C#でのコードメトリクス計測方法と最適化のポイント

C#でのコードメトリクス計測は、ソフトウェア品質の向上に欠かせない重要なステップです。本記事では、計測方法から具体的な改善方法までを詳しく解説します。コードメトリクスは、コードの複雑さや保守性を数値で評価し、問題点を明らかにするための重要な指標です。適切なツールと手法を用いることで、コードの品質を効果的に向上させることができます。

目次
  1. コードメトリクスとは?
    1. コードメトリクスの定義
    2. コードメトリクスの重要性
  2. 計測ツールの選定
    1. Visual Studio Code Metrics
    2. ReSharper
    3. SonarQube
    4. NDepend
    5. Codacy
  3. Visual Studioを使った計測
    1. コードメトリクス計測の手順
    2. コードメトリクス結果の活用方法
  4. コードメトリクスの主要指標
    1. サイクロマティック複雑度
    2. メンテナンス性指数
    3. 凝集度
    4. 継承深度
    5. 結合度
  5. コードメトリクス結果の分析
    1. 計測結果の見方
    2. 分析方法
    3. 結果のドキュメント化
  6. 最適化のためのリファクタリング手法
    1. メソッドの分割
    2. クラスの責務の明確化
    3. 依存関係の削減
    4. ループの単純化
    5. コメントの追加
    6. 適用手順
  7. 応用例:大規模プロジェクトでの活用
    1. プロジェクト全体のコードメトリクス計測
    2. チーム全体での品質向上活動
    3. 具体的な改善例
    4. まとめ
  8. 演習問題:コードメトリクスを使ったリファクタリング
    1. 演習問題1: サイクロマティック複雑度の低減
    2. 演習問題2: メンテナンス性指数の向上
    3. 演習問題3: クラスの凝集度の向上
    4. 演習問題4: 継承深度の見直し
  9. 演習問題の解答例
    1. 演習問題1: サイクロマティック複雑度の低減
    2. 演習問題2: メンテナンス性指数の向上
    3. 演習問題3: クラスの凝集度の向上
    4. 演習問題4: 継承深度の見直し
  10. トラブルシューティング
    1. 計測結果が正確でない
    2. 計測ツールのパフォーマンス問題
    3. 結果の解釈が難しい
    4. リファクタリングの影響を管理する
  11. まとめ

コードメトリクスとは?

コードメトリクスとは、ソフトウェアコードの品質を定量的に評価するための指標です。これにより、コードの複雑性、保守性、信頼性などの側面を数値化し、改善点を明確にすることができます。

コードメトリクスの定義

コードメトリクスは、ソースコードに含まれる構造やロジックの複雑さを評価するための指標であり、主に以下の項目が含まれます:

  • サイクロマティック複雑度
  • コード行数
  • 継承深度
  • クラスの凝集度

コードメトリクスの重要性

コードメトリクスは、ソフトウェア開発において以下のような重要な役割を果たします:

  • コードの品質を客観的に評価
  • 潜在的なバグの発見
  • メンテナンスコストの削減
  • コードレビューの効率化

コードメトリクスを活用することで、開発チームは問題のある箇所を早期に発見し、効率的なリファクタリングを実施することができます。

計測ツールの選定

C#でコードメトリクスを計測するためには、適切なツールの選定が重要です。以下に主要なツールを紹介します。

Visual Studio Code Metrics

Visual Studioに内蔵されているコードメトリクス機能です。使いやすさと統合性が特徴で、プロジェクト内のコード品質を手軽に評価できます。

ReSharper

JetBrains社のReSharperは、Visual Studio向けの強力な拡張ツールです。コードメトリクスの他にも多くのコード品質改善機能を提供しています。

SonarQube

SonarQubeは、継続的インテグレーション(CI)と連携することで、継続的にコードメトリクスを計測し、品質をモニタリングすることが可能です。大規模プロジェクトに適しています。

NDepend

NDependは、C#および.NETプロジェクト向けの高度なコードメトリクスツールです。詳細なレポートとカスタマイズ可能なメトリクスを提供し、コード品質の向上を支援します。

Codacy

Codacyは、クラウドベースのコードレビューおよび品質管理ツールです。GitHubなどと連携して、自動的にコードメトリクスを計測し、レポートを提供します。

これらのツールを活用することで、効率的にコードメトリクスを計測し、コード品質の改善に役立てることができます。各ツールの特徴や用途に応じて最適なものを選定しましょう。

