Apacheでリバースプロキシを使用したCORS設定方法を徹底解説

リバースプロキシとしてApacheを使用する場合、CORS(Cross-Origin Resource Sharing)の設定は、外部からのリクエストを安全かつ柔軟に処理するために不可欠です。特に、異なるオリジンからのリクエストが必要なWebアプリケーションでは、適切なCORS設定を行わないと、ブラウザがリクエストをブロックし、サービスが正しく動作しません。

本記事では、Apacheをリバースプロキシとして使用しながら、CORSを適用する具体的な方法について解説します。CORSの基本概念から始め、Apacheの設定方法、リバースプロキシを経由したCORSヘッダーの追加方法、そして設定が正しく反映されない場合のトラブルシューティングまでを網羅します。

この記事を読むことで、Apacheを使ってセキュアかつ柔軟にCORSを設定する方法を習得でき、Webサービスの信頼性を向上させることができます。

目次

CORSとは?基本概念と重要性


CORS(Cross-Origin Resource Sharing)とは、異なるオリジン間でのリソース共有を可能にする仕組みです。通常、ブラウザはセキュリティ上の理由から「同一オリジンポリシー(Same-Origin Policy)」を適用し、異なるオリジンからのリクエストを制限します。しかし、これではAPIや外部サービスを利用するWebアプリケーションの開発に支障をきたします。

CORSが必要な理由


現代のWebアプリケーションでは、フロントエンドとバックエンドが異なるサーバーでホストされるケースが増えています。例えば、フロントエンドがhttps://frontend.example.com、APIがhttps://api.example.comにある場合、異なるオリジン間でデータをやり取りする必要があります。CORSを設定することで、このようなリクエストを許可し、安全にデータを送受信できます。

同一オリジンポリシーの概要


同一オリジンポリシーは、スクリプトがロードされたオリジン(プロトコル、ホスト、ポートが一致するURL)以外へのリクエストを制限します。これにより、悪意のあるスクリプトが別のサイトからデータを盗み出すことを防ぎますが、正当なクロスオリジンリクエストもブロックされる可能性があります。

CORSの仕組み


CORSは、サーバーがブラウザに対して「このオリジンからのリクエストを許可する」というヘッダー(Access-Control-Allow-Originなど)を返すことで動作します。これにより、ブラウザは制限を解除し、リソースへのアクセスを許可します。

なぜApacheでのCORS設定が重要なのか


リバースプロキシとしてApacheを使用している場合、CORSの設定はアプリケーションの手前で行う必要があります。これにより、セキュリティが強化され、不要なオリジンからのアクセスを制御しつつ、必要なリクエストだけを許可することができます。

Apacheにおけるリバースプロキシの概要


Apacheは単なるWebサーバーとしてだけでなく、リバースプロキシとしても広く利用されています。リバースプロキシは、クライアントからのリクエストを別のサーバーへ転送し、応答をクライアントに返す役割を持ちます。これにより、ロードバランシングやセキュリティ向上、キャッシュ機能の追加が可能になります。

リバースプロキシの仕組み


リバースプロキシは、外部からのリクエストを受け取り、それを内部のアプリケーションサーバーやAPIサーバーに転送します。以下のような構成が典型的です。

クライアント → Apache(リバースプロキシ)→ アプリケーションサーバー

これにより、外部から直接アプリケーションサーバーにアクセスさせず、Apacheを介することでセキュリティが強化されます。

Apacheでリバースプロキシを設定するメリット

  1. セキュリティ強化:アプリケーションサーバーを外部に直接公開せず、Apacheが保護の役割を果たします。
  2. SSLターミネーション:SSL通信をApacheが処理し、内部サーバーへの通信をHTTPで行うことで、内部サーバーの負荷を軽減します。
  3. ロードバランシング:複数のバックエンドサーバーに負荷を分散し、スケーラブルなアーキテクチャを構築できます。
  4. キャッシュ機能:静的リソースやAPIの応答をキャッシュし、バックエンドサーバーの負荷を削減します。

