相手と1対1でやりとりすることが多いMicrosoft Teamsのチャット機能ですが、ふとした瞬間に「@メンションは必要なの?」と疑問に思った経験はありませんか。今回は、1対1チャットにおける@メンションの活用方法や避けた方がよい場面について、ビジネス上のマナーや具体的な事例も交えながら詳しく解説していきます。
Microsoft Teamsの1対1チャットとは?
Microsoft Teamsは、テキストチャットやビデオ会議、ファイル共有など、多彩なコミュニケーション手段を提供するツールです。なかでも1対1チャットは、チーム内での素早い相談やプライベートなやりとりに重宝される機能で、離れた場所にいるメンバー同士でもリアルタイムでの意思疎通を実現します。ここでは、1対1チャットにおける基本的な使い方と、実際のビジネスシーンでの活用メリットを整理してみましょう。
1対1チャットのメリット
- プライベートな空間でやりとりできる
グループチャットやチャネルと異なり、やりとりをする相手は1人だけ。そのため気兼ねなく相談できたり、機密事項や個別の業務連絡に適しています。 - 通知の煩雑さを抑えられる
大人数が参加するチャットでは、通知が多すぎて見逃しがちですが、1対1では一人の相手とのやりとりしか表示されないため、重要なメッセージが埋もれにくいのが特長です。 - カジュアルなコミュニケーションにも向いている
ちょっとした雑談や確認などを気軽に行えるのも大きな利点。メールより早く反応が得られるケースが多いため、テレワークやリモート環境での意思決定スピードを高めるのに有効です。
基本的な操作と@メンションの役割
Teamsのチャットでよく利用されるのが「@メンション」です。これはグループチャットやチャネルで特定の人に通知を飛ばしたいときに使われる機能で、メンションされた相手のアクティビティフィードにメッセージが強調表示されるなど、より目立つ形で通知されます。ただし、1対1チャットでは相手が一人しかおらず、通常のメッセージ送信でも相手には通知が届きます。そのため、1対1では@メンションは必ずしも必要というわけではありません。
1対1チャットで@メンションを使う際の注意点
それでは、実際に1対1チャットで@メンションを使うことはNGなのかというと、必ずしもそうではありません。ただし、使い方を誤ると相手に「押しつけがましい」「同じ通知が重複する」と捉えられる場合があります。以下では、1対1チャットでの@メンション使用時に意識すべきポイントを解説します。
1. 通常のチャット送信で相手に通知される
- 必要以上に相手を煽るリスク
Teamsの仕様上、1対1チャットでメッセージを送ると、相手のチャット一覧や通知にメッセージが表示されます。つまり、@メンションがなくても確実に相手の目に留まる可能性が高いのです。そのため、そこにさらに@メンションが加わると「通知が二重」に感じられることも。 - 不要な心理的プレッシャーをかける
@メンションは強調された通知を相手に送る手段ですが、1対1チャットの場合、「特に急ぎでもないのに@メンションされた」と相手が過度にプレッシャーを感じてしまう場合があります。相手の状況によっては返信を急かされているように捉えられかねないので注意が必要です。
2. グループチャットやチャネルでこそ@メンションは活きる
- 複数メンバーがいる場合に効果的
たとえばチーム内で5人以上が参加している会議用のチャットや、組織単位の大人数が集まるチャネルでは、メッセージが流れてしまいがち。そんなときに@メンションで「@山田さん」「@営業チーム」などと特定のユーザーやグループに伝達すれば、相手が見逃しにくくなります。 - 個別対応が明確になる
チャンネルやグループチャットでは、それぞれが話しているトピックや文脈が混ざり合うことも多いです。そんなとき、@メンションを使って特定の人に対して「これ、山田さんに対応してほしいです」と指示を出せば、誰がアクションすべきかが一目瞭然になります。
3. ビジネス上のマナーと@メンション
Teamsはビジネス利用が主流なため、相手に不快感を与えない使い方が求められます。以下の点に気をつけることで、1対1チャットでも円滑なやりとりを実現できるでしょう。
- 不要な@メンションは避ける
特別に強調したい理由や至急の依頼がある場合を除き、1対1での@メンションは控えめにしましょう。相手に「いちいちメンションされてうるさい」と思われる可能性もあるからです。 - メッセージをまとめて送る
相手の通知回数が増えるのを避けるためにも、複数の用件がある場合はまとめて一つのメッセージに記載するのが望ましいです。断片的にポンポン送ると、通知が連続して相手の集中力を削ぐかもしれません。 - 緊急度合いの明示
本当に急いでいる場合や、その日のうちに確認してほしい場合は、@メンションよりも「明日までに対応をお願いします」といった期限をはっきり伝える方が誤解を生みにくいです。
なぜ1対1チャットで@メンションが敬遠されることがあるのか?
