近年ハイエンドなゲーミングPCを導入しても、ゲームプレイ中のクラッシュやフリーズに悩むケースが報告されています。特に新しいGPUやドライバー導入直後のトラブルは、ゲーム体験を大きく損なってしまいます。本記事ではこれらの問題を解決するための具体的な手順やチェックポイントを丁寧に解説します。ゲームを快適に楽しむためには、Windowsやグラフィックスドライバーの更新手順、電源周りのチェックなど、多岐にわたる対策が必要です。本記事が、お悩みの方々の一助になれば幸いです。
クラッシュの主な原因を理解する
ゲーミングPCがクラッシュやフリーズを起こす原因は、多岐にわたります。特に、グラフィックスカードのドライバー不調やWindowsのシステム更新不備は、ゲームの安定性を大きく揺るがします。以下では、よく挙げられる代表的な原因をピックアップし、どのように対処するかを詳しく見ていきましょう。
ドライバーの競合やエラー
Windows環境下でゲームを実行する場合、GPUドライバーは非常に重要な役割を果たします。ドライバーが古かったり、適切にインストールされていなかったりすると、ゲーム内で不具合が起きやすくなります。
特にAMD Radeonシリーズの場合、デバイスマネージャーで「Windowsが必要とするドライバーを読み込めない (Code 31)」という表示が出ることがあります。これはWindows側が正常にドライバーを読み込めていないことを示すエラーで、再インストールや修復ツールによる解決が望まれます。
Windowsアップデートの未適用
OSの不具合や既知のバグは、最新のWindowsアップデートで修正されるケースが多くあります。Windowsアップデートが滞っていると、最新のゲームやGPUドライバーとの相性問題が残ったままになる恐れがあります。アップデートを適用していない場合、まずは最優先で更新を行いましょう。
電源ユニット(PSU)の不具合や容量不足
グラフィックスカードは高負荷時に大きな電力を消費します。PSU(電源ユニット)が不足していると、ゲーム起動中や負荷がかかった状態で電圧が安定せず、クラッシュが起きる可能性があります。ただし、今回のように具体的にドライバーエラーが出ている場合は、ソフトウェア側の対処を行ってから電源問題を疑うほうが効率的です。もちろん、最終的にはPSUの容量・品質をしっかり確認するのが望ましいです。
セキュリティソフトや不要な常駐アプリの干渉
ウイルス対策ソフトやPCに常駐するアプリケーションが、ゲームと競合を起こすケースも少なくありません。特にリアルタイムスキャン系のセキュリティソフトが高負荷時に誤動作し、ゲームやグラフィックスドライバーに影響を与えることがあります。問題が発生した際は、一時的に常駐アプリを停止し、挙動をチェックすることが有効です。
具体的な解決策
それでは、実際にゲームクラッシュを減らし、快適なプレイ環境を整えるための手順を解説していきます。下記のステップを順に試すことで、原因を切り分けながら問題を解消していくことができます。
1. Windowsの最新アップデートを実施
まずは最も基本的な対策として、Windowsを最新バージョンにアップデートします。OSのバージョンが古いと、想定外の不具合やセキュリティホール、既知のバグが残ったままになり、ゲーム動作に悪影響を及ぼします。
- 「設定」→「Windows Update」から更新を確認
- 更新プログラムをインストール後にPCを再起動
- 追加の更新プログラムがある場合は続けて適用
以下のようなコマンドでシステムファイルの整合性をチェックすることも有効です。
DISM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealth
sfc /scannow
これらのコマンドを管理者権限で実行することで、システムファイルの破損等が修復される場合があります。
2. Gaming Services Repair Toolの活用
Microsoftが提供している「Gaming Services Repair Tool」は、Windows上でのゲームサービスに関連した問題を修復するためのツールです。特にゲームが起動しない、Microsoft Store経由のゲームでエラーが頻出する場合に効果が期待できます。
- Gaming Services Repair Tool をダウンロード
