いつもWordを使ってレポートや企画書を作成するとき、複数のドキュメントをまとめて目次を自動生成できると便利ですよね。しかし「RDフィールドコード」を活用して複数ファイルの目次を作ろうとしたら、ページ番号がすべて「1」になってしまった…そんなトラブルに直面した方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の記事では、Microsoft 365 Wordで起こり得るページ番号の不具合の原因や具体的な解決策、実際に遭遇した人の体験談などを交えながら詳しくご紹介します。
Microsoft 365 WordでRDフィールドコードが引き起こす不具合とは
Microsoft 365版のWordで、複数のWordファイルを参照しながら目次を生成する際に、ページ番号がすべて「1」になってしまうトラブルが報告されています。これはWordのフィールドコードのひとつである「RD」を利用して外部ファイルを参照したときに生じる現象です。以前のバージョン(Word 2019など)では問題なく機能していたため、「なぜMicrosoft 365に更新してから目次がおかしくなるんだろう?」と戸惑う声が多く聞かれます。
従来の正常動作と現行の不具合の差
Word 2019などの従来バージョンでは、次のような手順で目次が正しく作成されていました。
1. メインのWord文書を開く
2. 「RDフィールドコード」を使い、外部のWord文書を参照
3. メイン文書内の目次を更新すると、すべての文書のページ番号や見出しを正しく取得
この流れで、どのドキュメントに何ページ目が割り当てられているかが正しく自動反映されます。ところが、Microsoft 365のある時点のアップデート以降は、複数文書のページ番号を合算するときにバグが発生し、ページ数がすべて「1」になってしまうという致命的な問題が起きるようになりました。
問題が発生した背景
2024年の6~7月ごろにWordのアップデートが行われた際、このRDフィールドコードで複数ファイルを一括管理する機能に不具合が発生しました。原因はMicrosoft側のコード変更に伴うバグであると推察されていますが、利用者にとっては大きなストレスになるのは間違いありません。
具体的な症状と混乱の例
この不具合が起きると、複数のファイルをクロスレファレンスし、まとめて目次を作成している方にとっては大混乱です。特に、論文や大規模な仕様書、マニュアルなど数百ページにもわたる文書を管理していると、すべてを一度に整理したいのにページ番号がまとまらないので非常に困ります。
実際に遭遇したユーザーの事例
社内でマニュアルを定期的に更新している担当者の方は、いつものように複数のWordファイルをリンクして目次を作ろうとしたところ、「リンク先から正常に情報を取得しているのに、目次のページ番号がすべて1になっているのを見つけた」と言います。Word 2019までは全く問題なかったため、「同じ手順を踏んでいるのに、なぜこうなるの?」と困惑。急ぎ社内共有する必要があるため、時間がない中で不具合が生じたこともあり、かなり焦ったそうです。
私も実際に、総ページ数300ページ以上のドキュメントをそれぞれ担当者が分担して作っていたので、最後に取りまとめるときにRDフィールドコードを使いました。しかしページ番号を更新すると、どのセクションも1ページ扱いになり、本当に大変でした。
どうしてページ番号が合わなくなるのか
Wordでは通常、セクションごとのページ番号設定や、通しページ番号などを管理する仕組みがあります。複数ドキュメントをリンクする際には、各ドキュメントのページ番号設定が「参照先ドキュメントに引き継がれる」形で合算されます。ところが、今回のMicrosoft 365バージョンの不具合では、この合算ロジックが途中で崩れ、「1」に上書きされてしまうことが確認されています。
バージョンによる違い
2024年6~7月以前のMicrosoft 365のWordやWord 2019以前では、上記のロジックは正常に動作していました。不具合が表面化したのは2024年夏以降の更新プログラム以降と報告されており、つまり「アップデートしたら急におかしくなった」という声が多いのは、このタイミングを境にしているからです。
原因と影響範囲を徹底分析
では、実際に原因とされる要素をもう少し深掘りしてみます。Microsoft側の公開情報は限定的ですが、多くのユーザーの報告事例を総合すると、以下のような推測が成り立ちます。
原因として考えられるポイント
