで、複数の画像を選択できるようになっています。ユーザーが「PDFに変換」ボタンをクリックすると、選択した画像ファイルがサーバーに送信されます。
PHPで画像ファイルを受け取り、PDFに変換
次に、サーバーサイドでアップロードされた画像を受け取り、FPDFを使ってPDFを生成します。以下のコードは、upload_to_pdf.php
ファイルの内容です。
<?php
require('fpdf.php');
// アップロードファイルのチェック
if (isset($_FILES['images'])) {
$pdf = new FPDF();
// 各画像をPDFに追加
foreach ($_FILES['images']['tmp_name'] as $file) {
$pdf->AddPage();
// 画像サイズや配置位置を調整(例:ページ全体に配置)
$pdf->Image($file, 10, 10, 180);
}
// PDFをダウンロードとして出力
$pdf->Output('D', 'user_uploaded_images.pdf');
} else {
echo "画像ファイルが選択されていません。";
}
?>
コードの解説
- 画像ファイルのアップロード確認:
$_FILES['images']
を使い、アップロードされた画像ファイルが存在するかチェックします。 - PDFインスタンスの作成:
new FPDF()
でPDFオブジェクトを作成し、各画像ごとに新しいページを追加します。 - 画像の配置:
Image()
メソッドで画像を配置します。この例では、画像がページ全体に表示されるように幅を180mmに設定しています。 - PDF出力:
Output()
メソッドで、生成したPDFをユーザーにダウンロードさせます。D
オプションを使用してファイルを直接ダウンロードさせる形にしています。
アップロードファイルの検証
セキュリティを考慮し、アップロードされたファイルが画像であることを確認するため、ファイルタイプの検証も実装できます。例えば、getimagesize()
関数を用いることで、画像ファイルかどうかを確認できます。
if (getimagesize($file) !== false) {
// 画像として有効な場合に処理を実行
$pdf->AddPage();
$pdf->Image($file, 10, 10, 180);
} else {
echo "無効なファイル形式です。";
}
このように、ユーザーがアップロードした画像ファイルを選択的にPDFに変換することで、柔軟で実用的なアプリケーションが構築できます。次の項目では、PDFファイルのサイズを最適化しつつ、画像の解像度を保持する方法について解説します。
画像解像度とファイルサイズの最適化
複数の画像をPDFに変換すると、ファイルサイズが大きくなりがちです。特に高解像度の画像を多く含む場合、ファイルサイズが増加し、ダウンロードや保存に時間がかかる原因となります。ここでは、画像の解像度を保ちながらPDFファイルのサイズを最適化する方法について解説します。
画像圧縮による最適化
画像ファイルのサイズを減らす最も一般的な方法は、圧縮を適用することです。PHPでは、GDライブラリを利用して画像を圧縮することができます。JPEG形式の画像に圧縮をかけることで、画像品質を保ちながらファイルサイズを削減できます。
<?php
// 画像を圧縮して保存する関数
function compressImage($source, $destination, $quality) {
$info = getimagesize($source);
if ($info['mime'] == 'image/jpeg') {
$image = imagecreatefromjpeg($source);
imagejpeg($image, $destination, $quality); // 圧縮率を指定
} elseif ($info['mime'] == 'image/png') {
$image = imagecreatefrompng($source);
imagepng($image, $destination, 9); // PNGは圧縮レベルを指定
}
imagedestroy($image);
}
// 使用例
compressImage('original_image.jpg', 'compressed_image.jpg', 75); // 75%の圧縮率
?>
このコードは、compressImage()
関数を使ってJPEGまたはPNG画像を指定した圧縮率で圧縮します。圧縮後の画像をPDFに追加することで、PDF全体のファイルサイズを削減できます。
画像解像度の調整
次に、画像解像度の調整もファイルサイズの最適化に有効です。特に、Web用に設計されたアプリケーションの場合、高解像度が不要なことが多く、解像度を下げることでサイズを抑えられます。GDライブラリを用いて画像の幅と高さをリサイズするコード例を示します。
<?php
function resizeImage($source, $destination, $new_width) {
