旅行や外出先でも普段のゲーム体験を途切れさせたくないという思いは、多くのゲーマーが抱える共通の悩みです。特に「Tomb Raider」のようにストーリー性や探索要素が強いゲームの場合、進行状況を引き継ぎたいという気持ちはなおさらです。そこで注目されるのがXbox Cloud Gamingですが、PC版のセーブデータをそのまま移行できるのかどうか、気になっている方は多いのではないでしょうか。ここでは「Tomb Raider」を例に挙げながら、PC版とXbox Cloud Gaming(以下、Xboxクラウド)のセーブデータ共有の仕組みや実用的な対策、今後の展望などを丁寧に解説します。
PC版とXboxクラウドのデータ共有の前提
PC版のゲームとXboxクラウドでのゲーム体験を同じアカウントでつなぐことは、理想的には「Xbox Play Anywhere」という仕組みによって実現されます。これはMicrosoftが公式に用意しているクロスプラットフォーム機能であり、対応タイトルならばPC版・Xbox版(クラウド版を含む)ともにセーブデータが自動同期されます。ただし、このXbox Play Anywhereに対応していない場合、基本的にはPC版とXbox版のセーブデータを直接やり取りすることはできません。
なぜXbox Play Anywhereが必要なのか
Xbox Play Anywhere対応タイトルであれば、同じMicrosoftアカウントでログインしている限り、進捗や実績などの情報が自動的に同期されます。具体的には、Xbox Liveを介して次のようなデータが共有されます。
- セーブデータ(ゲーム進行状況)
- 実績/実績解除状況
- DLCなどの追加コンテンツの購入情報
この仕組みはMicrosoft公式がサポートしているため、ユーザー側が特別な設定をしなくてもスムーズにデータがやり取りできます。一方で非対応タイトルの場合は、そもそもの設計上、セーブデータをXboxのクラウドセーブ領域にアップロードできないため、PC版とXbox版でデータを共通化する術がありません。
「Tomb Raider」シリーズの対応状況
残念ながら「Tomb Raider」シリーズ(特に2013年のリブート版「Tomb Raider」、続編の「Rise of the Tomb Raider」、そして「Shadow of the Tomb Raider」)はいずれもXbox Play Anywhereには対応していません。そのため、現状ではPC版で進めたセーブデータをXbox版やXboxクラウドへ持ち込む正式な手段は存在しないと考えられています。
Xboxクラウドのセーブデータの仕組み
Xboxクラウドゲームは、実質的にはXboxコンソール版と同じゲームアプリをリモートで動作させ、それをストリーミング配信するサービスです。このため、クラウド上でのセーブデータはXbox Liveのクラウドセーブ領域に保存されます。Xbox本体でプレイしている人と同じ環境を利用するイメージですね。
クラウドセーブは自動的に同期
XboxクラウドでプレイしているゲームがXbox Play Anywhere対応であれば、クラウドセーブが自動的に行われ、PC版でもXbox版でも同じ進捗で遊べるという仕組みです。ところが先述の通り、「Tomb Raider」はその対象外なので、この同期の恩恵を受けることはできません。
PC版とクラウド版との隔たり
「Tomb Raider」のPC版セーブデータは、通常SteamやEpic Gamesなど、購入したプラットフォームのクラウドセーブ機能(あるいはローカルフォルダ)に保存されています。一方、Xboxクラウド版はMicrosoftのアカウントを介してXbox Liveに保存されるため、両者のデータは物理的にもシステム的にもまったく別の場所に存在します。そこに公式の同期機能が無い以上、手動で取り込もうにも互換性がないため実質不可能に近い状態です。
現時点で考えられる実用的な対処法
とはいえ、「どうしてもPC版の進行状況を外出先で継続したい」という状況はあるでしょう。ただ残念ながら、「Tomb Raider」に関しては公式的な手段での移行は行えません。そこで、どうしてもという方向けにいくつかの考え方を紹介します。
1. 一からやり直す
最もシンプルではありますが、Xboxクラウド上で新たに「Tomb Raider」をプレイし直すという方法です。旅行中だけ割り切って遊ぶのであれば、物語やステージ構成を改めて楽しめる一面もあります。クリア済みのストーリーを再度体験すると、前回見落とした要素を再発見できることもあるでしょう。
2. 将来的な公式アップデートを待つ
