導入文章
ReactのuseEffectフックは、コンポーネントのライフサイクルに合わせて副作用処理を行うために非常に役立ちます。その中でも、マウント時に外部APIからデータを取得する処理は、Reactアプリケーションにおいて頻繁に必要とされる機能です。useEffectを使うことで、コンポーネントが画面に表示されたタイミングで非同期的にデータをフェッチし、取得したデータを画面に表示することができます。本記事では、useEffectを使用してマウント時にデータをフェッチする基本的な使い方と実践的なテクニックについて詳しく解説します。
useEffectとは?
ReactのuseEffect
フックは、コンポーネントがレンダリングされた後に副作用を実行するためのフックです。副作用とは、データの取得や、DOMの更新、サーバーへのリクエストなど、コンポーネントのレンダリングとは直接関係ない処理のことを指します。
useEffectの基本的な構文
useEffect
の基本的な構文は次の通りです:
useEffect(() => {
// 副作用処理をここに書く
}, [依存関係]);
- 第1引数は、副作用処理を実行するための関数です。この関数内に非同期処理やデータのフェッチを記述します。
- 第2引数は、依存配列です。この配列には、
useEffect
が再実行される条件となる状態やプロパティを指定します。依存配列が空の場合、useEffect
はコンポーネントのマウント時にのみ実行されます。
useEffectの主な利用シーン
useEffect
は次のようなシーンでよく利用されます:
- 外部APIからデータをフェッチする
- サーバーへのリクエストを行う
- コンポーネントの状態を変更する
- イベントリスナーを登録または解除する
useEffectは、Reactのコンポーネントにおける副作用の管理をシンプルにし、コードの見通しを良くするための強力なツールです。
マウント時のデータフェッチの基本
ReactのuseEffect
を使って、コンポーネントがマウントされた際に外部からデータを取得する方法は非常にシンプルです。ここでは、useEffect
を利用してAPIからデータをフェッチする基本的な流れを解説します。
基本的なデータフェッチの手順
まず、コンポーネントがマウントされたときにデータを取得するためには、useEffect
内で非同期関数を呼び出す必要があります。以下の例では、fetch
を使って外部APIからデータを取得し、その結果を状態に保存します。
import React, { useState, useEffect } from 'react';
const DataFetchingComponent = () => {
const [data, setData] = useState(null);
const [loading, setLoading] = useState(true);
useEffect(() => {
// APIからデータをフェッチ
fetch('https://api.example.com/data')
.then(response => response.json())
.then(data => {
setData(data); // 取得したデータを状態に保存
setLoading(false); // ローディング状態を解除
})
.catch(error => {
console.error("データの取得に失敗しました:", error);
setLoading(false); // エラーが発生した場合もローディングを解除
});
}, []); // 空の依存配列を渡すことで、マウント時にのみ実行される
// ローディング中の場合の表示
if (loading) {
return <div>Loading...</div>;
}
// データが取得できたら表示
return (
<div>
<h3>Fetched Data:</h3>
<pre>{JSON.stringify(data, null, 2)}</pre>
</div>
);
};
export default DataFetchingComponent;
コード解説
useEffect
内でAPIのリクエストを行っています。useEffect
の依存配列は空であり、これによりコンポーネントがマウントされたタイミングでのみ実行されます。fetch
関数を使用して、外部のAPIからデータを非同期で取得します。- データが取得できたら、
setData
を使って状態を更新し、ローディング状態を解除します。 loading
がtrue
の場合、ローディングインジケーターが表示され、false
の場合は取得したデータが表示されます。
この方法を使うことで、コンポーネントが画面に描画されると同時にデータがフェッチされ、ユーザーに表示される流れがスムーズに実現できます。
非同期処理とuseEffect
ReactのuseEffect
フック内で非同期処理を行う場合、注意が必要です。useEffect
自体は同期的に動作するため、非同期処理(例えばAPIからのデータフェッチ)をそのままuseEffect
内で行うと、Promiseの結果を直接返すことができません。そこで、非同期処理をuseEffect
内でうまく扱うための方法を紹介します。
非同期関数の使い方
useEffect
内で非同期処理を行うためには、非同期関数をuseEffect
内で定義する必要があります。useEffect
は関数を直接返すことを期待しているため、非同期関数をそのままuseEffect
の引数として使うことはできません。以下のように、useEffect
内で非同期関数を定義して呼び出す方法が一般的です。
import React, { useState, useEffect } from 'react';
const DataFetchingComponent = () => {
const [data, setData] = useState(null);
const [loading, setLoading] = useState(true);
useEffect(() => {
// 非同期関数を定義して呼び出し
const fetchData = async () => {
try {
const response = await fetch('https://api.example.com/data');
const result = await response.json();
setData(result);
