TypeScriptでPromiseのネストを避けるためのベストプラクティス

TypeScriptで非同期処理を行う際、Promiseを使用することが一般的ですが、複雑な処理を扱うとPromiseが多重にネストしてしまい、コードが読みづらく、管理が難しくなることがあります。これにより、エラーハンドリングが複雑化し、予期しないバグが発生する可能性も増加します。ネストしたPromiseの問題は「callback hell」と似た問題を引き起こし、コードの可読性や保守性を著しく低下させます。

この記事では、TypeScriptでPromiseのネストを避けるためのベストプラクティスを解説し、async/awaitやPromiseチェーンを活用した効率的な非同期処理の方法について説明します。

目次

Promiseネストの問題点

Promiseをネストすると、コードが階層的に深くなり、視覚的に複雑になりやすいです。これにより、次のような問題が発生します。

コードの可読性が低下


ネストされたPromiseは、直感的に理解しにくくなり、他の開発者がコードを読んだ際に構造を把握しづらくなります。特に、ネストが深くなると、どのPromiseがどのタイミングで解決されるかが明確でなくなります。

エラーハンドリングの複雑化


Promiseをネストすると、エラーハンドリングが分散しやすくなり、一貫性を保つのが難しくなります。ネストした各Promiseで個別にエラー処理を行う必要があるため、エラーが適切に伝播されないこともあります。

デバッグが困難になる


Promiseのネストが深くなると、非同期処理のフローを追うのが困難になり、デバッグが煩雑になります。特に、どの非同期処理が問題を引き起こしているのかを特定するのが難しくなります。

Promiseのネストは、これらの理由から避けるべきとされています。次項では、Promiseチェーンなどを使って、これらの問題を解決する方法を紹介します。

Promiseチェーンを使った解決方法

Promiseのネストを避けるための基本的な方法の一つが、Promiseチェーンを利用することです。Promiseチェーンとは、1つのPromiseが解決または拒否された後に、次のPromiseを続けて実行することで、コードのフローを整理する方法です。Promiseを直線的に並べることで、可読性を向上させ、エラーハンドリングも一貫性を持たせることができます。

Promiseチェーンの基本概念


Promiseチェーンでは、then()を使って次の処理を連結していきます。これにより、非同期処理のフローが明確になり、ネストを避けられます。

fetchData()
  .then((data) => processData(data))
  .then((processedData) => saveData(processedData))
  .catch((error) => console.error("エラーが発生しました:", error));

このように、非同期処理が順次行われることが明確に示され、可読性が向上します。また、catch()をチェーンの最後に配置することで、一箇所で一貫してエラー処理を行うことが可能です。

Promiseチェーンのメリット


Promiseチェーンには以下のメリットがあります。

可読性の向上


ネストを避けることで、コードが平坦化され、処理の順序が一目でわかるようになります。特に、複数の非同期処理を順次行う場合、Promiseチェーンは処理の流れを理解しやすくします。

一貫したエラーハンドリング


catch()をチェーンの末尾に置くことで、途中で発生したエラーを一箇所で処理できます。これにより、エラーが分散することを防ぎ、デバッグが容易になります。

Promiseチェーンは、Promiseのネストを防ぐシンプルかつ効果的な方法です。次に、async/awaitを使ったさらなる簡潔化方法について解説します。

async/awaitを活用した非同期処理の簡潔化

Promiseチェーンは有効な手法ですが、複雑な処理になるとthen()catch()が多くなり、まだコードが冗長になる可能性があります。この問題をさらに簡潔に解決するために、TypeScriptではasync/awaitが用意されています。async/awaitを使うと、非同期処理を同期的なコードと同じように記述できるため、Promiseのネストを避けながら、コードの可読性と保守性を大幅に向上させることが可能です。

async/awaitの基本概念


asyncは関数を非同期関数として定義するためのキーワードで、awaitはPromiseが解決されるまで待機するために使用します。これにより、非同期処理の結果を同期的なコードのように扱えます。

async function handleData() {
  try {
    const data = await fetchData();
    const processedData = await processData(data);
    await saveData(processedData);
  } catch (error) {
    console.error("エラーが発生しました:", error);
  }
}

