ゲーム配信を楽しむ際、多くの人は仲間や視聴者とワイワイ盛り上がることに魅力を感じていることでしょう。ところが、いざXboxからDiscordへ配信してみると、BGMとして流していたSpotifyやSoundCloudの音声がまったく聞こえない…なんて経験はありませんか?本記事では、その原因と対策を分かりやすく解説していきます。
XboxからDiscord配信を行うとBGMだけが聞こえない理由
XboxからDiscordへゲーム配信をしたときに、ゲーム音声はしっかり流れていてもBGMだけが無音になってしまうのはなぜなのでしょうか。主に考えられる要因は著作権保護と配信の設定における仕様上の問題です。
著作権保護の仕組みによる自動ミュート
配信プラットフォーム(今回はXboxやDiscord)には、著作権保護されている音源を検知した際に自動的にミュートする機能が導入されていることがあります。これは音源を無断で使用して配信や録画が行われた場合、楽曲の権利元からの申し立てが発生するリスクが高まるためです。特に大手プラットフォームほどこの対策は厳格になっており、ゲーム音声のバックグラウンドでSpotifyやSoundCloudを再生していたとしても、権利管理システムが音声を検知し、配信側からはミュート状態で扱われることがあるのです。
ストリーマーモード・配信者向けモードの影響
一部のゲーム機や配信ソフトには、いわゆる「ストリーマーモード」や「配信者向けモード」と呼ばれる設定があります。これは、ゲーム内BGMの差し替えや配信に乗せたくない音源を自動的にオフにする機能です。Discord自体にも通知音などが配信に乗らないようにする「ストリーマーモード」が存在します。こうした設定が有効になっている場合、外部音源であるSpotifyやSoundCloudの音が配信に含まれなくなる可能性が高いです。
Xboxでの配信音声経路の制限
Xboxのシステムが提供している音声出力には、ゲーム音声やパーティーチャットなどの正式に想定されている音声チャネルがあります。しかしSpotifyやSoundCloudなどの外部アプリが再生する音声は、配信対象のオーディオデバイスとは別の経路で処理されることがあります。結果として、配信ではゲームサウンドやパーティーチャットは問題なく乗る一方、外部アプリの音声がカットされてしまう仕組みになっている場合があります。
著作権上の観点:なぜ音楽配信は難しいのか
多くの配信者が引っかかるのが「著作権問題」です。著作権保護された楽曲を無断で配信するのは違法行為にあたり、プラットフォーム側もそれを防ぐため、ミュートやブロックなどの対策を行っています。
楽曲の使用ライセンスと配信の関係
SpotifyやSoundCloudで流している音楽は、視聴者向けに配信することを前提にしたライセンスが付与されていないケースがほとんどです。音楽ストリーミングサービスは、あくまで「個人が聴取するため」の契約を提供しているため、他者に向けて再配信する行為は著作権法や利用規約に抵触します。
たとえば次のような表にまとめると分かりやすいでしょう。
音楽サービス | 主な用途 | 配信での利用可否 |
---|---|---|
Spotify | 個人が音楽をストリーミングで楽しむ | 基本的に不可。許諾なしの再配信はライセンス違反 |
SoundCloud | アーティストが楽曲を公開 & ユーザー視聴 | 公開設定やライセンス形態による。大半は不可 |
YouTube Music | 個人向けの音楽ストリーミング | 基本的に不可。著作権管理も厳格 |
こうした著作権対策により、ゲーム配信中に音楽を流していたとしても、プラットフォームが検知すればミュートされるのは当然とも言えます。
配信業界の自動検知システムの高度化
近年では動画や音声をAIが解析し、特定の著作権保護楽曲と一致すれば即座にブロックやミュートを適用するシステムが導入されています。Discordが公式にこうしたシステムを導入しているかは公表されていませんが、Xbox自体が持つ著作権保護の仕組みや、Microsoftのポリシーが反映されている可能性は十分にあります。いずれにせよ、配信や動画に不正に音源を乗せる行為はリスクが高いため、プラットフォームに限らず注意が必要です。
実用的な対策方法
では実際に、どうすればXboxからDiscordへ配信する際に音楽を流すことができるのでしょうか。対策としてはいくつかの選択肢がありますが、いずれも注意点を把握したうえで検討する必要があります。
1. 配信OKの楽曲を利用する
もっとも安全かつおすすめなのは、著作権フリーまたは配信での使用が許諾されている楽曲を使う方法です。たとえば、下記のようなサイトやサービスがあります。
- YouTubeのオーディオライブラリ:YouTube Studio内でアクセスでき、クリエイター向けに著作権フリーのBGMを配布している。
- Streamlabs PrimeのBGMライブラリ:月額サービスだが、配信向けに最適化された楽曲がそろっている。
- Epidemic Sound:有料ではあるが幅広いジャンルの楽曲がそろい、配信や動画制作に特化したライセンス形態を提供。
こうした音源なら配信時にミュートされるリスクは低く、権利者からの申し立ても回避しやすいです。
2. 権利関係を明確にする
企業やアーティストと直接ライセンス契約を結ぶ方法も考えられます。たとえば、大手音楽レーベルが提供している楽曲の一部は、有料契約を結ぶことで一定条件下での配信が可能になることがあります。
ただし、個人レベルでライセンス契約を結ぶハードルは高く、費用もかかりやすい点がデメリットといえます。また、契約できたとしても楽曲ごとに利用範囲(配信のみ、アーカイブ不可など)が細かく定められていることが多いので、常に契約内容を確認しながら使用する必要があります。
3. マイク入力経由で音を拾わせる(非推奨)
一部のユーザーは、強引にSpotifyやSoundCloudで流れる音をマイクから拾わせることで配信に乗せる手段をとっています。たとえば、スピーカーで大音量を出し、それをマイクが拾うような形です。