$info = getimagesize($source);
list($width, $height) = $info;
// アスペクト比を保ったまま高さを計算
$new_height = ($height / $width) * $new_width;
$image = imagecreatefromjpeg($source);
$resized_image = imagecreatetruecolor($new_width, $new_height);
imagecopyresampled($resized_image, $image, 0, 0, 0, 0, $new_width, $new_height, $width, $height);
imagejpeg($resized_image, $destination, 75); // 圧縮を同時に適用
imagedestroy($image);
imagedestroy($resized_image);
}
// 使用例
resizeImage('original_image.jpg', 'resized_image.jpg', 800); // 幅800ピクセルにリサイズ
?>
この関数では、幅を指定してアスペクト比を保ったまま画像をリサイズしています。imagecopyresampled()
関数により画質を保ちながらサイズを変更でき、最終的に75
の圧縮率を適用することでさらにファイルサイズを減らしています。
PDFの画質とサイズのバランスを考慮した出力
FPDFで生成するPDFにおいても、サイズと画質のバランスを考慮することが重要です。前述した圧縮やリサイズを施した画像を使うことで、必要な品質を確保しながらファイルサイズを抑えられます。
// 圧縮・リサイズ後の画像を使用してPDFを作成
require('fpdf.php');
$pdf = new FPDF();
$images = ['resized_image1.jpg', 'resized_image2.jpg', 'resized_image3.jpg'];
foreach ($images as $image) {
$pdf->AddPage();
$pdf->Image($image, 10, 10, 180); // ページ全体にリサイズ画像を配置
}
$pdf->Output('F', 'optimized_images.pdf'); // 最適化したPDFを保存
圧縮・リサイズの自動化
大量の画像を処理する場合、画像の圧縮やリサイズを自動化することで作業効率が上がります。画像をアップロード時に自動で圧縮・リサイズする処理を組み込むことで、常に最適化された状態でPDFに変換できる環境を構築できます。
これらの最適化手法により、PDFのファイルサイズを大幅に削減し、利便性の高いドキュメントを生成できます。次の項目では、複数ページのPDFにページ番号を追加する方法について解説します。
PDFにページ番号を追加する方法
複数ページにわたるPDFファイルにはページ番号を付けることで、ドキュメント全体の把握が容易になります。FPDFでは、カスタムのFooter
メソッドを作成することで各ページにページ番号を追加できます。ここでは、ページ番号をPDFの下部中央に表示する方法を解説します。
FPDFでページ番号を追加する手順
FPDFでは、独自のクラスを定義してFooter
メソッドをオーバーライドすることで、全ページに共通のページ番号を自動的に挿入できます。以下のコード例では、ページ番号が「ページ X / Y」の形式で表示されるように設定しています。
<?php
require('fpdf.php');
// カスタムクラスを定義してFooterメソッドをオーバーライド
class PDFWithFooter extends FPDF {
// Footerメソッドをオーバーライド
function Footer() {
// 下端から10ミリの位置にページ番号を表示
$this->SetY(-10);
$this->SetFont('Arial', 'I', 8);
$this->Cell(0, 10, 'ページ ' . $this->PageNo() . ' / {nb}', 0, 0, 'C');
}
}
// PDFインスタンスの作成とエイリアス設定
$pdf = new PDFWithFooter();
$pdf->AliasNbPages(); // {nb}に総ページ数を表示する設定
// サンプル画像の追加(仮の画像ファイルリストを使用)
$images = ['image1.jpg', 'image2.jpg', 'image3.jpg'];
foreach ($images as $image) {
$pdf->AddPage();
$pdf->Image($image, 10, 10, 180);
}
// PDFの出力
$pdf->Output('F', 'pdf_with_pagenumbers.pdf'); // ファイル保存
?>
コードの詳細解説
- カスタムクラスの作成:
PDFWithFooter