} catch (error) {
console.error('データ取得エラー:', error);
} finally {
setLoading(false);
}
};
fetchData(); // 関数の呼び出し
}, []); // 空の依存配列でマウント時にのみ実行
if (loading) {
return <div>Loading...</div>;
}
return (
<div>
<h3>Fetched Data:</h3>
<pre>{JSON.stringify(data, null, 2)}</pre>
</div>
);
};
export default DataFetchingComponent;
コード解説
- 非同期関数
fetchData
をuseEffect
内で定義し、fetchData()
として呼び出しています。 fetchData
内でfetch
APIを使って外部からデータを非同期に取得し、その結果を状態に保存しています。await
を使ってPromiseの結果を待機し、取得したデータをsetData
で状態に反映させます。- 非同期処理が終了するまでローディング状態を管理し、エラーが発生した場合にもエラーメッセージをコンソールに出力しています。
この方法を使うことで、非同期処理をuseEffect
内で安全に実行でき、APIからデータを取得する流れをスムーズに扱うことができます。
useEffectの依存配列について
useEffect
の依存配列は、useEffect
がいつ実行されるかを制御する重要な要素です。依存配列に指定した値が変更されるたびに、useEffect
内の関数が再実行されます。この記事では、依存配列の仕組みとその使用方法について詳しく解説します。
依存配列の基本的な使い方
useEffect
の第2引数に依存配列を渡すことで、その配列に含まれる値が変更されたタイミングで副作用処理を実行できます。例えば、特定の状態やプロパティが変更されたときに再実行したい処理がある場合に使用します。
useEffect(() => {
// 副作用処理
}, [依存する状態やプロパティ]);
空の依存配列 `[]` の場合
依存配列が空の場合、useEffect
内の副作用処理はコンポーネントのマウント時に一度だけ実行されます。この場合、依存関係がないため、再レンダリング時には再実行されません。
useEffect(() => {
console.log("コンポーネントがマウントされました");
}, []); // 空の配列:マウント時にのみ実行される
状態の変更に基づく再実行
依存配列に特定の状態やプロパティを指定すると、その状態が変更された際にuseEffect
が再実行されます。例えば、count
という状態が変更されるたびに副作用処理を実行する場合、次のように記述します。
const [count, setCount] = useState(0);
useEffect(() => {
console.log("countが変更されました:", count);
}, [count]); // countが変更されるたびに実行される
この場合、setCount
でcount
を変更すると、useEffect
内の処理が再度実行されます。
複数の依存関係
依存配列には複数の値を指定することができ、指定した値のいずれかが変更されたときにuseEffect
が再実行されます。以下のように複数の状態に依存した副作用処理を実行することができます。
const [count, setCount] = useState(0);
const [name, setName] = useState('');
useEffect(() => {
console.log(`count: ${count}, name: ${name}`);
}, [count, name]); // countまたはnameが変更されると再実行される
この場合、count
またはname
のいずれかが変更されるたびにuseEffect
が再実行されます。
依存配列を正しく使う重要性
依存配列を適切に使用しないと、意図しない再実行や、逆に必要なタイミングで処理が実行されない可能性があります。例えば、状態を更新する際に依存配列を空にしてしまうと、意図したタイミングで副作用処理が実行されず、データの取得が遅延することもあります。そのため、依存関係を正しく指定することが非常に重要です。
まとめ
- 依存配列は
useEffect
が実行されるタイミングを制御します。 - 空の依存配列
[]
はコンポーネントのマウント時にのみ実行され、再実行されません。 - 特定の状態やプロパティが変更されるたびに副作用を再実行する場合は、その状態を依存配列に追加します。
- 依存関係を正しく指定しないと、意図しない動作やパフォーマンスの問題が発生することがあります。
APIリクエストのエラーハンドリング
APIからデータをフェッチする際には、ネットワークエラーやAPIのレスポンスの異常など、様々な理由でリクエストが失敗することがあります。そのため、エラーハンドリングは非常に重要です。useEffect
内で行う非同期処理において、適切なエラーハンドリングを実装する方法について解説します。
基本的なエラーハンドリングの方法
APIリクエストで発生する可能性があるエラーに対処するためには、try...catch
ブロックを使用して非同期処理の中でエラーをキャッチし、適切に処理することが一般的です。以下の例では、fetch
を使用してAPIからデータを取得し、エラーが発生した場合にはエラーメッセージをコンソールに表示しています。
import React, { useState, useEffect } from 'react';
const DataFetchingComponent = () => {
const [data, setData] = useState(null);
const [loading, setLoading] = useState(true);
const [error, setError] = useState(null);
useEffect(() => {
const fetchData = async () => {
try {
const response = await fetch('https://api.example.com/data');
if (!response.ok) {
throw new Error('データの取得に失敗しました');
}
const result = await response.json();