たとえ小さな業務でも、「圧迫感がある」「わざわざ@メンションしなくても…」といった相手の心理が働いてしまう場合があります。以下に代表的な理由をいくつか挙げてみます。
心理的負担の増加
Teams上での@メンションは視覚的にもメッセージが目立ちます。緊急性がないやりとりでも、わざわざ@メンションされると「急がなきゃ」と思わせる効果があるのです。受け取る相手が多忙であればあるほど、心の負担は大きくなるかもしれません。
本来の機能用途とのズレ
Microsoft Teamsを設計した背景として、@メンションは特定のメンバーに着目してもらうための手段として導入されました。つまり、大人数の中から誰か一人に焦点を当てるケースが主な使用シーンです。1対1チャットの場合は「すでに相手は一人しかいない」ので、本来の用途と異なる状況であるといえます。
通知が多いほど疲弊しやすい
Teamsのみならず、多くの企業や組織ではメールや電話、Slack、チャットボットなど、さまざまな連絡ツールを併用しています。そこに何度も@メンションが飛び交うと、通知疲れが起きやすいのは想像に難くないでしょう。
1対1チャットで@メンションを使う場面とは?
とはいえ、1対1チャットにおいても@メンションが役立つケースが全くないわけではありません。以下のような状況なら、あえて@メンションを使う意味があるかもしれません。
1. すぐにレスポンスが欲しい場合
- 緊急案件や締め切り間近
例えば「今日中に稟議を回してほしい」といった切羽詰まった状況で、確実に相手の目を引く必要があるとき。メールや通常チャットだと見落としのリスクがある場合は、@メンションで相手に強くアピールするのも一つの方法でしょう。 - 普段既読スルーされがちな相手
中には忙しすぎてチャットを確認できない上司や同僚もいます。業務に大きな影響があるのに放置されてしまうようなケースでは、@メンションを使ってもよいかもしれません。ただし、あまりに連発すると逆効果になるため、タイミングや緊急度を吟味することが大切です。
2. 特別な強調が必要な依頼や連絡
- プロジェクトの要点を明確化したいとき
例として、1対1でプロジェクトの重要事項を共有する場合や、特定の日程を確定させたい場合などがあります。口頭説明では伝わりづらい部分を明確に示すために、あえて@メンションを使って「ここを確認してください」と強調するパターンです。 - 相手にメッセージをタグ付けしやすくしてあげる
メンションされたメッセージは検索やフィルタリングで見つけやすくなります。これを活かして、相手が後で振り返る際に目印となるように@メンションを付けるという使い方も考えられます。
Teamsの通知設定と@メンションの関係
Teamsには通知設定を細かくカスタマイズできる機能があります。1対1チャットであっても、相手が通知設定を変更していれば、メッセージの見え方や通知のタイミングが異なる場合があります。
通知設定の見直しポイント
- バナー通知とフィード通知
Teamsでは「バナー通知」と「アクティビティフィード通知」の2種類が存在します。通常、@メンションを受けた場合は両方の通知が表示される初期設定になっていますが、ユーザー自身が「バナーはオフ」「フィードのみオン」にすることも可能です。 - メール通知の有無
長時間Teamsから離れていたりオフラインだったりすると、一定時間後に「未読のチャットをメールで通知」する設定になっているケースもあります。@メンションが重複して送られてくると、相手のメールボックスをさらに圧迫する恐れもあるでしょう。
設定例を表で紹介
下記のように通知を細分化することで、不要な@メンションによるストレスを減らしつつ、重要な連絡を見逃さない工夫ができます。
通知項目 | 設定例 | 効果 |
---|---|---|
チャットの通知 | バナー+フィード | 新規チャット受信時にすぐに認識できる |
@メンションの通知 | バナー+フィード | 強調表示でアクティビティに追加し、見逃しを防ぐ |
メールでの通知 | すぐに送信しない | Teamsを離れた時だけメール通知を受け取りたい場合に有効 |
音声通知 | オフ | 周囲の迷惑を避けたい場合や、集中したい場合におすすめ |
このように相手側の通知設定次第では、@メンションの効果や感じ方も変わってきます。1対1チャットでは相手の通知設定を把握することは難しいですが、「@メンションは念のため」くらいの安易な使い方をすると思わぬ反感を買うかもしれません。
実践的な使い分けのコツ
