Xbox Series Xでリアスピーカーとサブウーファーを鳴らすための徹底ガイド

最近、ゲーム機の高音質サラウンド環境を整えたいという方が増えています。特にXbox Series Xのパワフルな映像体験を存分に楽しむためには、リアスピーカーやサブウーファーを活かした臨場感あふれるサウンドが欲しいところ。ところが、テレビとサウンドバーの間にeARC接続をしていても、リアスピーカーから音が出ない、あるいはサブウーファーが全く動作しない、というトラブルが報告されています。ここでは、そういった悩みを解決するための具体的な方法や注意点を詳しく解説します。

Xbox Series Xのサラウンド設定と基本的なポイント

Xbox Series Xは、内部設定で多様なオーディオ出力フォーマットを選ぶことができる優れたゲーム機です。しかし、接続先のテレビやサウンドバーがそれらに対応していなかったり、設定が正しく行われていなかったりすると、リアスピーカーやサブウーファーに音声がまったく送られない場合があります。まずはXbox本体と周辺機器の設定を見直し、どのような音声出力形式が選ばれているかを確認しましょう。

主なオーディオ出力フォーマットの違い

Xboxで選択可能な主なサラウンドフォーマットとして、「5.1 Uncompressed(リニアPCM)」「7.1 Uncompressed」「Dolby Digital」「DTS」などがあります。簡単に特徴をまとめた表を以下に示します。

フォーマット種類特徴
5.1 UncompressedリニアPCM圧縮なしの高音質だがテレビやAV機器がマルチチャネルPCMに対応していないと2chになる可能性あり
7.1 UncompressedリニアPCM5.1と同様に高音質だが、さらに多くのチャンネルを使用できる
Dolby Digital (Dolby 5.1)圧縮オーディオ多くの機器が対応しているため互換性が高い。ビットレートは圧縮されるがリアチャンネルやサブウーファーが動作しやすい
DTS圧縮オーディオDolby Digitalと同様に普及しており、環境によってはこちらの方が安定する場合もある

テレビやサウンドバーがリニアPCMでのマルチチャネル入力をサポートしていない場合は、「5.1 Uncompressed」を選択しても結局はステレオ(2ch)にダウンミックスされてしまいます。その結果、リアスピーカーには音が送られず、サブウーファーの出番も無くなるというわけです。

テレビのeARC設定とパススルーの確認

テレビがeARC対応であっても、すべての音声フォーマットを無条件にパススルーしてくれるとは限りません。テレビのオーディオ設定メニューには「PCM出力」「自動」「Dolby Digital優先」「ビットストリームパススルー」などのオプションが設けられていることが多いです。

eARCとARCの違いを把握する

  • ARC (Audio Return Channel)
    HDMIケーブル1本でテレビからサウンドバーやAVアンプへ音声を送れる仕組みですが、帯域が限られるため高ビットレートのリニアPCMマルチチャネルには対応しない場合がほとんどです。基本的にはDolby DigitalやDTSの5.1などの圧縮フォーマットは問題なく通ります。
  • eARC (Enhanced Audio Return Channel)
    ARCの拡張規格で、より大容量の音声信号を伝送できます。リニアPCM 5.1chや7.1chも通すことが想定されています。しかし、テレビ側の実装やメニュー設定によっては、完全にパススルーできない例も散見されます。

テレビのオーディオ出力設定を最適化する

  1. テレビの音声出力設定を「ビットストリーム」や「パススルー」にする
    PCM固定になっていると、サウンドバー側へ2chしか渡されないことがあります。Dolby Digital、DTS、あるいはビットストリーム転送を指定するとサウンドバーへ正しいマルチチャネル信号を送れる可能性が高まります。
  2. eARCを有効化
    テレビの設定メニューには「eARCを有効にする」オプションが用意されている場合があります。eARCが無効だと普通のARC扱いになるため、リニアPCM 5.1が送れない可能性があります。
  3. 各種音声プロファイルの互換性
    サウンドバーやテレビがDolby Atmosなどの高度なフォーマットに対応しているときは、そのモードが優先されてしまい、通常の5.1が正しく動作しない場合もあります。不要な場合はいったんAtmosをOFFにして設定を試すのも一つの方法です。

Xboxのオーディオパススルー機能を試す

Xbox Series Xには「Audio Passthrough」という機能があります。これを有効にすると、コンソールがサウンド処理を加えずに圧縮フォーマットをそのままテレビやサウンドバーに渡してくれます。仮にテレビがビットストリームパススルーに対応していれば、リアスピーカーやサブウーファーに正しいサラウンド情報が届きやすくなります。

Audio Passthroughを有効にする手順

  1. Xboxの設定メニューを開く。
  2. 「音声」または「ディスプレイとサウンド」の項目へ移動。
  3. 「音声出力」や「音声オプション」で「Audio Passthrough」を探す。
  4. トグルをオンにするかチェックを入れて有効にする。

これにより、テレビやサウンドバーに渡る音声信号がXbox側でデコードされずに送信されるので、サウンドバーが独自の方法でサラウンドをデコードしてくれることが期待できます。