クラスを作成し、FPDFクラスのFooter
メソッドをオーバーライドします。このFooter
メソッドにページ番号の表示処理を追加します。 - ページ番号の表示:
PageNo()
メソッドで現在のページ番号を取得し、AliasNbPages()
を使って総ページ数を取得できるように設定しています。これにより、「ページ X / Y」という形式で番号を表示できます。 - 位置とフォントの設定:ページ下部に番号を表示するために、
SetY(-10)
で下から10ミリの位置に配置しています。また、フォントサイズを8に設定し、ページ番号が目立ちすぎないように調整しています。
カスタマイズポイント
- ページ番号の位置:
SetY(-10)
を変更することで、ページ番号をページの上部や異なる位置に配置可能です。 - フォントとサイズ:ページ番号に使用するフォントとサイズを自由に変更できます。
SetFont('Arial', 'I', 8)
でフォントを設定している箇所を修正することでカスタマイズ可能です。 - ページ番号の書式:
ページ X / Y
の形式を別の形式(例:「Page X」)に変更することも可能です。Cell
メソッド内で'ページ ' . $this->PageNo() . ' / {nb}'
の部分を変更することで対応できます。
この方法により、複数ページのPDFにページ番号が追加され、全体の構成が一目でわかりやすくなります。次の項目では、PDF生成におけるエラーハンドリングとトラブルシューティングの方法について解説します。
エラーハンドリングとトラブルシューティング
PHPで画像をPDFに変換する際には、ファイル形式の違いや画像の読み込みエラー、ライブラリの制限などによってエラーが発生する場合があります。ここでは、FPDFを使ったPDF生成時によくあるエラーとその対処法について説明します。
1. 画像の読み込みエラー
FPDFのImage()
メソッドを使用して画像をPDFに挿入する際、非対応の画像形式や破損した画像ファイルを読み込もうとするとエラーが発生します。FPDFはJPEGとPNG形式のみをサポートしているため、それ以外の形式を使用する場合は事前にJPEGやPNGに変換する必要があります。
// 画像形式を確認してJPEGまたはPNGのみ処理
$info = getimagesize($file);
if ($info['mime'] == 'image/jpeg' || $info['mime'] == 'image/png') {
$pdf->Image($file, 10, 10, 180);
} else {
echo "対応していない画像形式です。";
}
このコードでは、getimagesize()
関数で画像のMIMEタイプをチェックし、非対応の形式であればエラーメッセージを表示して処理を中断します。
2. ファイルサイズやメモリ不足によるエラー
大きな画像ファイルやページ数の多いPDFを生成する場合、PHPのメモリリミットに達してエラーが発生することがあります。この問題を防ぐために、メモリ制限を引き上げるか、画像の解像度やサイズを圧縮してメモリ消費を抑えることが重要です。
ini_set('memory_limit', '256M'); // 必要に応じてメモリリミットを拡張
また、画像圧縮やリサイズを事前に行い、メモリ使用量を抑えることも有効です。これにより、サーバー負荷を減らし、安定したPDF生成が実現できます。
3. FPDFメソッドエラー
FPDFでは、メソッドの引数や設定が誤っている場合、エラーが発生します。例えば、AddPage()
メソッドを忘れた場合や、無効なフォント設定をした場合にエラーが出ます。こうしたエラーを防ぐためには、FPDFのドキュメントを参照し、適切な順序でメソッドを実行することが重要です。
// AddPage()メソッドの呼び出しを忘れない
$pdf->AddPage();
$pdf->SetFont('Arial', 'B', 12);
$pdf->Cell(40, 10, 'サンプルテキスト');
エラーが発生した場合、エラーメッセージを確認し、ドキュメントで該当するメソッドや設定の詳細を調べると解決が早まります。
4. 出力エラー
Output()
メソッドでPDFをファイルに保存またはブラウザに出力する際、サーバーの設定やファイル書き込み権限によってエラーが発生することがあります。この場合、ファイルパスの確認やPHPのファイル書き込み権限をチェックし、適切に設定します。
// ファイル保存に失敗した場合のエラー処理
if (!$pdf->Output('F', 'output.pdf')) {
echo "PDFの出力に失敗しました。";
}
また、Output()
を使用してブラウザにPDFを直接表示する場合、PDF出力より前に他の出力(HTMLタグや空白行など)があるとエラーが発生するため、余分な出力を避けるようにします。
5. その他のトラブルシューティング
PDF生成時に発生するその他の問題について、以下の点も確認するとよいでしょう:
- PHPバージョンの互換性:使用しているFPDFやTCPDFがPHPのバージョンに対応しているか確認します。
