クラウドゲーミングや家庭用ゲーム機でのプレイを手軽に楽しみたい一方、PCでじっくりゲームを遊びたいと考える方も多いのではないでしょうか。MicrosoftのサブスクリプションサービスであるGame Passシリーズは、そんなニーズを幅広くカバーしてくれます。本記事では、PC Game PassとGame Pass Ultimateの違いや、Xboxコンソールでプレイできるかどうか、クラウドゲーミングを使うための具体的な方法や必要な環境などを詳しく解説していきます。
PC Game PassとGame Pass Ultimateの基本的な違い
PC Game Passはその名の通りPC向け、Game Pass UltimateはXboxコンソールとPCの両方、さらにはクラウドゲーミング機能も含む総合的なサブスクリプションサービスです。まずはそれぞれの概要と、両者の違いについて整理してみましょう。
PC Game Passとは
PC Game Passは、Windows PC向けに提供されているゲームサブスクリプションサービスです。以下の特徴があります。
- 対応プラットフォーム: Windows 10/11を搭載したPC
- 主要機能:
- PC向けに最適化されたゲーム作品を多数プレイ可能
- EA Play(EA社のゲーム)が利用できる場合もある
- 月額料金がGame Pass Ultimateより安い
- 利用不可な機能:
- Xboxコンソールでのプレイ
- クラウドゲーミングによるストリーミングプレイ
Game Pass Ultimateとは
Game Pass Ultimateは、Microsoftが展開するサブスクリプションサービスの中でも最も多機能なプランです。以下が主な特徴です。
- 対応プラットフォーム: Xboxシリーズ(Xbox Series X|S・Xbox Oneなど)とWindows PC、そしてクラウド対応デバイス
- 主要機能:
- PCとXboxコンソール向けの幅広いゲームライブラリ
- クラウドゲーミングを通じたストリーミングプレイ(スマートフォンやタブレット、PCブラウザなど対応デバイスで利用可能)
- Xbox Live Goldの機能(コンソールでのオンラインマルチプレイなど)が含まれる
- EA Playの機能も利用可能
- 料金: PC Game Passよりも月額が高い
具体的な機能比較表
以下の簡易的な表で、それぞれのプランの主な機能をまとめてみました。
機能 | PC Game Pass | Game Pass Ultimate |
---|---|---|
対応デバイス | Windows PC | Xboxコンソール・Windows PC・クラウド対応デバイス |
クラウドゲーミング (xCloud) | 利用不可 | 利用可能 |
オンラインマルチプレイ | PCゲームのみ | Xbox Live Gold相当含む |
EA Play | 対応(PC版) | 対応(Xbox版・PC版) |
月額料金 | 安い | やや高い |
主な特徴 | PCゲーム特化 | 総合的なゲームプレイ体験 |
このように、「Xboxコンソールでも遊びたい」「クラウドゲーミングも試したい」という方にはGame Pass Ultimateが向いており、「PCのみでゲームを楽しみたい」という方にはPC Game Passが最適です。
PC Game PassをXboxコンソールで使えるか
結論から言えば、PC Game PassはXboxコンソールではそのまま利用できません。PC Game PassはあくまでもWindows PC向けのサブスクリプションであり、Xbox本体でインストールしたり起動したりすることはできない仕様となっています。
Xboxでゲームをする場合に必要なもの
- Xbox向けのサブスクリプション: Game Pass Ultimate、またはコンソール向けのGame Pass(「Xbox Game Pass for Console」)
- Xbox本体(Xbox One、Xbox Series X|Sなど)
- Xbox Liveアカウント: 基本無料で取得可能
- オンラインマルチプレイを楽しみたい場合: Game Pass UltimateのほかにXbox Live Gold相当が必要(Game Pass Ultimateに含まれています)
もしすでにPC Game Passに加入している場合でも、Xboxコンソールで遊ぶためにはGame Pass Ultimateへアップグレードするか、コンソール向けのGame Passを別途契約する必要があります。
クラウドゲーミングを楽しむために必要なもの
クラウドゲーミングを利用すれば、対応デバイス上で高性能なグラフィックを必要とするゲームをストリーミングでプレイできます。自宅にハイスペックPCやゲーム機がなくても、安定したネットワーク回線さえあれば、幅広いタイトルを楽しめるのがメリットです。ここでは、クラウドゲーミングを快適に楽しむために必要な条件や準備手順を詳しく紹介します。
1. Game Pass Ultimateへの加入
クラウドゲーミング(一般的に「Xbox Cloud Gaming」や「xCloud」と呼ばれる)を利用するには、Game Pass Ultimateへの加入が必須です。前述のとおり、PC Game Pass単体ではクラウドゲーミング機能は含まれていません。Ultimateに加入すると、追加料金なしでクラウドゲーミングが利用可能になります。
