マルチプレイ中心に「前触れなくデスクトップへ落ちる」――NBA 2K26 でいま最も多い相談のひとつです。高性能な新PC・Windows 11・Steam版という条件でも再現し、2K25時代から続く人もいます。本稿は実際の DMP 解析で c0000005 / INVALID_POINTER_READ を確認した事例を軸に、原因の芯を突きつつ、現実的に効く回避策と再発防止の運用までを一気通貫でまとめました。
症状と前提:再現条件の整理
- 症状:エラーメッセージなしで突然クラッシュし、Windows のデスクトップへ戻る。特にマルチプレイ中に発生しやすい。発生間隔は不定(1 時間に 1~3 回など)。
- 環境:推奨スペックを大きく上回る新 PC、Windows 11、Steam 版。他のゲームでは問題なし。
- 既に試した一般的対策:管理者起動、オーバーレイ全停止、整合性チェック/再インストール(別ドライブ含む)、GPU ドライバー DDU→最新クリーン導入、クリーンブート、モバイル回線での検証、Windows イメージ修復、低設定プレイ等。いずれも効果なし。
- 履歴:旧 PC の NBA 2K25 でも同様の症状あり。
結論の先取り:どこに原因があるのか
複数マシンで再現し、他タイトルは安定していること、DMP 解析で NBA2K26.exe 内の AmdPowerXpressRequestHighPerformance 呼び出し周辺で Access Violation (c0000005)/INVALID_POINTER_READ が出ていることから、OS やドライバー単独ではなく、ゲーム内の GPU 切替関連処理に起因する不正メモリアクセス(ポインタ参照バグ)が最有力です。
観点別の評価
| 観点 | 根拠 | 結論 |
|---|---|---|
| Windows 側の不具合? | 2 台の PC で同症状/他ゲームは正常 | 可能性低い |
| ゲーム側のバグ? | DMP 解析:例外 c0000005(Access Violation)、NBA2K26.exe 内 AmdPowerXpressRequestHighPerformance で INVALID_POINTER_READ | 可能性高い |
| RADAR_PRE_LEAK イベント | 2 週間前に単発で記録。以後は出ていない | 直接要因とは考えにくい |
注:コミュニティの受理回答でも「Windows ではなくゲーム側の問題」という結論が示されています。
技術的背景:なぜ AmdPowerXpress が関わるのか
Access Violation (c0000005) は、プログラムが無効領域や解放済みメモリを参照/書き込みした際に発生する代表的な例外です。AmdPowerXpressRequestHighPerformance は AMD のマルチ GPU 切替(PowerXpress/SmartShift 系)に関与する API 群で、ノート PC の iGPU/dGPU 構成向けに設計された関数ですが、デスクトップ環境でも共通コード経由で名前が現れることがあります。
ゲーム内で高負荷状態の遷移(マッチ入退場、カットシーン切替、シェーダ再コンパイル、ウィンドウモード切替など)の瞬間に、GPU 選択の期待値と実際のハンドル/ポインタ管理がズレると、INVALID_POINTER_READ が発火しやすくなります。過去作(NBA 2K25)や他社タイトルでも類似のクラッシュは報告され、多くはゲーム側のパッチで解消されています。
まず取るべき方針:恒久対応と暫定回避を分けて考える
恒久的な根治は公式パッチでのみ可能です。とはいえ、現在のプレイ体験を守るために、クラッシュ頻度を下げる暫定ワークアラウンドを複数組み合わせて凌ぐのが現実解です。
恒久対応(公式修正を後押しする)
- 2K サポートへ継続報告:単なる「落ちる」ではなく、以下の再現と証拠を添えると優先度が上がります。
- DMP(ミニダンプ):WER のローカルダンプを有効化して取得(手順は後述)。
- msinfo32 出力:
msinfo32→ ファイル → エクスポート で.txtを保存。 - DxDiag:
dxdiag→ 全ての情報を保存 でDxDiag.txtを出力。 - 発生時刻とプレイモード(マルチ/ソロ、マッチング中、ロード画面等)を時系列で記録。
暫定回避(効果は環境依存|完全解決にはパッチが必要)
| 対処 | 目的/狙い | 実施手順(要点) | 期待効果 |
|---|---|---|---|
| GPU 切替機能の固定・無効化 | GPU 選択の揺らぎを抑制 | Windows 11 → 設定 → システム → ディスプレイ → グラフィックで NBA2K26.exe を追加し「高パフォーマンス GPU」に固定。AMD Adrenalin で SmartShift Eco / PowerXpress 相当の切替を無効化。 | 切替タイミングでの AV 発生を低減 |
| フレームレート上限の設定 | ピーク負荷とメモリ圧を平準化 | 120fps または 60fps に制限。NVIDIA/AMD コントロールパネルの「最大フレームレート」や垂直同期を利用。必要に応じて外部フレームリミッタを使用。 | スパイク抑制・安定性向上 |
