UbuntuでMicrosoft Teamsの画面共有ができない時の対処法と解決策

Ubuntu環境でMicrosoft Teamsを利用していて、画面共有が思うようにいかないと、重要なオンライン会議や共同作業に支障が出てしまい、不安やストレスを感じることがあるかもしれません。そこで本記事では、Ubuntu上でMicrosoft Teamsの画面共有に問題が生じる原因や、具体的な解決策を丁寧に解説します。やさしく手順を紹介していくので、ぜひ最後までご覧ください。

UbuntuとMicrosoft Teamsの相性問題の背景

UbuntuなどのLinuxディストリビューションでMicrosoft Teamsを利用するユーザーが増えてきました。しかし、全体のユーザー数ではWindowsやMacほど多くないため、どうしても一部機能に不具合や相性問題が生じることがあります。
とくに「画面共有」がうまくいかないという声はたびたび耳にします。最初はカメラやマイクには問題がないのに、いざ画面を共有しようとするとエラーが出てしまったり、相手に画面が反映されなかったりするのです。こうした症状の原因の一つが、Ubuntuのディスプレイプロトコルとして採用される場合のある“Wayland”とTeamsの互換性の問題だと考えられます。

WaylandとXorgの違いが及ぼす影響

Ubuntuでは、過去にはXorg(X Window System)が主流でしたが、新しいディスプレイサーバープロトコルとしてWaylandが導入されつつあります。セキュリティ面や描画性能の向上など、Waylandにはさまざまなメリットがあります。しかし、まだ完全に互換性が確立されていないアプリケーションも多く、Microsoft Teamsもその一つだと言われています。

Waylandで起こりうる不具合

Wayland環境下でTeamsを使うと、以下のような不具合が報告されることがあります。

  • 画面共有を開始しても、共有画面が相手に正しく映らない
  • ビデオ通話中のカメラの接続が切れてしまう
  • マイク設定やオーディオ設定が思うように反映されない
    こうした症状は常に起こるわけではありませんが、一度でも発生すると大事な会議を台無しにしてしまう懸念があります。

Xorgへの切り替えによる解決策

Waylandが原因と考えられる場合、最も手早い対処法は、Xorgを使ってUbuntuを起動し直すことです。Xorgは長い歴史を持ち、多くのアプリケーションとの互換性も高いため、Teamsでも安定して画面共有ができるケースがほとんどです。

UbuntuでのWayland無効化(GDM3の場合)

Ubuntuデスクトップ環境では、標準のディスプレイマネージャとしてGDM3が採用されることが多いです。GDM3を使っている場合、以下の手順でWaylandを無効化しXorgを有効にできます。

手順1:設定ファイルの編集

  1. 端末(ターミナル)を開き、以下のコマンドを入力します。
sudoedit /etc/gdm3/custom.conf


これは/etc/gdm3/custom.confという設定ファイルを管理者権限で編集するためのコマンドです。

  1. 設定ファイルを開いたら、#WaylandEnable=falseという行を探します。
  • デフォルトではコメントアウトされている状態(行頭に#が付いている)です。
  • 先頭の#を削除し、WaylandEnable=falseとしてコメントアウトを解除します。
  1. ファイルを保存しエディタを終了します。

手順2:GDM3の再起動

Waylandの無効化設定を反映させるには、システムを再起動するか、GDM3そのものを再起動する必要があります。以下のコマンドを使えば、システムを丸ごと再起動しなくても済む場合があります。

systemctl restart gdm3


ただし、再起動によってセッションが切断されるため、作業中のデータは事前に保存しておきましょう。

手順3:Xorgでのログインを確認

再起動後にログイン画面が表示されたら、通常は自動的にXorgセッションでログインされるようになります。ログイン画面で歯車アイコンなどから「Ubuntu on Xorg」を選択できる場合もあるので、確実にXorgセッションを選んでログインしてみてください。

他のディスプレイマネージャを使っている場合

Ubuntuの派生ディストリビューションやカスタマイズ環境では、LightDMやSDDMなど、GDM3以外のディスプレイマネージャを利用している可能性があります。その場合、Waylandを無効化する手順や設定ファイルの場所が異なるので注意が必要です。

各ディスプレイマネージャでの参考設定

ディスプレイマネージャ設定ファイルの例Wayland無効化のポイント
GDM3/etc/gdm3/custom.confWaylandEnable=false を設定
LightDM/etc/lightdm/lightdm.confgreeter-session=lightdm-gtk-greeter など、Waylandセッションが選択されないように設定
SDDM/etc/sddm.confDisplayCommand、SessionCommandなどでWaylandセッションを無効化