1対1チャットでの@メンションは「基本的には使わなくてもよい」が結論ですが、実際にビジネス上のコミュニケーションでは状況によって使い分けが必要です。ここでは、意識しておきたい3つの視点を紹介します。
視点1:相手の負担感を最小化する
- 「相手が忙しいかもしれない」という視点
在宅勤務や時差出勤など、働き方が多様化する現代では、チャットの返信に即時対応できない人も多いです。「いつでも手が空いているわけではない」という前提に立ち、@メンションの利用は慎重にするのが相手の気持ちへの配慮となります。 - 内容を簡潔かつ明確に
長文のチャットや煩雑な言い回しだと、せっかく@メンションを使っても相手が読むのを面倒に感じてしまうかもしれません。要点を絞った短い文章で、必要な情報をしっかり伝えましょう。
視点2:やりとりの緊急度・重要度を明確化する
- 優先度を設定する
Teamsには「重要」「緊急」というラベルを付与する機能があります。これを活用するとチャットメッセージ自体に視覚的なラベルが付くだけでなく、緊急の場合は一定間隔で相手へ通知を繰り返すことも可能です。@メンションだけでなく、こういった機能も活用すると相手に対して「この連絡は本当に急ぎなのだ」と伝わりやすくなります。 - メールとの使い分けも検討する
チャットはリアルタイム性が高い一方で、メールは保存性に優れており、かつ相手の受け取り方が柔軟です。例えば「本日中に確認が必要だけど、そこまで至急ではない案件」はメールで送っておき、相手が気づいていない場合にのみチャットで追撃する、といったハイブリッドな使い分けも考えましょう。
視点3:相手とのコミュニケーションの質を上げる
- 相手が見やすいタイミングを選ぶ
オンライン会議中や外出中にチャットが集中すると、相手の作業効率を下げかねません。@メンションを使って「見落とし」を防ぐつもりが、かえって「通知過多」で逆効果になることもあるでしょう。相手のスケジュールを考慮した上で送るタイミングを工夫するのも、ビジネスコミュニケーションの一環です。 - フォローアップを丁寧に
返信が遅れている場合や意思疎通がうまくいっていないと感じたら、催促するだけでなく「何かサポートが必要でしょうか?」と添えるなど、思いやりを示すと相手の負担感を和らげることができます。短い言葉でも思いやりを込めるだけで印象は大きく変わるものです。
ケーススタディ:1対1チャットでの@メンション実例
ここでは、実際にどんな場面で@メンションが役立つか、あるいは控えるべきかを具体的に示してみましょう。
ケース1:納期直前のドキュメントチェック
- 状況
来週のプレゼン資料の納期が迫っており、上司に最終チェックを依頼したい。通常のチャットメッセージを送ったが、忙しそうで返事が来ない状態。 - @メンション活用の判断
このような切羽詰まった状況なら、@メンションを使って一度だけ上司に「@上司、こちらのプレゼン資料をご確認いただけませんか?」と送るのは効果的です。ただし、何度も連投すると逆効果なので要注意。
ケース2:日程調整のリマインド
- 状況
クライアント訪問の日程を決めたいが、なかなか相手が「検討中」と言ったまま返信が来ない。 - @メンション活用の判断
その日のうちに決定しなければならないほどの急ぎでなければ、@メンションではなくチャットに「前回のご連絡から数日経ちますが、いかがでしょうか?」と穏やかに確認するとよいでしょう。相手の都合を尊重する姿勢を示した方が、今後のコミュニケーションも円滑になります。
ケース3:1対1なのにテンポよく意見交換がしたい
- 状況
プロジェクトのブレストを2人だけで行っており、テンポよく意見を出し合いたい。深夜や早朝など時間帯が合わず、相手がチャットに気づいていないことがある。 - @メンション活用の判断
そもそも「ブレストしたい」のであれば、ビデオ会議や音声通話を利用する方がスピーディーです。@メンションはあくまでも通知を強調する機能なので、チャットで無理にテンポを上げるよりも、別の機能に切り替えた方が結果的に効率的でしょう。
1対1チャットと他機能との連携例
Microsoft Teamsでは、チャット以外にもさまざまな連携機能やアプリが存在します。1対1チャットに頼り切るよりも、ケースによっては他の機能や外部アプリを使うことで、やりとりをスムーズに進められる場合があります。
ファイル共有とチャットの組み合わせ
- SharePointやOneDriveを活用
ファイルを共有しておき、コメント欄でディスカッションを行うという方法があります。こうすることで、ドキュメントに直接コメント履歴が残り、チャット欄の流れとは切り離して管理できるのがメリットです。 - 自動アラートを設定