ゲーム開発会社やMicrosoftが、今後「Tomb Raider」を含めた非対応タイトルをXbox Play Anywhere対応に変更する可能性はゼロではありません。ただし、このシリーズは発売から時間が経過していることもあり、実際に対応するかは不透明です。どうしてもデータ移行にこだわりたい場合は、公式のアップデート情報を気長に待つしかありません。
3. コミュニティや非公式ツールの活用
ネット上のユーザーコミュニティを調べると、セーブデータを別環境に移行するための非公式ツールが存在する場合があります。ただし、こうしたツールを利用した場合、以下のようなリスクがあります。
- 不正なツールによるマルウェア感染
- データの破損や整合性の崩壊
- 利用規約違反によりアカウントがペナルティを受ける可能性
特にXbox Liveのクラウドセーブ領域に直接アクセスする行為は、規約違反を含む大きなリスクを伴うためあまり推奨されません。どうしても試したい方は、自己責任で行い、事前に十分なバックアップを取るようにしてください。
他のゲームではどうなの? 比較表で見るXbox Play Anywhere対応状況
実際にどのタイトルが対応していて、どれが対応していないのかは公式サイトで確認するのが一番確実です。以下の表はあくまでも例示的なもので、実際の対応状況は公式ページ(Xbox Play Anywhere公式)をご覧ください。
ゲームタイトル | Xbox Play Anywhere対応 | PC版セーブデータ移行可否 | Xbox Cloud Gaming使用可否 |
---|---|---|---|
Forza Horizon 4 | 〇 | 〇(自動同期) | 〇 |
Gears 5 | 〇 | 〇(自動同期) | 〇 |
Sea of Thieves | 〇 | 〇(自動同期) | 〇 |
Ori and the Will of the Wisps | 〇 | 〇(自動同期) | 〇 |
State of Decay 2 | 〇 | 〇(自動同期) | 〇 |
Tomb Raider(2013年版) | × | × | 〇(ただしデータ引継不可) |
Rise of the Tomb Raider | × | × | 〇(ただしデータ引継不可) |
Shadow of the Tomb Raider | × | × | 〇(ただしデータ引継不可) |
Halo Infinite | 〇 | 〇(自動同期) | 〇 |
Microsoft Flight Simulator | 〇(※一部条件あり) | 〇 | 〇 |
このように、Xbox Play Anywhereに対応しているタイトルであれば、PC版で遊んでいたデータをそのままXboxクラウドでも使えるため、シームレスにゲームを楽しむことができます。一方で「Tomb Raider」シリーズのように対応していないゲームは、クラウドゲーミング自体は可能でもセーブデータの移行は不可能です。
将来的な動向:クロスプラットフォームの進化に期待
ゲーム業界全体としては、クロスプレイやクロスセーブの需要が高まり続けています。プレイヤーはハードウェアの垣根を意識したくないですし、メーカーにとっても複数プラットフォームで遊んでもらうことは収益やファン拡大につながります。
この潮流の中、今後はXbox Play Anywhereの対応タイトルが増えていく可能性は充分あります。また、「Tomb Raider」シリーズの新作やリマスター版などが出る場合、最初からクロスセーブ対応を検討してリリースされるかもしれません。実際に近年の大型タイトルでは、発売時点からクロスプラットフォームを意識した設計が増えてきています。
XboxとWindowsの連携強化
Microsoftは今後もXboxとWindowsプラットフォームの統合を推進していくことが予想されます。さらに、クラウドゲーミング分野は大きな市場拡大が見込まれるため、多くのタイトルがクラウドに対応したり、Play Anywhereに準じた仕組みを取り入れたりする可能性は高いでしょう。
ただし、それはあくまで今後の話であり、すでにリリースされている「Tomb Raider」シリーズに遡って実装される保証はありません。
もし出先で「Tomb Raider」を継続したいときのヒント
どうしてもPC版のデータを引き継げない以上、割り切って「旅先や外出先ではXboxクラウドを使うけれど、進行状況は別と考える」という選択肢もあります。
ここでは、少し発想を変えたアプローチを紹介します。
1. Steam DeckやゲーミングノートPCを活用する