- ダウンロード後、右クリック →「管理者として実行」
- ツールが指示する手順を進め、問題を修復
- 修復完了後、PCを再起動
このツールを使うことで、レジストリ設定やストア関連サービスの再登録などもまとめて行えます。軽微な設定のずれが原因だった場合には、一気に解決に導く場合もあるでしょう。
3. グラフィックスドライバーを再インストール
AMDドライバーやRadeonソフトウェアを最新の状態にしても、正常動作が確保できないときは、一度ドライバーをアンインストールし「クリーンインストール」を行う方法が有効です。
- 「デバイス マネージャー」を開く
- AMD Radeon Graphicsなどエラーが出ているデバイスを右クリック →「デバイスのアンインストール」
- PCを再起動
- AMD公式サイト(AMD ドライバーおよびサポート)から最新ドライバーをダウンロードしインストール
- インストールオプションで「クリーンインストール」や「以前のドライバー設定を削除」などの選択肢があれば利用
さらに、サードパーティ製ソフトウェアの「Display Driver Uninstaller(DDU)」を使う方法もあります。これはドライバーの痕跡をより徹底的に削除し、新規インストール状態に近いクリーンな環境を作ることができます。DDUの使用は一部上級者向けですが、ドライバーの競合を最小限に抑えたい方には有益な方法です。
4. Robloxなど特定ゲームのフリーズやエラー対処
Robloxのように、軽めのゲームに見えても独自のランチャーやアップデートシステムを持つタイトルがあります。これらのゲームがフリーズ・エラーを起こす場合、以下の対処法を試してみてください。
- Robloxクライアントの再インストール
- イベントビューアー(イベントログ)でエラー状況を確認
- ウイルス対策ソフトやファイアウォールの設定見直し
- グラフィックスカードの温度監視(夏場など特に重要)
ゲーム内でのログやイベントビューアの「システム」「アプリケーション」セクションに、クラッシュの原因を示すエラーメッセージが残っていることがあります。エラーコードや特定モジュール名が表示される場合、そのキーワードで検索すると解決策が見つかる可能性が高いです。
Robloxでよくあるエラーコード表
以下のようなエラーコードが出ることがあります。原因を特定する上で参考にしてください。
エラーコード | 原因例 | 主な対策 |
---|---|---|
260 | 接続が切断されている | ネットワーク環境を見直す、VPNオフ |
277 | サーバー接続が不安定 | 回線速度やルーター設定を再確認 |
517 | マッチングサーバー満員など | 時間をおいて再度アクセス |
524 | 招待制のプライベートマッチ | フレンドからの招待を受ける/公開サーバーへ接続 |
610 | システム全体の接続障害、アカウント不具合 | ログアウト→再ログイン、サーバー障害確認 |
電源周りの確認と注意点
ドライバーを再インストールしてもトラブルが継続する場合は、電源ユニット(PSU)の見直しが必要です。特に新しいGPUを導入した際は、従来よりも大きな電力が必要となる場合があります。容量不足や故障気味のPSUを使用していると、高負荷時に動作が不安定になりがちです。
PSU容量と電圧の確認
下表は、あくまで一般的な目安ですが、近年のミドルクラス~ハイエンドGPUを安定動作させるためには、以下の容量を確保しておくと安心です。
GPUクラス | 推奨電源容量(W)の目安 |
---|---|
エントリークラス (GTX 1650 など) | 450W~500W |
ミドルクラス (RTX 3060 / RX 6600 など) | 550W~600W |
ハイエンドクラス (RTX 4080 / RX 7900 など) | 750W~850W以上 |
このほか、12Vレーンの安定供給が求められます。電源に貼られたスペックシールや公式仕様書で、12Vレーンの供給アンペア数をチェックしましょう。数値が足りない場合、GPUがフルパフォーマンスを発揮できずにクラッシュを誘発することがあります。
プラグやケーブルの状態確認
電源ユニットからグラフィックスカードへ直結する電源ケーブル(6ピンや8ピン)がしっかりと奥まで挿し込まれていないと、不安定な接触が原因で電力が供給不足になる可能性があります。
