Apacheで複数のウェブサイトを一つのサーバーで効率的に運用する手法として「仮想ホスト(Virtual Host)」があります。仮想ホストを利用することで、一台のApacheサーバー上で複数のドメインを使い分けたり、異なるコンテンツを提供したりすることが可能になります。
企業や個人で複数のプロジェクトを同時に進める場合、それぞれ専用のサーバーを用意するのはコストや管理面で非効率です。仮想ホストを使えば、一つの物理サーバーで複数のウェブサイトを独立して運用でき、リソースの最適化が図れます。
本記事では、Apacheの仮想ホスト機能を活用してマルチサイト環境を構築する具体的な方法を徹底解説します。仮想ホストの仕組みから、名前ベースとIPベースの設定方法、ディレクトリ構成、HTTPS対応、さらには設定時のトラブルシューティングまで、順を追って詳しく説明します。
初心者でも理解しやすいように、設定ファイルの具体例や実践的なポイントも交えながら、確実に仮想ホストを構築できる内容となっています。Apacheで効率的に複数のサイトを運営したい方に役立つ情報をお届けします。
仮想ホストとは?概要と仕組み
仮想ホスト(Virtual Host)とは、一台のApacheサーバー上で複数のウェブサイトを運用するための仕組みです。ApacheはリクエストされたドメインやIPアドレスに応じて、異なるウェブサイトのコンテンツを配信します。これにより、ハードウェアコストの削減やリソースの効率的な活用が可能になります。
仮想ホストには主に以下の2種類があります。
名前ベースの仮想ホスト
同じIPアドレスで複数のドメインを使い分ける方式です。たとえば、「example.com」と「test.com」を同じIPアドレスに設定し、アクセスされたドメイン名によって異なるコンテンツを提供します。
仕組み:
ApacheはHTTPリクエストの「Host」ヘッダーを解析し、どのサイトへリクエストが向けられているかを判断します。
例:
example.com
→/var/www/example
test.com
→/var/www/test
IPベースの仮想ホスト
異なるIPアドレスごとにウェブサイトを割り当てる方式です。各ウェブサイトが固有のIPアドレスを持つため、ドメイン名が異なってもIPアドレス単位で独立した環境を提供できます。
例:
192.168.1.1
→/var/www/site1
192.168.1.2
→/var/www/site2
仮想ホストのメリット
- コスト削減:サーバー台数を減らし、インフラコストを削減できる。
- 管理の簡素化:一元的に管理できるため、設定やメンテナンスが容易になる。
- 柔軟な運用:新しいサイトを追加する際も、サーバーを追加することなく設定ファイルを編集するだけで済む。
仮想ホストは、ウェブサイトの運用コストを抑えつつ、複数のサービスを提供する上で欠かせない技術です。次章では、仮想ホストを設定するために必要な環境と前提条件について解説します。
必要な環境と前提条件
仮想ホストを設定するには、Apacheがインストールされているサーバー環境と、適切なネットワーク設定が整っている必要があります。ここでは、仮想ホスト構築のための前提条件と準備手順について説明します。
必要な環境
- OS:Linux(Ubuntu, CentOS, Debianなど)またはWindows
- Apache:Apache HTTP Server 2.4以降(最新バージョン推奨)
- 権限:サーバーのroot権限またはsudo権限
前提条件
- Apacheのインストール
Apacheがサーバーにインストールされている必要があります。インストールされていない場合は以下のコマンドでインストールします。
Ubuntu/Debian系
sudo apt update
sudo apt install apache2
CentOS/RHEL系
sudo yum install httpd
sudo systemctl enable httpd
- ドメイン名の準備
仮想ホストで運用する各ウェブサイトに対して、有効なドメイン名を準備します。テスト環境では、/etc/hosts
ファイルを編集して仮のドメインを設定することも可能です。
例:
127.0.0.1 example.com
127.0.0.1 test.com
- 必要なディレクトリの作成
各サイトごとに個別のドキュメントルート(Webサイトのファイルを配置するディレクトリ)を作成します。
例:
sudo mkdir -p /var/www/example.com/public_html
sudo mkdir -p /var/www/test.com/public_html
- 権限の設定
作成したディレクトリに適切な権限を付与します。
sudo chown -R $USER:$USER /var/www/example.com/public_html
sudo chmod -R 755 /var/www
- ファイアウォールの設定
ApacheがHTTP/HTTPSリクエストを受け付けられるようにファイアウォールを設定します。
例(Ubuntu):
sudo ufw allow 'Apache Full'
動作確認
Apacheが正しく起動しているかを確認します。
sudo systemctl status apache2
以上で、仮想ホスト設定の準備が整いました。次は、仮想ホスト設定ファイルの基本構成について解説します。
仮想ホスト設定ファイルの基本構成
Apacheで仮想ホストを設定する際には、仮想ホストごとに専用の設定ファイルを作成します。これにより、ドメインごとに異なるウェブサイトを配信することが可能になります。ここでは仮想ホスト設定ファイルの構成と記述例について解説します。
設定ファイルの場所
- Ubuntu/Debian系:
/etc/apache2/sites-available/
