Microsoft Edgeでローカルネットワーク上の特定サイトにアクセスしようとしたとき、他のブラウザーでは問題なく表示されるのにEdgeだけがエラーを返してしまうと、なかなか原因が分からず戸惑うものです。特にmacOSをアップグレードしたタイミングで突然エラーが発生すると、OS側のセキュリティ設定やアプリへのアクセス許可が変化している可能性も考えられます。本記事では、「ERR_ADDRESS_UNREACHABLE」が表示される原因や対策法を中心に、詳しく解説していきます。
「ERR_ADDRESS_UNREACHABLE」とは?
「ERR_ADDRESS_UNREACHABLE」は、特定のサイトに対してブラウザーから要求された通信が届かない、または着信先が見つからない状況で発生するエラーコードです。一般的には次のような原因が考えられます。
- ネットワーク接続自体の問題(IPアドレスの競合やWi-Fi接続不良など)
- ファイアウォールやセキュリティソフトによる通信ブロック
- アプリ側のローカルネットワークアクセス許可がオフになっている
- OSやブラウザーの設定不備(ローカルホストや内部IPの扱いに関する問題)
一方、ほかのブラウザー(Chrome、Safariなど)では正常にアクセスできるという状況であれば、Edge特有の設定やOSとのアクセス権限周りで問題が起きている可能性が高いと考えられます。
macOS Sequoia(15)で発生しやすい背景
- macOS Sequoia(15)では、ローカルネットワークにアクセスするアプリを一元管理する仕組みが強化されており、アップデートのタイミングで設定がリセットされてしまうことがあります。
- アップデート後にEdgeだけローカルネットワークアクセスが許可されていない、または権限がリセットされている場合は、アクセス許可を再度オンにしなければならないケースがあります。
macOS側のプライバシー設定を見直す
macOS Sequoia以降では、アプリごとのローカルネットワークアクセスに対して明示的な許可設定が必要です。ここがオフになっていると、Edgeだけ通信がブロックされるケースがあります。
手順
- 「システム設定」を開く
DockやメニューバーのAppleアイコンから「システム設定」を選択します。 - 「プライバシーとセキュリティ」を選択
側面のメニューから「プライバシーとセキュリティ」をクリックします。 - 「ローカルネットワーク」を確認
一覧から「ローカルネットワーク」またはそれに類する項目を探します。 - Microsoft Edgeへのアクセスを許可する
リストの中にMicrosoft Edgeが表示されている場合はオンにします。表示されない場合は「+」などのボタンで追加し、アクセス許可をオンにします。 - 設定を反映させる
設定を変更したら、念のためEdgeを再起動し、アクセスを試してみましょう。状況によってはMac自体の再起動が必要な場合もあります。
再度リセットされる可能性
EdgeやOSをアップデートするたびに設定がリセットされる場合があります。その際は、再度同じ手順でプライバシー設定をチェックしてください。
Edgeだけパケットを送信していない?原因を掘り下げる
他のブラウザーに比べてEdgeだけエラーになる場合、そもそもEdgeが接続リクエストを送っていない可能性があります。これはOSレベルでアプリが通信をブロックされているか、またはEdge自体の内部設定が原因として考えられます。
主な原因 | 対策方法 |
---|---|
macOSのローカルネットワーク許可がオフ | 「プライバシーとセキュリティ」→「ローカルネットワーク」でEdgeをオンにする |
EdgeのキャッシュやCookieの不整合 | Edgeの閲覧履歴やCookieをクリアして再起動 |
ファイアウォール・ウイルス対策ソフトの設定 | セキュリティソフト上でEdgeがローカルネットワークにアクセスできるかを確認 |
VPN・プロキシの影響 | VPNを一時的にオフ、あるいはプロキシ設定を見直す |
macOSアップデートによる不具合 | OSを最新の修正パッチにアップデートし、再起動 |
Edgeのみ通信できないときの確認項目
- 他のアプリ(Terminalなど)でpingを打つ
ローカルIPやホスト名に対してpingを行い、応答があるか確認します。 - Edgeの「開発者ツール」からネットワークタブを確認
