Excel STOCKHISTORY関数の#Connectエラー対策と今後の見通し

あなたが株価情報を自動で取得したいと考えるとき、ExcelのSTOCKHISTORY関数は非常に便利な機能です。ところが最近、この関数が突然「#Connect」エラーを出してしまい、思ったようにデータを取得できないといった声が増えています。そんな不具合の原因や対処法、そして今後の見通しを、具体的かつわかりやすく解説していきます。

ExcelのSTOCKHISTORY関数とは

STOCKHISTORY関数は、Microsoft Excelに搭載されている株価履歴を取得するための関数です。過去の株価データだけでなく、日ごとの終値や出来高などを一覧で表示できるため、投資家や経理担当者など、多くの人にとって重宝する機能といえます。

STOCKHISTORY関数の基本的な書式

通常、STOCKHISTORY関数は以下のような形式で使用します。

=STOCKHISTORY(銘柄, 開始日, 終了日, [インターバル], [ヘッダー], [プロパティ]...)
引数説明
銘柄取得したい株式やETFのシンボル、またはセル参照などを指定します。
開始日過去データの取得を開始する日付を指定します。
終了日過去データの取得を終了する日付を指定します。
[インターバル]日次、週次、月次などの単位を選択可能です(省略時は日次)。
[ヘッダー]「0」「1」「2」のいずれかを指定して、表示されるヘッダーの有無や形式を設定します。
[プロパティ]「Open」「Close」「High」「Low」「Volume」など、取得したい数値列を追加で設定できます。指定なしの場合は終値のみが返されます。

たとえば、セルA1に「MSFT(Microsoftの銘柄コード)」を入力して、2023年1月1日から2023年1月31日までの日次終値を取得したい場合は、次のようになります。

=STOCKHISTORY(A1, "2023/1/1", "2023/1/31")

#Connectエラー発生の背景

最近、従来は問題なく利用できていたSTOCKHISTORY関数が、突如「#Connect」エラーを表示するケースが増えています。しかも、一部の銘柄だけでなく、タイミングによって別の銘柄でも起こったり、しばらく時間を置くとエラーが自動的に解消されることもあります。この現象は主に以下のような状況で報告されています。

不定期かつ再現性が低い

あるユーザー環境では問題なく動作する一方、別の環境では同じ銘柄を入力しても「#Connect」エラーが頻発する、といった事例が多々あります。また、前日は正常だったのに翌日はエラー、というように明確な条件を特定しにくい点も特徴です。

Excelのバージョン依存が疑われる

Excelのバージョンによっては「#Connect」エラーが出やすいのではないか、という指摘もあります。しかしながら、最新バージョン(たとえば「2408」など)でもエラーが継続しているというユーザー報告があるため、バージョンアップがすべてを解決するわけではないのが現状です。

Microsoftサーバー側のデータフィード不具合

STOCKHISTORYのデータは、Microsoftが提供するオンラインデータサービスを経由しています。したがって、Excel本体の問題というよりは、Microsoft側のサーバーやデータフィードが一時的に不安定になっている可能性も考えられます。実際、Excelコミュニティやフォーラムでは、「Microsoft側のサーバーメンテナンスのタイミングと重なると、エラーが出る」という推測も多く見られます。

よくある対処法・暫定的な回避策

現時点で、「#Connect」エラーを完全に防ぐための公式な修正プログラムは公表されていません。しかし、ユーザーコミュニティなどで共有されている方法をまとめると、いくつかの回避策や対処法が挙げられます。

1. 時間をおいてから再読み込みする

最も手軽な対処法は、しばらく待つことです。Excelを起動してすぐにSTOCKHISTORY関数を評価すると、「#Connect」エラーになることがありますが、5~10分ほど待ってから再計算(F9キーなど)をすると、正常にデータが取得できるケースが報告されています。
急ぎでなければ、しばらく放置してから再試行するだけでも意外と解決することが多いのが実情です。

ワークブックを自動再計算に設定する場合

Excelのオプションで「自動計算」設定にしていると、しばらく経ってサーバーに再接続できたタイミングでデータが更新されるケースがあります。自動計算をオフにしている場合は、手動で再計算する手間が必要になるので注意しましょう。

2. セルの式を再入力・コピー&ペーストする

「#Connect」エラーになったセルのSTOCKHISTORY関数を、一度削除して再入力すると問題が解消することがあります。あるいは、隣のセルに式をコピー&ペーストしても復旧する場合があります。
ただし、一時的に正常化しても、Excelを閉じて再度開いたときに同じ現象が出る可能性もあるため、恒久的な解決策とはいえません。

セル内の参照を変数化してみる

A列に銘柄や日付情報をまとめて、他の列でSTOCKHISTORYを参照するようにすると、再入力の手間をある程度減らすことができます。次のような形で、別セルに記載した銘柄や日付を参照して関数を組むのも有効です。

=STOCKHISTORY($A$1, $B$1, $C$1)

このようにすれば、エラーが出ている場合にも参照セルだけ修正すれば済むケースがあり、効率が上がります。

3. Excelのバージョンを最新に保つ

Excelが古いバージョンだと、修正プログラムが適用されていない可能性もあります。Officeの自動更新設定をオンにしておき、最新のビルドへ更新することで、不具合が改善される場合があります。
ただし前述のとおり、新しいバージョンでもエラーが解消されない事例は報告されているため、万全とは言い切れません。

Officeインサイダープログラムへの参加

より早く新機能や修正を体験したい場合は、Officeインサイダー版に参加するという選択肢もあります。Insider版は頻繁にアップデートが行われるため、不具合の修正が公式リリースより早く提供される可能性があります。ただし、テスト的な機能も多いため、安定性を重視する現場では慎重に検討しましょう。

