Apacheで負荷分散時にログインセッションを維持する方法を徹底解説

Apacheで負荷分散を行う際に、多くのウェブアプリケーションではログインセッションの維持が必要不可欠です。特に複数のサーバーにリクエストが分散される環境では、セッションがサーバー間で分裂してしまうと、ログイン状態が途切れたり、予期しない動作が発生する可能性があります。

本記事では、Apacheで負荷分散を行う際にセッションを維持する方法を徹底解説します。Sticky Session(セッションアフィニティ)の概要から具体的な設定方法までを、mod_proxy_balancerやmod_jkを使用した例を交えて説明します。さらに、セッションデータの共有方法や、トラブルシューティングの手順についても解説し、安定したセッション管理を実現するためのポイントを紹介します。

これにより、負荷分散環境でのログインセッションの維持に関する知識を深め、実際の運用で役立てることができるでしょう。

目次

Apacheでの負荷分散の基本概念


負荷分散(Load Balancing)は、複数のサーバーにリクエストを分散させることで、システム全体のパフォーマンスを向上させ、サーバーの過負荷を防ぐ技術です。Apacheは、この負荷分散を実現するためにmod_proxymod_jkなどのモジュールを提供しています。

負荷分散の目的


負荷分散の主な目的は以下の通りです。

  • パフォーマンスの向上:リクエストを複数のサーバーに分散することで、処理速度が向上します。
  • 可用性の向上:特定のサーバーが障害を起こしても、他のサーバーが処理を引き継ぐことでシステムの稼働が継続されます。
  • スケーラビリティ:アクセスが増えた際にサーバーを追加するだけで処理能力を拡張できます。

セッション維持が必要な理由


ウェブアプリケーションでは、ユーザーのログイン状態やカート情報などのセッションデータを保持する必要があります。しかし、リクエストが異なるサーバーに振り分けられると、セッションデータが失われてしまうことがあります。これを防ぐために「セッション維持(Session Persistence)」が求められます。

負荷分散とセッション維持を両立させることで、スムーズなユーザーエクスペリエンスを提供でき、システム全体の安定性を高めることが可能です。次の項目では、このセッション維持を可能にするSticky Sessionについて詳しく解説します。

セッションアフィニティ(Sticky Session)とは


セッションアフィニティ、またはSticky Sessionとは、特定のユーザーのリクエストを常に同じサーバーにルーティングする技術です。これにより、ユーザーのセッション情報が同一サーバーで維持され、ログイン状態やカート情報などが保持されます。

Sticky Sessionの仕組み


Sticky Sessionは、クライアントに付与されたセッションIDやクッキーを基に動作します。ロードバランサがセッションIDを解析し、ユーザーが以前接続したサーバーにリクエストを転送することで、一貫性のあるセッション管理を実現します。

Sticky Sessionが必要な理由


以下のようなケースではSticky Sessionが特に有効です。

  • ログイン状態の維持:複数のサーバー間でセッションが共有されない場合、ログイン状態が途切れる可能性があります。
  • カート情報の保持:ECサイトなどでカートの中身を保持するためには、同じサーバーでのセッション維持が必要です。
  • フォームデータの保存:途中まで入力したフォーム情報が失われるのを防ぐため、同じサーバーでのセッション処理が求められます。

Sticky Sessionのデメリット


Sticky Sessionは便利ですが、以下のデメリットも存在します。

  • 特定サーバーへの負荷集中:セッションを持つユーザーが増えると、特定のサーバーに負荷が集中する可能性があります。
  • フェイルオーバーの難しさ:Sticky Sessionは、サーバー障害時に他のサーバーへの切り替えが難しくなります。

こうしたデメリットを考慮し、Sticky Sessionとセッション共有技術を組み合わせることで、より安定した負荷分散環境を構築できます。次の項目では、ApacheでSticky Sessionを設定する具体的な方法を解説します。

ApacheでSticky Sessionを設定する方法


ApacheでSticky Sessionを実装するためには、mod_proxy_balancermod_jkモジュールを利用します。これにより、特定のクライアントが同じバックエンドサーバーに接続され続けるようになります。

mod_proxy_balancerを利用する方法


mod_proxy_balancerは、Apacheが標準で提供するモジュールで、簡単にSticky Sessionを設定できます。

必要なモジュール

  • mod_proxy
  • mod_proxy_http
  • mod_proxy_balancer
  • mod_lbmethod_byrequests(ラウンドロビン方式)