Visual Studioを使った計測

Visual Studioは、C#開発環境として広く使用されており、コードメトリクスの計測にも対応しています。以下に、Visual Studioでのコードメトリクス計測手順と活用方法を説明します。

コードメトリクス計測の手順

Visual Studioでプロジェクトを開く

まず、Visual Studioで対象のC#プロジェクトを開きます。プロジェクトが正しく読み込まれていることを確認してください。

コードメトリクス計測の実行

  1. メニューバーから「Analyze(分析)」を選択します。
  2. 「Calculate Code Metrics for Solution(ソリューションのコードメトリクスを計測)」をクリックします。
  3. 計測が開始され、プロジェクト内のすべてのファイルに対してコードメトリクスが計算されます。

計測結果の確認

計測が完了すると、「Code Metrics Results(コードメトリクス結果)」ウィンドウに結果が表示されます。ここでは以下の指標が確認できます:

  • メンテナンス性指数
  • サイクロマティック複雑度
  • クラスの凝集度
  • 継承深度

コードメトリクス結果の活用方法

問題箇所の特定

計測結果をもとに、サイクロマティック複雑度が高いメソッドやメンテナンス性指数が低いクラスなど、問題箇所を特定します。

リファクタリングの実施

特定された問題箇所に対して、リファクタリングを行います。例えば、複雑なメソッドを複数の小さなメソッドに分割したり、クラスの責務を見直したりします。

再計測と改善確認

リファクタリング後に再度コードメトリクスを計測し、改善が見られるかを確認します。これを繰り返すことで、コード品質を継続的に向上させることができます。

Visual Studioのコードメトリクス機能を活用することで、開発プロセス全体を通じてコードの品質管理が容易になります。

コードメトリクスの主要指標

コードメトリクスには、コードの品質を評価するためのさまざまな指標があります。以下に、C#のコードメトリクスで特に重要な主要指標を説明します。

サイクロマティック複雑度

サイクロマティック複雑度は、コードの複雑さを表す指標で、制御フローの分岐点の数を基に計算されます。複雑度が高いほど、コードの理解やテストが困難になります。

計算方法

サイクロマティック複雑度 = 分岐点の数 + 1

理想的な値

10以下が望ましく、15を超える場合はリファクタリングを検討します。

メンテナンス性指数

メンテナンス性指数は、コードの保守性を評価する指標で、コードの修正や拡張のしやすさを示します。高い指数は保守が容易であることを意味します。

計算方法

一般的には、コードの行数、コメント行数、複雑度などを基に算出されます。

理想的な値

65以上が望ましく、50以下の場合は保守性に問題がある可能性があります。

凝集度

凝集度は、クラスやモジュール内のメソッドやプロパティがどれだけ関連しているかを示す指標です。高い凝集度は、モジュールが一貫した機能を持ち、理解しやすいことを示します。