setData(result);
} catch (error) {
console.error("エラー:", error);
setError(error.message); // エラーメッセージを状態に保存
} finally {
setLoading(false); // ローディング状態を解除
}
};
fetchData();
}, []);
if (loading) {
return <div>Loading...</div>;
}
if (error) {
return <div>Error: {error}</div>; // エラーが発生した場合にエラーメッセージを表示
}
return (
<div>
<h3>Fetched Data:</h3>
<pre>{JSON.stringify(data, null, 2)}</pre>
</div>
);
};
export default DataFetchingComponent;
コード解説
fetchData
関数内で非同期処理を行い、try...catch
を使ってエラーを処理しています。fetch
で取得したレスポンスが成功でない場合(response.ok
がfalse
の場合)、明示的にエラーを投げることで、エラー処理が行われます。catch
ブロック内でエラーをキャッチし、エラーメッセージを状態error
に保存しています。このエラーメッセージは、UIでユーザーに通知するために利用されます。finally
ブロックでローディング状態を解除して、処理の完了を示しています。
エラーメッセージの表示方法
エラーが発生した場合、ユーザーに分かりやすくエラーメッセージを表示することは重要です。上記の例では、error
状態を利用してエラーメッセージを表示していますが、実際のアプリケーションでは、以下のようにユーザーに通知する方法を工夫できます:
- エラーメッセージをユーザーに目立つようにポップアップやトーストメッセージで表示する
- 詳細なエラー情報を表示する(例えば、ネットワークエラーやサーバーエラーなど)
エラーハンドリングのベストプラクティス
- エラーのログを残す:
catch
ブロック内でエラーログをコンソールに表示するだけでなく、エラーログをサーバーに送信して、後で調査できるようにすることも重要です。 - ユーザーに適切なフィードバックを与える: 単に「エラーが発生しました」と表示するのではなく、エラーの詳細(例えば「ネットワークに接続できませんでした」)を提供することで、ユーザーにとって分かりやすい情報を提供します。
- リトライ機能の実装: ネットワークエラーが原因でAPIリクエストが失敗することがあるため、リトライ機能を実装するとユーザー体験が向上します。
まとめ
APIリクエストの際に発生するエラーを適切に処理することは、ユーザーにとって快適な体験を提供するために重要です。try...catch
を使ってエラーハンドリングを実装し、エラーが発生した場合にはユーザーに分かりやすいエラーメッセージを表示するようにしましょう。
ローディング状態の管理
非同期処理を行う際、特にAPIからデータをフェッチする場合、ユーザーにデータが読み込まれていることを示すローディングインジケーターを表示することは、良いユーザー体験を提供するために非常に重要です。useEffect
でデータフェッチを行う際に、ローディング状態を適切に管理する方法について解説します。
ローディング状態の基本的な管理方法
ローディング状態を管理するためには、useState
フックを使用して、データのフェッチが開始された際にローディング状態をtrue
に設定し、データの取得が完了したらfalse
に変更します。これにより、データが読み込まれている間にローディングインジケーターを表示することができます。
以下のコード例では、useEffect
内でデータをフェッチし、ローディング状態を管理しています。
import React, { useState, useEffect } from 'react';
const DataFetchingComponent = () => {
const [data, setData] = useState(null);
const [loading, setLoading] = useState(true); // ローディング状態の初期化
const [error, setError] = useState(null);
useEffect(() => {
const fetchData = async () => {
try {
const response = await fetch('https://api.example.com/data');
if (!response.ok) {
throw new Error('データの取得に失敗しました');
}
const result = await response.json();
setData(result);
} catch (error) {
console.error("エラー:", error);
setError(error.message); // エラーメッセージを設定
} finally {
setLoading(false); // データの取得が完了したらローディングを解除
}
};
fetchData();
}, []);
if (loading) {
return <div>Loading...</div>; // ローディング中のメッセージ
}
if (error) {
return <div>Error: {error}</div>; // エラーメッセージ
}
return (
<div>
<h3>Fetched Data:</h3>
<pre>{JSON.stringify(data, null, 2)}</pre>
</div>
);
};
export default DataFetchingComponent;
コード解説
loading
状態は初期値true
に設定され、useEffect
内の非同期処理が開始されるときにローディング状態がtrue
になります。fetch
が完了し、データが正常に取得できた場合、setData
を使って取得したデータを状態に保存し、setLoading(false)
でローディング状態を解除します。- もしエラーが発生した場合、
setError
を使ってエラーメッセージを設定し、loading
がfalse