設定例


Apacheの設定ファイル(httpd.confまたはvhost.conf)に以下の設定を追加します。

<Proxy "balancer://mycluster">
    BalancerMember http://192.168.1.101:8080 route=web1
    BalancerMember http://192.168.1.102:8080 route=web2
    ProxySet stickysession=JSESSIONID|jsessionid
</Proxy>

<VirtualHost *:80>
    ProxyPreserveHost On
    ProxyPass / balancer://mycluster/
    ProxyPassReverse / balancer://mycluster/
</VirtualHost>

ポイント解説

  • BalancerMember:負荷分散するバックエンドサーバーを定義します。routeはSticky Sessionの識別子となります。
  • ProxySet stickysession:セッション識別子(JSESSIONID)を指定し、クライアントが同じサーバーに接続するように設定します。

mod_jkを利用する方法


mod_jkはApacheとTomcat間でSticky Sessionを設定する際に利用されるモジュールです。Javaアプリケーションを使った環境で特に役立ちます。

設定例


workers.propertiesファイルに以下の内容を追加します。

worker.list=loadbalancer
worker.web1.port=8009
worker.web1.host=192.168.1.101
worker.web1.type=ajp13
worker.web1.route=web1

worker.web2.port=8009
worker.web2.host=192.168.1.102
worker.web2.type=ajp13
worker.web2.route=web2

worker.loadbalancer.type=lb
worker.loadbalancer.balance_workers=web1,web2
worker.loadbalancer.sticky_session=1

ポイント解説

  • routeパラメータを使って、特定のサーバーにセッションを固定します。
  • sticky_session=1でSticky Sessionを有効化します。

次の項目では、さらに詳しくmod_proxy_balancerの設定例を解説します。

mod_proxy_balancerの設定例


mod_proxy_balancerを使ったSticky Sessionの設定は、シンプルかつ効果的です。ここでは、実際の設定例を用いて具体的な手順を解説します。

前提条件

  • Apacheがインストール済みであること
  • mod_proxy、mod_proxy_http、mod_proxy_balancerが有効化されていること
  • 複数のバックエンドサーバー(例:Tomcat)が稼働していること

基本設定


Apacheの設定ファイル(httpd.confやvhost.conf)に以下の内容を追加します。

# ロードバランサークラスターの定義
<Proxy "balancer://mycluster">
    BalancerMember http://192.168.1.101:8080 route=web1
    BalancerMember http://192.168.1.102:8080 route=web2
    ProxySet stickysession=JSESSIONID|jsessionid
</Proxy>

# VirtualHost設定
<VirtualHost *:80>
    ServerName example.com
    ProxyPreserveHost On
    ProxyPass / balancer://mycluster/
    ProxyPassReverse / balancer://mycluster/
</VirtualHost>

設定のポイント

  • BalancerMember:各バックエンドサーバーを指定し、routeで各サーバーにユニークな名前を付けます。これがSticky Sessionの識別子になります。
  • stickysession:セッションIDとして使用するクッキー名やURLパラメータを指定します。JSESSIONIDはJavaアプリケーションで一般的です。

動作確認


設定を反映させるためにApacheを再起動します。

sudo systemctl restart apache2


または

sudo service httpd restart

ブラウザでhttp://example.comにアクセスし、ログイン後の状態が維持されているか確認します。サーバーログにアクセスして、どのサーバーが処理しているかをチェックします。

トラブルシューティング

  • セッションが維持されない場合
  • セッションIDが正しく付与されているか確認します。
  • Apacheのエラーログを確認し、mod_proxy_balancerの設定ミスがないか見直します。
  • 特定のサーバーに負荷が偏る場合
  • lbmethodを調整し、ラウンドロビン方式などを採用することで負荷を分散させます。

次の項目では、mod_jkを利用したSticky Sessionの設定方法について詳しく説明します。

mod_jkによるセッション維持の設定


mod_jkは、ApacheとTomcat間で効率的にリクエストを分散しつつ、セッション維持を可能にするモジュールです。特にJavaアプリケーションで使用されるAJPプロトコルを通じて、安定した通信が行えます。ここでは、mod_jkを使ったSticky Sessionの設定方法を解説します。