そもそもリクエストが送信されているかどうか、HTTPステータスやエラーコードが何であるかをチェックします。 - コンソールログでブロックログを探索
Macの「コンソール」アプリからEdge関連のログを調べ、ファイアウォールやシステムがブロックしていないかを確認します。
ローカルネットワークアクセスがブロックされるケース
macOS Sequoiaでの強化されたプライバシー機能によって、ユーザーがはっきりと許可しない限り、アプリのローカルネットワークアクセスは制限される可能性があります。企業などの管理環境では、MDM(Mobile Device Management)ツールによってポリシーが自動適用されるケースもあるため、個人の環境とは設定方法が異なることもあるでしょう。
システム管理者が設定している場合
- 組織管理下のMacを使用していると、システム管理者によってEdgeのローカルアクセスが制限される可能性があります。
- その場合は、管理者に問い合わせてポリシーの確認・変更が必要です。
一時的な不具合への対処:再起動と再ログイン
ソフトウェアやOSの不具合で一時的にネットワークを認識できない場合もあります。再ログインやマシン再起動で、問題が解消されることがあります。
- macOSで再ログイン
Appleアイコンから「ログアウト」を選択し、再度ログインしてEdgeを起動してみます。 - 再起動を試す
ログアウトでも解決しない場合は、Macを再起動し、改めてEdgeの動作を確認しましょう。
再起動後も改善しない場合
再起動で改善する場合はソフトウェアの一時的な不具合が疑われますが、再起動後も同じエラーが繰り返される場合は設定側の問題である可能性が高いので、引き続きプライバシー設定やファイアウォール、セキュリティツールなどを点検してください。
Edgeのアップデートと相性問題
Edge自体のバージョンが古い、または最新のmacOSと相性が合わないケースも考えられます。特定のバージョンで不具合が報告されると、すぐに修正パッチがリリースされる場合もあります。
アップデート手順
- Edgeを開く
画面上部のメニューバーから「ヘルプとフィードバック」→「Microsoft Edge について」を選択します。 - アップデートを確認
利用可能な更新プログラムがある場合、自動的にダウンロードとインストールが開始します。 - 再起動
アップデート完了後、ブラウザーを再起動して問題が解決したか確認します。
DNSやホストファイルの問題の可能性
Edgeだけでなく、OS全体のDNS設定やホストファイルが問題を起こしている場合もありますが、他のブラウザーが正常動作しているならDNSやホストファイルの汚染リスクは低めです。ただ、特定の条件下でEdgeが独自にDNSキャッシュを使っているケースも考えられます。
DNSキャッシュをクリアする
ターミナルから以下のコマンドを実行すると、macOS全体のDNSキャッシュをクリア可能です(バージョンによりコマンドが異なる場合があります)。
sudo killall -HUP mDNSResponder
実行後に再度Edgeでアクセスを試してみましょう。
VPNやプロキシ設定をチェック
VPNやプロキシを利用している環境では、Edgeだけが正しくルーティングされず、ローカルネットワークへの到達に問題が生じる場合もあります。特にVPNの設定で「ローカル接続をVPN経由にしない」オプションがオフになっていると、ローカルリソースにアクセスできなくなることがあります。
対策例
- VPNを一時的に切る
VPNをオフにしてEdgeでアクセス確認し、問題の切り分けを行います。 - プロキシ設定を見直す
システム全体またはEdge単独でプロキシが設定されていないか確認し、不要ならオフに切り替えます。
サーバー側の動作確認
ローカルネットワーク上のサイトをホストしているサーバー自体に問題がある場合も考えられます。しかし、ChromeやSafariで問題なく表示されるならサーバー側の設定が問題である可能性は低いといえます。念のため、簡易的なHTTPサーバーを立ち上げるなどして、Edgeでのアクセス状況を比較してみると原因を絞り込みやすくなります。
テスト方法
- 簡易HTTPサーバーを起動
例えばPython環境があれば、ターミナルでpython -m http.server 8000
のようにコマンドを実行し、ポート番号を指定して起動します。 - ブラウザーからアクセス
SafariやChrome、Edgeなど異なるブラウザーでhttp://<MacのIPアドレス>:8000
