臨場感あふれるゲーム体験を目指すなら、画面のカクつきやティアリングを軽減するVRR(可変リフレッシュレート)は欠かせません。SonyのX90LシリーズとXbox Series Xを組み合わせることで、G-SyncやFreeSyncのような専用技術こそ使えないものの、HDMI Forum VRRに対応した安定したプレイが期待できます。
Sony X90LのVRR対応状況とXbox Series Xの互換性
Sony X90Lは、G-Sync(NVIDIA)やFreeSync(AMD)のようなメーカー独自のVRR技術ではなく、「HDMI Forum VRR」に準拠した可変リフレッシュレートをサポートしていると考えられます。Xbox Series XもHDMI Forum VRRに対応しているため、この両者を組み合わせればゲーム映像の滑らかさが向上し、フレームレートの変動に伴う画面の乱れを最小限に抑えられます。
G-SyncやFreeSyncが使えないのは問題?
実際のところ、Sony X90LがG-SyncやFreeSyncに公式対応していないことは大きな問題ではありません。Xbox Series XはFreeSyncベースですが、近年のHDMI搭載機器ではHDMI Forum VRRに対応していれば十分に可変リフレッシュの効果を得ることが可能です。
つまり「X90Lで正式なG-SyncやFreeSyncが使えない=VRRが使えない」というわけではなく、あくまでも「HDMI Forum VRRで充分にゲームが快適になる」というのが現実的なメリットといえます。
HDMI Forum VRRと独自規格の違い
VRRは大きく分けて以下の3種に大別されます。
- FreeSync(AMD):PCや一部のゲーム機向けに普及。HDMIやDisplayPortなどで利用できる。
- G-Sync(NVIDIA):主にPC用モニターで利用される。テレビでは「G-Sync Compatible」として動作する例あり。
- HDMI Forum VRR:HDMI2.1の標準規格。最新のゲーム機(PS5やXbox Series X/Sなど)が対応。
Sony X90LやXbox Series Xが注力しているのは、まさにこのHDMI Forum VRRです。独自拡張の制御やフレームレートの微調整幅などが少ない分、互換性が高く、テレビでも安定して機能しやすいという利点があります。
VRRの設定方法と最適なオン/オフの組み合わせ
それでは、Sony X90LとXbox Series XでVRRを最大限活かすにはどのような設定が必要なのでしょうか。基本的には「テレビ側のVRR設定をオン」「Xbox側のVRR設定をオン」が大原則ですが、具体的な項目名や推奨設定を表で確認してみましょう。
推奨設定一覧
設定項目 | 推奨値 | 備考 |
---|---|---|
X90LのVRR | オン | テレビの映像メニューからVRRを有効化。 |
X90Lのゲームモード | オン | 入力遅延を抑えたい場合は必須。 |
X90LのALLM | オン(対応機種なら) | Xbox起動時に自動で低遅延モードに切り替えられる。 |
Xbox Series XのVRR | 常にオン or ゲームのみ | 好みや環境によるが、ゲームのみでも十分。 |
Xbox Series XのALLM | オン | 自動でテレビのゲームモードを呼び出すために有効にする。 |
テレビ側の補間フレーム | オフ or 最低レベル | VRR効果を最大化するために余計な処理はオフ推奨。 |
テレビ側のノイズリダクション | オフ or 最低レベル | 遅延を減らすために必要最小限で抑える。 |
HDR設定 | コンテンツや好みでオン/オフを選択 | 遅延には大きく影響しないが、画質面での調整が必要な場合有。 |
このように、TVもXbox Series Xも基本的にはVRRをオンに設定するだけでOKです。各種補間機能や映像処理を最小限に抑えてあげることで、VRRの滑らかさと入力遅延の低減を同時に狙うことができます。
VRR設定をオフにすべき状況は?