になった後にエラーメッセージを表示します。 - ローディング中は「Loading…」というテキストを表示し、データが読み込まれた後に実際のデータが表示されます。
ローディングインジケーターのカスタマイズ
ローディング状態の表示方法は、単純なテキストに限らず、ユーザーにとって視覚的に分かりやすい方法に変更できます。例えば、スピナーやプログレスバーを表示することが一般的です。以下は、ローディングインジケーターをスピナーに変更した例です。
import React, { useState, useEffect } from 'react';
const DataFetchingComponent = () => {
const [data, setData] = useState(null);
const [loading, setLoading] = useState(true);
const [error, setError] = useState(null);
useEffect(() => {
const fetchData = async () => {
try {
const response = await fetch('https://api.example.com/data');
if (!response.ok) {
throw new Error('データの取得に失敗しました');
}
const result = await response.json();
setData(result);
} catch (error) {
console.error("エラー:", error);
setError(error.message);
} finally {
setLoading(false);
}
};
fetchData();
}, []);
if (loading) {
return <div className="spinner">Loading...</div>; // スピナーを表示
}
if (error) {
return <div>Error: {error}</div>;
}
return (
<div>
<h3>Fetched Data:</h3>
<pre>{JSON.stringify(data, null, 2)}</pre>
</div>
);
};
export default DataFetchingComponent;
この例では、<div className="spinner">
により、カスタムスタイルでスピナーを表示することができます。CSSでスピナーをデザインすることができます。
.spinner {
border: 4px solid rgba(255, 255, 255, 0.3);
border-top: 4px solid #3498db;
border-radius: 50%;
width: 40px;
height: 40px;
animation: spin 1s linear infinite;
}
@keyframes spin {
0% { transform: rotate(0deg); }
100% { transform: rotate(360deg); }
}
ローディング状態の重要性
ローディング状態を管理することは、ユーザーにアプリケーションの状態を伝える重要な手段です。ローディングインジケーターを適切に表示することで、ユーザーはデータの取得が進行中であることを認識でき、ページが遅れている場合にも安心感を与えることができます。
まとめ
ローディング状態の管理は、非同期データのフェッチを行う際に必須の機能です。useState
を使ってローディング状態を管理し、useEffect
で非同期処理を行うことで、ユーザーに適切なフィードバックを提供できます。ローディングインジケーターのデザインや表示方法を工夫することで、さらに良いユーザー体験を提供することが可能です。
実践例:ユーザー情報をAPIから取得
実際のアプリケーションでは、外部APIからユーザー情報を取得して画面に表示するシナリオがよくあります。ここでは、useEffect
を使ってAPIからユーザー情報をフェッチし、そのデータを画面に表示する実践的な例を紹介します。
実践例の概要
この例では、https://jsonplaceholder.typicode.com/users
という公開APIを使用して、ユーザー情報を取得します。useEffect
内でAPIからデータをフェッチし、その結果をコンポーネント内で表示します。ローディング状態やエラー処理も含まれており、実際のアプリケーションで役立つ構成になっています。
import React, { useState, useEffect } from 'react';
const UserData = () => {
const [users, setUsers] = useState([]);
const [loading, setLoading] = useState(true);
const [error, setError] = useState(null);
useEffect(() => {
const fetchUserData = async () => {
try {
const response = await fetch('https://jsonplaceholder.typicode.com/users');
if (!response.ok) {
throw new Error('ユーザー情報の取得に失敗しました');
}
const result = await response.json();
setUsers(result); // ユーザー情報を状態に保存
} catch (error) {
console.error("エラー:", error);
setError(error.message); // エラーメッセージを設定
} finally {
setLoading(false); // ローディング状態を解除
}
};
fetchUserData();
}, []); // マウント時にのみ実行
if (loading) {
return <div>Loading...</div>; // ローディング中の表示
}
if (error) {
return <div>Error: {error}</div>; // エラーが発生した場合
}
return (
<div>
<h3>ユーザー情報</h3>
<ul>
{users.map(user => (
<li key={user.id}>
<h4>{user.name}</h4>