- CentOS/RHEL系:
/etc/httpd/conf.d/
設定ファイルの命名規則
ファイル名はドメイン名やプロジェクト名を使ってわかりやすく命名します。
例:
/etc/apache2/sites-available/example.com.conf
/etc/apache2/sites-available/test.com.conf
基本的な仮想ホスト設定例
以下は名前ベースの仮想ホスト設定ファイルの例です。
/etc/apache2/sites-available/example.com.conf
<VirtualHost *:80>
ServerAdmin admin@example.com
ServerName example.com
ServerAlias www.example.com
DocumentRoot /var/www/example.com/public_html
<Directory /var/www/example.com/public_html>
Options -Indexes +FollowSymLinks
AllowOverride All
Require all granted
</Directory>
ErrorLog ${APACHE_LOG_DIR}/example.com_error.log
CustomLog ${APACHE_LOG_DIR}/example.com_access.log combined
</VirtualHost>
各ディレクティブの説明
ServerAdmin
:サイト管理者のメールアドレス。エラーメッセージなどに表示されます。ServerName
:リクエストされるメインのドメイン名。ServerAlias
:www
付きなどの別名を指定します。DocumentRoot
:ウェブサイトのコンテンツを配置するルートディレクトリ。<Directory>
:指定ディレクトリへのアクセスルールを定義します。ErrorLog
:エラーログの保存場所。CustomLog
:アクセスログの保存場所。
仮想ホストの有効化(Ubuntu/Debian系)
仮想ホスト設定ファイルを有効にするには、a2ensite
コマンドを使用します。
sudo a2ensite example.com.conf
sudo systemctl reload apache2
CentOSでは、httpd.conf
に直接記述するか、conf.d
ディレクトリに配置した時点で自動で有効になります。
動作確認
正しく設定されているかをテストします。
sudo apachectl configtest
エラーがなければApacheを再起動して反映します。
sudo systemctl restart apache2
次は名前ベースの仮想ホスト設定方法について詳しく説明します。
名前ベースの仮想ホスト設定方法
名前ベースの仮想ホストは、同じIPアドレスを使用して複数のドメインを運用する際に利用されます。ドメイン名によって異なるウェブサイトを提供する柔軟な方法であり、マルチサイト運用には最適です。ここでは、具体的な設定手順を解説します。
1. Apacheの名前ベース仮想ホスト機能を有効化
Ubuntu/Debian系ではデフォルトで名前ベースの仮想ホストが有効になっていますが、設定を確認しましょう。
/etc/apache2/ports.conf を開き、以下の行があることを確認します。
NameVirtualHost *:80
CentOS/RHEL系では以下のようにhttpd.conf
ファイルに追記します。
NameVirtualHost *:80
2. 仮想ホスト設定ファイルの作成
以下の例ではexample.com
とtest.com
の2つのサイトを同じサーバーで運用します。
example.comの仮想ホスト設定ファイル
<VirtualHost *:80>
ServerAdmin admin@example.com
ServerName example.com
ServerAlias www.example.com
DocumentRoot /var/www/example.com/public_html
<Directory /var/www/example.com/public_html>
Options -Indexes +FollowSymLinks
AllowOverride All
Require all granted
</Directory>
ErrorLog ${APACHE_LOG_DIR}/example.com_error.log
CustomLog ${APACHE_LOG_DIR}/example.com_access.log combined
</VirtualHost>
test.comの仮想ホスト設定ファイル
<VirtualHost *:80>
ServerAdmin admin@test.com
ServerName test.com
ServerAlias www.test.com
DocumentRoot /var/www/test.com/public_html
<Directory /var/www/test.com/public_html>
Options -Indexes +FollowSymLinks
AllowOverride All
Require all granted
</Directory>
ErrorLog ${APACHE_LOG_DIR}/test.com_error.log
CustomLog ${APACHE_LOG_DIR}/test.com_access.log combined
</VirtualHost>
3. 必要なディレクトリの作成と権限設定
ドキュメントルートを作成し、適切な権限を設定します。
sudo mkdir -p /var/www/example.com/public_html
