LinuxでPXEブートの設定と確認方法

この記事では、Linux環境においてPXE(Preboot Execution Environment)ブートの設定と確認方法について解説します。PXEブートは、ネットワーク経由でOSをインストールまたは実行するための手法です。具体的なコード例とその解説、応用例を含めて詳しくご紹介します。

目次

はじめに

PXE(Preboot Execution Environment)ブートとは、ネットワーク経由でコンピュータを起動するための環境のことを指します。通常、コンピュータはローカルのストレージ(HDD, SSDなど)から起動しますが、PXEブートを用いると、ネットワーク上のサーバーからOSイメージをダウンロードして起動することが可能です。

PXEブートの基本概念

PXEブートを成功させるには、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバーとTFTP(Trivial File Transfer Protocol)サーバーが必要です。この2つのサーバーは、通常は同じマシン上に設置されることが多いです。

DHCPサーバー

DHCPサーバーは、クライアントマシンにIPアドレスを動的に割り当てる役割を果たします。

TFTPサーバー

TFTPサーバーは、クライアントマシンにブートイメージや設定ファイルを送信する役割を果たします。

PXEブートの設定方法

必要なパッケージのインストール

PXEブートの設定を始める前に、必要なパッケージをインストールしましょう。

sudo apt update
sudo apt install isc-dhcp-server tftpd-hpa

これで、DHCPサーバーとTFTPサーバーがインストールされます。

DHCPサーバーの設定

次に、DHCPサーバーの設定を行います。

# /etc/dhcp/dhcpd.confに設定を追記
subnet 192.168.0.0 netmask 255.255.255.0 {
  range 192.168.0.10 192.168.0.50;
  filename "pxelinux.0";
}

この設定では、IPアドレスの範囲と、TFTPサーバーで提供するブートファイル名を指定しています。

TFTPサーバーの設定

# /etc/default/tftpd-hpaに設定を追記
TFTP_DIRECTORY="/var/lib/tftpboot"

この設定で、TFTPサーバーが提供するファイルの格納場所を設定します。

確認方法

PXEブートが正しく設定されているか確認するには以下の方法が有効です。

PXEブートのシミュレーション

PXEブートのシミュレーションツールを使うことで、設定が正しいか確認できます。

応用例

PXEブートの設定ができたら、以下のような応用例も考えられます。

応用例1:複数のOSイメージの選択

# pxelinux.cfg/defaultに設定を追記
LABEL linux1
  MENU LABEL Ubuntu 20.04
  KERNEL vmlinuz
  APPEND initrd=initrd.img

これにより、起動時にUbuntu 20.04を選択できるようになります。

応用例2:非対応のデバイスに対する例外設定

# /etc/dhcp/dhcpd.confに設定を追記
host special-client {
  hardware ethernet 00:11:22:33:44:55;
  fixed-address 192.168.0.60;
}

応用例3:リモートでのOSインストール

# Kickstartファイルを用いた自動インストール
APPEND initrd=initrd.img ks=http://example.com/ks.cfg

応用例4:ディスクレスクライアントの構築

ディスクがないマシンでも、PXEブートを用いることでOSを実行可能です。

応用例5:緊急時のデータ回復

緊急時にはPXEブートでLive CDイメージを起動し、データを回復することができます。

まとめ

この記事では、Linux環境でのPXEブートの設定と

確認方法について詳しく解説しました。PXEブートは非常に強力なツールであり、様々な応用例が考えられます。設定が正しくできたかどうかは、PXEブートのシミュレーションツールを使うことで確認できます。

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