<p>Email: {user.email}</p>
<p>Phone: {user.phone}</p>
</li>
))}
</ul>
</div>
);
};
export default UserData;
コード解説
useState
フックを使って、ユーザー情報(users
)、ローディング状態(loading
)、エラーメッセージ(error
)を管理します。useEffect
内でfetch
を使ってhttps://jsonplaceholder.typicode.com/users
からデータを非同期で取得し、取得したデータをsetUsers
で状態に保存します。fetch
が成功すると、users
状態が更新され、データがリストとして表示されます。- ローディング状態が
true
の場合には「Loading…」というメッセージが表示され、データ取得中であることをユーザーに伝えます。 - エラーが発生した場合、エラーメッセージを表示します。
UIの表示
このコードを実行すると、データが読み込まれるまで「Loading…」が表示され、ユーザー情報が正常に取得できた場合には、以下のような形式でユーザーの名前、メールアドレス、電話番号がリストとして表示されます。
ユーザー情報
- John Doe
Email: john@example.com
Phone: 555-555-5555
- Jane Smith
Email: jane@example.com
Phone: 555-555-5556
まとめ
この実践例では、useEffect
を使ってAPIからデータを取得し、取得したデータを画面に表示する方法を紹介しました。ローディング状態やエラーハンドリングも考慮することで、ユーザーにとって快適な体験を提供することができます。このような実践的なアプローチは、Reactアプリケーションのデータフェッチング処理においてよく利用される方法です。
パフォーマンスの最適化
ReactでAPIからデータをフェッチする際、パフォーマンスの最適化は非常に重要です。特に、頻繁にデータを取得する場合や、大量のデータを扱う場合には、効率的なデータ取得方法と状態管理を行うことで、アプリケーションのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。ここでは、Reactでデータフェッチを行う際に考慮すべきパフォーマンス最適化の方法をいくつか紹介します。
1. 不要な再レンダリングを防ぐ
Reactでは、状態が変更されるたびにコンポーネントが再レンダリングされます。useEffect
内でデータをフェッチする際、依存配列を適切に設定し、必要な場合にのみ再レンダリングを実行することが重要です。
例えば、useEffect
の依存配列を空にすることで、コンポーネントが最初にマウントされたときだけデータをフェッチすることができます。これにより、無駄な再レンダリングを防ぎ、パフォーマンスを向上させます。
useEffect(() => {
// 初回マウント時のみデータをフェッチ
const fetchData = async () => {
const response = await fetch('https://api.example.com/data');
const data = await response.json();
setData(data);
};
fetchData();
}, []); // 依存配列を空にすることで再レンダリング時に実行されない
2. データのキャッシング
APIリクエストが頻繁に行われる場合、データをキャッシュして再利用することがパフォーマンスの向上に繋がります。キャッシュを使うことで、同じデータを再度フェッチする必要がなくなり、リクエスト回数を減らすことができます。
簡単なキャッシュの例として、ローカルストレージを使用してデータを保存し、次回のアクセス時にキャッシュされたデータを利用する方法があります。
useEffect(() => {
const cachedData = localStorage.getItem('userData');
if (cachedData) {
setData(JSON.parse(cachedData)); // キャッシュされたデータを使用
} else {
const fetchData = async () => {
const response = await fetch('https://api.example.com/data');
const data = await response.json();
setData(data);
localStorage.setItem('userData', JSON.stringify(data)); // データをキャッシュ
};
fetchData();
}
}, []);
3. APIリクエストのデバウンス
ユーザーがインタラクションを行う際に、すぐにAPIリクエストを送信することが多い場合、デバウンスを使ってリクエストを遅延させることで不要なリクエストを減らすことができます。これにより、頻繁にAPIを叩くことによるパフォーマンスの低下を防げます。
デバウンスは、ユーザーが入力を終えるまでAPIリクエストを遅らせる手法です。以下は、lodash
のdebounce
関数を使った例です。
import { useState } from 'react';
import { debounce } from 'lodash';
const SearchComponent = () => {
const [query, setQuery] = useState('');
const handleSearch = debounce(async (query) => {
const response = await fetch(`https://api.example.com/search?q=${query}`);
const data = await response.json();
console.log(data);
}, 500); // 500msの遅延を設定
const handleChange = (e) => {
setQuery(e.target.value);
handleSearch(e.target.value); // 入力が変わるたびにAPIリクエストを遅延させて実行
};
return (
<input
type="text"
value={query}
onChange={handleChange}
placeholder="Search..."