この例では、awaitを使用することで、各Promiseの解決を待つ処理を逐次的に記述できます。これにより、then()を使う必要がなくなり、コードが読みやすくなります。

async/awaitのメリット

コードの可読性が向上


async/awaitを使用することで、非同期処理をほぼ同期的な処理と同じように記述できるため、複雑な非同期処理でもコードがシンプルで分かりやすくなります。Promiseチェーンで多くのthen()を連ねるよりも、可読性が格段に高まります。

エラーハンドリングがシンプル


try-catch文を使って、エラーを一箇所で一貫して処理できるため、エラーハンドリングの仕組みもシンプルかつ強力になります。また、複数の非同期処理にわたるエラーハンドリングが一元化されることで、コードの保守性が向上します。

async/awaitを使用することで、非同期処理をより自然な形で記述でき、Promiseのネストを避けながらも直感的なコードが書けます。次に、エラーハンドリングの詳細についてさらに深掘りしていきます。

エラーハンドリングの改善方法

非同期処理において、エラーハンドリングは非常に重要な要素です。Promiseチェーンやasync/awaitを使用してPromiseのネストを避けたとしても、適切なエラーハンドリングを行わなければ、予期しない動作やデバッグの困難さを引き起こす可能性があります。ここでは、Promiseチェーンとasync/awaitの両方における効果的なエラーハンドリングの方法について解説します。

Promiseチェーンでのエラーハンドリング


Promiseチェーンでは、catch()を使用してエラーを一箇所でまとめて処理できます。複数のthen()を連結した後にcatch()を配置することで、いずれかのPromiseが失敗した際に、そのエラーをキャッチすることが可能です。

fetchData()
  .then((data) => processData(data))
  .then((processedData) => saveData(processedData))
  .catch((error) => {
    console.error("Promiseチェーンでエラーが発生しました:", error);
  });

この方法では、チェーン内のどのPromiseでエラーが発生しても、catch()が呼び出されます。これにより、エラーハンドリングが一貫して行われ、個別のPromiseでエラー処理を行う必要がなくなります。

async/awaitでのエラーハンドリング


async/awaitでは、非同期処理のエラーをtry-catch文を使って処理します。これにより、同期的なコードと同様の方法でエラーを扱うことができ、コード全体の可読性も向上します。

async function handleData() {
  try {
    const data = await fetchData();
    const processedData = await processData(data);
    await saveData(processedData);
  } catch (error) {
    console.error("async/awaitでエラーが発生しました:", error);
  }
}

この方法では、1つのtry-catchブロックで複数の非同期処理のエラーを処理できるため、エラーハンドリングが簡潔になります。特に複数の非同期処理が関係する場合、コードがより直感的になります。

エラーの詳細な処理


どちらの方法を使用するにしても、エラーハンドリングの際に適切なログを出力し、エラーの種類に応じた処理を行うことが重要です。例えば、API呼び出しのエラーとデータ処理のエラーは異なる対応が必要になることがあります。

catch((error) => {
  if (error.response) {
    // サーバーからのレスポンスエラー
    console.error("APIエラー:", error.response.status);
  } else if (error.request) {
    // リクエストが送信されたがレスポンスがない
    console.error("ネットワークエラー:", error.request);
  } else {
    // その他のエラー
    console.error("処理エラー:", error.message);
  }
});

これにより、エラーの種類ごとに適切な対応を行い、非同期処理における信頼性を高めることができます。

エラーハンドリングが適切であれば、非同期処理のトラブルシューティングが容易になり、システム全体の信頼性も向上します。次は、実際のサンプルコードを使った実践的な方法を解説します。

実践的なサンプルコード

Promiseのネストを避け、効率的な非同期処理を実現するために、これまで紹介してきた手法を活用した実践的なサンプルコードを見ていきましょう。ここでは、Promiseチェーンとasync/awaitの両方を使った非同期処理の具体例を示します。

Promiseチェーンのサンプルコード


以下のサンプルでは、APIからデータを取得し、そのデータを加工して保存する一連の非同期処理をPromiseチェーンで実装しています。Promiseをネストせずにチェーンとして連結することで、可読性が向上します。

function fetchData() {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve("データを取得しました"), 1000);
  });
}

function processData(data: string) {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve(`${data} - データを加工しました`), 1000);
  });
}

function saveData(data: string) {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve(`${data} - データを保存しました`), 1000);
  });
}