前提条件

  • ApacheおよびTomcatがインストール済みであること
  • mod_jkがインストールされていること

mod_jkのインストール


Ubuntu/Debianの場合:

sudo apt install libapache2-mod-jk


CentOS/RHELの場合:

sudo yum install mod_jk

workers.propertiesの設定


workers.propertiesファイルは、ApacheがTomcatにどのようにリクエストを分散するかを定義するファイルです。通常は/etc/httpd/conf.d//etc/apache2/に配置されます。以下のように記述します。

worker.list=loadbalancer

worker.web1.port=8009
worker.web1.host=192.168.1.101
worker.web1.type=ajp13
worker.web1.lbfactor=1
worker.web1.route=web1

worker.web2.port=8009
worker.web2.host=192.168.1.102
worker.web2.type=ajp13
worker.web2.lbfactor=1
worker.web2.route=web2

worker.loadbalancer.type=lb
worker.loadbalancer.balance_workers=web1,web2
worker.loadbalancer.sticky_session=1

設定のポイント

  • route:Tomcat側でサーバーごとにユニークなルートを指定します。これがSticky Sessionのキーになります。
  • sticky_session=1:Sticky Sessionを有効にする設定です。
  • lbfactor:ロードバランサーがどの程度の負荷を各サーバーに割り振るかを指定します。

Apacheの設定ファイル(httpd.confまたはvhost.conf)


次に、Apacheの設定ファイルにmod_jkの設定を追加します。

<VirtualHost *:80>
    JkMount /* loadbalancer
    ServerName example.com
</VirtualHost>

Tomcatのserver.xml設定


Tomcat側でもSticky Sessionを動作させるためにserver.xmlを修正します。

<Engine name="Catalina" defaultHost="localhost" jvmRoute="web1">
    ...
</Engine>


jvmRouteにはworkers.propertiesで指定したroute(例:web1, web2)を記述します。Tomcatごとに異なる値を設定します。

動作確認


ApacheとTomcatを再起動します。

sudo systemctl restart apache2
sudo systemctl restart tomcat


ブラウザからアクセスし、ログイン状態が維持されるか確認します。

トラブルシューティング

  • セッションが維持されない場合
  • TomcatのjvmRoute設定が適切か確認します。
  • Apacheのエラーログでmod_jkのエラーが出ていないか確認します。
  • 負荷が均等でない場合
  • lbfactorの値を調整し、負荷の分散を最適化します。

次の項目では、TomcatとApacheの連携によるセッション維持について詳しく解説します。

TomcatとApacheの連携でセッション維持を行う方法


ApacheとTomcatの連携では、mod_proxyやmod_jkを活用して負荷分散を行いますが、セッション維持にはTomcatのjvmRouteとApacheの設定が重要です。本項では、TomcatとApacheを連携させてSticky Sessionを実現する具体的な手順を解説します。

Tomcat側の設定


Tomcatでセッションを維持するには、server.xmljvmRouteの設定を追加します。これにより、Tomcatは自分自身を識別できるようになり、Apacheがセッションを特定のTomcatに固定します。

server.xmlの設定例


Tomcatのserver.xmlに以下を追加します。

<Engine name="Catalina" defaultHost="localhost" jvmRoute="web1">
    <Host name="localhost" appBase="webapps" unpackWARs="true" autoDeploy="true">
        <Context path="" docBase="ROOT"/>
    </Host>
</Engine>
  • jvmRoute=”web1″:このTomcatインスタンスをweb1として識別します。
  • Tomcatごとにweb1, web2など異なる値を設定してください。

Apache側の設定


Apacheでは、mod_proxy_balancerまたはmod_jkを利用してTomcatへのリクエストを分散します。セッション維持のためにTomcatのjvmRouteと連携する設定を追加します。

mod_proxy_balancerを使う場合


Apacheの設定ファイル(httpd.confまたはvhost.conf)に以下を記述します。

<Proxy "balancer://mycluster">
    BalancerMember ajp://192.168.1.101:8009 route=web1
    BalancerMember ajp://192.168.1.102:8009 route=web2
    ProxySet stickysession=JSESSIONID|jsessionid
</Proxy>

<VirtualHost *:80>
    ProxyPreserveHost On
    ProxyPass / balancer://mycluster/
    ProxyPassReverse / balancer://mycluster/
</VirtualHost>
  • route=web1:TomcatのjvmRouteと一致するように設定します。
  • stickysession=JSESSIONID:Tomcatが発行するセッションIDを基にセッション維持を行います。

mod_jkを使う場合


mod_jkを利用する場合は、Apacheの設定ファイルに以下を追加します。

<VirtualHost *:80>
    JkMount /* loadbalancer
    ServerName example.com
</VirtualHost>