Xboxクラウドにこだわらず、PC版の「Tomb Raider」のセーブデータをそのまま持ち運びたいなら、ポータブルなゲーミングデバイスを使う方法があります。近年ではSteam DeckのようにSteamのライブラリをそのままプレイできる携帯端末や、軽量なゲーミングノートPCが登場しています。
- Steam Deck:デスクトップPCと同じようにSteamライブラリとクラウドセーブを活用可能。PC版の進行状況をそのまま継続できる。
- ゲーミングノートPC:外出先でもPCと同じ環境でプレイできるため、セーブデータ管理が容易。性能面やバッテリーには注意。
もちろん重量やバッテリー、コスト面のデメリットはありますが、PC版セーブデータを純粋に持ち出すならこれが確実な方法です。
2. リモートプレイやクラウドPCを利用する
自宅のPCを遠隔操作してゲームをプレイできるリモートプレイや、サードパーティのクラウドPCサービスを利用する手段もあります。例えばNVIDIAのGeForce NOWやParsec、Windowsリモートデスクトップのようなサービスを応用する方法です。ただしこれらは動作の快適さが回線速度や遅延に大きく左右されるため、快適に遊べるかどうかはインターネット環境次第となります。
# Parsecを用いたリモートプレイの例(Windows)
1. 自宅のゲーミングPCにParsecをインストールし、アカウントを作成
2. 外出先のデバイス(ノートPCやタブレット)にもParsecをインストール
3. アカウントでログインし、自宅PCへリモートアクセス
4. Steamなどを起動し、「Tomb Raider」を実行
5. リモート映像を外出先デバイスにストリーミングしてプレイ
上記のように、クラウドPCやリモートプレイであれば、あくまで「自宅PCのゲームを遠隔操作する」のでセーブデータもそのまま使える利点があります。ただし、ネットワーク環境が不安定な旅行先では、安定したプレイが難しい場面もあるでしょう。
まとめ:現状「Tomb Raider」のPC版データをXboxクラウドに移行するのは不可能
以上を踏まえると、Xbox Play Anywhere非対応の「Tomb Raider」シリーズのPC版セーブデータを、そのままXboxクラウドで引き継ぐ方法はありません。どうしても旅行中にXboxクラウドで遊びたい場合は、新たに最初からプレイするか、あるいは将来的に何らかの公式アップデートがあるのを待つしかないのが現状です。
他の手段としては、Steam DeckやゲーミングノートPCを利用する、リモートプレイを駆使して外部から自宅PCにアクセスするなどの方法が挙げられますが、いずれも「XboxクラウドにPCのセーブデータを直接移行する」アプローチとは異なる解決策となります。
今後の楽しみ方
どうしても同じデータを活用したい場合、他のタイトルでXbox Play Anywhere対応のゲームを選ぶのも賢い戦略です。たとえば「Forza Horizon」シリーズや「Sea of Thieves」など、大作ゲームでもPlay Anywhere対応のものは多く存在します。
一方で、古めのタイトルや一部のサードパーティタイトルは、対応予定がないことが大半です。そのため、「Tomb Raider」をはじめ非対応タイトルでクロスプラットフォームのシームレスな体験を求めるのはハードルが高いと言わざるを得ません。
しかしゲーム業界全体の流れとしては、クロスプラットフォーム化・クラウドゲーミング化が加速しているのも事実です。将来的には、より多くのタイトルで気軽にデータを引き継ぎながら、好きなデバイス・場所でプレイできる未来が来ることを期待して、今はXbox Play Anywhere対応ゲームの充実ぶりを活用するのもよい選択肢ではないでしょうか。
この記事のポイントまとめ
- Xbox Play Anywhereとは、Microsoft公式のクロスプラットフォームサービス。対応タイトルならPC版とXbox版で自動同期される。
- 「Tomb Raider」シリーズはXbox Play Anywhere非対応。PC版のデータをXboxクラウドに移行する公式手段はない。
- XboxクラウドのセーブデータはXbox Liveのクラウドセーブ領域に保存される。PC版のデータとは紐づかないため、互換性は基本的にない。
- 実用的対処法としては、ゲームを最初からやり直す、将来的な公式アップデートを待つ、あるいはリモートプレイや携帯可能なゲーミングデバイスを利用するなどの工夫が必要。
- 今後のトレンドとしてはクロスセーブ需要が高まっており、対応タイトルが増える可能性はあるものの、「Tomb Raider」が後から対応する保証はない。
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