VRRをオンにすると映像は非常に滑らかになりますが、一部のゲームや映像ソースによっては、逆にちらつきや不安定なフレームレートが目立つ場合があります。そのようなケースでは、一時的にVRRをオフにして動作確認するのも一つの手段です。特に古いゲームや不安定なフレームレートのソフトウェアの場合、VRRが逆効果になる例もまれに存在します。
入力遅延(インプットラグ)を抑えるためのポイント
いくら画面が滑らかになっても、ボタンを押してから反応が遅れるようではゲームを十分に楽しむことができません。そこで、入力遅延を最低限に抑えるためのポイントを押さえておきましょう。
1. ゲームモードの徹底
Sony X90Lには、映像処理を簡略化して入力遅延を減らす「ゲームモード」またはそれに類するモードが用意されています。通常の視聴モードのままだと、複雑な映像処理やアップスケーリングが行われてしまうため、その分だけ遅延が増加します。
ゲームモードをオンにすることで、テレビ側の映像処理が大幅に抑えられ、レスポンスが良くなるのが特徴です。
2. ALLM(Auto Low Latency Mode)の活用
Xbox Series XはALLMに対応しているため、対応テレビ側でALLMをオンに設定すると、ゲームを起動した時点で自動的にゲームモードなどの低遅延モードに切り替わります。
手動でゲームモードを毎回オンにしなくても済むので快適ですし、ムービー再生などゲーム以外のコンテンツ視聴時には自動で通常モードに戻るため、一石二鳥の機能といえます。
3. 映像処理機能の最適化
VRRをオンにしていても、テレビ側でフレーム補間(モーションフロー系機能)やノイズリダクションなどの画像処理が有効だと、そのぶん遅延が増える可能性があります。スムースさや画質向上のための機能は、基本的にゲーム時にはオフか最低限に抑えておくとよいでしょう。
Xbox Series Xの設定と注意点
テレビ側の設定を整えたら、次はXbox Series Xの設定も確認しておきましょう。
「画面とテレビのオプション」でのVRR確認
Xbox Series Xではシステムの「設定」→「一般」→「テレビとディスプレイのオプション」にて、4K/120HzやVRRの有効・無効を確認できます。テレビが正しくVRRに対応している場合、ここでVRRの設定が選択可能になり、「常にオン」「ゲームのみ」「オフ」などを選べるようになっています。
リフレッシュレートと解像度のバランス
4K解像度で120Hzが出せるタイトルは限られていますが、解像度を下げれば120Hzが出せるゲームも存在します。また、VRRはゲーム側のフレームレートの変動を補正するために働くので、ゲームによっては60Hzや120Hzを行き来する場合があります。
4K/60Hzで安定して遊びたいのか、1440pや1080pで120Hzを狙いたいのか、ゲームの内容や個人の好みで設定をカスタマイズするとよいでしょう。
解像度とVRRの組み合わせ例
- 4K/60Hz + VRR … 多くのゲームで安定する組み合わせ。映像美重視。
- 1440p/120Hz + VRR … オンライン対戦ゲームやハイスピードアクションで、フレームレート重視の場合におすすめ。
「Made for PS5」表記とXbox Series Xの相性
Sony X90Lは「Made for PS5」や「Perfect for PlayStation 5」といった表記でプロモーションされることがありますが、これはPS5向けの各種機能(4K/120Hz、VRR、ALLMなど)を重点的にアピールしているだけであり、他のゲーム機で使えないわけではありません。
Xbox Series Xでも同様の機能をサポートしているため、ほぼ同等の恩恵が得られます。G-SyncやFreeSyncといったロゴが付いていなくても、「HDMI Forum VRR」でしっかりと相性はカバーされているので安心してください。
PS5独自機能との違い
PS5はVRRやALLMに加えて、独自のUIやDualSenseコントローラーの機能(アダプティブトリガーやハプティックフィードバック)などが存在しますが、これらは映像技術そのものではありません。あくまでXbox Series Xと同程度のVRR技術を備えつつ、周辺機能が異なるだけというイメージです。
さらに快適なゲーム体験を目指すなら
大型テレビは映画視聴やリビングでのゲームプレイに最適ですが、どうしても映像処理の多さから入力遅延が発生しやすい傾向にあります。もしコンペティティブな対戦ゲームを極限で楽しみたい場合は、VRRや低遅延を前面に打ち出したゲーミングモニターを検討する手もあります。
ゲーミングモニターと大画面TVの使い分け
- 大画面TV:迫力のある映像、大人数でも見やすい、映画やドラマも楽しめる。
- ゲーミングモニター:応答速度が速い、入力遅延が少ない、高リフレッシュレート対応が豊富。
部屋のレイアウトや家族構成、ゲームの種類に合わせて使い分けると、より快適なゲームライフを実現できます。
設定の例をコードでシミュレーション
以下に、Sony X90LとXbox Series Xの推奨設定を擬似的にJSON形式でまとめてみました。実際の機器設定とは異なる部分もありますが、イメージ作りの参考にしてください。
{
"sony_x90l": {
"vrr": true,
"game_mode": true,
"allm": true,
"motion_flow": "off",
"noise_reduction": "off_or_minimum"
},
"xbox_series_x": {
"video_output": {
"resolution": "4K",
"refresh_rate": "120Hz",
"vrr": "game_only",
"allm": true
},
"audio_output": {
"spatial_sound": "dolby_atmos"
}
}
}
上記のように、VRRを有効化し、ゲームモードやALLMを活用しながらノイズリダクションを最小限に抑えるのがポイントです。
まとめ
Sony X90LとXbox Series Xの組み合わせでは、正式なG-SyncやFreeSyncのロゴこそありませんが、HDMI Forum VRRを介して滑らかなゲームプレイが可能です。設定時のポイントとして、テレビ側とXbox側のVRRを両方オンにし、入力遅延を抑えたい場合はゲームモードやALLMを活用しましょう。映像処理機能をオフまたは最低限に抑えることで、よりレスポンスの良い操作感を得られます。
もし「最速・最高にこだわりたい」のであれば、ゲーミングモニターの導入も視野に入れるといいでしょう。とはいえ、リビングで大迫力の映像を楽しみながら気軽にゲームを遊べるのはテレビの大きな魅力です。Sony X90Lの高い画質とXbox Series Xのパワフルな性能を組み合わせれば、映画さながらの没入感と心地よい操作感を両立させられます。
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