1. RDフィールドコードの更新ロジックが変更された
何らかの理由で、更新プログラムがWordの目次生成ロジックを改修したと考えられます。その際、複数ファイルを統合する処理部分で、ページ番号を正しく引き継がない不具合が混入した可能性があります。
2. メモリ管理やキャッシュ機能の問題
Microsoft 365ではクラウドとの連動や自動保存の仕組みなど、従来と比べて内部の動作が変化していることも事実です。ファイル間参照をする際にページ番号の計算処理をキャッシュしきれず、常に初期値に戻ってしまうケースもあるのではないかという指摘もあります。
3. セクション構造と互換性設定の絡み
Wordには互換モード設定など、意外と複雑な設定が存在します。旧バージョンで作成したドキュメントと新バージョンのテンプレートを混在させると、不具合を誘発することがあります。今回もRDフィールドとセクション設定が絡み合い、ページ番号を引き継げない状況が発生しているのかもしれません。
影響を受ける可能性があるユーザーの特徴
1. 複数ファイルを管理している方
2. 一度に目次を自動生成したいと考えている方
3. Word 2019や過去のバージョンからMicrosoft 365にアップグレードした方
上記のようなケースで頻繁にWordを使うユーザーにとっては、非常に重要な問題です。特に大規模なドキュメントの編纂や、製品マニュアル、研究論文、契約書の管理などにおいては死活問題になりかねません。
解決策1:Wordのバージョンを最新に更新する
Microsoft 365を使っている場合、最もシンプルかつ確実な解決策はWordを最新バージョンに更新することです。2024年11月6日現在、2024年10月28日バージョン 2410 (ビルド 18129.20116) 以降では問題が解消されているとの報告があります。
最新バージョンへのアップデートの利点
最新のバージョンに更新すると、RDフィールドコードを使った複数ファイル参照の目次が正常に生成されるようになります。また、セキュリティ面や他の新機能・改善点も含め、常に最新の状態で利用できるのはMicrosoft 365の大きな強みです。
アップデート手順と注意点
Microsoft 365の更新チャネルによっては、すぐに最新バージョンが降ってこない場合もあります。組織で管理している場合は、管理者が更新チャネルをコントロールしている可能性が高いので、以下のポイントに気を付けて進めましょう。
1. 管理者への相談
会社や組織で管理している場合は、管理者へ「目次の不具合があるので、最新バージョンへのアップデートを早めたい」と相談し、更新スケジュールを調整してもらいます。
2. Officeのアカウントから更新プログラムを確認
個人で利用している場合は、Wordを起動して「アカウント」→「更新オプション」から手動で更新チェックを行い、最新バージョンを取得することができます。
解決策2:アップデートが困難な場合のワークアラウンド
業務の都合などで「今すぐ最新バージョンに上げることが難しい」というケースもあるでしょう。そんなときは、次のようなワークアラウンドを試すことができます。
旧バージョンへのロールバック
現在のバージョンが不具合を含んでいる場合、一時的に不具合の起きていない旧バージョンへ戻してしまう方法です。ただし、セキュリティ面やほかの機能との整合性を考慮する必要があるため、あくまでも暫定的な措置です。
ダウングレードの注意点
1. 最新機能は使えなくなる
2. ダウングレード作業に時間と手間がかかる
3. 組織管理下では管理者の許可が必要
手動でまとめる方法
各Wordファイルごとに目次(TOC)を作成し、最後にひとつのドキュメントにコピー&ペーストして「大きな目次」としてまとめる方法です。正直、ファイル数が多いほど手間はかかりますが、緊急対応としては有効です。
この不具合に悩む人が多い理由と早期アップデートの推奨
Microsoft 365は常に最新の機能が提供されるメリットをもつ一方で、アップデートによって想定外の不具合が発生する可能性も否めません。特に今回のようなRDフィールドコードを使った複数ファイル管理の手法は、プロ級のユーザーから一般的なビジネス利用者まで幅広く利用されます。そのため、不具合が広範囲で波及してしまったのだと思われます。
早期アップデートが推奨される理由
1. 安定した目次作成が可能になる
2. セキュリティリスクが低減する
3. 最新機能をいち早く利用できる
組織全体の意識改革