// Promiseチェーンを使用してネストを避ける
fetchData()
  .then((data) => processData(data))
  .then((processedData) => saveData(processedData))
  .then((result) => {
    console.log(result); // "データを取得しました - データを加工しました - データを保存しました"
  })
  .catch((error) => {
    console.error("エラーが発生しました:", error);
  });

この例では、then()メソッドを使って非同期処理を直列に実行しています。各ステップが順次処理され、最終的に結果が出力されます。エラーハンドリングはcatch()で一箇所にまとめられています。

async/awaitを使ったサンプルコード


次に、同じ処理をasync/awaitを使って書き直します。これにより、コードがさらに簡潔でわかりやすくなります。

async function fetchData() {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve("データを取得しました"), 1000);
  });
}

async function processData(data: string) {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve(`${data} - データを加工しました`), 1000);
  });
}

async function saveData(data: string) {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve(`${data} - データを保存しました`), 1000);
  });
}

// async/awaitを使用して非同期処理を簡潔に記述
async function handleData() {
  try {
    const data = await fetchData();
    const processedData = await processData(data);
    const result = await saveData(processedData);
    console.log(result); // "データを取得しました - データを加工しました - データを保存しました"
  } catch (error) {
    console.error("エラーが発生しました:", error);
  }
}

handleData();

async/awaitを使うことで、非同期処理が同期的な処理のように見えるため、コードが非常に直感的で読みやすくなっています。また、エラーハンドリングもtry-catchブロックで行われており、一箇所で管理できるのが利点です。

サンプルコードのポイント

  • Promiseチェーンは、then()メソッドを利用して非同期処理を直列に並べ、ネストを避けます。
  • async/awaitは、同期処理のように非同期処理を書けるため、特に複雑な処理ではコードがシンプルになります。
  • エラーハンドリングは、いずれの方法でも統一して行うことができ、エラーのトラッキングが容易になります。

これらの手法を使うことで、非同期処理におけるPromiseのネストを防ぎ、効率的なコードを書くことが可能です。次は、さらに高度な非同期処理を管理するためのPromise.allとPromise.raceの活用方法について解説します。

Promise.allとPromise.raceの活用方法

複数の非同期処理を効率よく管理するために、TypeScriptではPromise.allPromise.raceという2つの強力なメソッドが提供されています。これらを活用することで、並行処理を行ったり、最初に完了したPromiseだけを扱うといった高度な非同期処理が簡単に実装できます。それぞれの使用方法を解説します。

Promise.allの基本概念と使用例


Promise.allは、複数のPromiseが全て完了するまで待機し、そのすべての結果を一度に取得するためのメソッドです。すべてのPromiseが成功した場合に結果が返され、いずれかのPromiseが失敗するとエラーが返されます。これにより、並列して複数の非同期処理を実行し、その結果を一度に処理することができます。

const fetchUser = new Promise((resolve) => {
  setTimeout(() => resolve("ユーザーデータを取得"), 1000);
});

const fetchPosts = new Promise((resolve) => {
  setTimeout(() => resolve("投稿データを取得"), 1500);
});

const fetchComments = new Promise((resolve) => {
  setTimeout(() => resolve("コメントデータを取得"), 2000);
});

// すべてのPromiseが完了するまで待機
Promise.all([fetchUser, fetchPosts, fetchComments])
  .then((results) => {
    console.log(results); // ["ユーザーデータを取得", "投稿データを取得", "コメントデータを取得"]
  })
  .catch((error) => {
    console.error("エラーが発生しました:", error);
  });

この例では、ユーザー、投稿、コメントのデータを並行して取得し、全ての処理が完了した後に結果を一度に取得しています。Promise.allを使うことで、複数の非同期処理を効率よく実行できます。

Promise.raceの基本概念と使用例


一方、Promise.raceは、複数のPromiseのうち最初に完了したものだけを扱います。例えば、タイムアウト処理や最も早く完了したリソースを利用する場合に有効です。

const fetchDataSlow = new Promise((resolve) => {
  setTimeout(() => resolve("データの取得に時間がかかりました"), 3000);
});

const fetchDataFast = new Promise((resolve) => {
  setTimeout(() => resolve("データを迅速に取得しました"), 1000);
});

