Windowsコマンドプロンプトは、さまざまなシステム情報を取得するための強力なツールです。その中でも「wmic process」コマンドは、現在実行中のプロセスに関する詳細な情報を提供します。本記事では、「wmic process」を活用して詳細なプロセス情報を取得する方法を解説します。これにより、システム管理やトラブルシューティングに役立つ具体的な知識を身につけることができます。
「wmic process」コマンドの基本概要
「wmic process」コマンドは、Windows Management Instrumentation Command-line(WMIC)の一部であり、現在実行中のプロセスに関する情報を取得するために使用されます。WMICは、システム管理と情報の取得を簡素化するためのツールで、コマンドプロンプトから直接利用できます。「wmic process」コマンドを使用することで、プロセスID、実行ファイルのパス、CPU使用率など、さまざまなプロセス情報を簡単に確認できます。
プロセス情報の取得方法
「wmic process」コマンドを使用して、基本的なプロセス情報を取得するための方法を紹介します。まず、コマンドプロンプトを管理者権限で開き、以下のコマンドを実行します。
基本的なコマンドの実行
基本的なプロセス情報を取得するためには、以下のコマンドを入力します。
wmic process list brief
このコマンドを実行すると、現在実行中のすべてのプロセスに関する簡潔な情報が一覧表示されます。
詳細なプロセス情報の取得
詳細なプロセス情報を取得するためには、以下のコマンドを使用します。
wmic process list full
このコマンドにより、各プロセスの詳細情報(プロセスID、実行ユーザー、メモリ使用量など)が表示されます。
プロセス情報の詳細表示オプション
「wmic process」コマンドは、さまざまなオプションを使用して詳細なプロセス情報を表示できます。以下に、よく使用されるオプションとその効果を紹介します。
特定のプロパティを指定する
特定のプロセス情報を取得するために、表示するプロパティを指定できます。例えば、プロセスID(ProcessId)、プロセス名(Name)、メモリ使用量(WorkingSetSize)などの情報を取得するには、以下のコマンドを使用します。
wmic process get ProcessId,Name,WorkingSetSize
このコマンドを実行すると、指定したプロパティの情報だけが表示されます。
条件を指定してフィルタリングする
特定の条件に基づいてプロセス情報をフィルタリングすることも可能です。例えば、プロセス名が「notepad.exe」であるプロセスの情報を取得するには、以下のコマンドを使用します。
wmic process where "name='notepad.exe'" get ProcessId,Name,WorkingSetSize
このコマンドにより、特定のプロセスに関する詳細な情報が取得できます。
ソートして表示する
プロセス情報を特定のプロパティでソートして表示することもできます。例えば、メモリ使用量でソートする場合、以下のコマンドを使用します。
wmic process get ProcessId,Name,WorkingSetSize /format:value | sort /r
このコマンドは、メモリ使用量の多い順にプロセス情報を表示します。
特定のプロセス情報をフィルタリングする方法
特定のプロセス情報をフィルタリングして取得することで、必要な情報を迅速に見つけることができます。以下に、さまざまなフィルタリング方法を紹介します。
プロセス名でフィルタリング
特定のプロセス名を持つプロセスの情報を取得するためには、以下のコマンドを使用します。例えば、プロセス名が「explorer.exe」のプロセス情報を取得する場合です。
wmic process where "name='explorer.exe'" get ProcessId,Name,WorkingSetSize
このコマンドは、「explorer.exe」という名前のプロセスのID、名前、メモリ使用量を表示します。
メモリ使用量でフィルタリング
特定のメモリ使用量を超えるプロセスを取得したい場合、以下のようにフィルタリングします。例えば、メモリ使用量が50MBを超えるプロセスを取得する場合です。
wmic process where "WorkingSetSize>52428800" get ProcessId,Name,WorkingSetSize
このコマンドは、メモリ使用量が50MBを超えるすべてのプロセスの情報を表示します。
ユーザー名でフィルタリング
特定のユーザーによって実行されているプロセスをフィルタリングすることもできます。例えば、ユーザー名が「Admin」のプロセスを取得するには、以下のコマンドを使用します。
wmic process where "User='Admin'" get ProcessId,Name,WorkingSetSize
このコマンドは、「Admin」というユーザーが実行しているすべてのプロセスの情報を表示します。
複数の条件でフィルタリング
複数の条件を組み合わせてフィルタリングすることも可能です。例えば、プロセス名が「chrome.exe」で、かつメモリ使用量が100MBを超えるプロセスを取得する場合です。
wmic process where "name='chrome.exe' and WorkingSetSize>104857600" get ProcessId,Name,WorkingSetSize
このコマンドは、指定された条件に合致するプロセスの情報を表示します。
プロセス情報をCSVファイルにエクスポートする方法
取得したプロセス情報を保存して後で分析したり、他のツールで利用したりするためには、CSVファイルにエクスポートするのが便利です。以下に、プロセス情報をCSVファイルにエクスポートする方法を説明します。
基本的なエクスポート方法
まず、基本的なプロセス情報をCSVファイルにエクスポートする方法を紹介します。以下のコマンドを実行すると、現在のディレクトリに「processes.csv」というファイルが作成されます。
wmic process get ProcessId,Name,WorkingSetSize /format:csv > processes.csv
このコマンドは、プロセスID、名前、メモリ使用量の情報をCSV形式でエクスポートします。
特定のフィルタリング条件を適用してエクスポート
