初心者向け!C言語での計数ソート実装方法を徹底解説

C言語を用いた計数ソートの基本概念と実装方法について、初学者でも理解しやすいように詳しく説明します。本記事では、計数ソートの概要から具体的な実装例、さらには応用例や演習問題まで網羅的に解説します。C言語の基礎知識があれば、誰でも簡単に計数ソートをマスターできる内容となっています。

目次

計数ソートとは何か

計数ソート(カウントソート)は、特定の範囲内の整数の配列をソートするための効率的なアルゴリズムです。このソート方法は、各要素の出現回数を数えることでソートを実現します。計数ソートは、キーの値が限定されている場合に非常に高速で、安定したソートアルゴリズムとして知られています。計数ソートの特徴として、比較を行わずにソートを行う点が挙げられます。これにより、特定の条件下ではO(n)の時間計算量を達成します。

計数ソートのメリットとデメリット

メリット

計数ソートにはいくつかの利点があります。まず、ソートのための比較を行わないため、特定の条件下で非常に高速です。特に、範囲が限定されている整数のソートにおいては、時間計算量がO(n)となり、効率的です。また、計数ソートは安定なソートアルゴリズムであり、同じ値の要素の順序を保持します。これは、後続の処理で元の順序を維持したい場合に有用です。

デメリット

一方で、計数ソートにはいくつかの欠点も存在します。まず、ソートする要素の範囲が非常に広い場合、メモリの使用量が増加し、効率が低下します。例えば、最大値と最小値の差が大きいデータをソートする場合、カウント用の配列が非常に大きくなります。また、計数ソートは整数以外のデータ型には適用しづらく、範囲が限定されていないデータには向いていません。

計数ソートのアルゴリズムの流れ

計数ソートのアルゴリズムは以下のステップで構成されます。

1. 配列の最大値と最小値を見つける

まず、ソート対象の配列から最大値と最小値を見つけます。この情報をもとに、カウント用の配列のサイズを決定します。

2. カウント用の配列を初期化する

最大値と最小値の範囲に応じて、全要素を0で初期化したカウント用の配列を作成します。

3. 各要素の出現回数をカウントする

ソート対象の配列の各要素を順に調べ、対応するカウント用の配列のインデックスをインクリメントして、各要素の出現回数をカウントします。

4. カウント用の配列を累積和に変換する

カウント用の配列を累積和に変換します。このステップにより、各要素の最終的な位置を決定するための情報が得られます。

5. 出力用の配列にソートする

ソート対象の配列を逆順に走査し、カウント用の配列を参照して、各要素を正しい位置に配置します。配置した後は、カウント用の配列の値をデクリメントします。

6. ソート済みの配列を返す

最終的にソートされた配列を得ることができます。

計数ソートの流れを以下の図で視覚的に示します。

初期配列:       [4, 2, 2, 8, 3, 3, 1]
最大値・最小値:  max=8, min=1
カウント配列:   [0, 1, 2, 2, 1, 0, 0, 0, 1]
累積和配列:     [0, 1, 3, 5, 6, 6, 6, 6, 7]
ソート過程:     [1, 2, 2, 3, 3, 4, 8]

これにより、計数ソートのアルゴリズムの流れを理解できます。

C言語での計数ソートの実装

ここでは、C言語で計数ソートを実装する方法を具体的なコード例と共に解説します。以下のコードは、整数の配列を計数ソートでソートする例です。

計数ソートのコード例

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>

// 計数ソートの関数
void countingSort(int arr[], int size) {
    int i, max = arr[0], min = arr[0];

    // 配列の最大値と最小値を見つける
    for (i = 1; i < size; i++) {
        if (arr[i] > max) {
            max = arr[i];
        }
        if (arr[i] < min) {
            min = arr[i];
        }
    }

    int range = max - min + 1;
    int *count = (int *)malloc(range * sizeof(int));
    int *output = (int *)malloc(size * sizeof(int));

    // カウント配列を0で初期化する
    for (i = 0; i < range; i++) {
        count[i] = 0;
    }

    // 各要素の出現回数をカウントする
    for (i = 0; i < size; i++) {
        count[arr[i] - min]++;
    }

    // カウント配列を累積和に変換する
    for (i = 1; i < range; i++) {
        count[i] += count[i - 1];
    }

    // ソート済みの配列を作成する
    for (i = size - 1; i >= 0; i--) {
        output[count[arr[i] - min] - 1] = arr[i];
        count[arr[i] - min]--;
    }

    // ソート済みの配列を元の配列にコピーする
    for (i = 0; i < size; i++) {
        arr[i] = output[i];
    }

