React 18のConcurrent Modeで実現するレンダリング最適化の方法とベストプラクティス

React 18のリリースに伴い、フロントエンド開発におけるレンダリングの最適化が大きく進化しました。その中でも特に注目を集めているのが「Concurrent Mode」です。従来の同期的なレンダリング手法では、重いタスクの実行中にユーザー体験が損なわれることがありましたが、Concurrent Modeはこれを解決する新しいアプローチを提供します。本記事では、React 18のConcurrent Modeがもたらすメリットと、それを用いたレンダリング最適化の方法について詳しく解説していきます。

目次

Concurrent Modeとは何か

Concurrent Modeは、React 18で導入された新しいレンダリング手法で、従来の「同期的」なレンダリングを進化させたものです。これにより、Reactはレンダリング中でも他の優先度の高いタスクを中断して処理し、よりスムーズなユーザー体験を提供できるようになります。

同期レンダリングとの違い

従来のReactは「同期的」にタスクを実行していました。一度レンダリングが開始されると、その処理がすべて完了するまでユーザーからの操作や他のタスクの処理が遅れることがありました。一方、Concurrent Modeでは「非同期的」にタスクを分割し、必要に応じて中断や再開を行えるため、UIの応答性が格段に向上します。

React 18のレンダリングモデル

Concurrent Modeは、ブラウザのタスクスケジューリング機能を利用して、次のような操作を実現します。

  • タスクの優先度を評価し、重要な操作を優先的に処理。
  • 時間がかかるタスクを分割し、隙間時間を利用して少しずつ実行。
  • 必要に応じてレンダリングを中断し、再開可能。

このモデルにより、UIがスムーズに動作し続けることを保証します。

Concurrent Modeが解決する課題

React 18のConcurrent Modeは、従来の同期レンダリングで発生していた問題を解決するために設計されています。以下に、主な課題とConcurrent Modeによる解決方法を紹介します。

課題1: 長時間のレンダリングによるUIフリーズ

従来の同期レンダリングでは、複雑なUIや大量のデータを扱う際に、レンダリングプロセスが長時間実行されることがありました。その結果、ユーザーの操作が遅延し、UIがフリーズするように見える問題が生じていました。

解決策: タスクの分割と中断

Concurrent Modeでは、長時間のレンダリングタスクを分割し、優先度の高い操作が割り込む余地を作ります。これにより、UIの応答性が向上し、ユーザーはストレスなくアプリケーションを操作できるようになります。

課題2: 優先度の高いタスクの遅延

同期レンダリングでは、すべてのタスクが順番に処理されるため、重要な操作(たとえばボタンのクリックや入力フィードバック)が後回しになることがありました。

解決策: 優先度ベースのスケジューリング

Concurrent Modeは、React内部でタスクの優先度を評価し、高優先度のタスク(例えば、ユーザーの操作やアニメーション)を最優先で処理します。これにより、操作に対する応答が遅れることがなくなります。

課題3: 非同期データ処理の複雑さ

非同期データの読み込みや処理は、レンダリングと並行して行う必要がありますが、同期レンダリングではこれが難しい場合がありました。

解決策: Suspenseとの連携

Concurrent ModeはSuspenseと組み合わせることで、非同期データを効率的に処理し、ロード中の状態をよりスムーズにハンドリングできます。

これらの課題解決によって、Concurrent ModeはReactアプリケーションのパフォーマンスを大幅に向上させ、開発者とユーザーの双方にメリットをもたらします。

優先度の高いタスクの効率的処理

Concurrent Modeの最大の利点の一つは、Reactがタスクの優先度を評価し、高優先度のタスクを効率的に処理できる点です。これにより、ユーザー体験が大幅に向上します。

優先度ベースのスケジューリング

Concurrent Modeでは、Reactはタスクごとに以下のような優先度を割り当てます。

  • 高優先度タスク:ユーザーのクリック、入力など、即時の応答が必要な操作。
  • 中優先度タスク:非同期データの読み込み後のレンダリングなど。
  • 低優先度タスク:画面外のコンテンツのプリレンダリングなど。