計算方法

関連するメソッドやプロパティの数を基に計算されます。

理想的な値

凝集度が高いほど良いとされますが、具体的な数値はプロジェクトの特性によります。

継承深度

継承深度は、クラスが継承階層のどの深さに位置しているかを示します。深い継承階層は、理解と保守が難しくなる傾向があります。

計算方法

クラスの親クラスの数を基に計算されます。

理想的な値

3~5程度が望ましく、これ以上深い場合は継承階層の見直しを検討します。

結合度

結合度は、クラスやモジュール間の依存関係の強さを示します。低い結合度は、モジュールの独立性が高く、変更の影響が少ないことを意味します。

計算方法

他のクラスやモジュールへの参照の数を基に計算されます。

理想的な値

低いほど良いとされますが、完全に結合度をゼロにするのは現実的ではありません。

これらの指標を総合的に活用することで、コードの品質を客観的に評価し、改善するための具体的なアクションを導き出すことができます。

コードメトリクス結果の分析

コードメトリクスの計測結果を正確に分析することで、コードの問題点や改善点を明確にすることができます。以下に、計測結果の見方とその分析方法について解説します。

計測結果の見方

サイクロマティック複雑度

サイクロマティック複雑度の値が高いメソッドやクラスは、理解しづらく、バグの温床となりやすいです。特に15を超える場合は、リファクタリングを検討します。

  • 例:メソッドAの複雑度が20 → リファクタリングでメソッドを分割

メンテナンス性指数

メンテナンス性指数が低いクラスは、修正や拡張が困難であることを意味します。50以下の場合は、クラスの設計を見直す必要があります。

  • 例:クラスBの指数が45 → コメントの追加や、メソッドのリファクタリングを検討

凝集度

凝集度が低いクラスは、機能が分散しているため、一貫性に欠けます。高い凝集度を保つことで、クラスの機能を明確にし、保守性を向上させます。

  • 例:クラスCの凝集度が低い → 関連するメソッドやプロパティを再編成

継承深度

継承深度が深い場合、階層を浅くすることで理解しやすくなります。特に5を超える深さは設計の見直しを検討します。

  • 例:クラスDの継承深度が6 → 継承階層を簡略化

結合度

結合度が高いクラスは、他のクラスやモジュールに強く依存しているため、変更の影響を受けやすいです。結合度を下げることで、モジュールの独立性を高めます。

  • 例:クラスEの結合度が高い → 依存関係を減らす設計変更

分析方法

問題箇所の特定

計測結果から、複雑度や結合度の高い箇所を特定し、具体的な改善策を検討します。特に値が極端に高い箇所は、重点的にリファクタリングを行います。

優先順位の設定

全ての問題を一度に解決するのは難しいため、影響度や重要度に基づいて優先順位を設定します。例えば、バグの発生が予想される箇所や、メンテナンス性の低い箇所を優先的に改善します。

リファクタリングの計画

具体的なリファクタリング計画を立て、段階的に実施します。変更後は再度コードメトリクスを計測し、改善効果を確認します。

結果のドキュメント化

計測結果と分析内容をドキュメント化し、開発チーム全体で共有します。これにより、継続的な改善活動を支援し、コード品質の向上に寄与します。

コードメトリクスの結果を正確に分析し、適切なアクションを取ることで、ソフトウェアの品質と開発効率を大幅に向上させることができます。

最適化のためのリファクタリング手法

コードメトリクスの結果に基づき、コードの品質を向上させるための具体的なリファクタリング手法を紹介します。以下に、一般的なリファクタリング手法とその適用方法を解説します。

メソッドの分割

サイクロマティック複雑度が高いメソッドは、複数の小さなメソッドに分割することで、理解しやすく保守性の高いコードにすることができます。

public void ProcessData()
{
    LoadData();
    ValidateData();
    TransformData();
    SaveData();
}

各処理を個別のメソッドに分割することで、複雑度を下げることができます。

クラスの責務の明確化

凝集度が低いクラスは、責務を明確にし、関連する機能を別クラスに分割します。これにより、クラスの一貫性が向上します。

public class OrderManager
{
    public void CreateOrder() { }
    public void CalculateOrderTotal() { }
    public void SendOrderConfirmation() { }
}

OrderManagerクラスの責務が多すぎるため、各機能を別のクラスに分割します。

依存関係の削減

結合度が高い場合、依存関係を減らすことで、モジュールの独立性を高めることができます。依存関係を減らすために、インターフェースの利用やDI(依存性注入)を検討します。

public class OrderService
{
    private readonly IEmailService _emailService;
    public OrderService(IEmailService emailService)
    {
        _emailService = emailService;
    }
    public void SendOrderConfirmation()
    {
        _emailService.Send();
    }
}

インターフェースを利用することで、クラス間の依存関係を減らします。

ループの単純化

複雑なループ処理は、簡素化することでコードの可読性と保守性を向上させます。

// Before
for (int i = 0; i < orders.Count; i++)
{
    ProcessOrder(orders[i]);
}

// After
foreach (var order in orders)
{
    ProcessOrder(order);
}

foreachループを利用することで、コードが簡潔になり、エラーのリスクを減らします。

コメントの追加

メンテナンス性指数を向上させるために、コードに適切なコメントを追加します。コメントは、コードの意図や複雑なロジックを説明するために使用します。

/// <summary>
/// ユーザーの入力を検証する
/// </summary>
/// <param name="input">検証する入力データ</param>
/// <returns>検証結果</returns>
public bool ValidateInput(string input)
{
    // 入力がnullまたは空文字の場合は無効
    if (string.IsNullOrEmpty(input))
    {
        return false;
    }
    // その他の検証ロジック
}