リバースプロキシの基本的な設定例


Apacheでリバースプロキシを設定するには、mod_proxyモジュールを有効にし、以下のように設定します。

# 必要なモジュールの有効化
LoadModule proxy_module modules/mod_proxy.so
LoadModule proxy_http_module modules/mod_proxy_http.so

# リバースプロキシ設定
<VirtualHost *:80>
    ServerName example.com
    ProxyPass / http://localhost:8080/
    ProxyPassReverse / http://localhost:8080/
</VirtualHost>

この設定により、example.comへのリクエストがlocalhost:8080で稼働しているアプリケーションサーバーに転送されます。

CORS設定との関連性


リバースプロキシを経由することで、クライアントが直接アプリケーションサーバーにアクセスすることなく、ApacheがCORSヘッダーを追加して応答します。これにより、外部リクエストの制御とセキュリティが向上します。

ApacheでのCORS設定方法(基本)


ApacheでCORS(Cross-Origin Resource Sharing)を設定するには、HTTPヘッダーを利用して外部オリジンからのリクエストを許可します。CORSヘッダーを適切に設定することで、ブラウザがクロスオリジンリクエストを許可し、安全にリソースを共有できるようになります。

基本的なCORSヘッダーの種類


ApacheでCORSを設定する際に使用する主なヘッダーは以下の通りです。

  • Access-Control-Allow-Origin:許可するオリジンを指定します。
  • Access-Control-Allow-Methods:許可するHTTPメソッド(GET, POST, OPTIONSなど)を指定します。
  • Access-Control-Allow-Headers:クライアントが送信可能なカスタムヘッダーを指定します。
  • Access-Control-Allow-Credentials:クッキーなどの認証情報を含むリクエストを許可します。
  • Access-Control-Max-Age:プリフライトリクエストの結果をキャッシュする時間を指定します。

Apacheでの基本的なCORS設定


ApacheのCORS設定は、.htaccessファイルまたはApacheの設定ファイル(httpd.confや各仮想ホストの設定)で行います。以下は、すべてのオリジンを許可するシンプルな例です。

<IfModule mod_headers.c>
    Header set Access-Control-Allow-Origin "*"
    Header set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST, OPTIONS"
    Header set Access-Control-Allow-Headers "Content-Type, Authorization"
</IfModule>

この設定では、*を使用してすべてのオリジンを許可しています。特定のオリジンだけを許可する場合は、次のようにオリジンを直接指定します。

Header set Access-Control-Allow-Origin "https://example.com"

OPTIONSリクエストの処理


CORSリクエストは、特定の条件下でプリフライトリクエスト(OPTIONSメソッド)を行います。プリフライトリクエストを処理しないと、CORSエラーが発生します。ApacheでOPTIONSリクエストを処理する設定例を以下に示します。

<IfModule mod_headers.c>
    Header set Access-Control-Allow-Origin "https://example.com"
    Header set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST, OPTIONS"
    Header set Access-Control-Allow-Headers "Content-Type, Authorization"
</IfModule>

# OPTIONSリクエストに対する応答
RewriteEngine On
RewriteCond %{REQUEST_METHOD} OPTIONS
RewriteRule ^(.*)$ $1 [R=200,L]

.htaccessでの設定方法


.htaccessを使用してCORS設定を行う場合、以下のように記述します。

<IfModule mod_headers.c>
    Header set Access-Control-Allow-Origin "*"
    Header set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST, OPTIONS"
    Header set Access-Control-Allow-Headers "X-Requested-With, Content-Type, Authorization"
</IfModule>

.htaccessでの設定はすぐに反映されるため、簡単にテストや変更が可能です。

CORS設定の動作確認


CORSが正しく設定されているか確認するには、ブラウザのデベロッパーツールでネットワークリクエストを確認します。CORSヘッダーが正しく付与されていることを確認しましょう。エラーが発生する場合は、Apacheのログ(access.logerror.log)を確認し、必要に応じて設定を修正します。

リバースプロキシ経由でのCORS適用方法


Apacheがリバースプロキシとして動作する場合、CORS設定はクライアントからのリクエストがアプリケーションサーバーに到達する前に適用されます。これにより、バックエンドサーバーの負担を軽減しつつ、外部オリジンからのアクセス制御を強化できます。