タスクの優先度に基づき、Reactは時間が限られた場合でも最も重要なタスクを処理するようにします。

startTransitionの活用

React 18で追加されたstartTransition APIを使うと、開発者は特定のタスクを低優先度としてマークできます。例えば、リアルタイム検索の結果をレンダリングする際、検索ボックスへの入力操作を高優先度タスクとして処理し、結果の更新を低優先度タスクとして遅らせることが可能です。

import { startTransition, useState } from 'react';

function SearchComponent({ searchItems }) {
  const [query, setQuery] = useState('');
  const [results, setResults] = useState([]);

  const handleSearch = (e) => {
    const value = e.target.value;
    setQuery(value);
    startTransition(() => {
      const filtered = searchItems.filter(item => item.includes(value));
      setResults(filtered);
    });
  };

  return (
    <div>
      <input type="text" value={query} onChange={handleSearch} placeholder="Search..." />
      <ul>
        {results.map((item, index) => <li key={index}>{item}</li>)}
      </ul>
    </div>
  );
}

実行の中断と再開

Concurrent Modeでは、長時間かかるタスクを中断し、優先度の高いタスクを処理した後に再開することが可能です。この仕組みにより、ユーザーから見た操作性が向上します。

ユーザー体験の向上

これらの仕組みを活用することで、以下のような改善が期待できます。

  • ユーザー入力に即座に反応。
  • 重い処理中でもアプリがフリーズしない。
  • ユーザーにとって一貫性のあるスムーズな操作感を提供。

React 18のConcurrent Modeを利用することで、ユーザー体験を優先した柔軟なタスク管理が可能になります。

Suspenseとの組み合わせ

React 18のConcurrent Modeは、Suspenseと組み合わせることで、非同期データのレンダリングを効率化し、スムーズなユーザー体験を提供します。この組み合わせは、非同期タスクのハンドリングを大幅に簡素化します。

Suspenseとは何か

Suspenseは、非同期データの読み込みや待機状態を管理するReactの機能です。特に以下のような場面で活用されます。

  • データフェッチの完了を待機。
  • 遅延中にローディングインジケータを表示。
  • コンポーネントの遅延読み込み(コード分割)。

Suspenseの基本的な使い方

Suspenseは、React.Suspenseコンポーネントで囲むことで利用できます。以下は、データの非同期読み込みにSuspenseを使った例です。

import React, { Suspense } from 'react';

const UserProfile = React.lazy(() => import('./UserProfile'));

function App() {
  return (
    <Suspense fallback={<div>Loading...</div>}>
      <UserProfile />
    </Suspense>
  );
}

SuspenseとConcurrent Modeの連携

Concurrent Modeは、Suspenseと組み合わせることで、以下のような効果を発揮します。

  1. 中断可能なレンダリング
    非同期データが完全に読み込まれるまで他のタスクを処理し、データの準備が整ったらレンダリングを再開します。
  2. スムーズなUI更新
    データがロード中の場合でもローディング画面やプレースホルダーを表示し、ユーザーに違和感を与えません。

実装例: 非同期データのロード

以下の例は、非同期API呼び出しをSuspenseとConcurrent Modeで効率的に管理する方法を示します。

function fetchData() {
  let status = "pending";
  let result;
  let suspender = fetch('/api/data')
    .then(res => res.json())
    .then(data => {
      status = "success";
      result = data;
    })
    .catch(err => {
      status = "error";
      result = err;
    });

  return {
    read() {
      if (status === "pending") {
        throw suspender;
      } else if (status === "error") {
        throw result;
      } else {
        return result;
      }
    }
  };
}

const resource = fetchData();

function DataDisplay() {
  const data = resource.read();
  return <div>{data.message}</div>;
}

function App() {
  return (
    <Suspense fallback={<div>Loading data...</div>}>
      <DataDisplay />
    </Suspense>
  );
}

Suspenseの利点

  • シンプルな非同期処理:データ取得ロジックとUIロジックを分離。
  • 再利用性:Suspenseを使ったロジックは複数の場所で再利用可能。
  • ユーザー体験の向上:非同期操作がシームレスに見える。

適用の注意点

Suspenseは強力な機能ですが、以下のような注意が必要です。

  • サーバーサイドレンダリング(SSR)で利用する場合はReact 18の新機能であるSuspense for data fetchingを活用する。
  • 全ての非同期処理に適用できるわけではないため、適切な設計が必要。