sudo mkdir -p /var/www/test.com/public_html
sudo chown -R $USER:$USER /var/www/example.com/public_html
sudo chown -R $USER:$USER /var/www/test.com/public_html
sudo chmod -R 755 /var/www
4. サンプルHTMLファイルの作成
各サイトで動作確認用のHTMLファイルを設置します。
example.com用
echo "<h1>Welcome to example.com</h1>" | sudo tee /var/www/example.com/public_html/index.html
test.com用
echo "<h1>Welcome to test.com</h1>" | sudo tee /var/www/test.com/public_html/index.html
5. 仮想ホストの有効化とApacheの再起動
仮想ホストを有効化し、Apacheを再起動します。
Ubuntu/Debian系
sudo a2ensite example.com.conf
sudo a2ensite test.com.conf
sudo systemctl reload apache2
CentOS/RHEL系
直接/etc/httpd/conf.d/
に仮想ホスト設定ファイルを配置したらApacheを再起動します。
sudo systemctl restart httpd
6. 動作確認
ブラウザでhttp://example.com
とhttp://test.com
にアクセスし、各サイトが正しく表示されることを確認します。
もし表示されない場合は、/etc/hosts
ファイルを編集してローカルで名前解決を行います。
127.0.0.1 example.com
127.0.0.1 test.com
これで、名前ベースの仮想ホストが動作するようになります。次はIPベースの仮想ホスト設定について詳しく解説します。
IPベースの仮想ホスト設定方法
IPベースの仮想ホストは、複数のIPアドレスを使い分けてウェブサイトを運用する方式です。それぞれのウェブサイトが異なるIPアドレスでアクセスされるため、独立性が高く、セキュリティの観点からも有効です。主に、SSL証明書をドメインごとに個別に設定したい場合などに使用されます。
1. IPベース仮想ホストの概要
IPベースの仮想ホストでは、リクエストがどのIPアドレス宛てに送信されたかをApacheが判別し、対応するウェブサイトを配信します。
複数のネットワークインターフェースやIPアドレスを持つサーバーで、各IPに対して異なる仮想ホストを割り当てます。
2. サーバーへの複数IPの割り当て
サーバーに複数のIPアドレスが割り当てられていることを確認します。新しいIPを追加するには以下の方法で設定します。
ネットワークインターフェース設定例(Ubuntuの場合):
sudo ip addr add 192.168.1.101/24 dev eth0
sudo ip addr add 192.168.1.102/24 dev eth0
確認
ip addr show
3. 仮想ホスト設定ファイルの作成
それぞれのIPアドレスごとに仮想ホストを作成します。
example.comの仮想ホスト設定ファイル
<VirtualHost 192.168.1.101:80>
ServerAdmin admin@example.com
ServerName example.com
DocumentRoot /var/www/example.com/public_html
<Directory /var/www/example.com/public_html>
Options -Indexes +FollowSymLinks
AllowOverride All
Require all granted
</Directory>
ErrorLog ${APACHE_LOG_DIR}/example.com_error.log
CustomLog ${APACHE_LOG_DIR}/example.com_access.log combined
</VirtualHost>
test.comの仮想ホスト設定ファイル
<VirtualHost 192.168.1.102:80>
ServerAdmin admin@test.com
ServerName test.com
DocumentRoot /var/www/test.com/public_html
<Directory /var/www/test.com/public_html>
Options -Indexes +FollowSymLinks
AllowOverride All
Require all granted
</Directory>
ErrorLog ${APACHE_LOG_DIR}/test.com_error.log
CustomLog ${APACHE_LOG_DIR}/test.com_access.log combined
</VirtualHost>
4. 必要なディレクトリの作成と権限設定
ドキュメントルートを作成し、適切な権限を設定します。
sudo mkdir -p /var/www/example.com/public_html
sudo mkdir -p /var/www/test.com/public_html
sudo chown -R $USER:$USER /var/www/example.com/public_html
sudo chown -R $USER:$USER /var/www/test.com/public_html
sudo chmod -R 755 /var/www
5. サンプルHTMLファイルの作成