2. 対応デバイス
クラウドゲーミングは、スマートフォン、タブレット、PCブラウザなど、さまざまなデバイスで利用できます。デバイス別の対応状況は以下の通りです。
- スマートフォン・タブレット: iOS、Android両方に対応
- PCブラウザ: Microsoft Edge、Google Chrome、Safariなど主要ブラウザに対応
- 一部のTV・ストリーミングデバイス: アプリやブラウザ経由で利用可能な場合もある
例えば、iPhoneやiPadで遊ぶ場合はWebブラウザ(Safari)を使ってクラウドゲーミングのサイトにアクセスし、ホーム画面にショートカットを追加することでアプリ風に起動することができます。
3. コントローラー
タッチ操作に対応しているゲームも増えていますが、多くの場合はコントローラーを使ったほうが快適にプレイできます。Xbox公式のワイヤレスコントローラーや、MFi認証を受けたコントローラー、あるいはBluetooth対応の一般的なゲームパッドなどが利用可能です。
4. 安定したインターネット環境
クラウドゲーミングではゲームをリアルタイムでストリーミングするため、ネットワーク速度と安定性が非常に重要です。Microsoftの推奨では、下り速度が少なくとも10〜20Mbps程度(タイトルや画質設定による)必要とされています。特にアクションゲームや対戦ゲームを楽しむ場合は、レイテンシー(遅延)も重要となるため、Wi-Fi環境よりも有線LAN、または高速・安定したWi-Fi 6対応ルーターを使うなどの工夫が望ましいです。
5. Microsoftアカウント
クラウドゲーミングにはMicrosoftアカウントが必要です。既にXboxやWindows PCで使っているアカウントをそのまま使用できます。Game Pass Ultimateに加入しているアカウントでログインすれば、クラウドゲーミングが利用可能となります。
快適なクラウドゲーミングを実現するポイント
クラウドゲーミングは便利な一方で、ネットワーク環境に左右される面もあります。以下では快適にプレイするための具体的なポイントを見ていきましょう。
ネットワークの帯域を確保する
家庭内ネットワークで同時に大容量のダウンロードや動画のストリーミング、リモート会議などを行うと、回線速度や安定性が低下しやすくなります。ゲームをプレイ中は帯域を圧迫する作業を控えるか、QoS(Quality of Service)機能付きのルーターで優先度を設定すると、スムーズなゲーム体験が可能です。
モバイルデータ通信の場合
外出先でモバイルデータを使ってクラウドゲーミングを楽しむ場合、通信量が大きくなるため注意が必要です。ゲームのジャンルや映像品質にもよりますが、1時間プレイすると数GB単位のデータを消費するケースもあります。通信制限にかからない大容量プランを選択するか、Wi-Fiスポットを活用するとよいでしょう。
ルーターの位置と電波状況
Wi-Fiでプレイする際は、できるだけ電波干渉の少ない環境を整えることが大切です。ルーターを部屋の中央に置く、電子レンジや他の電波機器から離すなど、物理的な配置を最適化するだけでも遅延やパケットロスが減少する場合があります。また、Wi-Fi 6対応ルーターやメッシュWi-Fiを導入すると、複数のデバイスを同時に接続しても安定した通信を維持しやすくなります。
PC Game Pass単体で満足できる人とは?
それでは、実際にPC Game Pass単体で十分に満足できる人のケースを考えてみましょう。
1. PCのみでゲームをプレイしたい
家にXboxコンソールを持っておらず、今後購入予定もない方、あるいはハイスペックなゲーミングPCを持っていてPCゲームを中心に楽しむ方は、PC Game Passのコストパフォーマンスが魅力的です。コンソール向けの追加サービスを必要としないため、月額料金が安く済みます。
2. 外出先でのプレイは不要
クラウドゲーミングの最大の魅力は、外出先やテレビのない部屋でもスマホやタブレットでゲームを楽しめる点ですが、もしそうした機会が少なく、自宅のPCだけで十分に遊べるという場合にはPC Game Passで事足ります。
3. PC向けタイトルに特化したラインナップ
Game Passのライブラリはコンソール向けとPC向けで一部異なります。例えば、戦略シミュレーションやMMORPG、ストラテジー系のタイトルはPC版のほうが豊富で、マウス&キーボードでじっくり遊ぶのに向いています。こうしたジャンルを好む方にとって、PC Game Passは大きなメリットとなるでしょう。
Game Pass Ultimateが向いている人の特徴
逆に、Game Pass Ultimateを選ぶべき人の特徴や理由を考えてみます。
1. 複数のプラットフォームで遊びたい
Ultimateにすると、Xboxコンソール・Windows PCの両方でサブスクリプションの対象となるゲームを遊ぶことができます。自宅のリビングではXboxで大画面プレイ、デスクではPCでMMORPGやFPSを楽しむ、といった使い分けが可能です。
2. クラウドゲーミングを活用したい