SuspenseとConcurrent Modeを活用することで、非同期データ処理をスムーズにし、より高度で快適なユーザー体験を実現できます。

React 18の新しいAPIの紹介

React 18では、Concurrent Modeを最大限に活用するための新しいAPIが導入されました。これらのAPIは、優先度の管理や非同期操作の最適化に役立ちます。

startTransition

startTransitionは、低優先度のタスクを実行するために使用されるAPIです。このAPIを使用すると、重要なユーザー操作(クリックや入力など)の処理を妨げることなく、他のタスクを並行して実行できます。

import { startTransition, useState } from 'react';

function App() {
  const [list, setList] = useState([]);
  const [input, setInput] = useState('');

  const handleChange = (e) => {
    const value = e.target.value;
    setInput(value);
    startTransition(() => {
      const filtered = Array.from({ length: 20000 }, (_, i) => `${i}-${value}`);
      setList(filtered);
    });
  };

  return (
    <div>
      <input value={input} onChange={handleChange} placeholder="Filter items" />
      <ul>
        {list.map((item, index) => <li key={index}>{item}</li>)}
      </ul>
    </div>
  );
}

用途とメリット

  • ユーザー操作を優先しつつ、重い計算や非同期タスクを実行。
  • フリーズや遅延を防ぎ、スムーズな操作感を提供。

useTransition

useTransitionは、コンポーネントの状態更新に優先度を設定するためのフックです。このフックを使うと、低優先度タスクの更新を遅らせることで、UIの応答性を向上させます。

import { useState, useTransition } from 'react';

function App() {
  const [isPending, startTransition] = useTransition();
  const [items, setItems] = useState([]);

  const handleUpdate = () => {
    startTransition(() => {
      const newItems = Array.from({ length: 5000 }, (_, i) => `Item ${i}`);
      setItems(newItems);
    });
  };

  return (
    <div>
      <button onClick={handleUpdate}>Update List</button>
      {isPending && <p>Updating...</p>}
      <ul>
        {items.map((item, index) => <li key={index}>{item}</li>)}
      </ul>
    </div>
  );
}

用途とメリット

  • 状態更新中のUIフィードバックを提供。
  • 重い処理でもスムーズなレンダリングを実現。

Suspense for Data Fetching

Suspenseの新しい機能では、非同期データの読み込みに特化した操作が可能になります。バックエンドとの連携を効率化し、ロード中の状態管理が簡単になります。

function fetchData() {
  const promise = fetch('/api/data').then(res => res.json());
  let status = "pending";
  let result;
  promise.then(
    data => {
      status = "success";
      result = data;
    },
    error => {
      status = "error";
      result = error;
    }
  );
  return {
    read() {
      if (status === "pending") throw promise;
      if (status === "error") throw result;
      return result;
    },
  };
}

const resource = fetchData();

function DataComponent() {
  const data = resource.read();
  return <div>Data: {data.value}</div>;
}

function App() {
  return (
    <Suspense fallback={<div>Loading...</div>}>
      <DataComponent />
    </Suspense>
  );
}

用途とメリット

  • 非同期データの読み込みを簡潔に管理。
  • ロード状態をユーザーに適切に通知。

新しいAPIの総括

React 18の新しいAPIであるstartTransitionuseTransitionSuspense for Data Fetchingは、開発者がConcurrent Modeを活用して、スムーズで効率的なアプリケーションを構築する手助けをします。それぞれの用途を理解し、適切に活用することで、ユーザー体験の質を大きく向上させることが可能です。

実装例:リアルタイム検索機能の最適化

Concurrent Modeを活用すると、リアルタイム検索のようなユーザー入力に即時応答する機能を効率的に実装できます。このセクションでは、リアルタイム検索を最適化する具体例を紹介します。

リアルタイム検索の課題

リアルタイム検索では、ユーザーが入力するたびに大量のデータをフィルタリングして更新する必要があります。従来の方法では、入力中にアプリが遅延し、ユーザー体験が損なわれることがありました。

Concurrent ModeとstartTransitionの活用

startTransitionを使用すると、検索結果の更新を低優先度タスクとして処理し、入力のスムーズさを維持できます。

コード例:リアルタイム検索

import React, { useState, startTransition } from 'react';

const App = () => {
  const [query, setQuery] = useState('');
  const [filteredItems, setFilteredItems] = useState([]);
  const items = Array.from({ length: 10000 }, (_, i) => `Item ${i}`);

  const handleChange = (e) => {
    const value = e.target.value;
    setQuery(value);

    // 更新処理を低優先度タスクとして実行
    startTransition(() => {
      const filtered = items.filter(item => item.includes(value));
      setFilteredItems(filtered);
    });
  };

  return (
    <div>
      <input
        type="text"
        value={query}
        onChange={handleChange}
        placeholder="Search items..."
      />
      <ul>
        {filteredItems.slice(0, 50).map((item, index) => (
          <li key={index}>{item}</li>
        ))}
      </ul>
    </div>
  );
};

export default App;

