パソコンを立ち上げるたびに目にするWindows 11のSモード。最初は「何だろう」と思いつつも、いざ使い始めると安全に感じられる反面、やりたいことが制限されてしまうジレンマもあります。ここでは、Sモードの特徴やオンとオフのメリット・デメリット、実際に使ってみた感想などを、体験談を交えながらわかりやすくまとめてみました。
Windows 11のSモードとは
Windows 11のSモードは、Microsoftがセキュリティ強化とパフォーマンス向上を目的に用意した特別なモードです。Sモードに設定されたPCでは、Microsoftストアから配信されているアプリしか実行できません。ブラウザについてもEdgeが固定で、ほかのブラウザをインストールすることはできない仕組みになっています。
こう聞くと不自由に感じる方もいるかもしれません。しかし、ストアアプリ限定というルールによって、ウイルスやマルウェアなどのリスクが最小限に抑えられ、管理しやすい環境が実現されています。初心者の方や、子どもが使うパソコンとして検討している方には大きな安心材料になります。
スタート画面の印象
Windows 11では、スタート画面からもSモードかどうかがうっすらわかります。ストア中心のアプリしか表示されず、余計なソフトが入っていないので、初期状態はスッキリとした印象を受けるかもしれません。一方で「使い慣れたソフトがない」と感じる場面も出てくる可能性があります。
専門ソフトを求めるときの不便さ
Sモードで仕事や学習を進めていくうちに、Adobe製品や特定の開発ツールが必要になった場合、Sモードのままではインストールできません。この点で「そろそろSモードを解除したほうがいいのかな」と考え始めるケースが多いです。

私自身、画像編集の勉強をしてみようとPhotoshopに手を出そうとしたところ、インストールできずにかなり焦りました。最初は「もう少し工夫してストアアプリだけでなんとかならないか」と模索しましたが、結局Sモードを解除することに決めました。
Sモードのメリット
Sモードには、セキュリティやパフォーマンス面など、普通のWindows 11にはないメリットがあります。
ここでは、Sモードで得られる主な恩恵を見ていきます。
セキュリティの高さ
Sモードは、Microsoftストアで配布されているアプリに限定して利用できる点が魅力です。Microsoftストアの審査を通過したアプリだけがインストール可能なので、ウイルス感染やマルウェアの混入リスクを大幅に低減できます。企業や学校など、端末を不特定多数の人が使う環境でも安心を得やすい特徴があります。
パフォーマンスの安定
非ストアアプリを導入できないということは、裏を返すと余計なプロセスやサービスが増えにくいということでもあります。不要なアプリが入らず、システムが軽量に保たれやすいため、動作が軽快です。パソコンに強くない方ほど、余計なソフトを入れてしまいがちですが、Sモードであればそういったリスクが抑えられます。
シンプルなUIと管理
ストアアプリだけで運用するので、デスクトップに不要なショートカットが増えたり、ソフトを管理する手間が軽減されます。定期的なアップデートやバージョン管理もストア経由で行われるので、個別にアップデート作業をする必要があまりありません。



私は父親のパソコンをSモードのまま使わせています。普段メールと動画サイトを見るくらいらしく、トラブルがほとんど起きなくなりました。定期的に電話でサポートすることが減り、私自身も助かっています。
Sモードのデメリット
利点がある一方で、制限があるのは否めません。特に、長くパソコンを使ってきた方や、いろいろなアプリを試してみたい方にとっては、窮屈と感じる場面が増える可能性があります。
アプリの選択肢が少ない
大手ベンダーや人気アプリの一部はMicrosoftストアに対応しておらず、ストアから入手できないソフトウェアは利用不可能です。たとえばAdobe製品のPhotoshopやIllustratorは、ストアでの提供はなく、公式サイトからインストーラをダウンロードする必要があります。このため、これらを使いたい場合にはSモードを解除しなければなりません。
ブラウザの自由度が低い
Sモードでは、Edgeが強制的に既定のブラウザとなります。ChromeやFirefoxなどを試すことができないので、拡張機能や同期機能を使い慣れている人には物足りない面があるでしょう。もちろんEdgeは必要十分な機能を備えていますが、ユーザーによっては対応していないプラグインが必要になるケースも考えられます。
周辺機器やドライバの制限
Sモードでは、特定のデバイスドライバやユーティリティのインストールができない場合があります。最新のゲーミングデバイスやプリンタ、スキャナなどを動かす際、ストアアプリ以外に専用ソフトが必要となるケースがあるのです。デバイス製品情報にSモード非対応と書かれている場合もあるので注意が必要です。