各サイトにHTMLファイルを設置し、動作確認を行います。
example.com用
echo "<h1>Welcome to example.com</h1>" | sudo tee /var/www/example.com/public_html/index.html
test.com用
echo "<h1>Welcome to test.com</h1>" | sudo tee /var/www/test.com/public_html/index.html
6. 仮想ホストの有効化とApacheの再起動
仮想ホストを有効化して、Apacheを再起動します。
Ubuntu/Debian系
sudo a2ensite example.com.conf
sudo a2ensite test.com.conf
sudo systemctl reload apache2
CentOS/RHEL系
sudo systemctl restart httpd
7. 動作確認
ブラウザから以下のアドレスでアクセスし、それぞれのサイトが表示されることを確認します。
http://192.168.1.101
http://192.168.1.102
もし表示されない場合は、ファイアウォールやSELinuxの設定を確認し、適宜許可してください。
ファイアウォール設定(Ubuntu):
sudo ufw allow 80
CentOSファイアウォール設定例:
sudo firewall-cmd --permanent --add-service=http
sudo firewall-cmd --reload
これでIPベースの仮想ホストが設定されました。次は、サイトごとのディレクトリ構成とドキュメントルートの設計について詳しく解説します。
サイトごとのディレクトリ構成とドキュメントルートの設定
仮想ホストを運用する際、ウェブサイトごとに適切なディレクトリ構成を設計することは、セキュリティや管理のしやすさに直結します。ここでは、効率的なディレクトリ構成の作成方法と、Apacheでのドキュメントルート設定について解説します。
1. 標準的なディレクトリ構成
以下は、各ウェブサイトに対して独立したディレクトリ構成を持たせる例です。
/var/www/
├── example.com/
│ ├── public_html/
│ │ ├── index.html
│ │ ├── css/
│ │ ├── js/
│ │ └── images/
│ └── logs/
│ ├── access.log
│ └── error.log
└── test.com/
├── public_html/
│ ├── index.html
│ ├── assets/
│ ├── scripts/
│ └── uploads/
└── logs/
├── access.log
└── error.log
各ディレクトリの役割
- public_html/:ウェブサイトのルートディレクトリ。外部からアクセスされるすべてのファイルを配置します。
- logs/:各サイト専用のアクセスログやエラーログを保存するディレクトリです。トラブルシューティングやアクセス解析に役立ちます。
- css/ js/ images/:HTMLで使用されるCSS、JavaScript、画像などを整理して格納します。
2. ドキュメントルートの設定
仮想ホスト設定ファイルで、各ウェブサイトのDocumentRoot
を指定します。これにより、Apacheは正しいディレクトリからコンテンツを提供します。
仮想ホスト設定例(example.com)
<VirtualHost *:80>
ServerAdmin admin@example.com
ServerName example.com
DocumentRoot /var/www/example.com/public_html
<Directory /var/www/example.com/public_html>
Options -Indexes +FollowSymLinks
AllowOverride All
Require all granted
</Directory>
ErrorLog /var/www/example.com/logs/error.log
CustomLog /var/www/example.com/logs/access.log combined
</VirtualHost>
仮想ホスト設定例(test.com)
<VirtualHost *:80>
ServerAdmin admin@test.com
ServerName test.com
DocumentRoot /var/www/test.com/public_html
<Directory /var/www/test.com/public_html>
Options -Indexes +FollowSymLinks
AllowOverride All
Require all granted
</Directory>
ErrorLog /var/www/test.com/logs/error.log
CustomLog /var/www/test.com/logs/access.log combined
</VirtualHost>
3. ディレクトリの作成と権限設定
ドキュメントルートとログディレクトリを作成し、適切な権限を設定します。
sudo mkdir -p /var/www/example.com/public_html
sudo mkdir -p /var/www/example.com/logs
sudo mkdir -p /var/www/test.com/public_html
sudo mkdir -p /var/www/test.com/logs
sudo chown -R $USER:$USER /var/www/example.com