| メモリ健全性の確認 | 稀な物理不良の切り分け | Windows メモリ診断/MemTest86。XMP/EXPO を一時無効化して JEDEC 動作で検証。 | ハード起因の否定/特定 |
| 電源・温度の安定化 | 瞬断/サーマルスロットリング回避 | 高パフォーマンス電源プラン、GPU/CPU 温度監視、必要なら電力リミット微調整。 | 高負荷遷移時のコケを回避 |
| VC++ 再頒布の再導入 | ランタイム DLL の不整合解消 | 2015–2022 x64/x86 を最新で上書きインストール。 | 例外発生点の周辺安定化 |
| HAGS/フルスクリーン最適化の切替 | 描画パスの相性対策 | 設定 → システム → ディスプレイ → グラフィック → 既定のグラフィック設定で「ハードウェア アクセラレータによる GPU スケジューリング(HAGS)」をオン/オフ試験。 実行ファイルのプロパティ → 互換性で「フルスクリーン最適化を無効にする」を試す。 | 一部環境で顕著に効く |
| MPO(Multiplane Overlay)無効化 ※上級者向け | ドライバーと合成経路の相性回避 | レジストリ HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\Dwm に OverlayTestMode=5 (DWORD) を作成。戻すときは削除。変更は自己責任。効果ない場合は速やかに戻す。 | 切替時の描画落ち回避報告あり |
| TDR(Timeout Detection and Recovery)猶予延長 ※上級者向け | 瞬間的フリーズの復帰猶予を確保 | HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\GraphicsDrivers に TdrDelay (DWORD) = 8 を追加。過度な延長は非推奨。デフォルトへ戻せるよう控えを。 | 極短スパイクでの落ちを緩和 |
| シェーダキャッシュのリセット | 破損キャッシュによる例外回避 | ドライバー設定から「シェーダキャッシュのクリア」を実行。もしくはユーザーディレクトリ配下のキャッシュフォルダをクリーン(ドライバー再生成)。 | ロード/切替時の安定化 |
「それでも落ちる」を攻略する:証跡の取り方(サポート提出用)
WER ローカルダンプを有効化して DMP を確実に残す
管理者 PowerShell で下記を実行し、C:\CrashDumps にゲームの .dmp を収集します。
# ローカルダンプ 保存先
New-Item -Path "C:\CrashDumps" -ItemType Directory -Force | Out-Null
# 既定(全プロセス)設定
reg add "HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\Windows Error Reporting\LocalDumps" /v DumpFolder /t REG_EXPAND_SZ /d "C:\CrashDumps" /f
reg add "HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\Windows Error Reporting\LocalDumps" /v DumpType /t REG_DWORD /d 2 /f
# ターゲット実行ファイルに限定する例(任意)
reg add "HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\Windows Error Reporting\LocalDumps\NBA2K26.exe" /v DumpCount /t REG_DWORD /d 10 /f
不要になったら、作成したキーを削除して元へ戻します。
イベント ビューア/信頼性モニターの活用
- イベント ビューア:Windows ログ → アプリケーション → レベル:エラー → ソース:Application Error を確認。障害が発生しているアプリケーション名 が
NBA2K26.exe、障害モジュール がNBA2K26.exeまたは GPU 関連 DLL になっていないかを記録。 - 信頼性モニター:Win + R →
perfmon /rel→ クラッシュの時刻と「停止動作」を一覧化。サポート報告時に同梱。
DxDiag/msinfo32 の出し方(提出の定番)
- DxDiag:Win + R →
dxdiag→ 全ての情報を保存 でDxDiag.txt。 - msinfo32:Win + R →
msinfo32→ ファイル → エクスポート で.txt。
DMP の読み方:Access Violation を「因果」に変える
WinDbg などでダンプを開くと、以下のような所見が得られます(代表例)。
EXCEPTION_CODE: (NTSTATUS) 0xc0000005 - The instruction at 0x%p referenced memory at 0x%p. The memory could not be read.