/>
);
};
この方法では、ユーザーが入力を終了した後、指定した時間(ここでは500ms)だけ待ってからAPIリクエストを送信するため、無駄なリクエストが減り、パフォーマンスが向上します。
4. データの分割とページネーション
大量のデータを一度に取得し表示する場合、全てのデータを一度にフェッチすることはパフォーマンスに悪影響を及ぼします。そのため、データをページネーションして少しずつ読み込む方法が推奨されます。これにより、1回のリクエストで取得するデータ量を減らし、表示速度を向上させることができます。
例えば、ページネーションを使って、最初に10件のデータだけを取得し、ユーザーがページを進めるたびに次のデータを取得する方法です。
const [page, setPage] = useState(1);
const [data, setData] = useState([]);
useEffect(() => {
const fetchData = async () => {
const response = await fetch(`https://api.example.com/data?page=${page}`);
const result = await response.json();
setData(result);
};
fetchData();
}, [page]); // ページが変わるたびにデータをフェッチ
return (
<div>
<ul>
{data.map(item => (
<li key={item.id}>{item.name}</li>
))}
</ul>
<button onClick={() => setPage(page + 1)}>Next Page</button>
</div>
);
5. バッチ処理によるリクエストの最適化
複数のAPIリクエストを並行して送信する際には、リクエストをバッチ処理して一度にまとめて送信することで、リクエスト回数を減らし、パフォーマンスを向上させることができます。例えば、複数のリソースを一度に取得する場合、APIが対応していれば、リクエストをまとめて送信することができます。
const fetchData = async () => {
const response = await fetch('https://api.example.com/data/batch', {
method: 'POST',
body: JSON.stringify({
requests: [
{ resource: 'user', id: 1 },
{ resource: 'posts', id: 2 },
]
})
});
const result = await response.json();
console.log(result);
};
まとめ
Reactでのデータフェッチにおいて、パフォーマンスの最適化は非常に重要です。不要な再レンダリングを防ぐための依存配列の適切な設定、データキャッシング、デバウンス、ページネーション、そしてバッチ処理の実装など、様々な方法を駆使することで、アプリケーションのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。これらのテクニックを活用して、スムーズで効率的なデータフェッチングを実現しましょう。
まとめ
本記事では、ReactのuseEffect
を利用して、コンポーネントのマウント時にデータをフェッチする基本的な使い方から、実践的な例を通して具体的なテクニックを紹介しました。useEffect
は副作用を管理するために非常に強力なツールであり、データのフェッチやローディング状態の管理、エラーハンドリングを適切に行うことで、Reactアプリケーションの品質を向上させることができます。
- 非同期処理とエラーハンドリングを適切に実装することで、データフェッチの際に発生する問題に対処し、ユーザーに快適な体験を提供できます。
- ローディング状態の管理は、ユーザーに処理中であることを分かりやすく伝えるために重要で、UIの改善に繋がります。
- データのキャッシングやページネーション、デバウンスを活用することで、パフォーマンスを最適化し、リクエスト回数や処理負荷を削減することができます。
Reactでのデータフェッチングはシンプルでありながら、効率的に行うためにはいくつかの工夫が必要です。これらのテクニックを実践することで、より良いユーザー体験を提供できるようになります。
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