リバースプロキシでのCORS設定の流れ


リバースプロキシ経由でCORSを適用する際の基本的な流れは以下の通りです。

  1. クライアントがApache(リバースプロキシ)にリクエストを送信。
  2. Apacheがリクエストを受け取り、CORSヘッダーを付与してバックエンドサーバーへ転送。
  3. バックエンドサーバーが応答し、Apacheが再度CORSヘッダーを追加してクライアントに返却。

Apacheでの具体的な設定例


リバースプロキシ設定とCORSヘッダーの付与を同時に行う例を以下に示します。

<VirtualHost *:80>
    ServerName api.example.com

    # リバースプロキシ設定
    ProxyPass / http://localhost:8080/
    ProxyPassReverse / http://localhost:8080/

    # CORS設定
    <Location />
        Header set Access-Control-Allow-Origin "https://frontend.example.com"
        Header set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST, OPTIONS"
        Header set Access-Control-Allow-Headers "Content-Type, Authorization"
        Header set Access-Control-Allow-Credentials "true"
    </Location>

    # OPTIONSリクエストの処理
    RewriteEngine On
    RewriteCond %{REQUEST_METHOD} OPTIONS
    RewriteRule ^(.*)$ $1 [R=200,L]
</VirtualHost>

この設定により、https://frontend.example.comからのリクエストだけを許可し、他のオリジンはブロックされます。特定のメソッドやヘッダーも明示的に許可しています。

ProxyPassとCORSの連携ポイント


ProxyPassディレクティブがリクエストを転送する際に、CORSヘッダーはリバースプロキシが応答を返す直前で付与されます。バックエンドサーバーがCORSヘッダーを付与する必要がなくなるため、バックエンドのセキュリティ設定を簡素化できます。

OPTIONSリクエストの特別対応


プリフライトリクエストはOPTIONSメソッドで送信されるため、これに対する適切なレスポンスが必要です。上記の設定ではRewriteCondを使ってOPTIONSリクエストに200 OKを返すことで、CORSエラーを防止します。

特定パスへのCORS適用


APIの一部だけにCORSを適用する場合は、<Location>ブロックを使って特定のパスに制限できます。

<Location /api/>
    Header set Access-Control-Allow-Origin "https://frontend.example.com"
    Header set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST, OPTIONS"
</Location>

これにより、/api/へのリクエストだけがCORSの対象となり、他のパスは通常通り処理されます。

動作確認とデバッグ


CORS設定が正しく反映されているかを確認するには、ブラウザのデベロッパーツールでネットワークタブを開き、リクエストのレスポンスヘッダーを確認します。Access-Control-Allow-Originが期待通り表示されていることを確認してください。

設定が反映されていない場合は、Apacheの設定ファイルが正しく読み込まれているかを確認し、apachectl configtestで構文エラーをチェックします。

CORS設定の具体例と動作確認方法


ApacheでCORS設定を行った後は、正しく機能しているかを確認することが重要です。ここでは、具体的な設定例と動作確認の方法について詳しく解説します。

具体的なCORS設定例


以下は、特定のオリジンからのリクエストのみを許可する具体例です。
この設定では、https://frontend.example.comからのリクエストを許可し、他のオリジンは拒否します。

<VirtualHost *:80>
    ServerName api.example.com

    # リバースプロキシ設定
    ProxyPass / http://localhost:8080/
    ProxyPassReverse / http://localhost:8080/

    # CORS設定
    <Location />
        Header always set Access-Control-Allow-Origin "https://frontend.example.com"
        Header always set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST, OPTIONS"
        Header always set Access-Control-Allow-Headers "Content-Type, Authorization"
        Header always set Access-Control-Allow-Credentials "true"
    </Location>

    # OPTIONSリクエストの処理
    RewriteEngine On
    RewriteCond %{REQUEST_METHOD} OPTIONS
    RewriteRule ^(.*)$ $1 [R=200,L]
</VirtualHost>