EXCEPTION_PARAMETER1: 0000000000000000
READ_ADDRESS: 00000000000000xx
PROCESS_NAME: NBA2K26.exe
FAULTING_IP: NBA2K26.exe!AmdPowerXpressRequestHighPerformance+0x...
BUGCHECK_STR: INVALID_POINTER_READ
STACK_TEXT:
...(GPU 切替・描画初期化に関わるフレームが連続)...
このとき重要なのは「どの API 呼び出しの直後に落ちているか」であり、今回のように AmdPowerXpressRequestHighPerformance 周辺で INVALID_POINTER_READ が出ているなら、GPU 切替経路のポインタ管理(ライフタイム/ヌルチェック/二重解放)に不整合がある、という仮説が極めて妥当です。
より深く効く運用のコツ(現場知見)
- 負荷の段差を減らす:可変リフレッシュ(VRR)+上限 FPS の併用、バックグラウンドアプリは完全終了。
- ウィンドウモードの固定:フルスクリーン最適化オン/オフ、フルスクリーン(独占) と ボーダーレス のどちらかで固定して頻繁に切り替えない。
- ドライバー設定を局所化:全体設定ではなくアプリ別プロファイルで vSync/リミッタ/アニメーション最適化を行い、他ゲームへの副作用を避ける。
- ネットワークは安定優先:無線より有線、NAT タイプを安定化、バックグラウンドの大容量通信を停止。ネット起因の切断は別物だが、切断直後のシーン遷移が例外誘発のトリガーになることはある。
- アップデートの節目で再検証:ゲームパッチ/ドライバー更新/Windows C リリースで挙動が変わることがある。更新 → キャッシュ再構築 → 再テストをルーチン化。
よくある勘違いの整理
- 「RADAR_PRE_LEAK が出た=メモリ故障」:違います。RADAR はリークを示唆する診断イベントで、単発発生だけでは決め打ち不可。今回の主因ではありません。
- 「高設定が重すぎて落ちる」:再現は低設定でも発生。処理落ちではなく例外です。
- 「Windows を初期化すれば治る」:多数の一般的対策を実施しても改善せず、複数マシンにまたがるため、OS クリーンインストールは費用対効果が低い可能性が高いです。
再現性を下げる追加テクニック(必要に応じて)
- バックグラウンド録画の無効化:設定 → ゲーム → キャプチャ で「この PC でのゲームクリップの記録」をオフ。
- 高 DPI スケーリングの明示:実行ファイルのプロパティ → 互換性 → 高 DPI 設定の変更 →「高 DPI スケール設定を上書き」にチェック。
- ページファイルの自動管理:カスタムで極端に小さくしている場合は「すべてのドライブのページングファイルのサイズを自動的に管理する」に戻す。
- USB デバイスの整理:一部のオーディオ/入力デバイスが切替時のタイミングに干渉する例があるため、問題切り分け中は最小構成で。
チェックリスト:優先順位つき実行順
| 優先 | アクション | 目的 | 要点 |
|---|---|---|---|
| 高 | GPU 高パフォーマンス固定 | 切替イベントの抑制 | Windows グラフィック設定で NBA2K26.exe を「高パフォーマンス」に |
| 高 | FPS 上限設定(120/60) | スパイク緩和 | ドライバー側のフレームリミッタ/vSync を活用 |