// 最も早く完了したPromiseのみが解決される
Promise.race([fetchDataSlow, fetchDataFast])
  .then((result) => {
    console.log(result); // "データを迅速に取得しました"
  })
  .catch((error) => {
    console.error("エラーが発生しました:", error);
  });

この例では、fetchDataFastが先に解決されるため、その結果が返されます。Promise.raceは、複数の非同期処理の中で、最も早く完了したものに応じて処理を行う場合に役立ちます。

Promise.allとPromise.raceの使い分け

  • Promise.all: すべてのPromiseが完了するのを待ち、結果を一度に処理したい場合に使用します。例えば、複数のAPIから同時にデータを取得し、結果を統合するようなケースです。
  • Promise.race: 最初に完了したPromiseの結果だけが必要な場合に使用します。タイムアウト処理や、最も早く応答するAPIを使いたい場合などで便利です。

エラーハンドリングにおける注意点


Promise.allでは、いずれかのPromiseが失敗すると全体がエラーとして扱われます。そのため、並行処理の中で個別にエラーハンドリングを行いたい場合は、各Promise内でtry-catchを使うか、エラーを事前に処理しておく必要があります。

Promise.all([
  fetchData().catch((err) => { console.error("ユーザー取得失敗", err); return null; }),
  fetchPosts().catch((err) => { console.error("投稿取得失敗", err); return null; }),
]).then((results) => {
  console.log(results);
});

このようにPromise.allPromise.raceを使うことで、複数の非同期処理を柔軟に管理できます。次は、処理の分割と関数化によるPromiseネストの回避方法について解説します。

処理の分割と関数化によるネストの回避

Promiseのネストを防ぐもう一つの効果的な方法は、処理を分割し関数化することです。非同期処理が増えると、コードが複雑になりやすいですが、各処理を独立した関数に分けることで、コードの再利用性と可読性が向上します。これにより、ネストを避けつつ、処理を管理しやすくなります。

関数化によるメリット


Promiseを扱うコードを関数として切り出すことで、以下のメリットがあります。

可読性の向上


関数に処理を分割すると、それぞれの関数が単一の責務を持つため、何をしているのかが明確になり、コード全体が理解しやすくなります。

再利用性の向上


分割された関数は他の場所でも使い回すことができるため、同じコードを繰り返し書く必要がなくなります。これにより、コードの重複を避け、メンテナンス性が向上します。

テストが容易になる


関数ごとに分割された処理は、ユニットテストを行いやすくなり、コードの品質向上にも繋がります。

処理を分割したサンプルコード


以下の例では、データを取得、加工、保存する非同期処理を個別の関数に分割し、Promiseのネストを避けながら処理を整理しています。

async function fetchData(): Promise<string> {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve("データを取得しました"), 1000);
  });
}

async function processData(data: string): Promise<string> {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve(`${data} - データを加工しました`), 1000);
  });
}

async function saveData(data: string): Promise<string> {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve(`${data} - データを保存しました`), 1000);
  });
}

async function handleData() {
  try {
    const data = await fetchData();
    const processedData = await processData(data);
    const result = await saveData(processedData);
    console.log(result); // "データを取得しました - データを加工しました - データを保存しました"
  } catch (error) {
    console.error("エラーが発生しました:", error);
  }
}

handleData();

このコードでは、fetchDataprocessDatasaveDataの各処理が関数として独立しており、handleData内で呼び出されています。これにより、各処理が明確に分けられ、コードが直感的で理解しやすくなっています。

非同期処理の分割によるエラーハンドリングの改善


関数化によってエラーハンドリングも容易になります。各関数で個別にエラーを処理することができ、エラーの原因となった箇所を特定しやすくなります。例えば、fetchDataが失敗した場合、処理の途中で早期にエラーをキャッチし、残りの処理をスキップできます。

async function handleData() {
  try {
    const data = await fetchData();
    const processedData = await processData(data);
    const result = await saveData(processedData);
    console.log(result);
  } catch (error) {
    console.error("エラーが発生しました:", error);
  }
}