コメントを追加することで、コードの意図が明確になり、保守が容易になります。

適用手順

  1. コードメトリクス結果をもとに、問題箇所を特定します。
  2. リファクタリング手法を選定し、具体的な変更を計画します。
  3. 変更を実施し、テストを行って動作確認を行います。
  4. 再度コードメトリクスを計測し、改善効果を確認します。

これらのリファクタリング手法を適用することで、コードの品質を大幅に向上させ、メンテナンス性と保守性を高めることができます。

応用例:大規模プロジェクトでの活用

大規模プロジェクトでは、コードメトリクスの計測と分析が特に重要です。以下に、実際のプロジェクトでの応用例を紹介します。

プロジェクト全体のコードメトリクス計測

大規模プロジェクトでは、定期的にコードメトリクスを計測することで、プロジェクト全体のコード品質を監視します。これにより、問題が早期に発見され、対策が講じやすくなります。

手順

  1. 継続的インテグレーション(CI)ツールにコードメトリクス計測を組み込みます。
  2. 各ビルドごとに計測結果を保存し、履歴を管理します。
  3. 重大な問題が発生した場合は、アラートを設定してチームに通知します。

チーム全体での品質向上活動

コードメトリクスの結果をチーム全体で共有し、品質向上活動を推進します。定期的なレビューや改善活動を通じて、プロジェクトの品質を継続的に向上させます。

活動例

  1. 定期的なコードレビュー会議を開催し、計測結果をもとにディスカッションを行います。
  2. 問題の多い箇所については、リファクタリングの計画を立て、担当者を決定します。
  3. 各チームメンバーがコードメトリクスの重要性を理解し、日常的に品質を意識した開発を行うように促します。

具体的な改善例

以下に、実際のプロジェクトで行われた具体的な改善例を紹介します。

例1: サイクロマティック複雑度の改善

プロジェクト内でサイクロマティック複雑度が高いメソッドが多数見つかりました。これらのメソッドをリファクタリングし、複雑度を低減しました。

改善前
public void ComplexMethod()
{
    if (condition1)
    {
        // Some logic
    }
    else if (condition2)
    {
        // Some other logic
    }
    // More conditions and logic
}
改善後
public void ComplexMethod()
{
    HandleCondition1();
    HandleCondition2();
    // More method calls
}

private void HandleCondition1()
{
    if (condition1)
    {
        // Some logic
    }
}

private void HandleCondition2()
{
    if (condition2)
    {
        // Some other logic
    }
}

リファクタリングにより、メソッドが分割され、複雑度が低減しました。

例2: メンテナンス性指数の向上

メンテナンス性指数が低いクラスが特定され、コメントやリファクタリングを通じて改善されました。

改善前
public class DataProcessor
{
    public void Process()
    {
        // Complex logic without comments
    }
}
改善後
/// <summary>
/// データ処理クラス
/// </summary>
public class DataProcessor
{
    /// <summary>
    /// データを処理する
    /// </summary>
    public void Process()
    {
        // データを読み込む
        LoadData();
        // データを検証する
        ValidateData();
        // データを保存する
        SaveData();
    }

    private void LoadData() { /* Implementation */ }
    private void ValidateData() { /* Implementation */ }
    private void SaveData() { /* Implementation */ }
}

コメントとメソッドの分割により、クラスのメンテナンス性が向上しました。

まとめ

大規模プロジェクトにおいては、コードメトリクスを定期的に計測し、チーム全体での品質向上活動を行うことが重要です。具体的な改善例を参考にしながら、プロジェクトの品質を継続的に向上させる取り組みを推進しましょう。

演習問題:コードメトリクスを使ったリファクタリング

実際にコードメトリクスを使用してリファクタリングを行うための演習問題を提供します。この演習を通じて、メトリクスの理解を深め、具体的な改善手法を習得します。

演習問題1: サイクロマティック複雑度の低減

以下のコードを分析し、サイクロマティック複雑度を低減するためにリファクタリングを行ってください。

リファクタリング前

public void ProcessOrder(Order order)
{
    if (order.IsExpress)
    {
        // Express order processing logic
    }
    else
    {
        if (order.HasDiscount)
        {
            // Discount order processing logic
        }
        else
        {
            // Regular order processing logic
        }
    }

    if (order.IsInternational)
    {
        // International order processing logic
    }
}