| 高 | WER ローカルダンプ有効化 | 証跡確保 | クラッシュ直後の .dmp を収集してサポートへ |
| 中 | HAGS/フルスク最適化の切替 | 描画経路の相性を探る | オン/オフ双方で安定する方へ固定 |
| 中 | シェーダキャッシュのクリア | 破損キャッシュ消去 | ドライバー設定から実施、再構築に数分 |
| 低 | MPO 無効化/TDR 猶予 | 相性問題の回避 | 上級者向け。効果なければ元に戻す |
ケーススタディ:2K25 から継続する人がハマる落とし穴
2K25 時代の設定や外部ツールがそのまま残っていると、2K26 では逆に不安定化することがあります。とりわけ、古いドライバプロファイルの残骸や、外部オーバーレイ・フックツール(フレーム表示、スクリーンショット常駐など)は、OS 側で無効化したつもりでも DLL が注入されるケースがあるため、インストール自体を一時的に外すくらいの徹底が有効です。
トラブル収束のロードマップ
- FPS 上限+GPU 固定で 2 ~ 3 日プレイし、発生頻度を観測。
- 改善が鈍い場合、HAGS/フルスク最適化の組み合わせを AB テスト。
- シェーダキャッシュをリセットして再計測。
- それでも頻発なら、MPO 無効化やTDR 猶予延長を短期間だけ試験。
- 並行してWER ダンプ+msinfo+DxDiagを 2K へ継続提出。同症状ユーザーと再現手順・共通点を共有し、修正優先度を押し上げる。
まとめ:現状でできる最善と、やるべきこと
- 原因:
NBA2K26.exeの GPU 切替関連処理で発生するAccess Violation (c0000005)。ゲーム側のポインタ参照バグが濃厚。 - 最善策:2K へパッチ要望を継続しつつ、GPU 高パフォーマンス固定/FPS 上限/HAGS・フルスク最適化の適正化等で被害をミニマム化。
- Windows 側だけで恒久解決はできない:OS・ドライバーの範囲で詰め切る問題ではなく、修正パッチ待ちが根本解決への最短。
付録:提出用テンプレ(コピペして使える)
【件名】NBA 2K26 ランダム強制終了(c0000005 / INVALID_POINTER_READ)
【症状】マルチプレイ中を中心に、前触れなくデスクトップへ戻る。1 時間に 1~3 回発生。
【環境】Windows 11 / Steam 版 / 推奨スペック超の新 PC。他タイトルでは問題なし。
【実施済み】管理者起動、オーバーレイ無効、整合性チェック、再インストール、GPU ドライバ DDU→最新、クリーンブート、低設定など効果なし。
【証跡】DMP あり(WER ローカルダンプで採取)/DxDiag.txt/msinfo32 出力/イベントログ。
* 例外:c0000005 / INVALID_POINTER_READ
* 関数:NBA2K26.exe!AmdPowerXpressRequestHighPerformance 付近
* 発生シーン:マッチ入場~プレイ中、演出切替、ロード直後 など
【要望】GPU 切替経路のポインタ管理(ライフタイム/ヌルチェック)を中心に調査・修正いただきたい。
最後に。 本記事のワークアラウンドは「落ちる確率を下げる」ための現実解であり、恒久策ではありません。とはいえ、GPU 固定+FPS 上限+証跡収集の三点セットを回すだけでも状況は大きく改善します。プレイ体験を守りつつ、確かな証拠で開発を後押ししていきましょう。

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