にアクセスし、それぞれの挙動を比較します。 - Edgeだけ接続できない場合
Edgeの設定かOSのアクセス許可設定の問題である可能性が高いと判断できます。
ファイアウォールとセキュリティソフトの影響
macOS標準のファイアウォール設定やサードパーティ製のセキュリティソフトが、ローカルネットワークへのアクセスをブロックしている場合があります。特に最新OSへのアップデート後は、セキュリティレベルが変わり、アプリごとのルールが上書きされることもあります。
ファイアウォールの例外設定を確認する
- 「システム設定」→「ネットワーク」または「プライバシーとセキュリティ」
macOSのバージョンによって名称が異なることがあります。 - ファイアウォールのオプションを開く
ファイアウォールがオンになっている場合、アプリケーションの受信接続を許可するリストがあります。 - Microsoft Edgeの項目を確認
ここでEdgeが許可されていない場合は、受信接続を許可するように設定し直します。
Edgeの初期化(設定リセット)を試す
どうしても改善しない場合は、Edgeの設定を初期化する方法もあります。ただし、保存しているパスワードやブックマーク、閲覧履歴などが消える恐れがあるため、事前に同期やバックアップを取っておくのがおすすめです。
設定リセットの手順
- Edgeの「設定」画面を開く
右上の「…」メニューから「設定」を選択します。 - 「リセットとクリーンアップ」を探す
「プロファイル」や「プライバシー、検索、サービス」などの項目内に、設定をリセットするオプションがある場合があります。 - リセットを実行
リセットを実行すると、拡張機能や一部の設定が初期化されるため、再度アクセスを試してみましょう。
頻出するトラブルシューティングのポイント
下記のような追加の確認事項も、Edgeで「ERR_ADDRESS_UNREACHABLE」が発生する際に有効です。
- macOSの更新を再度確認する
15.0.1などマイナーバージョンアップが公開されている場合があります。 - Edge Canary版を試してみる
Edgeの開発者向けバージョンであるCanary版を試すことで、最新の修正が含まれるかどうか検証できます。 - デュアルスタック環境(IPv4/IPv6)のトラブル
IPv6のアドレスが優先されていると、ローカルネットワーク環境で通信エラーを起こす場合があります。 - 企業ネットワークの場合は管理者に相談
ポリシーやグループポリシー設定でブロックされている可能性があります。
まとめ:ポイントを整理する
- macOS Sequoiaのプライバシー設定
Edgeがローカルネットワークアクセスを許可されているかをチェック。 - ファイアウォールやセキュリティソフトの設定
アクセスがブロックされていないか、例外設定を見直す。 - VPN・プロキシ設定を解除
一時的にVPNをオフにして、問題の切り分けを行う。 - 再ログイン・再起動の実施
一時的な不具合なら再起動で解決する可能性も。 - Edgeのアップデートと初期化
バージョンアップで不具合が解消される場合もあり、最終手段としてはリセットも検討。
メリット・デメリット
対策のメリット | 対策のデメリット |
---|---|
・Edgeでも問題なくローカル環境にアクセスできるようになる ・macOS標準のセキュリティをより理解し、管理できる | ・OSアップデート時に再度設定が必要となる場合がある ・稀にリセットを繰り返す手間が発生する |
最終的なチェックとおすすめの流れ
- ローカルネットワークの許可を確認
macOSの「プライバシーとセキュリティ」からEdgeをオンに設定 - 他ブラウザーの動作確認
ChromeやSafariでアクセスできるかどうか、事前にチェック - Edgeのキャッシュクリアや初期化
不要ファイルが原因でアクセス不具合を引き起こしていないか - OSアップデート・再起動
最新状態かどうかを確認し、動作が不安定な場合は再起動 - セキュリティソフトやVPNのオフ・例外設定
ソフトによるブロックやVPNの競合がないかを確認
こうした流れで問題を切り分け、最終的にmacOS Sequoia環境でEdgeからローカルネットワークアクセスを復旧させることが目標です。一度設定を見直せば、今後のアップデートで再度問題が起きても、どこを確認すれば良いか分かりやすくなります。
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