以前、Sモードのまま新しいプリンタを使おうとしたとき、ドライバのインストールができずにハマった経験があります。結局Sモードのオフを検討することになり、それが解除の大きな決め手になりました。
実際にSモードを解除したほうがいいのはどんな場合?
Sモードの解除を検討する場面は、大きく分けて「特定のソフトが使いたいとき」「ハードウェア環境を整えたいとき」「仕事や学習が進まなくなったとき」の3つが挙げられます。とはいえ、解除には戻せないリスクも伴うので、慎重に判断が必要です。
Adobeなどクリエイティブソフトを使うとき
写真や画像編集に欠かせないAdobe PhotoshopやLightroom、イラスト制作で人気のIllustratorなど、これらはいずれも公式サイトや専用のCreative Cloudデスクトップアプリ経由でインストールするスタイルが主流です。このような非ストアアプリをどうしても使いたい場合は、Sモードでは不可能なため解除を決断するタイミングになります。
特定のゲームやツールを導入したいとき
Microsoftストアには豊富なアプリがありますが、Steamなどのプラットフォームから配信されているゲームや、一部の実用ツールなどがストア非対応のケースがあります。パソコンを趣味や娯楽でも存分に使いたいという方は、Sモードの壁にぶつかるでしょう。また、仕事で使う独自開発の社内ツールがストア外のみ配布される場合もあります。
ストアゲームのメリットと限界
ストアで配布されているゲームは、基本的にWindowsとの相性を考慮して作られているためトラブルも少なく、気軽に遊べる魅力があります。しかし、有名なタイトルほど別のプラットフォームで提供されていることも多く、Sモードでは遊べないゲームも珍しくありません。
Sモードの解除方法
Sモードの解除は意外に手軽に行えますが、一度オフにすると二度と元に戻せない点は押さえておきたいところです。具体的な手順は下記のとおりですが、念のため確認とバックアップをしてから進めるのをおすすめします。
設定からストアへ移動
Windowsの設定画面を開き、システムやライセンス認証(またはアクティベーション)の項目を探します。「Windowsのエディション」にSモードが表示されているので、「ストアに移動」ボタンをクリックします。するとMicrosoftストアが開き、「Sモードを解除しますか?」といった案内やボタンが表示されるはずです。
1. [スタート]ボタン → [設定] を開く
2. [システム] → [ライセンス認証] (あるいは [アクティベーション]) を選択
3. 「Windows (Sモード)」の項目をクリックし、「ストアに移動」を押す
4. ストアの画面で「解除」ボタンを押す
5. メッセージに従って進めると完了
解除時の注意点
Sモードを一度解除すると、同じ端末でも再びSモードに戻すことはできません。セキュリティを重視して使っている場合や、子ども用の学習PCとして割り切っている場合は、解除前にデメリットをよく考える必要があります。
Sモード解除後に起こる変化
Sモードを解除すると、通常のWindows 11と同じ状態になります。つまりMicrosoftストア以外から配布されているアプリも自由にインストールできるようになり、ウェブブラウザも好みに合わせて選択可能です。マルウェア対策をしっかり行わないと、従来のWindows同様にウイルス感染のリスクが高まる点は覚えておきましょう。
ストアアプリはそのまま使える
Sモードを解除しても、ストアから入手したアプリが使えなくなるわけではありません。今までどおり利用可能です。また、新たにインストールするアプリやブラウザと共存することもできます。したがって、Sモード解除が必ずしもストアアプリのメリットを失うわけではないのです。
ウイルス対策ソフトの導入も視野に
Sモードではストアアプリの安全性が守られるため、ウイルス対策ソフトにあまり神経質になる必要はありませんでした。しかし、解除後はあらゆるソフトを導入可能になるため、セキュリティ面は自ら守る心構えが必要です。Windows標準のセキュリティ機能で十分な場合もありますが、不安が残るなら別のセキュリティ対策ソフトを導入するのも検討材料になります。
Sモードを解除せずに使い続ける場合
Sモードのままでも多くのニーズを満たせる場合があります。たとえばOfficeアプリなどはMicrosoftストア経由でインストールできますし、メールやウェブ閲覧、簡単な動画や音楽再生などもストアアプリで十分にこなせることがほとんどです。
用途に合わせたアプリ選び
ストアアプリは日々増えています。動画配信サービスの専用アプリからSNSクライアント、メモやタスク管理アプリなど、基本的に必要になりそうなソフトはストア内で探してみると発見があるかもしれません。もしストアで見つけることができれば、わざわざSモードを解除する必要はありません。
Office関連
Office関連ソフト(Word, Excel, PowerPoint, Outlookなど)はストアからでもインストール可能になっており、ライセンスさえ持っていればSモード下でも問題なく使えます。学生さんのレポート作成や社会人の基本業務はSモードでも十分対応できるでしょう。