    // 動的に確保したメモリを解放する
    free(count);
    free(output);
}

int main() {
    int arr[] = {4, 2, 2, 8, 3, 3, 1};
    int size = sizeof(arr) / sizeof(arr[0]);
    int i;

    printf("ソート前の配列: ");
    for (i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", arr[i]);
    }
    printf("\n");

    countingSort(arr, size);

    printf("ソート後の配列: ");
    for (i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", arr[i]);
    }
    printf("\n");

    return 0;
}

コードの解説

  • 最大値と最小値の発見:
    配列を一度走査して、最大値と最小値を見つけます。
  • カウント配列の初期化:
    最大値と最小値の差に基づいて、カウント用の配列を動的に確保し、0で初期化します。
  • 出現回数のカウント:
    ソート対象の配列を再度走査し、各要素の出現回数をカウント配列に記録します。
  • 累積和への変換:
    カウント配列を累積和に変換し、各要素の最終位置を決定します。
  • 出力配列の作成:
    ソート対象の配列を逆順に走査し、各要素を正しい位置に配置します。
  • メモリの解放:
    動的に確保したメモリを解放します。

このコード例を基に、計数ソートを理解し、応用できるようになるでしょう。

計数ソートの動作確認

実装した計数ソートが正しく動作するかどうかを確認する方法について説明します。以下に示す手順に従って、計数ソートが期待通りに機能していることを確認しましょう。

1. ソート前後の配列を表示する

コード内でソート前とソート後の配列を表示することで、ソートが正しく行われたかどうかを目視で確認します。例えば、以下のように出力します。

int main() {
    int arr[] = {4, 2, 2, 8, 3, 3, 1};
    int size = sizeof(arr) / sizeof(arr[0]);
    int i;

    printf("ソート前の配列: ");
    for (i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", arr[i]);
    }
    printf("\n");

    countingSort(arr, size);

    printf("ソート後の配列: ");
    for (i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", arr[i]);
    }
    printf("\n");

    return 0;
}

ソート前後の配列を比較して、数値が昇順に並んでいるかを確認します。

2. テストケースを増やす

異なる配列で計数ソートを実行し、全てのケースで正しくソートされるかを確認します。例えば、負の数を含む場合や、全て同じ数の配列、空の配列など、さまざまなテストケースを試します。

int main() {
    int arr1[] = {4, 2, 2, 8, 3, 3, 1};
    int arr2[] = {-5, -1, -3, -2, -4};
    int arr3[] = {5, 5, 5, 5};
    int arr4[] = {};
    int *arrays[] = {arr1, arr2, arr3, arr4};
    int sizes[] = {7, 5, 4, 0};
    int i, j;

    for (i = 0; i < 4; i++) {
        printf("ソート前の配列 %d: ", i + 1);
        for (j = 0; j < sizes[i]; j++) {
            printf("%d ", arrays[i][j]);
        }
        printf("\n");

        countingSort(arrays[i], sizes[i]);

        printf("ソート後の配列 %d: ", i + 1);
        for (j = 0; j < sizes[i]; j++) {
            printf("%d ", arrays[i][j]);
        }
        printf("\n");
    }

    return 0;
}

3. 期待される結果と比較する

テストケースの結果が期待される順序でソートされているかを確認します。以下のように、期待される結果と比較するコードを追加します。

void checkSort(int arr[], int expected[], int size) {
    for (int i = 0; i < size; i++) {
        if (arr[i] != expected[i]) {
            printf("エラー: 期待値 %d, 実際の値 %d\n", expected[i], arr[i]);
            return;
        }
    }
    printf("ソート成功\n");
}

int main() {
    int arr[] = {4, 2, 2, 8, 3, 3, 1};
    int expected[] = {1, 2, 2, 3, 3, 4, 8};
    int size = sizeof(arr) / sizeof(arr[0]);

    printf("ソート前の配列: ");
    for (int i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", arr[i]);
    }
    printf("\n");

    countingSort(arr, size);

    printf("ソート後の配列: ");
    for (int i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", arr[i]);
    }
    printf("\n");

    checkSort(arr, expected, size);

    return 0;
}

このようにして、計数ソートが正しく動作しているかを確認できます。複数のテストケースを通じて、実装が正しいことを検証してください。

計数ソートの応用例

計数ソートは特定の条件下で非常に効率的に動作するため、さまざまな場面で応用可能です。以下にいくつかの具体的な応用例を紹介します。

1. テストスコアのソート

学生のテストスコアが0から100の範囲に収まる場合、計数ソートは非常に有効です。スコアの範囲が限定されているため、O(n)の時間計算量でソートが可能です。

#include <stdio.h>

void countingSortScores(int scores[], int size) {
    int i, max = 100;
    int count[101] = {0};  // スコアは0から100まで