実装ポイント

  1. 大量データの効率的な処理
    startTransitionを使用することで、大量のデータフィルタリングを低優先度タスクとして処理できます。
  2. スムーズな入力応答
    入力操作は高優先度で即座に反映され、UIの遅延が発生しません。
  3. 部分的な結果のレンダリング
    検索結果全体を表示するのではなく、上位50件のように限定的に表示することでパフォーマンスを向上させます。

最適化の効果

  • 高いパフォーマンス:フィルタリングの重い処理がUI操作を妨げずに実行されます。
  • 良好なユーザー体験:入力中もスムーズな応答が可能になります。
  • スケーラブルな設計:データ量が増加しても処理が遅くなりにくい。

拡張例

  • デバウンスの導入
    必要に応じて、デバウンス処理を加えることで無駄なフィルタリング処理を減らします。
  • サーバーサイド検索の活用
    データ量が膨大な場合は、バックエンドで検索を実行し、検索結果をReactに返す構成も検討します。

まとめ

このように、Concurrent ModeとstartTransitionを活用することで、リアルタイム検索のような機能を効率的かつスムーズに実装できます。ユーザー入力のスムーズさを損なわずに複雑な処理を実行できるため、ユーザー体験が向上します。

ベストプラクティスと注意点

React 18のConcurrent Modeは、アプリケーションのパフォーマンスとユーザー体験を向上させる強力なツールですが、適切に利用しなければ逆効果になることもあります。このセクションでは、Concurrent Modeのベストプラクティスと注意点について解説します。

ベストプラクティス

1. タスクの優先度を明確にする

Concurrent Modeでは、タスクの優先度を考慮して設計することが重要です。高優先度タスク(ユーザー操作)と低優先度タスク(データ更新や背景処理)を明確に分けましょう。

  • 高優先度タスク: setStateを使用して即時更新。
  • 低優先度タスク: startTransitionでスケジュール。

2. Suspenseを適切に活用

Suspenseは非同期データの管理を簡素化します。特に以下のケースで効果的です。

  • 非同期データ取得中のローディング表示。
  • 遅延ローディング(コード分割)による初期表示の高速化。
    Suspenseを活用する際は、適切なfallbackコンポーネントを用意しましょう。

3. フックの組み合わせ

useTransitionuseDeferredValueを活用して、UIのスムーズさを保ちつつ、バックグラウンド処理を効率化します。

  • useTransition: 状態更新の優先度を調整。
  • useDeferredValue: 非同期更新のスムーズな遅延処理。

4. パフォーマンスモニタリング

Concurrent Modeを利用する際は、React DevTools Profilerでパフォーマンスを計測し、最適化が正しく機能しているか確認しましょう。

注意点

1. レンダリング頻度の増加

Concurrent Modeはタスクを中断・再開しながら実行するため、場合によってはレンダリングの回数が増加する可能性があります。これにより、パフォーマンスに影響を与える場合があります。

  • 対策: 必要な場合にのみ利用する設計を心がける。

2. サードパーティライブラリとの互換性

すべてのサードパーティライブラリがConcurrent Modeに対応しているわけではありません。特に、古いライブラリを使用している場合、動作が保証されないことがあります。

  • 対策: 使用しているライブラリがConcurrent Mode対応済みか確認する。

3. サーバーサイドレンダリング(SSR)の複雑化

Suspenseを利用したデータフェッチングを含む場合、SSRの設定が複雑になることがあります。

  • 対策: React 18Suspense for Data Fetchingを活用し、適切にSSRを設定。

よくある問題と回避策

  • UIのちらつき: startTransitionSuspensefallbackが適切でない場合、UIが頻繁に切り替わる可能性があります。
  • 解決策: useDeferredValueを使用し、UIをスムーズに切り替える。
  • タスクの中断が多すぎる: 長時間の処理が頻繁に中断される場合、全体のパフォーマンスが低下することがあります。
  • 解決策: 適切なバッチ処理を設計する。

まとめ

Concurrent Modeを効果的に利用するには、タスクの優先度を管理し、適切なAPIを組み合わせることが鍵です。また、適用範囲やライブラリの互換性にも注意を払いましょう。これらのベストプラクティスと注意点を踏まえれば、React 18のConcurrent Modeを最大限に活用することができます。