4. Microsoftへのフィードバックを送る

多くのユーザーが忘れがちなのが、「Excelのメニューからフィードバックを送る」という公式ルートでの不具合報告です。コミュニティフォーラムやSNSでの情報共有は有意義ですが、Microsoftの開発担当者へ直接届くフィードバックとは異なる場合がほとんどです。

フィードバックの送り方

Excel上部のメニューから「ヘルプ > フィードバック > 気に入らない内容があります」を選択し、具体的な状況や再現手順を入力すると、Microsoft側で問題を把握しやすくなります。スクリーンショットや再現可能なファイルを添付できる場合は、より効果的です。

5. 手動更新モードや別シートの活用

STOCKHISTORY関数はネットワークを通じてリアルタイムの株価情報を取得するため、ある意味「ボラタイル関数」のように扱うことができます。必要に応じてだけ更新を行いたい場合は、Excelを「手動計算モード」に切り替えて、更新したいときにだけF9キーなどで再計算する方法もあります。

別シートに結果を貼り付ける

エラーが出るリスクを下げるために、一度STOCKHISTORY関数で取得したデータを値として別シートに貼り付ける方法があります。例えば、「株価取得用」のシートでSTOCKHISTORY関数を使い、結果をコピーして「値のみ貼り付け」でデータ参照用のシートに取り込むイメージです。
こうすれば、メインのシートで「#Connect」エラーを見かける機会を減らすことができます。

具体的なシナリオと対応例

ここでは、実際に「#Connect」エラーが発生しやすいシナリオと、それに対する対応例を示します。

シナリオ1:ファイルを開いた瞬間に複数の銘柄を取得

  • 状況: Excel起動直後、ネットワークの接続が不安定な状態で複数の銘柄に対してSTOCKHISTORYを一気に実行すると、#Connectエラーが出やすい。
  • 対応策:
  1. ファイルを開いたらすぐに操作せず、5分ほど待機する。
  2. その後、F9キーなどで再計算を実行し、データが取得できるか確認する。

シナリオ2:作業時間が深夜帯または早朝

  • 状況: 一部のユーザーは深夜帯や早朝にデータを取得しようとした際に頻繁にエラーが出ると報告。サーバーメンテナンスのタイミングかもしれない。
  • 対応策:
  1. 時間帯を変えられるのであれば、メンテナンス時間外と思われる日中・夕方などに試す。
  2. どうしても深夜や早朝でなければならない場合は、手動で再入力を試すか、待機時間を長めに取るなど工夫する。

シナリオ3:株価情報を大量に取得するVBAツールを作成

  • 状況: VBAで自動化して複数銘柄の株価を一気に取得しようとした際、ランダムに「#Connect」エラーが混ざるケースがある。
  • 対応策:
  1. 取得を一銘柄ずつ順番に行い、一定の待機時間(例えば数秒)を挟むようにする。
  2. エラーが出たらリトライする仕組みを組み込む。
  3. データを取れるものだけを先にまとめて保持し、エラーが出る銘柄は後回しにして再試行する。

根本解決が難しい理由と今後の見通し

「#Connect」エラーは、一時的に回避できる方法こそあるものの、ExcelやMicrosoftのバックエンドシステムが影響している可能性が高いため、ユーザー側で完璧に制御することは困難です。

公式からのアナウンスが限定的

Microsoftから、「STOCKHISTORYに関する特定のバグを修正しました」といった公式アナウンスは、コミュニティフォーラムやサポートドキュメントを随時チェックしないと見つけにくい状況です。また、Officeの更新履歴に明確に記載されない場合もあるため、修正状況を把握するのが容易ではありません。

コミュニティ情報の重要性

Excelの不具合や改善要望については、世界中のユーザーがExcelコミュニティで報告・共有しています。特に英語圏のコミュニティは情報の更新が早いため、日本語情報だけではなく英語フォーラムも参考にすると、新しい回避策や未公開の修正情報が見つかることがあります。

今後への期待

一部のユーザーが「最近の更新でエラーが解消された」と報告するケースもありますが、引き続きエラーが残っているユーザーも存在します。今後もMicrosoftが段階的に修正をリリースする可能性がありますので、定期的にExcelのバージョン情報を確認し、更新プログラムを適用していくことが推奨されます。

まとめ:ベストプラクティスと現実的なアプローチ

株価や金融データの自動取得は効率的ではありますが、オンラインサービスとの連携に依存するため、どうしても不確実性が残ります。以下のポイントを踏まえたうえで運用するのがベストプラクティスといえるでしょう。

  1. 時間をおいて再読み込み:すぐにエラーが出ても、少し待ってから再試行すれば解消する場合が多い。
  2. 再入力やシート分離での暫定対処:こまめに再入力・コピー&ペーストする習慣をつける、結果を別シートに貼り付けるなどしてリスクを分散する。
  3. 最新版へのアップデートとサポートへの報告:Excelの更新を欠かさず行い、問題が解決しないときはフィードバック機能で公式に報告する。
  4. コミュニティ情報の活用:日本語だけでなく英語フォーラムもあわせてウォッチし、最新の事例や回避策を収集する。
  5. VBAなどの自動化にはリトライ処理を:大量データを取り扱う場合は、一定のインターバルやリトライ機能を組み込み、エラーをうまくハンドリングする。

ExcelのSTOCKHISTORY機能は非常に便利な一方、まだまだ改善の余地があるのも事実です。実運用で安定性が求められる場合は、暫定対処策を組み合わせて使いつつ、Microsoftが提供する修正プログラムを待ちながらフィードバックを送るのが最善のアプローチになるでしょう。

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