また、workers.propertiesには以下を記述します。

worker.list=loadbalancer
worker.web1.port=8009
worker.web1.host=192.168.1.101
worker.web1.type=ajp13
worker.web1.route=web1

worker.web2.port=8009
worker.web2.host=192.168.1.102
worker.web2.type=ajp13
worker.web2.route=web2

worker.loadbalancer.type=lb
worker.loadbalancer.balance_workers=web1,web2
worker.loadbalancer.sticky_session=1

動作確認

  1. ApacheとTomcatを再起動します。
sudo systemctl restart apache2
sudo systemctl restart tomcat
  1. ブラウザからhttp://example.comにアクセスし、ログイン後にF12を押してセッションIDを確認します。
  2. その後、複数回リロードしても同じTomcatサーバーに接続され続けるか確認します。

トラブルシューティング

  • ログインセッションが維持されない場合
  • TomcatのjvmRoute設定を確認します。
  • ApacheのProxySetでstickysessionが正しく設定されているか確認します。
  • 特定のTomcatに負荷が偏る場合
  • 負荷分散方式をラウンドロビンやleastconnに変更し、均等に分散するよう調整します。

次の項目では、セッションデータを共有するアプローチについて解説します。

セッションデータを共有するアプローチ


Sticky Sessionを使ったセッション維持には限界があります。特定のサーバーに負荷が集中したり、サーバー障害時にセッションが失われるリスクがあるため、セッションデータを複数のサーバーで共有する方法が効果的です。ここでは、RedisやMemcachedを使ってセッションデータを共有する方法を解説します。

セッション共有の仕組み


セッション共有では、各サーバーが同じデータストア(RedisやMemcachedなど)を参照してセッションデータを管理します。これにより、どのサーバーにリクエストが振り分けられても、セッションデータが一貫して維持されます。

Redisを使ったセッション共有


Redisは、インメモリデータストアとして非常に高速であり、セッションデータの共有に適しています。以下は、TomcatとRedisを連携してセッションを共有する方法です。

前提条件

  • Redisがインストール済みで稼働していること
  • TomcatがRedisセッションマネージャーを利用できる状態であること

Redisセッションマネージャーのインストール


まず、RedisセッションマネージャーをTomcatに導入します。

wget https://repo1.maven.org/maven2/com/orangefunction/tomcat-redis-session-manager/2.0/tomcat-redis-session-manager-2.0.jar -P $CATALINA_HOME/lib
wget https://github.com/xetorthio/jedis/releases/download/jedis-3.6.0/jedis-3.6.0.jar -P $CATALINA_HOME/lib

Tomcatのcontext.xmlに設定を追加


$CATALINA_HOME/conf/context.xmlに以下を追加します。

<Context>
    <Valve className="com.orangefunction.tomcat.redissessions.RedisSessionHandlerValve"/>
    <Manager className="com.orangefunction.tomcat.redissessions.RedisSessionManager"
             host="localhost"
             port="6379"
             database="0"
             maxInactiveInterval="1800"
             />
</Context>

設定のポイント

  • host/port:Redisのホストとポートを指定します。
  • database:使用するRedisのデータベース番号を指定します。
  • maxInactiveInterval:セッションの有効期限を秒単位で設定します。

Memcachedを使ったセッション共有


Memcachedもまた、セッションデータの高速共有に適したインメモリデータストアです。

TomcatとMemcachedの連携例


Memcachedセッションマネージャー(tomcat-session-memcached)をダウンロードしてTomcatに追加します。

wget https://repo1.maven.org/maven2/de/javakaffee/msm/memcached-session-manager/2.0.0/memcached-session-manager-2.0.0.jar -P $CATALINA_HOME/lib

次に、context.xmlに以下を記述します。

<Context>
    <Manager className="de.javakaffee.web.msm.MemcachedBackupSessionManager"
             memcachedNodes="n1:localhost:11211"
             sticky="false"
             sessionBackupAsync="false"
             sessionBackupTimeout="2000"
             />
</Context>