- ライブラリの更新:ライブラリの最新版を使用することで、既知の不具合やセキュリティリスクを回避できます。
- サーバー設定:特に共有サーバーを利用している場合、メモリリミットや実行時間制限が厳しい場合があります。
max_execution_time
やmemory_limit
の設定を調整することが必要です。
これらのエラーハンドリングとトラブルシューティングを行うことで、PDF生成がスムーズに進み、安定したアプリケーションが構築できます。次の項目では、実際のユースケースとして、スキャンした書類のPDF化について解説します。
実用例:スキャンした書類のPDF化
スキャンした書類やレポートを一つのPDFファイルにまとめることは、ビジネスや教育の場で非常に便利です。ここでは、スキャン画像をPDFに変換する具体的な手順を紹介します。FPDFを用いることで、各スキャン画像を別ページとして順にPDFに追加し、整理されたデジタルファイルとして保存できます。
スキャン画像の準備とファイル形式
多くの場合、スキャン画像はJPEGやPNG形式で保存されています。FPDFではJPEGとPNGに対応しているため、これらの形式で保存されたスキャン画像を直接PDFに変換できます。PDF化する際は、スキャン解像度とファイルサイズにも注意し、最適化を行うと使いやすいファイルが作成できます。
スキャン画像をPDFに変換するコード例
以下のコードでは、特定フォルダ内のスキャン画像を読み込み、各画像をPDFの別ページとして順に追加する手順を示します。
<?php
require('fpdf.php');
class PDFWithFooter extends FPDF {
function Footer() {
$this->SetY(-10);
$this->SetFont('Arial', 'I', 8);
$this->Cell(0, 10, 'ページ ' . $this->PageNo() . ' / {nb}', 0, 0, 'C');
}
}
// スキャン画像が保存されたフォルダ
$image_dir = 'scanned_images/';
$images = glob($image_dir . "*.jpg"); // JPEG画像のみを対象にする例
$pdf = new PDFWithFooter();
$pdf->AliasNbPages();
// 各画像をPDFの新しいページとして追加
foreach ($images as $image) {
$pdf->AddPage();
$pdf->Image($image, 10, 10, 180); // 画像の幅を180に設定しページ内に収める
}
// PDFを保存
$pdf->Output('F', 'scanned_documents.pdf'); // ファイルとして保存
?>
コードの解説
- スキャン画像のフォルダ指定:
$image_dir
にスキャン画像が保存されているフォルダを指定します。この例では、JPEG画像のみを対象にするためglob()
関数で「*.jpg」のみを読み込んでいます。 - ページ番号付きPDFの作成:
PDFWithFooter
クラスを用いてページ番号付きのPDFを作成しています。AliasNbPages()
で総ページ数が取得可能になり、ページ番号が各ページ下部に表示されます。 - 画像の配置:各スキャン画像をPDFのページ全体に配置するため、幅を180ミリに設定しています。必要に応じてサイズ調整が可能です。
- PDFファイルの保存:最終的に、すべてのページを含むPDFを
scanned_documents.pdf
として保存します。
実用的な工夫と拡張例
- 画像ファイル形式の自動変換:スキャン画像がJPEGやPNG以外の形式の場合、自動でJPEGに変換してからPDFに追加することで、幅広い画像形式に対応できます。
- 画質とファイルサイズの最適化:スキャン画像の解像度が高すぎる場合は、事前にリサイズや圧縮を行い、ファイルサイズを小さくすることで、PDFの最適化も可能です。
- 画像の自動回転:スキャン画像が回転している場合、自動で適切な向きに調整してPDFに追加する機能を追加すると、見やすいドキュメントが作成できます。
このようにして、スキャンした複数の書類を簡単に一つのPDFにまとめることで、デジタルアーカイブが容易になります。次の項目では、ここまでの内容をまとめ、記事全体の要点を振り返ります。
まとめ
本記事では、PHPを用いた画像のPDF変換方法について、基本から応用まで詳しく解説しました。FPDFやTCPDFといったライブラリを活用し、単一画像から複数画像まで効率的にPDF化する手法を学びました。また、ユーザー入力に基づく動的なPDF生成、画像の最適化、ページ番号の追加など実用的な機能も取り上げ、スキャン書類のPDF化といった実用例も紹介しました。これらの知識を活用することで、さまざまなPDF生成ニーズに対応できるアプリケーションが構築できるでしょう。
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