組織や企業でWordを大量導入している場合、個別のユーザーが勝手にアップデートするのは難しいケースが多いでしょう。しかし、今回のような不具合を放置していると、業務効率が著しく低下してしまいます。そのため、管理者やIT部門と連携して、適切なタイミングでアップデートを実施し、問題を解決していくことが不可欠です。
RDフィールドコード活用の基本と運用上のヒント
RDフィールドコードは、とても便利な機能ですが、正しく理解していないと「どうやって設定すればいいの?」と戸惑うことも多いです。ここではトラブルを防ぎながらRDフィールドコードを活用するための基本ポイントをご紹介します。
RDフィールドコードの挿入方法
1. メニューからフィールドを選ぶ
Wordの「挿入」タブから「クイックパーツ」→「フィールド」を選択し、RDを選びます。参照するファイルパスを入力し、「\f」などのオプションを追加してください。
2. 直接コードを入力する
Alt+F9キーでフィールドコードの表示・非表示を切り替え、直接「{ RD “ファイル名.docx” \f }」のように入力する方法もあります。ファイル名の指定や拡張子の入力には注意が必要です。
セクション区切りと目次番号の扱い
複数のWordファイルをリンクするとき、それぞれのファイルのセクション番号やページ番号のスタート位置がどうなっているかを確認しましょう。セクションが異なると、ページ番号の振り方にバラつきが生じる場合があります。
連続番号とセクション番号の設定例
多くの場合、各ファイルを「連番」で振りたいものです。しかし、途中で章の区切りが変わる、もしくは表紙の次のページを意図的に1ページ目にしたいケースもあります。そんなときは、Wordのページ設定からセクションごとの開始番号をしっかり確認し、統一感をもたせましょう。
バージョン管理とMicrosoftサポートの活用
今回の問題では、バージョン管理が大きなカギを握ります。Microsoft 365では更新チャネル(Current Channel、Monthly Enterprise Channel、Semi-Annual Enterprise Channelなど)ごとに提供されるタイミングが異なるため、組織のポリシーに合わせて最適な選択が求められます。
更新チャネルの主な違い
Current Channel
最新版を比較的早いサイクルで入手できますが、不具合が混入する可能性も高いです。迅速に新機能が必要なユーザーに向いています。
Monthly Enterprise Channel
毎月のセキュリティ更新を中心に、機能更新は年に数回のタイミングで提供されます。安定性と新機能のバランスがとりやすいチャネルです。
Semi-Annual Enterprise Channel
半年に1回のペースで大きな機能更新があり、比較的安定重視のチャネルです。不具合を回避したい大規模環境に向いています。
Microsoftサポート窓口との連携
もしどうしてもバージョンアップができず、ワークアラウンドも難しいという場合は、Microsoftサポート窓口に問い合わせてみるのも一つの手段です。「組織環境でどのように問題を回避できるか」「過去バージョンへのロールバック手順」などの具体的なアドバイスをもらえるケースもあります。
まとめ
Microsoft 365版のWordで「RDフィールドコード」を使って複数のWordファイルを参照しながら目次を作成すると、ページ番号がすべて「1」になってしまう不具合が2024年6~7月ごろのアップデート以降で発生していました。Word 2019や旧バージョンでは問題なく動作していたため、多くのユーザーが突然の不具合に戸惑いましたが、2024年10月28日バージョン 2410 (ビルド 18129.20116) 以降では修正されています。
最新版にアップデートできるなら早めに更新することで不具合は解消し、従来どおり複数ファイルからの目次作成がスムーズに行えるようになります。また、どうしても更新できない事情がある場合には、旧バージョンにロールバックしたり、各ファイルごとに目次を作った上で手動で統合する方法を検討しましょう。いずれにしても、複数ファイルの大規模ドキュメント管理が必要な方にとって、早期のバージョンアップを推奨します。わずらわしいワークアラウンドに時間を費やすより、最新のWordを使って効率的に作業を進めるほうが、長期的には大きなメリットが得られるはずです。
私の経験上、急ぎの提出物があるときに限ってこうした不具合が表面化しがちです。普段からWordのバージョンにはこまめに注意を払っておくと、いざというときに困らずに済みますよ。
コメント