Surface Pro 11でXCOM 2 WOTCが乱れる原因と対処法

Surface Pro 11でXCOM 2をプレイしていると、画面にピクセルの欠けやブロック状のノイズが目立ち、せっかくの戦略ゲームに集中できない…とお困りではないでしょうか。特に拡張版のWar of the Chosen(WOTC)で発生する問題は、ハードウェアの特性が大きく影響している可能性があります。ここでは、その原因と対策を詳しく解説していきます。

Surface Pro 11で起きるグラフィック乱れの背景

Surface Pro 11はARMベースのQualcomm Snapdragonを搭載しており、GPUには「Adreno」シリーズが採用されています。一般的なPC向けGPUに比べて省電力かつコンパクトな設計が特徴ですが、専用のビデオメモリ(VRAM)を持たず、システムメモリを共有して利用するという点が大きく異なります。この構造はモバイルデバイスなどでは一般的ですが、PCゲーム、とりわけ描画負荷の高い3Dゲームにおいては、専用VRAMがないことがパフォーマンスの低下や描画乱れの要因になることがあります。

最小要件の問題と開発元の見解

XCOM 2の開発元であるFiraxisや販売元の2Kによれば、「最低でも1GBの専用ビデオメモリを搭載したGPUが必要」という要件があります。Adreno GPUは専用VRAMを持たず、システムRAMをビデオメモリとして共用しているため、要件上は“未対応”とみなされるケースが多いのです。こうした背景から、メーカー側も「ハードウェア要件未満のため、動作や表示に問題が出ても保証できない」という立場を示しています。

WOTC拡張版特有の負荷

バニラ版(無印)のXCOM 2では大きな問題がなくても、War of the Chosen拡張版になると突然表示が乱れるケースが報告されています。WOTCでは新規テクスチャ、エフェクト、より複雑なシェーダーが追加されており、データ処理量が増大しています。結果的に高いGPU負荷とメモリ帯域の不足が重なり、描画エラーやノイズなどが発生しやすくなると考えられます。

なぜSurface Pro 11(ARMベース)だけが問題になるのか

Surface Pro 7などのIntelプロセッサ搭載モデルでは、内蔵GPU(Intel Irisなど)でもある程度のVRAM管理がWindows用に最適化されています。その一方で、ARMベースのSnapdragonはWindows向けに最適化が進んでいるとはいえ、まだ歴史が浅く、ドライバやエミュレーションレイヤーを含めた相性問題が残っている場合があります。特にDirectXやOpenGLなどのAPIを経由して動作するゲームでは、ドライバの最適化不足が際立つことがあります。

ドライバ更新で改善する可能性は?

MicrosoftやQualcommは随時ドライバの更新を行っていますが、XCOM 2のような比較的古いタイトル向けの最適化は優先度が低い可能性があります。また、ARM版Windows自体がまだ成長途上のプラットフォームであるため、短期間で劇的な改善を期待するのは難しいかもしれません。最新ドライバを適用しても改善が見られない場合は、ゲーム内設定をいじるなどのソフトウェア的な対処に頼るほかない状況が多いです。

主な対策方法と具体的な手順

ここからは、実際に試してみる価値がある対策を紹介します。ただし、残念ながら完全に不具合が解消する保証はありません。あくまで「軽減策」として捉えていただくのがよいでしょう。

1. グラフィック設定の引き下げ

XCOM 2やWOTC拡張版には多くのグラフィックオプションがあります。以下のような設定項目を順に調整し、負荷を抑えると症状が軽減される場合があります。

  • 解像度: 可能であれば1280×720や1600×900程度に下げる
  • テクスチャ品質: 「Low」または「Medium」に設定
  • 影の品質: 「Off」または「Low」に設定
  • アンチエイリアシング: 可能な限り無効化
  • VSync: オフにしてフレームレート上限を設定(オフにすると描画が早くなる場合あり)

こうした設定項目を見直すだけでも、GPUへの負荷が大幅に減り、ノイズやグラフィックの破綻が軽減される可能性があります。

2. ゲームファイルの整合性チェックと再インストール

Steamを利用している場合は、以下の手順でゲームファイルの整合性チェックを行います。

  1. Steamライブラリから「XCOM 2」を右クリックし、「プロパティ」を選択
  2. 「ローカルファイル」タブから「ゲームファイルの整合性を確認」をクリック
  3. 不整合が見つかった場合は自動的に修復

また、拡張版「War of the Chosen」自体が別パッケージとして扱われるケースもありますので、WOTC拡張版単独のファイル整合性チェックや再インストールを試してみるのも良い方法です。

再インストールのポイント

再インストールの前には、必ず不要なMODを一時的に削除・無効化しておくとトラブルを減らせます。特にグラフィック系MODやテクスチャを変更するようなMODは、Surface Pro 11のようにVRAMに限りがある環境だと大きな負荷をかける可能性があります。

3. .iniファイルのカスタマイズ

XCOM 2には、多数の構成ファイル(.ini)が存在します。これらを直接編集することで、ゲーム内オプションにない細かな設定を調整できます。一般的には以下のディレクトリに格納されています(インストール先や環境によって異なる場合あり)。

