子どもがオンラインでゲームを楽しむためには、安全面と利便性を両立させる設定が不可欠です。MicrosoftのGame Passは多彩なタイトルを定額でプレイできる便利なサービスですが、未成年アカウントで利用するには少しだけ工夫が必要です。ここでは、ファミリー設定の手順やGame Passの共有方法、オンラインマルチプレイ時の保護者許可の解除など、実践的な対策を詳しく解説します。
Game Passとは? 子どもアカウント利用時の基礎知識
Game Passは、Microsoftが提供する定額制のゲームサブスクリプションサービスです。契約中はさまざまなゲームタイトルを自由にダウンロード・プレイできます。対象プラットフォームはXbox本体とWindows PCが中心で、「Game Pass for Console」「PC Game Pass」「Game Pass Ultimate」など複数のプランが用意されています。
Game Passを子どもに使わせたい場合、まず大前提として子ども用のMicrosoftアカウントを保護者アカウントで管理し、ファミリー設定を有効にしておくことが必要です。これにより、年齢に合わせた制限や購入承認の管理が可能になります。すでに保護者アカウントでGame Passを契約していても、子どもが自分のアカウントで使いたい場合は、追加設定や共有設定を行う必要があります。
Game Passの種類と利用形態
Game Passには以下の主なプランがあります。どのプランを利用するかによって、設定やプレイ可能なゲームの範囲が多少異なります。
プラン | 対象プラットフォーム | 主な特徴 |
---|---|---|
Game Pass for Console | Xbox本体 | Xbox向けのゲームをプレイ可能。オンラインマルチプレイには別途Xbox Live GoldかGame Pass Ultimateが必要 |
PC Game Pass | Windows PC | PC向けゲームに対応。PC専用ゲームや一部のクラウド機能が利用できる |
Game Pass Ultimate | Xbox本体 / Windows PC / クラウド | Game Pass for Console、PC Game Pass、Xbox Live Goldを統合した上位プラン |
未成年がXbox本体で遊ぶ場合、Game Pass単体ではオンライン対戦ができず、Xbox Live Goldの機能が必要になるケースがあります。Game Pass UltimateならGold相当のサービスが含まれているため、オンラインマルチプレイもカバーできます。
子ども用のGame Passを購入する方法
子どもが自分のアカウントでGame Passを利用したいとき、まずは「保護者アカウントのファミリー設定ページ」で該当する制限を確認・解除しておく必要があります。特に、購入に保護者の承認を要する設定がオンになっている場合、子どものアカウントでサブスクリプションを購入できません。
ファミリー設定で制限を確認する
ファミリー設定は、保護者アカウントから「Microsoftアカウント ファミリー設定ページ」(https://account.microsoft.com/family)にアクセスして行います。子どもアカウントでGame Passを購入する手順は次のとおりです。
- 保護者のMicrosoftアカウントでサインインする
- 「ファミリー」一覧から該当する子どもアカウントを選択する
- 「コンテンツ制限」や「購入と支払い」の項目を確認し、「購入には保護者の承認が必要」などの設定がオンになっている場合は一時的にオフにする
こうすることで、子どものアカウントにクレジットカード情報などが登録されていれば、子ども自身がGame Passを購入できます。
購入承認のオン/オフ切り替え
「購入には保護者の承認が必要」設定は利便性と安全性を両立させる機能ですが、都度承認を求められるため、サブスクリプションを契約する場面などでは手続きが煩雑になります。オフにする場合は、設定ページのスイッチを切り替えるだけで簡単に完了します。しかし、オフの状態で放置すると、子どもが自由にコンテンツを購入できてしまうリスクが生じるため注意が必要です。大きな金額が発生しないように、プリペイドカード(ギフトカード)を利用する、利用上限額を設定する、などの工夫を検討することもおすすめです。
Game Passの移行はできる?