このように、Promiseのネストを避けるためには、非同期処理を小さな単位に分割して関数化するのが有効です。これにより、処理を整理し、メンテナンス性の高いコードを実現できます。次は、コードレビューでのチェックポイントについて解説します。

コードレビューでのチェックポイント

非同期処理を含むコードのレビューでは、Promiseのネストを避けるためのいくつかの重要なポイントを確認する必要があります。これにより、コードの可読性や保守性を向上させるとともに、エラーハンドリングの抜け漏れを防ぐことができます。以下では、非同期処理に関するコードレビュー時のチェックポイントを紹介します。

Promiseのネストが避けられているか


最初に確認すべき点は、Promiseが深くネストしていないかです。Promiseのネストは、コードの可読性を著しく低下させるため、Promiseチェーンやasync/awaitを使用してネストを解消できるか確認します。

  • Promiseチェーンが適切に使われているか。
  • async/awaitを使用することで、同期的な書き方に近づけているか。

ネストしたPromiseが見つかった場合、コードのリファクタリングが必要かどうかを検討します。

エラーハンドリングが一貫して行われているか


Promiseやasync/awaitを使用する際、エラーハンドリングが適切に行われているか確認することが重要です。catch()try-catchがきちんと実装されているかをチェックし、エラーが発生した場合に適切な対応が取られているかを確認します。

  • 各Promiseチェーンやasync関数でエラーが正しくキャッチされているか。
  • 全ての非同期処理に対して一貫したエラーハンドリングが行われているか。
  • エラーメッセージやログの出力が詳細であるか。

特に、ネットワークエラーやデータの不整合が発生した際に、適切なエラーメッセージがユーザーや開発者に伝わるようになっているかを確認します。

処理が関数化されているか


非同期処理が大きな関数の中にまとめて記述されている場合、処理を関数化して小さな単位に分割できるかを確認します。これにより、コードの再利用性が向上し、個別の関数をテストしやすくなります。

  • 各非同期処理が小さな関数に分割され、単一の責務を持っているか。
  • 関数の粒度が適切で、コードが無駄に長くなっていないか。

関数化することで、コードが整理されて保守性が向上します。

Promise.allやPromise.raceの適切な使用


複数の非同期処理を並行して実行する際に、Promise.allPromise.raceが適切に使用されているか確認します。これにより、処理のパフォーマンスを最適化できます。

  • 複数のPromiseを処理する際に、Promise.allPromise.raceが効果的に使われているか。
  • Promise.allの場合、すべてのPromiseが成功した時点で次の処理が行われているか。
  • Promise.raceが必要なケースで適切に選択されているか。

適切にこれらを使用することで、処理の並行実行や競争条件が正しく管理されているかを確認できます。

テストがしやすいコードか


非同期処理のテストがしやすいかどうかも重要です。関数が適切に分割されているか、モックやスタブを使ったテストが容易に行えるかを確認します。

  • 各非同期処理のテストが独立して行えるか。
  • 非同期処理のテストカバレッジが十分か。

非同期処理の結果やエラー処理をテストするために、モックを使用してAPI呼び出しやデータ処理のシミュレーションがしやすくなっているかを確認します。

これらのチェックポイントを通じて、Promiseのネストを避けつつ、非同期処理のコードが正しく動作し、メンテナンスしやすいものになっているかを確認します。次は、実際の応用例としてリアルタイムAPI呼び出しの最適化を解説します。

応用例:リアルタイムAPI呼び出しの最適化

リアルタイムAPI呼び出しの最適化は、非同期処理のパフォーマンスを最大限に引き出す重要な課題です。複数のAPIを同時に呼び出したり、定期的なポーリングやリアルタイムデータを取得する場合、Promiseのネストを避けながら効率的に処理を行うことが不可欠です。ここでは、Promise.allを活用した並行処理や、Promise.raceを利用したタイムアウト管理によるリアルタイムAPI呼び出しの最適化を紹介します。

Promise.allによる複数APIの並行処理


リアルタイムで複数のAPIを呼び出してデータを取得する場合、Promise.allを使って並行処理を行うことで、効率的にデータを集約できます。例えば、ユーザー情報、通知、メッセージなど、複数の情報を同時に取得するシナリオを考えてみましょう。

async function fetchUserData() {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve("ユーザーデータを取得"), 1000);
  });
}

async function fetchNotifications() {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve("通知を取得"), 1500);
  });
}

async function fetchMessages() {
  return new Promise((resolve) => {
    setTimeout(() => resolve("メッセージを取得"), 2000);
  });
}