しかし、これは音質も悪くなりがちなうえ、著作権問題の根本的な解決になりません。配信プラットフォームがそれを検知すれば同様にミュートやブロックを適用される可能性があり、利用規約的にもグレーまたはアウトとなることが多いです。
Xbox・Discord側の設定を確認しよう
上述した著作権の観点に加えて、単純に設定の問題で音が乗っていないケースもあるため、念のため以下のポイントをチェックしましょう。
Xbox本体のオーディオ出力設定
Xboxの「オーディオと音声出力」設定で、ヘッドセットやスピーカーの出力先が複数ある場合、どちらが配信に乗る音声か確認しておきます。もしSpotifyを再生しているアプリが配信対象と別経路で音を出している場合、配信には乗りません。
また、ボイスチャットや音量バランス、BGMの音量が極端に低く設定されていないか、ストリーマーモードが有効になっていないかなども併せて確認してください。
Discordのストリーマーモード
PCからDiscord配信を行う場合は、Discordの「ストリーマーモード」を有効にすると、通知音や個人情報の保護のためにいくつかの音声がブロックされることがあります。Xboxとの連携機能においても、同様にDiscord側で何らかの保護機能が働き、外部音源が遮断されるケースが考えられます。
配信を行う前に、Discordのユーザー設定→ストリーマーモードをチェックし、不要なミュートが設定されていないか確認するようにしましょう。
トラブルシューティング:音が乗らない時のチェックリスト
ここでは実際に「音楽が乗らない」という状況で確認すべき項目を簡単にまとめてみます。
- Xboxのサウンド設定
- ヘッドセット/スピーカーの出力先
- ゲーム音・チャット音・BGMのバランス
- ストリーマーモードの有無
- Discordのストリーマーモード&音声入力設定
- “ストリーマーモード”が不要に有効になっていないか
- BGM用アプリ(Spotifyなど)の音量やデバイス設定
- 著作権を侵害する可能性のある楽曲ではないか
- ライセンスフリーか
- レーベル契約楽曲か
- プラットフォームの規約違反に抵触していないか
- 配信での楽曲使用を明確に許可しているか
これらを順番に確認していけば、単なる設定ミスなのか、それとも著作権保護によるミュートなのかを切り分けることができます。
具体的な設定例:XboxとDiscordを連携する手順
配信者の中には、Xboxの画面と音声をPCやスマホ経由でDiscordに流している方もいます。ここでは簡単な手順例を紹介します。
- XboxとDiscordを連携
- XboxにDiscordをインストール(またはXboxアプリを通してアカウント連携)
- Discordのボイスチャットに参加する形で、ゲーム音を共有できるよう設定
- ゲーム音が配信に乗るか確認
- 自分の配信チャンネルを別の端末で開き、ゲーム音がしっかり聞こえるかチェック
- SpotifyやSoundCloudをXbox上で再生
- XboxのガイドメニューからSpotifyアプリを起動
- 楽曲を再生し、ゲーム音と一緒に出力されるか確認
- 音声が配信に乗るかテスト
- Discord側のフレンドや別の端末を使い、実際に音が聞こえるか確認
- 問題がある場合
- 上記のチェックリストを元に、デバイス設定やDiscordストリーマーモードをオフにしてみる
- 著作権フリーの曲や効果音で同様のテストを行い、ミュートされるかどうかを確認
PCを介した配信ソフトの活用
PCの配信ソフト(OBS StudioやXSplitなど)を使用すれば、Xboxの映像と音声をキャプチャカード経由で取り込み、OBS上でSpotifyなどの音源をBGMとしてミックスし、最終的にそれをDiscordへ配信する方法があります。
この方法では、すべての音声をOBSで一元管理できるため「ゲーム音声は入るのにBGMだけが無音になる」というトラブルはある程度防げます。ただし、著作権保護された楽曲を使えば結果的にミュートやコンテンツIDによるブロックのリスクが高まる点に変わりはありません。
OBS Studioの簡易的な設定例
# 例: OBS Studioでのシーン構成例(Windows環境前提)
シーン名: Xbox配信シーン
- 映像ソース: キャプチャカード (Xboxからの映像/音声)
- 音声ソース: キャプチャカード経由 (ゲーム音声)
- BGMソース: デスクトップ音声 (SpotifyをPCで再生)
- マイク音声: マイクデバイス (ボイスチャット用)
このように、BGMもデスクトップ音声として扱えば、一応すべての音声を配信に乗せることは可能です。しかし、冒頭で述べたように著作権保護楽曲であればDiscordの仕様や後からの自動検出でミュートされる可能性があります。
まとめ:配信で音楽を流す際の心構え
XboxからDiscordへ配信を行う際、SpotifyやSoundCloudの音楽だけが無音になる原因は、ほとんどの場合が著作権保護やプラットフォームの音声処理機能によるものです。たとえ技術的に音声を乗せることができても、著作権問題は常に付きまといます。
- 著作権フリーまたは配信可の楽曲を選ぶ
- 設定ミスやストリーマーモードを確認する
- PC経由の配信ソフト利用で管理しやすくする
- 根本的に権利侵害を起こさない運用が大前提
もしどうしても人気のある楽曲を流したい場合は、正式なライセンス契約を結ぶか、音源提供を許可しているアーティストやレーベルの楽曲を探しましょう。配信者にとって、音楽を使った演出は大きな魅力のひとつですが、権利を守りながら配信を行うことが結果的に自分自身を守ることにもつながります。ぜひこの記事を参考に、安全で快適な配信ライフを送ってください。
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