sudo chown -R $USER:$USER /var/www/test.com
sudo chmod -R 755 /var/www
4. インデックスファイルの作成
各サイトに動作確認用のHTMLファイルを作成します。
echo "<h1>Welcome to example.com</h1>" | sudo tee /var/www/example.com/public_html/index.html
echo "<h1>Welcome to test.com</h1>" | sudo tee /var/www/test.com/public_html/index.html
5. 設定の反映と確認
Apacheの設定をリロードして、新しい仮想ホストが有効になっていることを確認します。
sudo systemctl reload apache2
sudo apachectl configtest
ブラウザでhttp://example.com
とhttp://test.com
にアクセスし、それぞれのサイトが正しく表示されることを確認します。
次は、HTTPSに対応した仮想ホストの設定方法について解説します。
HTTPS対応の仮想ホスト設定
仮想ホストでHTTPSを利用することで、通信を暗号化し、安全なウェブサイトを提供できます。ここでは、仮想ホストにSSL証明書を適用し、HTTPS通信を有効にする方法を解説します。
1. SSL証明書の準備
1-1. Let’s Encryptを使用した無料SSL証明書の取得
Let’s Encryptは無料で利用できるSSL証明書です。Certbotを使えば簡単に証明書を取得できます。
Ubuntu/Debian系
sudo apt update
sudo apt install certbot python3-certbot-apache
CentOS/RHEL系
sudo yum install certbot python3-certbot-apache
証明書の取得(example.com)
sudo certbot --apache -d example.com -d www.example.com
ガイドに従ってメールアドレスや利用規約に同意すると、自動的にSSL証明書が取得・適用されます。
2. 仮想ホスト設定ファイルの修正(手動でSSL設定を行う場合)
既存のHTTP仮想ホスト設定に加え、SSL対応の仮想ホストを追加します。
example.comのHTTPS仮想ホスト設定
<VirtualHost *:80>
ServerAdmin admin@example.com
ServerName example.com
DocumentRoot /var/www/example.com/public_html
<Directory /var/www/example.com/public_html>
Options -Indexes +FollowSymLinks
AllowOverride All
Require all granted
</Directory>
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTPS} !=on
RewriteRule ^/?(.*) https://%{SERVER_NAME}/$1 [R=301,L]
</VirtualHost>
<VirtualHost *:443>
ServerAdmin admin@example.com
ServerName example.com
DocumentRoot /var/www/example.com/public_html
<Directory /var/www/example.com/public_html>
Options -Indexes +FollowSymLinks
AllowOverride All
Require all granted
</Directory>
SSLEngine on
SSLCertificateFile /etc/letsencrypt/live/example.com/fullchain.pem
SSLCertificateKeyFile /etc/letsencrypt/live/example.com/privkey.pem
Include /etc/letsencrypt/options-ssl-apache.conf
ErrorLog ${APACHE_LOG_DIR}/example.com_error.log
CustomLog ${APACHE_LOG_DIR}/example.com_access.log combined
</VirtualHost>
3. HTTPSリダイレクトの設定
HTTPでアクセスされた場合、自動的にHTTPSへリダイレクトするよう設定します。
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTPS} !=on
RewriteRule ^/?(.*) https://%{SERVER_NAME}/$1 [R=301,L]
4. ファイアウォールの設定
HTTPS用の443番ポートを開放します。
sudo ufw allow 'Apache Full'
5. 設定の確認と反映
Apacheの設定を確認し、リロードします。
sudo apachectl configtest
sudo systemctl reload apache2
6. SSL証明書の自動更新設定
Let’s Encryptの証明書は90日間有効です。自動更新を設定することで、証明書の期限切れを防ぎます。
sudo certbot renew --dry-run
これで自動更新が問題なく動作することを確認します。
動作確認
ブラウザでhttps://example.com
にアクセスし、SSL通信が有効であることを確認します。
🔒マークが表示され、証明書が正しく適用されているかを確認してください。