// Promise.allで複数のAPIを同時に呼び出す
async function fetchAllData() {
  try {
    const [userData, notifications, messages] = await Promise.all([
      fetchUserData(),
      fetchNotifications(),
      fetchMessages(),
    ]);
    console.log("ユーザーデータ:", userData);
    console.log("通知:", notifications);
    console.log("メッセージ:", messages);
  } catch (error) {
    console.error("データ取得エラー:", error);
  }
}

fetchAllData();

この例では、3つのAPI呼び出しが並行して実行され、すべての処理が完了した時点でデータが取得されます。Promise.allを使用することで、複数のリクエストを待つ時間を最小限に抑え、パフォーマンスを向上させることができます。

Promise.raceを使ったタイムアウト処理


リアルタイムAPI呼び出しでは、レスポンスが遅すぎる場合にタイムアウト処理を設定することが重要です。Promise.raceを使えば、特定のAPI呼び出しが指定時間内に応答しなかった場合に、タイムアウトを発生させることができます。

async function fetchDataWithTimeout(promise: Promise<any>, timeout: number) {
  const timeoutPromise = new Promise((_, reject) =>
    setTimeout(() => reject(new Error("タイムアウト発生")), timeout)
  );

  return Promise.race([promise, timeoutPromise]);
}

async function fetchAPIData() {
  try {
    const data = await fetchDataWithTimeout(fetchUserData(), 1500);
    console.log("データ取得成功:", data);
  } catch (error) {
    console.error("エラー:", error.message); // タイムアウト発生時にこのエラーメッセージが表示される
  }
}

fetchAPIData();

このコードでは、Promise.raceを使ってAPIの応答時間を1500msに制限しています。指定時間を超えた場合には、”タイムアウト発生”というエラーメッセージが返されます。これにより、リアルタイムAPI呼び出しの信頼性を向上させることが可能です。

リアルタイムデータ取得の最適化


リアルタイムデータ取得の際には、頻繁なAPI呼び出しやポーリングが必要となることがあります。この場合、非同期処理を適切に管理するために、setIntervalsetTimeoutとPromiseを組み合わせることがよくあります。以下に、定期的なポーリング処理の例を示します。

async function pollAPI(interval: number) {
  try {
    while (true) {
      const data = await fetchUserData();
      console.log("ポーリング結果:", data);
      await new Promise((resolve) => setTimeout(resolve, interval)); // 指定時間待機
    }
  } catch (error) {
    console.error("ポーリングエラー:", error);
  }
}

// 1秒ごとにAPIをポーリングする
pollAPI(1000);

この例では、1秒ごとにfetchUserData()を呼び出すことで、リアルタイムデータを定期的に取得しています。非同期処理と待機時間を組み合わせることで、システム負荷を抑えつつ、リアルタイムデータを効率的に収集できます。

応用ポイント

  • 並列処理は、複数の非同期処理を同時に実行して効率を最大化できます。特にAPI呼び出しが多い場合、Promise.allを使用することで処理時間を短縮できます。
  • タイムアウト管理Promise.raceを使用すれば、APIの応答が遅い場合にもスムーズに次の処理へ進むことができます。
  • ポーリングや定期的な非同期処理は、リアルタイムデータの取得や更新のために効果的ですが、適切なインターバル設定やエラーハンドリングが重要です。

これらの最適化手法を応用することで、リアルタイムAPI呼び出しにおけるパフォーマンスを大幅に向上させることが可能です。次は、この記事全体のまとめに移ります。

まとめ

本記事では、TypeScriptにおけるPromiseのネストを避けるためのベストプラクティスについて解説しました。Promiseチェーンやasync/awaitの活用により、可読性が高く、メンテナンスしやすい非同期処理の実装が可能です。また、Promise.allPromise.raceを利用した並行処理やタイムアウト管理、処理の関数化によるコード整理など、複雑な非同期処理を効率的に行う方法も紹介しました。これらの技術を活用することで、パフォーマンスが向上し、信頼性の高い非同期処理を実現できます。

コメント

コメントする

目次