特定の条件でフィルタリングしたプロセス情報をCSVファイルにエクスポートすることもできます。例えば、メモリ使用量が50MBを超えるプロセスの情報をエクスポートする場合です。
wmic process where "WorkingSetSize>52428800" get ProcessId,Name,WorkingSetSize /format:csv > high_memory_processes.csv
このコマンドは、フィルタリング条件に合致するプロセス情報を「high_memory_processes.csv」にエクスポートします。
エクスポートしたCSVファイルの確認
エクスポートが完了したら、エクスプローラーでファイルを開いて内容を確認します。CSVファイルは、Excelなどのスプレッドシートソフトウェアで開いて確認することができます。
応用例:特定のプロセスのメモリ使用量をモニタリング
「wmic process」コマンドを利用することで、特定のプロセスのメモリ使用量を定期的にモニタリングすることができます。これにより、システムのパフォーマンスを監視し、問題が発生した場合に迅速に対応することが可能です。
メモリ使用量をリアルタイムで監視する
以下のバッチファイルを作成することで、特定のプロセスのメモリ使用量を定期的に監視することができます。例えば、「notepad.exe」のメモリ使用量を監視する場合です。
@echo off
:loop
wmic process where "name='notepad.exe'" get ProcessId,Name,WorkingSetSize
timeout /t 5
goto loop
このバッチファイルを実行すると、5秒ごとに「notepad.exe」のメモリ使用量が表示されます。これにより、リアルタイムでメモリ使用量を監視することができます。
メモリ使用量をログファイルに記録する
特定のプロセスのメモリ使用量をログファイルに記録することで、後で分析することができます。以下のバッチファイルを使用すると、「notepad.exe」のメモリ使用量をログファイルに記録できます。
@echo off
echo ProcessId,Name,WorkingSetSize,Date,Time > memory_log.csv
:loop
for /f "skip=1 tokens=1,2,3" %%a in ('wmic process where "name='notepad.exe'" get ProcessId,Name,WorkingSetSize') do (
echo %%a,%%b,%%c,%date%,%time% >> memory_log.csv
)
timeout /t 5
goto loop
このバッチファイルは、5秒ごとに「notepad.exe」のメモリ使用量を「memory_log.csv」に記録します。これにより、長期間のメモリ使用量の変動を追跡できます。
メモリ使用量の異常を検出するスクリプト
特定のしきい値を超えた場合に警告を出すスクリプトを作成することで、異常を検出できます。以下のバッチファイルは、「notepad.exe」のメモリ使用量が100MBを超えた場合に警告メッセージを表示します。
@echo off
:loop
for /f "skip=1 tokens=3" %%a in ('wmic process where "name='notepad.exe'" get WorkingSetSize') do (
if %%a GTR 104857600 (
echo WARNING: notepad.exe is using more than 100MB of memory!
)
)
timeout /t 5
goto loop
このバッチファイルは、5秒ごとに「notepad.exe」のメモリ使用量をチェックし、しきい値を超えた場合に警告メッセージを表示します。
演習問題:自分のPC上のプロセス情報を取得してみよう
ここでは、実際に「wmic process」コマンドを使用して、自分のPC上のプロセス情報を取得する演習問題を提供します。これにより、実際の使用感をつかみ、学んだ内容を実践することができます。
演習1:基本的なプロセス情報を取得
コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを実行して、自分のPC上で実行中のすべてのプロセスの基本情報を取得してください。
wmic process list brief
表示された情報を確認し、どのプロセスが実行中かを理解しましょう。
演習2:特定のプロセスの詳細情報を取得
次に、以下のコマンドを実行して、特定のプロセス(例:「chrome.exe」)の詳細情報を取得してください。
wmic process where "name='chrome.exe'" get ProcessId,Name,WorkingSetSize,UserModeTime
取得した情報から、プロセスID、メモリ使用量、ユーザーモード時間などを確認しましょう。
演習3:プロセス情報をCSVファイルにエクスポート
取得したプロセス情報をCSVファイルにエクスポートしてみましょう。以下のコマンドを実行して、プロセス情報を「processes.csv」というファイルに保存してください。
wmic process get ProcessId,Name,WorkingSetSize /format:csv > processes.csv
エクスポートしたCSVファイルを開き、内容を確認してください。
演習4:メモリ使用量が高いプロセスをフィルタリング
最後に、メモリ使用量が50MBを超えるプロセスをフィルタリングして取得してください。以下のコマンドを実行します。
wmic process where "WorkingSetSize>52428800" get ProcessId,Name,WorkingSetSize
取得した情報をもとに、メモリ使用量が多いプロセスを特定しましょう。
まとめ
「wmic process」コマンドを活用することで、Windowsコマンドプロンプトから詳細なプロセス情報を簡単に取得することができます。これにより、システムの監視やトラブルシューティングが効率的に行えるようになります。基本的なコマンドの使用方法から、詳細な情報のフィルタリングやエクスポート方法までを理解することで、システム管理者やパワーユーザーは、より高度な管理と分析が可能になります。この記事で紹介した知識を実践し、日常のシステム管理に役立ててください。
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