リファクタリング後のヒント

メソッドを分割して複雑度を低減し、各条件を個別のメソッドに分けます。

演習問題2: メンテナンス性指数の向上

次のクラスを改善し、メンテナンス性指数を向上させてください。コメントの追加やメソッドの分割を行います。

リファクタリング前

public class ReportGenerator
{
    public void GenerateReport(List<Data> dataList)
    {
        // Validate data
        foreach (var data in dataList)
        {
            if (data == null || string.IsNullOrEmpty(data.Value))
            {
                throw new ArgumentException("Invalid data");
            }
        }

        // Generate report content
        var reportContent = "";
        foreach (var data in dataList)
        {
            reportContent += data.Value + "\n";
        }

        // Save report
        File.WriteAllText("report.txt", reportContent);
    }
}

リファクタリング後のヒント

データの検証、レポートの生成、レポートの保存を個別のメソッドに分割し、各メソッドにコメントを追加します。

演習問題3: クラスの凝集度の向上

以下のクラスを分析し、凝集度を向上させるためにリファクタリングを行ってください。

リファクタリング前

public class UserManager
{
    public void CreateUser(string username, string password)
    {
        // Create user logic
    }

    public void SendWelcomeEmail(string email)
    {
        // Send email logic
    }

    public void LogActivity(string activity)
    {
        // Log activity logic
    }
}

リファクタリング後のヒント

クラスの責務を分離し、ユーザー作成、メール送信、アクティビティログの各機能を別々のクラスに分けます。

演習問題4: 継承深度の見直し

次のクラス階層を分析し、継承深度を減らすためにリファクタリングを行ってください。

リファクタリング前

public class Animal { }
public class Mammal : Animal { }
public class Dog : Mammal { }
public class Bulldog : Dog { }
public class MiniatureBulldog : Bulldog { }

リファクタリング後のヒント

継承階層を簡略化し、必要のない階層を削除します。

演習問題の解答例

各演習問題の解答例を以下に示します。

演習問題1: サイクロマティック複雑度の低減

public void ProcessOrder(Order order)
{
    ProcessOrderType(order);
    ProcessOrderLocation(order);
}

private void ProcessOrderType(Order order)
{
    if (order.IsExpress)
    {
        // Express order processing logic
    }
    else if (order.HasDiscount)
    {
        // Discount order processing logic
    }
    else
    {
        // Regular order processing logic
    }
}

private void ProcessOrderLocation(Order order)
{
    if (order.IsInternational)
    {
        // International order processing logic
    }
}

演習問題2: メンテナンス性指数の向上

public class ReportGenerator
{
    public void GenerateReport(List<Data> dataList)
    {
        ValidateData(dataList);
        var reportContent = CreateReportContent(dataList);
        SaveReport(reportContent);
    }

    private void ValidateData(List<Data> dataList)
    {
        foreach (var data in dataList)
        {
            if (data == null || string.IsNullOrEmpty(data.Value))
            {
                throw new ArgumentException("Invalid data");
            }
        }
    }

    private string CreateReportContent(List<Data> dataList)
    {
        var reportContent = "";
        foreach (var data in dataList)
        {
            reportContent += data.Value + "\n";
        }
        return reportContent;
    }

    private void SaveReport(string reportContent)
    {
        File.WriteAllText("report.txt", reportContent);
    }
}

演習問題3: クラスの凝集度の向上

public class UserManager
{
    public void CreateUser(string username, string password)
    {
        // Create user logic
    }
}

public class EmailService
{
    public void SendWelcomeEmail(string email)
    {
        // Send email logic
    }
}

public class ActivityLogger
{
    public void LogActivity(string activity)
    {
        // Log activity logic
    }
}

演習問題4: 継承深度の見直し

public class Animal { }
public class Dog : Animal { }
public class Bulldog : Dog { }