セッション共有のメリット

  • 高可用性:サーバー障害が発生してもセッションデータが失われません。
  • 負荷分散:すべてのサーバーが同じセッションデータを参照するため、リクエストが均等に分散されます。
  • スケーラビリティ:新しいサーバーを追加するだけでセッションデータの共有が可能です。

セッション共有のデメリット

  • レイテンシの増加:セッションデータを外部ストアから取得するため、若干の遅延が発生します。
  • 管理の複雑化:RedisやMemcachedの管理が必要となります。

次の項目では、セッション維持がうまく機能しない場合のトラブルシューティング方法について解説します。

トラブルシューティングとログの確認方法


Sticky Sessionやセッション共有の設定がうまく機能しない場合は、適切なトラブルシューティングを行うことで問題を迅速に解決できます。ここでは、ApacheやTomcatのログ確認方法と、よくある問題の解決策を紹介します。

ログの確認方法


まずはApacheとTomcatのログを確認して、エラーメッセージや不審な動作を特定します。

Apacheのログ確認


Apacheのエラーログとアクセスログを確認します。

sudo tail -f /var/log/apache2/error.log
sudo tail -f /var/log/apache2/access.log
  • error.log:mod_proxy_balancerやmod_jkに関連するエラーが記録されます。
  • access.log:リクエストがどのサーバーに振り分けられているか確認できます。セッションIDが記録される場合は、動作の一貫性を確認します。

Tomcatのログ確認


Tomcat側でも、セッション関連のエラーを確認します。

sudo tail -f /var/log/tomcat9/catalina.out
  • catalina.out:Tomcatの標準出力ログ。セッションエラーやAJP通信エラーが記録されます。

よくある問題と解決策

1. Sticky Sessionが機能しない


問題点:リクエストが複数のサーバーに分散され、ログインが解除される。
解決策

  • Apacheの設定確認ProxySet stickysessionが正しく設定されているか確認します。
    apache ProxySet stickysession=JSESSIONID|jsessionid
  • Tomcatのserver.xml確認jvmRouteが正しく設定されているか確認します。
    xml <Engine name="Catalina" defaultHost="localhost" jvmRoute="web1">

2. セッションがすぐに切れる


問題点:ログイン状態が短時間で切れてしまう。
解決策

  • Tomcatのセッションタイムアウトを延長します。web.xmlに以下を追加または修正します。
    xml <session-config> <session-timeout>30</session-timeout> <!-- 30分 --> </session-config>
  • RedisやMemcachedでのセッション管理を導入し、セッションデータを保持します。

3. 特定のサーバーに負荷が集中する


問題点:一部のTomcatにリクエストが集中し、負荷が偏る。
解決策

  • Apacheでラウンドロビン方式を設定します。
    apache ProxySet lbmethod=byrequests
  • セッション共有を導入し、どのサーバーでも同じセッションが参照できるようにします。

4. mod_jkが動作しない


問題点:mod_jkが正しくロードされず、ApacheがTomcatと通信できない。
解決策

  • mod_jkがインストールされているか確認します。
    bash sudo a2enmod jk sudo systemctl restart apache2
  • Apacheの設定ファイルでJkMountが正しく設定されているか確認します。
    apache JkMount /* loadbalancer

トラブルが解消しない場合

  • Apacheの設定ファイル(httpd.confやvhost.conf)を再確認し、タイプミスや記述漏れがないかチェックします。
  • Tomcat側のserver.xmlworkers.propertiesが一致しているかを確認します。
  • iptablesfirewalldなどのファイアウォール設定で、AJPやHTTPポートがブロックされていないか確認します。

次の項目では、本記事のまとめとしてセッション維持の重要性と実践的な方法を振り返ります。

まとめ


本記事では、Apacheで負荷分散を行う際にログインセッションを維持する方法について詳しく解説しました。Sticky Sessionの仕組みや設定方法、mod_proxy_balancerやmod_jkを使ったセッション維持の方法を具体例とともに紹介しました。

さらに、RedisやMemcachedを活用したセッションデータの共有方法についても触れ、セッション維持の柔軟性と信頼性を高める手法を説明しました。

セッション維持は、安定したウェブアプリケーション運用に不可欠です。負荷分散環境でもスムーズなユーザー体験を提供し、ログイン状態やカート情報が保持される仕組みを構築することで、ユーザー満足度の向上とシステムの安定性が実現します。

今後のシステム構築や運用において、この記事がセッション維持の参考となれば幸いです。

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