次は、仮想ホスト設定時のトラブルシューティングとログの確認方法について解説します。
トラブルシューティングとログ確認方法
仮想ホストの設定中に問題が発生した場合、Apacheのエラーログやアクセスログを確認することで原因を特定できます。また、設定ミスや接続トラブルを効率的に解決するための方法を解説します。
1. Apacheのログファイルの場所
Apacheは仮想ホストごとにエラーログとアクセスログを記録します。
- エラーログ:
/var/log/apache2/error.log
(Ubuntu/Debian)または/var/log/httpd/error_log
(CentOS/RHEL) - アクセスログ:
/var/log/apache2/access.log
または/var/log/httpd/access_log
- 仮想ホストごとのログは、設定ファイルで指定した場所に保存されます。
仮想ホスト設定例:
ErrorLog /var/www/example.com/logs/error.log
CustomLog /var/www/example.com/logs/access.log combined
2. 一般的なエラーと対処法
2-1. 403 Forbiddenエラー
原因:ドキュメントルートの権限不足、またはOptions -Indexes
の設定が原因です。
対処法:
- ドキュメントルートの権限を確認し、正しい権限を設定します。
sudo chown -R $USER:$USER /var/www/example.com/public_html
sudo chmod -R 755 /var/www
Options -Indexes
を+Indexes
に変更するか、.htaccess
でアクセス許可を設定します。
<Directory /var/www/example.com/public_html>
Options +Indexes +FollowSymLinks
AllowOverride All
Require all granted
</Directory>
2-2. 404 Not Foundエラー
原因:仮想ホストが正しく設定されていない、またはドキュメントルートが間違っている可能性があります。
対処法:
- 仮想ホスト設定ファイルを再確認し、
DocumentRoot
が存在するディレクトリを指しているか確認します。 - Apacheを再起動して設定を反映します。
sudo systemctl restart apache2
2-3. 500 Internal Server Error
原因:.htaccess
ファイルの記述ミスや、モジュールが有効になっていないことが原因です。
対処法:
.htaccess
ファイルを一時的にリネームして動作確認します。
mv /var/www/example.com/public_html/.htaccess /var/www/example.com/public_html/.htaccess.bak
- Apacheのエラーログを確認し、記述ミスを修正します。
tail -n 50 /var/log/apache2/error.log
3. Apache設定のテスト
設定ファイルに問題がないか確認します。
sudo apachectl configtest
Syntax OKと表示されれば問題ありません。エラーが出た場合は、エラー内容を修正して再テストします。
4. ポートの開放状況を確認
仮想ホストが80番または443番ポートで待ち受けているか確認します。
sudo netstat -tuln | grep :80
sudo netstat -tuln | grep :443
もしポートが開放されていなければ、ファイアウォールの設定を変更します。
sudo ufw allow 'Apache Full'
sudo systemctl reload apache2
5. DNS設定と/etc/hostsの確認
ローカルテスト環境でドメインが正しく名前解決されているか確認します。
例:/etc/hosts
に仮想ドメインを追加します。
127.0.0.1 example.com
127.0.0.1 test.com
6. サービスの再起動とキャッシュのクリア
Apacheやブラウザのキャッシュが原因で動作しない場合があります。
sudo systemctl restart apache2
sudo systemctl restart httpd
ブラウザのキャッシュをクリアしてからアクセスしてください。
これらのトラブルシューティング手順を踏むことで、多くの仮想ホスト設定の問題を解決できます。次は記事のまとめです。
まとめ
本記事では、Apacheを使用した仮想ホストの設定方法について、基礎から応用まで詳しく解説しました。仮想ホストを活用することで、一台のサーバーで複数のウェブサイトを効率的に運用し、リソースを最大限に活用できます。
- 名前ベースの仮想ホストでは、同じIPアドレスで複数のドメインを運用し、コスト削減と管理の簡素化を実現しました。
- IPベースの仮想ホストは、複数のIPアドレスを使い分け、独立した環境を提供する方法を紹介しました。
- また、HTTPS対応によるセキュリティ強化の手順や、トラブルシューティングを通じて設定ミスを迅速に修正する方法を説明しました。
仮想ホスト設定は柔軟性が高く、ウェブサービスの拡張やセキュリティ向上に不可欠です。適切なディレクトリ構成やログ管理を行うことで、運用がさらにスムーズになります。
これで、Apacheを使ったマルチサイト環境の構築が可能になります。必要に応じてSSL証明書の管理や、ロードバランサーとの連携を検討し、さらに強固なウェブ環境を構築してください。
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