私の友人は文書作成と表計算、あとはウェブ検索くらいしか使わないので、Sモードのままでも困ることなく過ごせています。むしろセキュリティと動作の軽快さを手放したくないから、絶対にオフにしないと言っていました。
学習やリテラシー向上の視点
Sモードだとアプリ選びに制限があるため「使えないから諦める」状況が出てきます。しかし逆に、それをきっかけに「類似アプリをストアで探してみよう」「オンラインツールで代替できる方法はないか」など、新しい視点を得られることもあります。これが結果的にITリテラシーの向上につながるという考え方も可能です。
Sモードをオンのまま使うか、オフにするかの判断表
以下はSモードを続行するか解除するか迷っている方のための簡単な比較表です。
項目 | Sモード維持 | Sモード解除 |
---|---|---|
アプリのインストール | Microsoftストア限定 | 制限なし(あらゆるソフト導入可) |
セキュリティ | 高水準(ストア審査済み) | 自己管理(ウイルスやマルウェアリスク増) |
パフォーマンス | 軽快(余計なプロセスが少ない) | 使い方次第で変動(不必要なソフトのインストールに注意) |
ブラウザ選択 | Edge限定 | ChromeやFirefoxなど自由に選択可 |
再度Sモードに戻せるか | 不要 | 一度オフにすると戻せない |
Sモードは解除すべき?結論
パソコンの使い方が限定的であり、セキュリティとパフォーマンスを重視するなら、Sモードはそのままにしておいても困らないケースが多いです。むしろ、非ストアアプリに興味がない、あるいはEdgeブラウザだけで十分という方には最適といえるかもしれません。
一方で、Adobe製品や専門的なソフトをインストールしたいときはSモードを解除するのが得策です。解除は簡単にできますが、元に戻すことはできないため、自分の使い方を整理してから決断しましょう。



個人的には、パソコン初心者や子ども用の端末はまずSモードにしておき、必要が出てきたら解除するスタンスが安心だと思います。パソコンに慣れてきたら「非ストアアプリも色々使えるようにしてみようかな」と視野を広げられますし、セキュリティ管理の勉強にもなります。
まとめ
Windows 11のSモードは、安全性や軽快さを求めるユーザーにとって非常に魅力的な機能です。特に、限られた用途で使うパソコンや子ども用の学習端末としては、ウイルス感染などのトラブルを回避しやすいため、初心者にも優しい選択肢といえるでしょう。一方で、クリエイティブ作業や多様なアプリケーションを使う必要がある方には物足りない面があるかもしれません。Sモードのオン・オフはいつでも自由にできるわけではなく、一度オフにすると戻れない点に注意が必要です。まずは現状の利用目的を明確にして、Sモードのままでも問題なく動くかどうかを確認してみましょう。それでも物足りなさを感じたら、解除を検討するのがベストな選択となります。
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