    // 出現回数をカウントする
    for (i = 0; i < size; i++) {
        count[scores[i]]++;
    }

    // 累積和を作成する
    for (i = 1; i <= max; i++) {
        count[i] += count[i - 1];
    }

    int output[size];
    for (i = size - 1; i >= 0; i--) {
        output[count[scores[i]] - 1] = scores[i];
        count[scores[i]]--;
    }

    for (i = 0; i < size; i++) {
        scores[i] = output[i];
    }
}

int main() {
    int scores[] = {88, 95, 70, 100, 65, 90, 55, 95, 75, 80};
    int size = sizeof(scores) / sizeof(scores[0]);
    int i;

    printf("ソート前のスコア: ");
    for (i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", scores[i]);
    }
    printf("\n");

    countingSortScores(scores, size);

    printf("ソート後のスコア: ");
    for (i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", scores[i]);
    }
    printf("\n");

    return 0;
}

2. 商品在庫の管理

在庫管理において、商品IDが一定の範囲内に収まる場合、計数ソートを利用して在庫数を効率的に管理できます。商品IDが連続する範

囲にある場合、計数ソートを用いることで、迅速かつ効率的に在庫情報を整理することができます。

#include <stdio.h>

void countingSortInventory(int inventory[], int size, int maxID) {
    int i;
    int count[maxID + 1];
    int output[size];

    // カウント配列を初期化
    for (i = 0; i <= maxID; i++) {
        count[i] = 0;
    }

    // 在庫数をカウント
    for (i = 0; i < size; i++) {
        count[inventory[i]]++;
    }

    // 累積和を作成
    for (i = 1; i <= maxID; i++) {
        count[i] += count[i - 1];
    }

    // 出力配列を作成
    for (i = size - 1; i >= 0; i--) {
        output[count[inventory[i]] - 1] = inventory[i];
        count[inventory[i]]--;
    }

    // ソートされた配列を元の配列にコピー
    for (i = 0; i < size; i++) {
        inventory[i] = output[i];
    }
}

int main() {
    int inventory[] = {3, 6, 4, 2, 3, 6, 2, 1, 4, 6};
    int size = sizeof(inventory) / sizeof(inventory[0]);
    int maxID = 6;  // 商品IDの最大値
    int i;

    printf("ソート前の在庫: ");
    for (i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", inventory[i]);
    }
    printf("\n");

    countingSortInventory(inventory, size, maxID);

    printf("ソート後の在庫: ");
    for (i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", inventory[i]);
    }
    printf("\n");

    return 0;
}

3. 年齢別統計の作成

人口調査データなど、年齢が限定された範囲内に収まる場合、計数ソートを用いることで、効率的に年齢別統計を作成できます。

#include <stdio.h>

void countingSortAges(int ages[], int size, int maxAge) {
    int i;
    int count[maxAge + 1];
    int output[size];

    // カウント配列を初期化
    for (i = 0; i <= maxAge; i++) {
        count[i] = 0;
    }

    // 年齢の出現回数をカウント
    for (i = 0; i < size; i++) {
        count[ages[i]]++;
    }

    // 累積和を作成
    for (i = 1; i <= maxAge; i++) {
        count[i] += count[i - 1];
    }

    // 出力配列を作成
    for (i = size - 1; i >= 0; i--) {
        output[count[ages[i]] - 1] = ages[i];
        count[ages[i]]--;
    }

    // ソートされた配列を元の配列にコピー
    for (i = 0; i < size; i++) {
        ages[i] = output[i];
    }
}

int main() {
    int ages[] = {25, 20, 35, 30, 25, 20, 20, 30, 35, 40};
    int size = sizeof(ages) / sizeof(ages[0]);
    int maxAge = 40;  // 年齢の最大値
    int i;

    printf("ソート前の年齢: ");
    for (i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", ages[i]);
    }
    printf("\n");

    countingSortAges(ages, size, maxAge);

    printf("ソート後の年齢: ");
    for (i = 0; i < size; i++) {
        printf("%d ", ages[i]);
    }
    printf("\n");

    return 0;
}

これらの応用例を通じて、計数ソートがさまざまな実世界の問題にどのように適用できるかを理解することができます。計数ソートの特性を活かして、効率的にデータを整理しましょう。