C:\Users\ユーザー名\Documents\My Games\XCOM2\XComGame\Config

たとえば、下記のようなパラメータを調整して描画品質を大きく落とすことが可能です。

ファイル名設定例解説
XComEngine.inibUseBackgroundLevelStreaming=falseマップのストリーミング機能を無効にし、描画を簡易化(ただしロード時間の増加に注意)
MaxShadowResolution=32影の解像度を極端に下げる
XComGame.inibEnableRagdollPhysics=falseラグドール物理演算を無効化し、CPU/GPU負荷を減らす
XComEngine.inibUseTextureStreaming=falseテクスチャストリーミングを無効化(VRAM節約にはなるが、テクスチャ切り替えが増える)

これらの設定を変更すると、ゲームの見た目はかなり質素になりますが、ARMベースのGPUに対してはプラスに働く場合があります。設定値を大幅に下げすぎるとゲームが起動しなくなるリスクもあるため、一つずつ検証しながら進めることが大切です。

iniファイル編集時の注意点

  • バックアップをとる: オリジナルの.iniファイルをコピーし、いつでも戻せるようにしておく
  • 少しずつ調整: いきなりすべてを大幅に変えず、1項目ごとに変更して動作を確認
  • アップデートの影響: ゲームのアップデートで.iniファイルが上書きされる可能性がある

編集後にゲームを起動すると、その時点で問題が改善しているか確認しやすいので、小刻みにテストを繰り返すと良いでしょう。

ハードウェア要件と現実的な限界

ゲーム開発側も案内しているように、XCOM 2は専用VRAMを持つGPUを前提に設計されています。Surface Pro 11はタブレットとしての利便性や長時間のバッテリー持続など、モバイル面で優れていますが、その分、本格的に3Dゲームを動かす際のパフォーマンスには限界があります。

どうしても改善されない場合

もし上記の対策をすべて試しても改善が見られない場合は、スペック要件を満たす別のPCでプレイするのも検討すべきかもしれません。あるいはクラウドゲーミングを利用し、Surface Pro 11上ではストリーミング再生としてプレイする方法も一案です。ただし、クラウドゲーミングでは回線速度や遅延が問題になる場合もあるため、通信環境に注意が必要です。

ゲーム体験を向上させるための追加アドバイス

ここでは、実際にゲームプレイを向上させるための小ワザやヒントをいくつか挙げておきます。

1. バッテリーモードの切り替え

Windowsは省電力モードになっているとCPUやGPUのパフォーマンスを自動で抑えます。Surface Pro 11をACアダプタにつないだうえで、Windowsの「電源とスリープ」設定を「最も高いパフォーマンス」に切り替えると、わずかながら描画パフォーマンスが向上する場合があります。

2. 裏で動くソフトを停止

ウイルス対策ソフトやアップデート関連のサービスがバックグラウンドで動作していると、貴重なCPU・メモリリソースを奪われます。ゲームプレイ前には余計なプロセスを終了しておきましょう。
ただし、セキュリティリスクを伴う行為でもあるため、基本的には常駐ソフトをすべて落とすことは推奨しません。不要なクラウド同期ソフトやブラウザなど、動かさなくても問題ないものを中心に停止する程度にとどめましょう。

3. Windowsのグラフィック設定から優先度を変更

Windows 11(ARM版を含む)では、「設定」→「システム」→「ディスプレイ」→「グラフィック」から、特定のアプリに対して「高パフォーマンス」を割り当てることができます。XCOM 2を手動で追加し、優先度を高く設定すると、わずかながら動作が安定するケースも報告されています。

4. ゲーム内の解像度スケール調整

最近の3Dゲームでは、内部描画解像度を下げつつUIは別でスケーリングするといった仕組みが備わっている場合があります。XCOM 2にも同様のオプションがあるため、画面上のUIなどはそのままに、描画解像度だけを下げる手段を検討しましょう。これにより、画面の文字は比較的読みやすいまま、描画負荷を低減できる可能性があります。

実際のプレイフィールを考慮した最終判断

Surface Pro 11であっても、ある程度画質を落とせばWOTC拡張版を動作させることは不可能ではありません。しかし、テクスチャの破綻やフレームレートの低下、さらには強制終了に至るリスクも否定できません。ゲームを快適にプレイしたいというのであれば、やはり専用VRAMを備えたGPUを搭載したマシンの使用を検討したほうがストレスなく楽しめます。

一方で、外出先でちょっとだけ戦略を練るときなど、どうしてもSurface Pro 11でプレイしたいシチュエーションはあるかもしれません。そんなときには、本記事で紹介した設定変更や.iniファイルの編集などの対策を組み合わせることで、多少なりともプレイアブルな環境を整えることができるでしょう。

モバイル性とゲーム体験のトレードオフ

Surface Proシリーズは「軽量かつタブレット的な使い方もできる」という魅力がある一方で、ゲームやグラフィック処理をメインとするユーザーにはやや物足りない面があります。パフォーマンスを重視するか、モバイル性を優先するか、用途に合わせて使い分けることが大切です。

まとめ:改善策はあるが根本的な制約は大きい

Surface Pro 11のARMベースGPUでXCOM 2 WOTCをプレイする際に発生するグラフィック乱れは、ハードウェア的に専用VRAMを持たないこと、そしてゲームの要件に見合った最適化が行われていないことが主な要因と考えられます。対策としてはドライバ更新やゲーム設定の引き下げ、.iniファイルの編集などがありますが、いずれも一時的または部分的な改善にとどまる可能性が高いです。

もしも快適なプレイを最優先するなら、要求スペックを満たす別のPCやゲーム機、あるいはクラウドゲーミングサービスの利用を検討するのが無難でしょう。それでもSurface Pro 11で遊びたい場合は、本記事で紹介した方法を一つずつ試し、最適なバランスを探ってみてください。

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