SharePointや他の業務アプリケーションによっては、タスクが更新されたらTeamsへ自動通知するワークフローを組むことも可能です。これにより、わざわざ@メンションで個別に伝える必要が減るかもしれません。
Power Automateによるワークフロー
- 承認依頼の自動化
1対1チャットで上司に承認をお願いするかわりに、Power Automateの「承認機能」を利用すると、上司に承認依頼の通知が届くうえ、そのままワンクリックで応答をもらえます。Teams上にアプリとして組み込むことができるので、通知の煩雑さを軽減しながらも必要なプロセスを確実に回すことができます。 - 定期的なリマインドの自動化
毎週・毎月定期的に確認や報告を依頼するのであれば、手動で@メンションを送るより、ワークフローを組んで自動的にリマインドを送らせる方が楽です。相手が忙しくても、一定のタイミングで必ず通知が届き、しかも個人的な圧迫感を与えにくくなります。
コードブロックで見るTeamsのメッセージ送信例(Microsoft Graph API)
少し上級者向けにはなりますが、Teams上のメッセージはMicrosoft Graph APIを利用して送信することも可能です。開発者やIT部門でカスタマイズを行う際、@メンションを含むメッセージの送信方法を理解しておくと、機能拡張がしやすくなります。
以下は、Microsoft Graph APIを使って特定ユーザーにチャットメッセージを送信する際の例です(あくまで概念的なコード例になります)。
POST https://graph.microsoft.com/v1.0/chats/{chat-id}/messages
Authorization: Bearer YOUR_ACCESS_TOKEN
Content-Type: application/json
{
"body": {
"contentType": "html",
"content": "Hello <at id=\"0\">Yamada-san</at>, can you please review this?"
},
"mentions": [
{
"id": 0,
"mentionText": "Yamada-san",
"mentioned": {
"user": {
"id": "USER_GUID_OF_YAMADA"
}
}
}
]
}
上記のように、<at id="0">~</at>
部分とmentions
配列を用いることで、メンションを含んだメッセージを送信できます。これを自動化すれば、特定のトリガーが起きたときに@メンション付きメッセージを送信することも可能です。ただし、1対1チャットにおける過度なメンションをAPIで大量に飛ばしてしまうと、相手から嫌がられる恐れがある点は変わりません。技術的にできるからといって、必ずしもやるべきとは限らないのです。
まとめ:1対1チャットは「@メンションなし」でも十分通知される
以上のように、Microsoft Teamsの1対1チャットでは、通常のメッセージ送信だけでも相手に通知は届きます。@メンションはあくまで「特に相手の注意を引く必要がある場合」や「大人数チャットで埋もれがちなメッセージを確実に拾ってほしいとき」にこそ、その真価を発揮します。
- 1対1チャットでの@メンションは基本的に不要
相手に通知を送るためだけなら、メッセージを送信すれば十分です。重複して通知が行われるリスクや心理的圧迫感を避けるため、無闇に@メンションを多用しないようにしましょう。 - 緊急度や重要度が高い場合は使う
どうしても速やかに反応が欲しい場合や、相手が見落としがちであると分かっているケースでは、@メンションが有効になります。1回だけ、タイミングを見計らって使うなど、ルールを決めておくとスムーズです。 - ビジネスマナーを意識した使い分け
ビジネス上のコミュニケーションでは、相手への配慮が重要です。優先度を明確にする、まとめて依頼する、相手の負担感を抑えるといった基本を押さえるだけでも、双方にとって気持ちのよいやりとりになります。
1対1チャットはTeamsを使いこなすうえで頻度の高い機能ですので、ちょっとしたコツを押さえておくだけで日々のやりとりが格段に快適になります。「何でもかんでも@メンション」ではなく、状況に応じた賢い使い分けを心がけて、円滑かつ効率的なコミュニケーションを目指しましょう。
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