- ケーブルの取り回しに無理がないか確認
- 延長ケーブルや分岐ケーブルを使用している場合は直差しに変えてみる
- 別の12Vレーンから出ているケーブルを試す
これらを試しても問題が解決しない場合は、電源ユニット自体が故障気味であるか、もしくはさらに大きな容量が必要な可能性があります。
追加で試してほしいトラブルシューティング
上記の対処法を一通り試しても症状が改善しない場合、より詳細なトラブルシューティングが求められます。ここでは、さらに踏み込んだ確認方法をいくつか取り上げます。
BIOS・UEFIの更新
マザーボードのBIOSやUEFIが古いバージョンのままだと、新しいGPUやCPUとの互換性が不完全な可能性があります。メーカー公式サイトにアクセスし、最新バージョンが公開されている場合は更新を検討してみてください。BIOS更新はリスクを伴うため、手順をよく確認しバックアップ体制を整えましょう。
イベントビューアーのログ解析
Windowsの「イベントビューアー」からシステムログやアプリケーションログを確認すると、クラッシュ直前にどんなエラーや警告が記録されているか把握できます。
- 「Windowsログ」→「システム」または「アプリケーション」
- 重大なエラーや警告に注目
- 特定のモジュール名やエラー番号が分かれば、検索して原因を特定
これにより、ドライバーやサービスの不具合だけでなく、接続機器やネットワーク設定が影響しているケースも発見しやすくなります。
不要なスタートアップアプリの無効化
Windows起動時に自動で立ち上がるアプリケーションの中に、ゲーム動作に干渉する可能性があるものが含まれている場合があります。
- 「タスク マネージャー」→「スタートアップ」タブ
- スタートアップが「有効」になっているアプリを見直す
- 不要なものを無効化して再起動
特に、常時稼働が必要のない音楽プレイヤーや自動アップデート系ツールは、ゲームのパフォーマンスに影響を与える場合があります。必要に応じて手動で起動すれば問題ないアプリはスタートアップから外しておくとよいでしょう。
メモリテストとストレージの健康状態確認
メインメモリの不具合やストレージ(SSD/HDD)のセクタ障害も、クラッシュの原因になり得ます。
- 「Windowsメモリ診断ツール」を使用してメモリエラーを確認
- ストレージのS.M.A.R.T情報をツール(例: CrystalDiskInfo)でチェック
エラーが検出された場合は、メモリモジュールを再装着・交換、ストレージを新しいものに換装など、ハードウェアレベルでの対策が必要となります。
最終的な相談先とハードウェア検証
すべての手順を試しても改善が見られない場合、ハードウェア自体に問題がある可能性があります。例えばマザーボードやGPU本体に初期不良や物理的損傷があると、ソフトウェア的な対処では解決できません。
- 購入元やメーカーのサポートに連絡し、保証が効くかどうか確認
- PC専門店で診断サービスを受ける
- 別のPCでGPUだけテスト動作させ、クラッシュが再現するか検証
といった方法で、ハードウェア起因の不具合を特定します。特に自作PCの場合、パーツ同士の相性問題が稀に発生することもあるため、プロのサポートを受けると安心です。
まとめ:原因を段階的に切り分けて最適な対処を
ゲームクラッシュやフリーズは、大きく分けてソフトウェア(ドライバーやOS)とハードウェア(電源やGPU本体)の両面で原因を探る必要があります。今回ご紹介したように、まずはWindowsアップデートやドライバーのクリーンインストールを最優先で行い、それでも解消しない場合はPSUやハードウェア検証を進めると効率的です。
また、特定のタイトルだけがクラッシュしやすい場合は、ゲーム独自のエラーコードやクライアント設定を見直すことで解決することも多々あります。Robloxのように、ゲーム自体がオンラインサービスと連携するケースでは、ネットワーク接続環境の再確認やサーバー側の障害情報を調べるのも忘れずに行いましょう。
トラブルを解決し、安心してゲームをプレイできるようになれば、GPU本来の性能を十二分に発揮できます。高フレームレートや美麗なグラフィックスを楽しむためにも、ぜひ本記事の解説を参考にして、快適なゲーミングライフを送っていただければ幸いです。
コメント