設定のポイント

  • Header always set を使うことで、すべてのレスポンスにCORSヘッダーが付与されます。
  • Access-Control-Allow-Credentialstrueに設定することで、クッキーを含むリクエストも許可されます。
  • OPTIONSリクエストに対しては、必ず200 OKを返すよう設定しています。これがないとプリフライトリクエストが失敗します。

動作確認方法

1. ブラウザのデベロッパーツールで確認

  1. ChromeやFirefoxなどのブラウザで、F12キーを押してデベロッパーツールを開きます。
  2. 「ネットワーク」タブを選択し、クロスオリジンでAPIにリクエストを送信します。
  3. レスポンスヘッダーを確認し、Access-Control-Allow-Originが期待通りの値になっているかを確認します。

2. curlコマンドで確認


ターミナルからcurlコマンドを使用して、CORSヘッダーが返ってくるかを確認します。

curl -I -X GET https://api.example.com

結果例:

HTTP/1.1 200 OK
Access-Control-Allow-Origin: https://frontend.example.com
Access-Control-Allow-Methods: GET, POST, OPTIONS
Access-Control-Allow-Headers: Content-Type, Authorization

3. JavaScriptで動作確認


フロントエンドで簡単なJavaScriptコードを使い、CORS設定が機能しているかテストします。

fetch('https://api.example.com/data', {
    method: 'GET',
    credentials: 'include'  // クッキーを送信
})
.then(response => response.json())
.then(data => console.log(data))
.catch(error => console.error('Error:', error));

成功時にはコンソールにデータが表示され、失敗時にはエラーが出力されます。

エラーが発生した場合の対処

  • No ‘Access-Control-Allow-Origin’ header is present
  • 設定ファイルが正しく読み込まれていない可能性があります。
  • Apacheを再起動し、設定を反映させます。
   systemctl restart apache2
  • CORSヘッダーがプリフライトリクエストで欠落
  • OPTIONSメソッドの処理が不足している可能性があります。
  • RewriteCondでOPTIONSリクエストを正しく処理しているか確認してください。

ログの確認


エラーが続く場合は、Apacheのエラーログを確認します。

tail -f /var/log/apache2/error.log


これにより、設定ミスやモジュールの読み込みエラーがないかをチェックできます。

設定が適用されない場合のトラブルシューティング


ApacheでCORSを設定したにも関わらず、ブラウザで「CORSエラー」が発生する場合は、いくつかの原因が考えられます。ここでは、設定が正しく適用されない主な原因とその対処法について解説します。

1. CORSヘッダーが応答に含まれていない


原因:

  • mod_headersモジュールが有効化されていない
  • Apacheの設定ファイルが反映されていない
  • ヘッダーがProxyPass経由の応答に付与されていない

対処法:

  1. mod_headersモジュールが有効になっているか確認
   apachectl -M | grep headers


出力例:headers_module (shared)
表示されない場合はモジュールを有効化します。

   a2enmod headers
   systemctl restart apache2
  1. 設定ファイルを変更後、Apacheを再起動
   systemctl restart apache2
  1. ヘッダーがProxyPassのレスポンスに付与されているか確認
    設定例:
   <Location />
       Header always set Access-Control-Allow-Origin "*"
   </Location>


alwaysを使うことで、リバースプロキシ経由のレスポンスにも確実にCORSヘッダーが付与されます。

2. OPTIONSリクエストが正しく処理されない


原因:

  • OPTIONSメソッドへの対応が不足している
  • プリフライトリクエストがエラーを返す

対処法:

  1. OPTIONSリクエストの処理を明示的に追加
   RewriteEngine On
   RewriteCond %{REQUEST_METHOD} OPTIONS
   RewriteRule ^(.*)$ $1 [R=200,L]


これにより、OPTIONSリクエストに対して200 OKが返され、プリフライトリクエストが成功します。

3. `Access-Control-Allow-Origin` が意図した値でない


原因:

  • Access-Control-Allow-Origin*または不適切なオリジンに設定されている
  • 複数のオリジンが必要だが、*が使えない状況

対処法:
特定のオリジンを動的に付与する例:

SetEnvIf Origin "https://frontend.example.com" origin_is_good=$0
Header always set Access-Control-Allow-Origin "%{origin_is_good}e" env=origin_is_good


これにより、https://frontend.example.comのみが許可され、他のオリジンはブロックされます。

4. `Access-Control-Allow-Credentials`が無視される


原因:

  • Access-Control-Allow-Origin*が指定されている
  • クッキーなどの認証情報がCORSリクエストで使用できない

対処法:
Access-Control-Allow-Credentialsを有効にする場合は、特定のオリジンを指定します。

Header always set Access-Control-Allow-Origin "https://frontend.example.com"
Header always set Access-Control-Allow-Credentials "true"


*を指定していると、Access-Control-Allow-Credentialsは無視されるため注意が必要です。

5. CORS設定がサーバーレベルで上書きされる


原因:

  • 仮想ホスト設定 (VirtualHost)でCORS設定が上書きされている
  • .htaccesshttpd.confで設定が競合している

対処法:
.htaccessが無効の場合、仮想ホスト設定でCORSを直接記述します。

<VirtualHost *:80>
    <Location />
        Header set Access-Control-Allow-Origin "*"
    </Location>
</VirtualHost>


.htaccessと競合しないように一貫した設定を行います。

6. ログでエラーを確認する


方法:
エラーが解消しない場合は、Apacheのログを確認します。

tail -f /var/log/apache2/error.log


構文エラーやモジュールの読み込み失敗などのメッセージが出力されるため、問題を特定しやすくなります。

7. デバッグ用CORS設定(テスト環境用)


最終手段として、すべてのオリジンとメソッドを許可してテストすることも可能です。
ただし、本番環境ではセキュリティリスクがあるため推奨しません。

Header set Access-Control-Allow-Origin "*"
Header set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST, PUT, DELETE, OPTIONS"
Header set Access-Control-Allow-Headers "Content-Type, Authorization"

テスト完了後は、特定のオリジンやメソッドに制限を戻すようにしてください。

セキュリティを考慮したCORS設定のポイント


CORS(Cross-Origin Resource Sharing)の設定は、柔軟性を高める一方でセキュリティリスクを伴います。不適切な設定は、クロスサイトスクリプティング(XSS)やクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)などの脆弱性につながる可能性があります。ここでは、セキュリティを強化しつつCORSを適切に設定するポイントを解説します。

1. 信頼できるオリジンのみ許可する


設定ミスのリスク:

  • Access-Control-Allow-Origin "*"はすべてのオリジンを許可するため、攻撃者が任意のオリジンからリクエストを送信できてしまいます。
  • クレデンシャル(クッキーや認証情報)を含むリクエストでは*が無視されるため、意図しない挙動が発生することがあります。

対処法:
信頼できるオリジンだけを明示的に指定します。

Header set Access-Control-Allow-Origin "https://frontend.example.com"

複数のオリジンを許可する場合:
SetEnvIfを使用して、複数のオリジンを柔軟に許可する方法があります。

SetEnvIf Origin "https://frontend.example.com" ORIGIN_OK=$0
SetEnvIf Origin "https://admin.example.com" ORIGIN_OK=$0
Header set Access-Control-Allow-Origin "%{ORIGIN_OK}e" env=ORIGIN_OK

2. クレデンシャル付きリクエストの制御


クッキーやセッション情報を含むリクエストでは、Access-Control-Allow-Credentialstrueに設定する必要があります。ただし、オリジンは特定のものだけを許可します。

設定例:

Header set Access-Control-Allow-Origin "https://frontend.example.com"
Header set Access-Control-Allow-Credentials "true"

3. 許可するメソッドを限定する


不必要なHTTPメソッドを許可すると、セキュリティリスクが高まります。例えば、DELETEPUTを許可すると、意図しないデータ削除や改ざんが行われる可能性があります。

対処法:
必要なメソッドのみを許可します。

Header set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST, OPTIONS"