これらの演習問題を通じて、コードメトリクスを使用したリファクタリング手法を実践的に学ぶことができます。

トラブルシューティング

コードメトリクスの計測や分析中に直面する可能性のある一般的な問題とその解決策について説明します。

計測結果が正確でない

計測ツールが正確に機能しない場合、結果が信頼できなくなります。以下の点を確認してください。

ツールの設定確認

計測ツールの設定が正しく行われているか確認します。特に、プロジェクトのパスやファイルの指定が正確であることが重要です。

  • 解決策:ツールのドキュメントを参照し、設定を見直します。

最新バージョンの使用

ツールのバージョンが古い場合、バグや機能不足が原因で正確な計測ができないことがあります。

  • 解決策:ツールを最新バージョンにアップデートします。

計測ツールのパフォーマンス問題

大規模プロジェクトでは、計測ツールの実行に時間がかかることがあります。

部分計測の実施

全体を一度に計測するのではなく、部分的に計測を行うことでパフォーマンスを改善できます。

  • 解決策:モジュールごとに計測を実施し、結果を統合します。

CI/CDパイプラインの利用

継続的インテグレーション/デリバリー(CI/CD)パイプラインに計測ツールを組み込むことで、自動化と並列実行によるパフォーマンス改善が期待できます。

  • 解決策:JenkinsやGitHub ActionsなどのCIツールに計測プロセスを追加します。

結果の解釈が難しい

計測結果が複雑で解釈が難しい場合があります。

可視化ツールの利用

計測結果を視覚化するツールを利用することで、理解しやすくなります。例えば、グラフやチャートを用いると効果的です。

  • 解決策:SonarQubeやNDependなどの可視化機能を持つツールを使用します。

チーム内での共有とディスカッション

計測結果をチーム内で共有し、ディスカッションを行うことで、解釈の精度を高めることができます。

  • 解決策:定期的なミーティングを開催し、計測結果について議論します。

リファクタリングの影響を管理する

リファクタリングによって既存の機能に影響が出ることがあります。

ユニットテストの実施

リファクタリング前後にユニットテストを実施し、機能が正しく動作することを確認します。

  • 解決策:カバレッジの高いユニットテストを作成し、継続的に実行します。

段階的なリファクタリング

大規模なリファクタリングは段階的に実施し、各段階で動作確認を行います。

  • 解決策:リファクタリングを小さなステップに分けて実施し、各ステップでテストを行います。

これらのトラブルシューティング手法を活用することで、コードメトリクスの計測と分析が円滑に進み、効果的なリファクタリングが実施できるようになります。

まとめ

C#でのコードメトリクス計測は、ソフトウェア品質を向上させるための重要な手段です。この記事では、コードメトリクスの基本概念から主要指標、計測ツールの選定、計測手順、結果の分析方法、リファクタリング手法、そして大規模プロジェクトでの応用例までを包括的に解説しました。計測結果を基に問題箇所を特定し、適切なリファクタリングを行うことで、コードの品質と保守性を大幅に向上させることができます。継続的なメトリクス計測と改善を通じて、より高品質なソフトウェアを開発し続けることを目指しましょう。

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目次
  1. コードメトリクスとは?
    1. コードメトリクスの定義
    2. コードメトリクスの重要性
  2. 計測ツールの選定
    1. Visual Studio Code Metrics
    2. ReSharper
    3. SonarQube
    4. NDepend
    5. Codacy
  3. Visual Studioを使った計測
    1. コードメトリクス計測の手順
    2. コードメトリクス結果の活用方法
  4. コードメトリクスの主要指標
    1. サイクロマティック複雑度
    2. メンテナンス性指数
    3. 凝集度
    4. 継承深度
    5. 結合度
  5. コードメトリクス結果の分析
    1. 計測結果の見方
    2. 分析方法
    3. 結果のドキュメント化
  6. 最適化のためのリファクタリング手法
    1. メソッドの分割
    2. クラスの責務の明確化
    3. 依存関係の削減
    4. ループの単純化
    5. コメントの追加
    6. 適用手順
  7. 応用例:大規模プロジェクトでの活用
    1. プロジェクト全体のコードメトリクス計測
    2. チーム全体での品質向上活動
    3. 具体的な改善例
    4. まとめ
  8. 演習問題:コードメトリクスを使ったリファクタリング
    1. 演習問題1: サイクロマティック複雑度の低減
    2. 演習問題2: メンテナンス性指数の向上
    3. 演習問題3: クラスの凝集度の向上
    4. 演習問題4: 継承深度の見直し
  9. 演習問題の解答例
    1. 演習問題1: サイクロマティック複雑度の低減
    2. 演習問題2: メンテナンス性指数の向上
    3. 演習問題3: クラスの凝集度の向上
    4. 演習問題4: 継承深度の見直し
  10. トラブルシューティング
    1. 計測結果が正確でない
    2. 計測ツールのパフォーマンス問題
    3. 結果の解釈が難しい
    4. リファクタリングの影響を管理する
  11. まとめ