保護者アカウントで既にGame Passを契約している場合、「子どものアカウントへ契約を移行する」機能は基本的に存在しません。サブスクリプションは契約したMicrosoftアカウントにひも付いているため、保護者アカウントのGame Passを子どもアカウントに移すことはできないのです。
ただし、Xbox本体を利用している場合に限り、「本体共有機能(ホームXbox設定)」を使うことで、保護者アカウントに紐づいたGame Passの権利を同じ本体で共有することが可能です。これにより、子どもアカウントでもGame Pass対応タイトルを遊べるようになります。ただしオンラインマルチプレイ機能(Xbox Live Gold相当)に関しては、どのアカウントがログインしているかなどに左右される部分もあるため、実際の挙動はしっかり確認しておきましょう。
ホームXboxの設定方法
ホームXboxの設定は、Xbox本体において保護者アカウントをメインアカウントとしてログインし、以下の手順で行います。
- Xboxガイド(コントローラー中央のXboxボタン)を開く
- 「プロフィールとシステム」から「設定」を選択
- 「一般」>「パーソナル設定」>「自分のホームXbox」に進む
- ここで、現在ログインしているアカウント(保護者アカウント)をホームXboxとして登録
この設定が有効になったXbox本体では、保護者アカウントの所有するデジタルゲームやGame Pass特典が、サインインしている子どもアカウントを含む他のアカウントでも利用できるようになります。
オンラインゲームでの保護者許可エラーを防ぐには
Fortniteなどのオンライン対戦ゲームをプレイする際、子どものアカウントがマルチプレイに制限されていると、保護者の許可を求めるエラーが表示されることがあります。これは、ファミリー設定によって「オンラインで他の人と遊ぶ」や「ボイスチャット・テキストチャット」がブロックされているためです。
エラーの原因と対処法
Microsoftアカウントのファミリー設定では、子どものオンライン安全を確保するため、デフォルトで厳しめの制限がかかっている場合があります。これを解除または緩和するには、保護者アカウントで再度ファミリー設定ページへアクセスし、以下を確認します。
- 「プライバシーとオンラインの安全性」や「コンテンツ制限」の項目をチェック
- 「オンラインで他の人と遊ぶ」設定を許可に変更
- 「コミュニケーション機能(テキスト・ボイスチャット)」も必要に応じて許可
- 設定変更後は必ず保存し、子どものアカウントでゲームを再起動して反映を確認
なお、ゲーム側にも独自のペアレンタルコントロールが存在することがあります。FortniteなどではEpic Gamesアカウント自体の年齢設定やペアレンタルコントロールが別途存在するので、そちらの設定も見直す必要がある場合があります。
保護者承認リクエストが届かない場合
子どもがオンラインプレイを試みた際に保護者に承認リクエストが送られるはずが、届かない・確認できないケースもあります。迷惑メールに振り分けられていないか、正しい保護者アカウントへ送信されているかをチェックしましょう。また、承認フローが煩雑な場合は、オンラインマルチプレイ関連の制限を一時的に「許可」に変更することでエラーを回避できる場合があります。
未成年アカウントの安全管理と追加のヒント
ファミリー設定はあくまでもマイクロソフト側で提供されている制限機能です。ゲームタイトルによっては独自のペアレンタルコントロールやコンテンツ制限を持っている場合があるので、そちらもあわせて確認が必要です。
年齢制限・レーティング設定を活用する
XboxではESRBやCEROなどのレーティング情報にもとづき、プレイできるゲームの年齢制限を細かく管理できます。ファミリー設定ページの「コンテンツ制限」で年齢制限を指定すれば、過度な暴力表現やアダルト要素を含むゲームは子どもが起動できません。子どもの年齢に適した範囲内のゲームだけを許可することで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
年齢制限設定のサンプル例
以下は、各年齢ごとのコンテンツ許可例を示す架空のテーブルです。実際の選択肢はファミリー設定ページにあるプルダウンやスライダーで細かく指定できます。
対象年齢 | 許可するゲームレーティング | 説明 |
---|---|---|
小学生低学年 | CERO A(全年齢対象) | 軽微なアクションや学習ゲームなどに限定 |
小学生高学年 | CERO A ~ CERO B | 暴力表現が比較的軽めの作品まで許可 |
中学生以上 | CERO A ~ CERO C | 銃撃など含むゲームもある程度プレイ可能 |
高校生以上 | CERO A ~ CERO D | グロテスク描写を含む作品も選択可能 |
購入管理:ギフトカードや月額上限を設定する
子どもアカウントにクレジットカードを登録してしまうと、ファミリー設定がオフの状態ではいつでも購入ができてしまうため、思わぬ出費を招く可能性があります。こういったリスクを抑えつつ自分のアカウントでGame Passや有料コンテンツを購入できるようにするには、ギフトカードやプリペイドコードを活用する方法が効果的です。
- ギフトカードを使う: 必要な金額だけチャージし、その範囲内でのみ子どもが自由に使えるようにする
- 月額上限の設定: 保護者アカウントの管理ページで、月に購入可能な最大金額をあらかじめ設定しておく
これらの設定によって、子どもが不用意に高額なアイテムや追加コンテンツを購入するのを防ぎつつ、ある程度の自主性を認めることが可能です。
具体例:JSON形式でのイメージ