計数ソートの効率性と他のソートアルゴリズムとの比較

計数ソートは特定の条件下で非常に効率的に動作しますが、他のソートアルゴリズムと比較した際の特徴や効率性についても理解しておくことが重要です。

計数ソートの効率性

計数ソートの時間計算量はO(n + k)です。ここで、nは入力配列のサイズ、kは最大値と最小値の差です。この計算量は、要素の範囲が狭い場合には非常に効率的で、他の多くのソートアルゴリズムよりも優れています。計数ソートは安定なソートアルゴリズムであり、同じ値の要素の順序を保持します。

他のソートアルゴリズムとの比較

バブルソート

バブルソートの時間計算量は最悪でもO(n^2)であり、効率が悪いです。シンプルな実装が可能ですが、大規模なデータセットには適していません。

クイックソート

クイックソートの平均時間計算量はO(n log n)であり、非常に効率的です。ただし、最悪の場合にはO(n^2)となる可能性があります。クイックソートは不安定なソートアルゴリズムですが、ほとんどの実用的なケースで高速に動作します。

マージソート

マージソートの時間計算量は常にO(n log n)であり、安定したソートアルゴリズムです。計数ソートと異なり、比較を行うソートアルゴリズムであり、メモリ使用量が増えることが欠点です。

ヒープソート

ヒープソートの時間計算量はO(n log n)であり、安定性はありません。メモリ使用量は少ないですが、計数ソートのように特定の条件下での効率性は期待できません。

計数ソートの長所と短所のまとめ

アルゴリズム時間計算量安定性メモリ使用量適用条件
計数ソートO(n + k)安定高い(範囲が広い場合)範囲が狭い整数
バブルソートO(n^2)安定低い小規模データ
クイックソートO(n log n)不安定低い一般的なケース
マージソートO(n log n)安定高い安定性が必要な場合
ヒープソートO(n log n)不安定低いメモリ制限がある場合

このように、計数ソートは特定の条件下で非常に優れたソートアルゴリズムですが、適用範囲が限られるため、他のソートアルゴリズムと組み合わせて使用することが一般的です。計数ソートの特徴を理解し、適切な場面で選択することが重要です。

演習問題

計数ソートの理解を深めるために、いくつかの演習問題を解いてみましょう。これらの問題を通じて、計数ソートのアルゴリズムやその応用について実践的に学びます。

演習問題1: 基本的な計数ソート

以下の配列を計数ソートでソートしてください。

[7, 3, 5, 3, 8, 1, 4, 2, 6, 3, 5]

この問題を解くために、計数ソートの手順を実装し、ソートされた配列を出力するプログラムを作成してください。

演習問題2: 負の数を含む計数ソート

計数ソートは正の整数だけでなく、負の整数を含む配列もソートできます。以下の配列をソートするプログラムを作成してください。

[-5, -1, -3, -2, 0, 2, 1, -4]

ヒント: カウント配列のインデックスを調整して、負の数も扱えるようにする必要があります。

演習問題3: 大きな範囲の整数を含む配列のソート

以下の配列をソートするプログラムを作成してください。ただし、配列の要素の範囲が広い場合のメモリ使用量に注意してください。

[100, 1, 300, 200, 2, 150, 50, 400]

この問題では、範囲が広い場合の計数ソートの効率性についても考察してみましょう。

演習問題4: テストスコアのソートと頻度分布の作成

以下のテストスコアの配列を計数ソートでソートし、各スコアの出現回数を表示するプログラムを作成してください。

[88, 95, 70, 100, 65, 90, 55, 95, 75, 80]

期待される出力例:

ソート後のスコア: 55, 65, 70, 75, 80, 88, 90, 95, 95, 100
スコアの頻度分布:
55: 1回
65: 1回
70: 1回
75: 1回
80: 1回
88: 1回
90: 1回
95: 2回
100: 1回

演習問題5: 計数ソートの改良

計数ソートの標準的な実装を改良して、メモリ使用量を削減する方法を考えてみましょう。例えば、範囲が広い場合でもメモリ効率を向上させる方法を実装してください。

これらの演習問題を通じて、計数ソートの実装力と応用力を高めることができます。各問題を解いた後は、コードの動作を確認し、理解を深めてください。

まとめ

本記事では、C言語を用いた計数ソートの基本概念とその実装方法について詳しく解説しました。計数ソートは特定の範囲内の整数を効率的にソートできるアルゴリズムであり、その特徴と利点を活かしてさまざまな応用が可能です。具体的なコード例を通じて、計数ソートの実装手順や動作確認方法を学び、さらに応用例や演習問題を通じて理解を深めることができました。

計数ソートの特徴を理解し、適切な場面で効果的に活用することで、効率的なプログラムを作成する力を身につけましょう。計数ソートの利点と限界を把握し、他のソートアルゴリズムとの比較も行うことで、最適なアルゴリズムを選択する判断力を養うことが重要です。

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