通勤・通学中や旅行先でスマートフォンやタブレットを使ってゲームを続けられるのは非常に便利です。クラウドセーブがある場合は、家のXboxコンソールで中断したゲームの続きを、そのままスマホで再開できます。外出先での待ち時間などを有効に使いたい方には大きなメリットです。
3. オンラインマルチプレイをXboxで楽しむ
Xboxコンソールで友人とオンラインマルチプレイを楽しむには基本的にXbox Live Goldの加入が必要ですが、Game Pass UltimateにはXbox Live Goldの機能が含まれているため、追加料金なしでオンライン対戦や協力プレイを始められます。
4. 幅広いジャンルの最新作を追いかけたい
Game Passには新作タイトルが配信と同時にラインナップに追加されることがあり、特にXbox Game Studiosの作品やBethesdaのタイトル(『Halo』『Forza』『The Elder Scrolls』『Fallout』など)は発売日から遊べることが多いです。こうした最新作をPCでもXboxでも遊びたい方は、Game Pass Ultimateがベストです。
導入・利用開始の手順
最後に、PC Game PassやGame Pass Ultimateを始めるための一般的な流れを簡単にまとめます。すでにMicrosoftアカウントをお持ちの場合は比較的スムーズに進められます。
ステップ1: Microsoftアカウントの用意
- 既存のアカウントがあれば流用可能
- お持ちでない場合は、公式サイトにて無料で作成
ステップ2: サブスクリプションの購入
- Microsoft公式サイトまたはXbox公式サイトにアクセス
- 購入したいプラン(PC Game Pass、Game Pass Ultimateなど)を選択
- 支払い情報を入力
ステップ3: 専用アプリやXboxアプリのインストール
- PCの場合: Microsoft Storeから「Xbox」アプリをダウンロードし、インストールする
- クラウドゲーミングの場合: ブラウザ(Microsoft Edge、Chrome、Safariなど)からGame Passのクラウドゲーミングページにアクセス
ステップ4: 好きなゲームをダウンロードまたはストリーミングでプレイ
- PC Game Passの場合: ゲームを選択してダウンロード
- Game Pass Ultimateの場合: ダウンロードかクラウドストリーミングかを選択してプレイ
PCスペックの確認と簡易チェック(PowerShell例)
PCゲームを快適にプレイするためにはある程度のスペックが必要です。下記の簡単なPowerShellコマンドを使えば、現在のOSバージョンやメモリ容量などを確認できます。Windowsの検索バーで「PowerShell」と入力し、以下のコマンドを入力してみてください。
Get-ComputerInfo | Select-Object WindowsVersion, CsTotalPhysicalMemory
- WindowsVersion: Windows 10か11か、バージョン番号などが表示されます
- CsTotalPhysicalMemory: PCに搭載されている物理メモリの総量(バイト単位)
最低でも8GB程度のメモリを搭載していると、多くのゲームを快適に動作させることができるでしょう。推奨スペックは各ゲームごとに異なるため、XboxアプリやSteamなどの公式情報を参考にしてください。
トラブルシューティングのポイント
サブスクリプションサービスを利用していると、時にはエラーや不具合に遭遇することがあります。以下は代表的なトラブルと対処法です。
1. サインインできない場合
- Microsoftアカウントのログイン情報を再確認
- Two-Factor Authentication(2段階認証)を設定している場合はコードを正しく入力
- ネットワークが不安定なら、回線を切り替えてから再試行
2. ダウンロード速度が極端に遅い
- 他のデバイスで大容量通信をしていないかチェック
- ルーターの再起動や、回線速度の計測(Speedtestなど)を実施
- Xboxアプリの設定でダウンロード帯域制限がかかっていないか確認
3. クラウドゲーミングがカクつく・遅延が大きい
- ネットワーク品質の見直し(Wi-Fiなら有線、もしくはWi-Fi 6対応機器に切り替え)
- プレイしている時間帯が混雑していないか確認(ピークタイムは遅延が増えやすい)
- 解像度設定を下げることで負荷を軽減
まとめ
PCでゲームを楽しみたいだけならPC Game Passがコストパフォーマンスに優れた選択肢です。しかし、Xboxコンソールでもプレイしたい方、またはスマホやタブレットでクラウドゲーミングを活用したい方はGame Pass Ultimateを選ぶのが断然おすすめです。クラウドゲーミングやXbox Live Gold相当のオンラインプレイ機能が統合されているので、さまざまなデバイスや場所でゲームを楽しめる幅が格段に広がります。
自分のプレイスタイルやデバイス構成、ライフスタイルに合わせて、最適なプランを選択してみてください。もし途中でニーズが変わった場合でも、プランを変更することは比較的簡単です。ぜひ、Game Passを活用してお得にMicrosoftの豊富なゲームラインナップを満喫してみてはいかがでしょうか。
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