4. ヘッダーの制限


クライアントが送信できるヘッダーを制限することで、悪意のあるリクエストを防止します。

Header set Access-Control-Allow-Headers "Content-Type, Authorization"

5. プリフライトリクエストのキャッシュ


プリフライトリクエストは毎回発生するとパフォーマンスに影響を与えます。キャッシュを活用し、一定期間同じ結果を再利用することで効率的に処理できます。

設定例:

Header set Access-Control-Max-Age "3600"

これにより、プリフライトリクエストの結果が1時間(3600秒)キャッシュされます。

6. OPTIONSリクエストへの適切な対応


OPTIONSメソッドへの応答が不適切だと、プリフライトリクエストが失敗します。これを防ぐために、OPTIONSリクエストは明示的に許可し、適切に処理します。

RewriteEngine On
RewriteCond %{REQUEST_METHOD} OPTIONS
RewriteRule ^(.*)$ $1 [R=200,L]

7. セキュリティヘッダーの併用


CORS設定だけでなく、セキュリティ強化のために以下のヘッダーも追加しておくと効果的です。

Header always set X-Content-Type-Options "nosniff"
Header always set X-Frame-Options "DENY"
Header always set X-XSS-Protection "1; mode=block"
Header always set Referrer-Policy "strict-origin-when-cross-origin"

これらのヘッダーは、クリックジャッキング、XSS攻撃のリスクを低減します。

8. 動的オリジン許可(危険性を理解した上で使用)


動的にリクエストのオリジンを許可する方法もありますが、慎重に使用する必要があります。

Header set Access-Control-Allow-Origin "%{HTTP_ORIGIN}e"

この方法では、リクエストされたオリジンをそのまま許可しますが、不正なオリジンを防ぐ仕組みが必要です。信頼性が担保されている場合のみ使用してください。

9. 開発環境と本番環境で設定を分ける


開発時は*で全てを許可しても問題ありませんが、本番環境では制限を強化する必要があります。環境に応じてCORS設定を切り替えることで、セキュリティと利便性のバランスを取ります。

開発環境(dev.example.com):

Header set Access-Control-Allow-Origin "*"


本番環境(example.com):

Header set Access-Control-Allow-Origin "https://frontend.example.com"

まとめ


CORS設定は柔軟である反面、セキュリティリスクが伴います。信頼できるオリジンを明示的に指定し、不必要なメソッドやヘッダーを制限することで、安全性を確保しましょう。また、環境ごとに設定を分けて適用することで、効率的かつセキュアなシステムを構築できます。

応用例:特定のオリジンだけ許可する方法


複数の外部ドメインからAPIにアクセスさせたい場合や、特定の管理ツールのみCORSを許可したい場合には、Apacheで動的にオリジンを制御する設定が必要です。ここでは、特定のオリジンを許可する具体的な方法を解説します。

1. 単一のオリジンを許可する例


特定のオリジン(例:https://frontend.example.com)だけを許可する基本的な設定です。

<IfModule mod_headers.c>
    Header set Access-Control-Allow-Origin "https://frontend.example.com"
    Header set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST, OPTIONS"
    Header set Access-Control-Allow-Headers "Content-Type, Authorization"
    Header set Access-Control-Allow-Credentials "true"
</IfModule>

ポイント:

  • Access-Control-Allow-Originには具体的なオリジンを指定します。
  • 複数のオリジンを*で許可するのではなく、特定のオリジンだけを明示することでセキュリティが向上します。

2. 複数のオリジンを許可する方法


複数のオリジンを許可する場合、SetEnvIfを使用して条件分岐させる方法があります。

SetEnvIf Origin "https://frontend.example.com" ORIGIN_OK=$0
SetEnvIf Origin "https://admin.example.com" ORIGIN_OK=$0
Header set Access-Control-Allow-Origin "%{ORIGIN_OK}e" env=ORIGIN_OK
Header set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST, OPTIONS"
Header set Access-Control-Allow-Headers "Content-Type, Authorization"

動作の仕組み:

  • SetEnvIfでリクエストのOriginヘッダーがhttps://frontend.example.comまたはhttps://admin.example.comの場合、環境変数ORIGIN_OKにそのオリジンを格納します。
  • Access-Control-Allow-Originが動的にオリジンをセットするため、指定したオリジン以外からのアクセスは拒否されます。

3. 動的にオリジンを許可する(リスクあり)


すべてのオリジンを許可する*ではなく、リクエストのオリジンをそのまま許可する方法です。

<IfModule mod_headers.c>
    Header set Access-Control-Allow-Origin "%{HTTP_ORIGIN}e"
    Header set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST, OPTIONS"
    Header set Access-Control-Allow-Headers "Content-Type, Authorization"
    Header set Access-Control-Allow-Credentials "true"
</IfModule>

注意点:

  • HTTP_ORIGINをそのままセットするため、どのオリジンでも許可される可能性があります。
  • 本番環境ではセキュリティリスクがあるため、慎重に使用してください。

4. 特定のパスだけにCORSを適用する


APIの特定エンドポイントにのみCORSを適用する場合は、<Location>ディレクティブを使用します。

<Location /api/v1/secure-data>
    Header set Access-Control-Allow-Origin "https://trusted.example.com"
    Header set Access-Control-Allow-Methods "GET, POST"
    Header set Access-Control-Allow-Headers "Authorization"
</Location>

効果:

  • /api/v1/secure-dataへのリクエストに対してのみ、CORSが適用されます。
  • 他のエンドポイントにはCORSヘッダーが付与されません。

5. 特定のリクエストだけ許可する


例えば、GETリクエストだけを許可し、POSTDELETEは拒否する方法もあります。

<IfModule mod_headers.c>
    Header set Access-Control-Allow-Origin "https://frontend.example.com"
    Header set Access-Control-Allow-Methods "GET"
</IfModule>

これにより、GETリクエストは許可されますが、それ以外のメソッドはCORSエラーが発生します。

6. 環境変数でオリジンを切り替える


開発環境と本番環境でオリジンを切り替える例です。

# 環境変数によるオリジン制御
SetEnvIf Environment dev DEV_ORIGIN=https://dev.example.com
SetEnvIf Environment prod PROD_ORIGIN=https://frontend.example.com
Header set Access-Control-Allow-Origin "%{PROD_ORIGIN}e"

仕組み:

  • 開発環境ではhttps://dev.example.com、本番環境ではhttps://frontend.example.comが許可されます。
  • 環境変数Environmentを切り替えることで、簡単にCORS設定を変更できます。

7. 動作確認


設定後、ブラウザやcurlで確認します。

curl -I -X GET https://api.example.com

成功例:

HTTP/1.1 200 OK
Access-Control-Allow-Origin: https://frontend.example.com

エラー例:

No 'Access-Control-Allow-Origin' header is present

エラーが発生した場合は、Apacheのエラーログを確認し、設定ミスがないかをチェックしてください。

tail -f /var/log/apache2/error.log

まとめ


特定のオリジンだけを許可することで、セキュリティを向上させつつ必要なリクエストだけを許可できます。SetEnvIfを活用した柔軟な設定や、エンドポイントごとの細かい制御が効果的です。

まとめ


本記事では、Apacheでリバースプロキシを経由してCORS(Cross-Origin Resource Sharing)を設定する方法について詳しく解説しました。

CORSの基本概念から始まり、Apacheでの具体的な設定方法、プリフライトリクエストへの対応、特定のオリジンを許可する応用例など、幅広く取り上げました。特に、セキュリティを考慮した設定や、複数のオリジンを動的に許可する方法は、実際の運用環境で役立つ重要なポイントです。

リバースプロキシを活用することで、バックエンドサーバーへの直接アクセスを防ぎ、アプリケーションのセキュリティとパフォーマンスが向上します。適切なCORS設定を行うことで、外部からの安全なリクエストを許可し、Webサービスの信頼性を高めることができます。

最後に、CORSエラーが発生した際には、Apacheのログを確認し、設定の見直しを行うことが解決への近道です。ぜひ、今回の内容を活用して、安全で効率的なCORS環境を構築してください。

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