他の技術との組み合わせ

React 18のConcurrent Modeは、単体での利用だけでなく、他の技術スタックと組み合わせることでさらに強力なアプリケーションを構築できます。ここでは、GraphQLやReduxといった技術とConcurrent Modeを連携する方法を考察します。

GraphQLとの組み合わせ

GraphQLの特徴とメリット

GraphQLは、クライアントが必要なデータだけを取得できる柔軟なデータ取得方法を提供します。非同期データの管理に優れており、React 18のSuspenseやConcurrent Modeと相性が良いです。

GraphQL + Suspenseの活用例

GraphQLクエリを非同期で実行し、その結果をSuspenseで待機する構成が可能です。以下はRelayを使った例です。

import React, { Suspense } from 'react';
import { RelayEnvironmentProvider, useLazyLoadQuery } from 'react-relay';
import { graphql } from 'relay-runtime';

const query = graphql`
  query AppQuery {
    user {
      name
      email
    }
  }
`;

function UserInfo() {
  const data = useLazyLoadQuery(query, {});
  return (
    <div>
      <p>Name: {data.user.name}</p>
      <p>Email: {data.user.email}</p>
    </div>
  );
}

function App() {
  return (
    <RelayEnvironmentProvider environment={relayEnvironment}>
      <Suspense fallback={<div>Loading...</div>}>
        <UserInfo />
      </Suspense>
    </RelayEnvironmentProvider>
  );
}

利点

  • GraphQLの柔軟性を活かしながら、非同期データの管理を簡略化。
  • Suspenseによるスムーズなデータロード。

Reduxとの組み合わせ

Reduxの特徴とConcurrent Modeの活用

Reduxはグローバルな状態管理を提供しますが、データ更新時のパフォーマンス問題が発生することがあります。Concurrent Modeを利用することで、更新処理を低優先度タスクとして実行し、UIの応答性を向上できます。

useTransitionで状態更新を最適化

Reduxアクションを低優先度タスクとして実行する例を示します。

import React from 'react';
import { useDispatch, useSelector } from 'react-redux';
import { useTransition } from 'react';

function App() {
  const [isPending, startTransition] = useTransition();
  const dispatch = useDispatch();
  const data = useSelector((state) => state.data);

  const handleUpdate = () => {
    startTransition(() => {
      dispatch({ type: 'UPDATE_DATA', payload: newData });
    });
  };

  return (
    <div>
      <button onClick={handleUpdate}>Update</button>
      {isPending && <p>Updating...</p>}
      <ul>
        {data.map((item, index) => (
          <li key={index}>{item}</li>
        ))}
      </ul>
    </div>
  );
}

利点

  • Reduxの状態更新によるUIの遅延を軽減。
  • 複雑な状態管理を維持しながら、応答性を向上。

サーバーサイドレンダリング(SSR)との組み合わせ

SSRでのSuspenseの活用

React 18では、Suspenseを使ったデータフェッチングがSSRでも利用可能になりました。これにより、初期ロードのパフォーマンスが向上します。

import React from 'react';
import { renderToPipeableStream } from 'react-dom/server';
import App from './App';

const server = (req, res) => {
  const { pipe } = renderToPipeableStream(<App />, {
    onShellReady() {
      res.setHeader('Content-Type', 'text/html');
      pipe(res);
    },
  });
};

利点

  • サーバーでのデータロードとレンダリングを同時進行。
  • 初期表示が早くなり、UXが向上。

まとめ

React 18のConcurrent Modeは、GraphQL、Redux、SSRなど他の技術と組み合わせることで、さらなるパフォーマンス向上と効率的な開発を実現します。適切なツールと技術を選択することで、より柔軟でスケーラブルなアプリケーションを構築できます。

まとめ

本記事では、React 18のConcurrent Modeを活用したレンダリング最適化について解説しました。従来の課題であったUIのフリーズや非効率なタスク処理を解消し、優先度ベースのタスク管理を可能にするConcurrent Modeの仕組みは、Reactアプリケーションのパフォーマンスとユーザー体験を飛躍的に向上させます。

SuspenseやstartTransitionuseTransitionといった新しいAPIを適切に活用することで、非同期データの処理や大量データの管理が効率化されます。また、GraphQLやRedux、SSRとの連携を通じて、他の技術スタックと組み合わせた柔軟なアプリケーション構築も可能です。

React 18のConcurrent Modeは、単なる機能追加ではなく、次世代のレンダリングパラダイムを提供します。これを効果的に利用し、スムーズでレスポンシブなアプリケーションを開発していきましょう。

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