ディスプレイマネージャが異なる場合はそれぞれの設定ファイルに記載されているオプションをチェックし、Waylandセッションを使わないようにするのが基本方針です。

Waylandを無効化できない、または無効化したくない場合

セキュリティや最新のグラフィック機能のため、あえてWaylandを使い続けたい方もいます。また、特定のアプリやハードウェア環境との相性から「Xorgに戻したくない」というケースもあるでしょう。そのような場合に考えられる対策を紹介します。

Microsoft TeamsのWeb版を利用する

Ubuntu上のブラウザ(Google ChromeやFirefoxなど)から、Web版のMicrosoft Teamsにアクセスしてみてください。

  • Teamsデスクトップアプリの機能より制限はあるものの、画面共有自体は比較的スムーズに行えることがあります。
  • 特にGoogle ChromeやChromium系ブラウザでは、Web会議システムとの相性が良いケースが多いです。

システムを最新バージョンにアップデートする

WaylandとTeamsの互換性に関する問題は、徐々に改善が進んでいます。UbuntuやTeamsのアップデートによって、いつの間にか問題が解決している場合もあります。

  • 端末でsudo apt update && sudo apt upgradeを実行し、システムを最新状態に保つ
  • Microsoft Teams自体も最新のバージョンに更新
    こうしたメンテナンスの積み重ねで、画面共有の不具合が改善する可能性があります。

Snap版やDeb版などパッケージ形式を切り替えて試す

Microsoft Teamsは、Debパッケージ版とSnap版(ストア経由)など、複数のインストール形態があります。パッケージ形式によってライブラリの依存関係や挙動に差が出るケースがあるため、以下の手順で切り替えを試してみるのも一つの方法です。

  1. 現在インストールしているTeamsをアンインストール
  2. 違うパッケージ形式のTeamsを新規インストール
  3. 正しく動作するか確認

画面共有以外のよくあるトラブルと対処法

Microsoft Teamsで画面共有がうまくいかない場合、ほかの機能にも何らかの不具合が生じている場合があります。ここでは、よくあるトラブルとその対処法をいくつか挙げてみます。

音声やマイクが認識されない

  • 音声入出力デバイスの確認: Ubuntuの「サウンド設定」で正しいマイク・スピーカーが選択されているか確認
  • Teamsのデバイス設定: Microsoft Teams内の設定から、オーディオデバイスが期待通りに設定されているか再度確認
  • パルスオーディオの再起動: pulseaudio -kコマンドでPulseAudioを再起動し、再接続を試す

カメラ映像が表示されない

  • カメラの接続確認: USBカメラの場合は接続ポートの変更や、他のデバイスでカメラが使えるかテスト
  • 権限設定の確認: snap版のTeamsの場合、カメラアクセスが制限されていることがあるため、snap connections teamsなどで権限の状況をチェック
  • gstreamerやv4l2loopbackの導入: カメラが正しく認識されない場合、関連するライブラリを追加インストールすると改善することがある

画面共有成功へのポイントまとめ

ここまで紹介したポイントをまとめると、以下のステップが効果的です。

ポイント一覧

ポイント具体的なアクション
WaylandからXorgへの切り替えGDM3などの設定ファイルを編集し、WaylandEnable=false と設定。再起動後にXorgセッションでログイン。
Teamsアプリの更新最新バージョンのMicrosoft Teamsをインストール。Deb版、Snap版などを試す。
システムのアップデートsudo apt update && sudo apt upgrade でUbuntu自体を最新状態にする。
Web版の利用ブラウザ経由でTeamsを使用すると、画面共有が安定する場合がある。
権限・デバイス設定の確認サウンドやカメラの設定、snapの権限設定を見直す。

まとめ:安定したオンライン環境を目指して

Ubuntu上でMicrosoft Teamsを利用するときに、画面共有などの一部機能が不安定になってしまうのは残念ですが、ここで紹介したように対処法はいくつも存在します。Ubuntuの進化やMicrosoft側のアップデートによって、徐々に改善されている部分も多いので、最新バージョンを常にチェックしながら、最適な運用環境を整えていきましょう。

もし「セキュリティの観点でWaylandが良い」と思っている場合は、やはりWeb版Teamsの活用や、時間のあるときに別のディスプレイマネージャで試してみるなどのアプローチも検討してみてください。
オンライン会議をスムーズに進行できるようになると、リモートワークや在宅勤務の生産性もグッと上がります。今回の記事が、UbuntuでのMicrosoft Teams環境を整える参考になれば幸いです。

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