以下は、実際のファミリー設定に対応したファイルではありませんが、子どもアカウントの設定をJSON風にイメージした例です。あくまでも参考程度としてご覧ください。
{
"XboxMultiplayer": "Allow",
"XboxCommunications": "FriendsOnly",
"PurchaseSettings": {
"NeedsAdultApproval": false,
"MaxSpendingPerMonth": 3000
},
"ContentRestrictions": {
"AllowedRating": "CERO B",
"BlockExplicitContent": true
}
}
ここではオンラインマルチプレイを「Allow」、フレンド外とのコミュニケーションを「FriendsOnly」、購入時の保護者承認は「false」にしつつ、月3,000円以内の制限をかけています。実際の設定はMicrosoftアカウント ファミリー設定ページを利用してGUI上で行いますが、こうしたイメージを持つことで、どの項目をどの程度緩和・厳しくするか検討しやすくなります。
Fortniteなどのオンライン対戦での注意点
Fortniteをはじめとするオンライン対戦ゲームは、ボイスチャットやテキストチャットを使って他者とコミュニケーションする場面が多くあります。子どものアカウントに適切な制限を残しておきたい一方で、オンライン協力プレイができなくなる設定になっている場合もあるため、必要に応じて「フレンドのみ許可」など細かく設定を調整すると良いでしょう。
Crossplay(クロスプレイ)機能の扱い
Fortniteや一部のXboxゲームでは、Nintendo SwitchやPlayStation、PCなど異なるプラットフォーム同士でのクロスプレイが可能になっています。ただし、クロスプレイを許可する設定がオフになっている場合は、クロスプラットフォームでマッチメイキングできません。子どもが友達と一緒に遊ぶ際に「接続できない」「部屋に入れない」といった問題が起きる場合は、Xboxの「クロスネットワークプレイ」が有効になっているか確認しましょう。
コミュニケーションの安全確保
オンラインマルチプレイでは、不特定多数のプレイヤーとマッチする可能性があり、過度な暴言や不適切なやりとりが行われるリスクがあります。Xboxのファミリー設定やゲーム内のペアレンタルコントロールだけでなく、子どもにオンラインマナーやSNS上のやり取りに関するルールを教えておくことも大切です。
子どものアカウント運用で役立つテクニック
以上のように、子どものMicrosoftアカウントでGame Passを使いこなすには、購入設定やオンライン安全性の調整が欠かせません。さらに、以下のようなテクニックを活用することで、より快適なファミリー運用を実現できます。
ログイン状況とゲーム時間の可視化
ファミリー設定ページでは、子どものXboxやWindows 10/11端末でのスクリーンタイムをモニタリングできる機能があります。1日に何時間までプレイできるか、特定の時間帯に利用を制限するなどの管理が可能です。長時間のゲームプレイを防ぐためにも、この機能を使うと良いでしょう。
スクリーンタイム管理の例
- 平日は1日1時間まで
- 休日は2時間
- 就寝時間の20時~翌朝6時はログイン制限
このように時間管理を行うことで、子どもにゲーム依存が生じにくい環境を整えられます。
報酬スタイルでゲーム利用を許可
ファミリー設定の枠を超えた使い方として、子どもが家庭でのルールや学習目標を達成したらゲーム時間を延長する、といった報酬スタイルの運用も可能です。スクリーンタイムに余裕がある場合には、追加の利用を保護者が承認してあげることで、子どものモチベーション向上につなげられます。
まとめ:ファミリー設定を使いこなして安全かつ便利に
- Game Passの購入: 子どもが自分のアカウントでサブスクリプションを契約するには、ファミリー設定で購入承認をオフにし、一時的にクレジットカードやギフトカードを用意するのがおすすめです。
- 移行は不可でも共有は可能: 保護者アカウントで契約しているGame Passを子どもアカウントに「移行」する機能はありませんが、ホームXbox機能を利用すれば同じXbox本体内で権利を共有できます。
- オンラインマルチプレイとコミュニケーション: 子どものアカウントにはデフォルトで厳しい制限があるため、ファミリー設定ページで「オンラインプレイ」や「チャット機能」の項目を必要に応じて許可に変更しましょう。
- 保護者承認リクエストが不要な場合: オンラインゲーム中に都度「保護者の許可」を求められたくない場合は、該当の制限をオフにすることもできます。ただしオフにすると子どもが自由に購入できるため、ギフトカードや月額上限設定を利用し、無制限の課金を防ぎましょう。
- 追加の安全策: レーティング別の年齢制限、クロスプレイやコミュニケーション制限、スクリーンタイム管理などを細かく調整して、子どもが健全に楽しめる環境を築くことが大切です。
ゲームに熱中することで、子どもの創造力やコミュニケーションスキルが高まる一方、やり過ぎによる健康面・金銭面のリスクも考慮する必要があります。ファミリー設定をはじめとするMicrosoftの各種機能を上手に使えば、保護者も子どもも安心・快適なゲームライフを送ることができます。ルール設定だけではなく、保護者自身もゲームに興味を持ってプレイ内容を把握し、一緒に楽しみながら安全な利用方法を話し合うことが理想的です。
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