5.1 Uncompressedが正常に動作しない理由

5.1 Uncompressedは、圧縮による音質劣化がない理想的なマルチチャネル音声のはずですが、以下のような要因で出力がステレオにダウンミックスされてしまうことがあります。

  1. テレビがリニアPCMのパススルーに非対応
    近年のテレビでも、リニアPCMでの5.1パススルーに対応しているモデルは実は多くありません。eARC対応をうたうモデルでも、実際に設定メニューで制限されているケースがあります。
  2. サウンドバーとテレビ間のHDMIハンドシェイク問題
    テレビとサウンドバーがHDMI接続でやり取りする際、EDID (Extended Display Identification Data) というプロファイル情報が伝達されます。これが適切に読み取られないと「実は5.1受け取れない」と判定され、結果的にステレオでしか送信されないことがあります。
  3. 無音チャンネルや特定フォーマット非対応
    稀なケースですが、特定のタイトルやアプリケーションが5.1 Uncompressedに正式対応しておらず、リアチャンネルに信号が含まれないということもあります。まずは複数のゲームや動画アプリを試してみるとよいでしょう。

Dolby DigitalやDTSを使うメリット

現状、多くの環境で無難にリアスピーカーやサブウーファーへ音声を届けたいのであれば、「Dolby Digital」「DTS」のいずれかを選択するのが手っ取り早いです。これらは圧縮フォーマットではありますが、多くのテレビやサウンドバーが標準対応しており、5.1chとして出力される可能性が高いです。

Dolby DigitalとDTSを選ぶときの注意点

  • 音質面で大きな違いがあるわけではないため、どちらか一方のみ対応という機器があるなら、対応している方を選ぶのが無難です。
  • フレームレートやビットレートの差によってごくわずかな音質の差を感じる場合がありますが、ゲーム用途ではほとんど差異が分かりません。
  • システムレベルや特定タイトルの設定でのみDolby DigitalやDTSが使用できることもあるので、各タイトルやアプリを確認してください。

リップシンクずれ(音ずれ)の対処法

サラウンド音声をテレビからサウンドバーへパススルーしている場合、ゲーム映像と音声がわずかにずれる「リップシンク問題」が発生することがあります。とりわけ圧縮音声を使用するとデコードに時間がかかり、タイミングがずれることがあるのです。

リップシンク調整機能を活用する

  • テレビ側の設定
    テレビの「オーディオ遅延補正」や「リップシンク調整」機能を使って音と映像のタイミングを合わせられます。数msから数十ms単位で微調整できることが多いです。
  • サウンドバーの設定
    サウンドバーにリップシンク調整機能があれば、こちらでも音声タイミングをずらすことができます。テレビ側の設定と合わせて最適なポイントを見つけましょう。
  • Xboxの設定
    Xbox本体の設定メニューにも「オーディオまたはHDMI設定」内にリップシンク関連のオプションが用意されている場合があります。テレビやサウンドバーと連携してリップシンクを自動調整してくれる機能があるため、試してみると効果的です。

最終手段:Xboxをサウンドバーに直接つなぐ

eARCやテレビのパススルー設定を何度調整しても思うようにリアスピーカーやサブウーファーから音が出ない場合は、サウンドバーのHDMI入力にXboxを直接接続する方法を試してみましょう。その上で、サウンドバーからテレビへ映像信号をHDMI出力すれば、サウンドバーはXboxからの音声をダイレクトに受け取ることができます。

接続方法のイメージ

Xbox Series X
     ↓ (HDMI)
   [サウンドバー] → (HDMI Out) → テレビ

この構成にすることで、テレビを介さずにサウンドバーがXboxのマルチチャネル音声を直接デコードできます。ただし、サウンドバー自体にHDMI入力が1系統しかなかったり、4K/120Hzなどのハイフレームレート映像をサウンドバーがパススルーできなかったりする可能性もあります。そうした点は購入前・接続前に仕様をよく確認しましょう。

サウンドバーの取扱説明書を要チェック

サウンドバーによっては、パススルーできる映像信号の解像度や最大リフレッシュレートが制限されている場合があります。Xboxで4K@120HzやVRR(可変リフレッシュレート)を利用したい人は、サウンドバー経由の接続だと機能しないことがあるのです。ゲームプレイの快適さとサラウンド音質、どちらを優先するかで接続方法を検討する必要があります。

Vizio 5.1サウンドバーならではの注意点

Vizioのサウンドバーは、比較的コストパフォーマンスに優れ、5.1構成でもしっかりとサラウンド感を出せるため人気があります。しかし、海外製品ゆえに以下のような独自の特性があるかもしれません。

  1. ファームウェアのアップデート
    新しいファームウェアによって音声フォーマットの互換性やリップシンク問題が改善されることがあります。Vizioの公式サイトやアプリを確認し、ファームウェアを最新版にアップデートしましょう。
  2. ワイヤレスリアスピーカーとサブウーファーの接続状況
    多くのVizioサウンドバーはサブウーファーをワイヤレス接続し、そのサブウーファーにリアスピーカーが有線で接続される方式を採用しています。サブウーファーとサウンドバー間のワイヤレス接続が不安定だとリアスピーカーの音が途切れたり、音がまったく出なかったりすることがあります。
  3. サウンドモードの切り替え
    映画モードやゲームモードなど、サウンドモードによってリアスピーカーへのミックスが変化する場合もあります。ゲーム専用モードがある場合はオンにしてみると効果が出るかもしれません。

設定変更のステップバイステップまとめ

ここまでの内容を踏まえ、Xbox Series Xでリアスピーカーやサブウーファーが動作しないときに取るべきステップを順序立ててまとめます。

ステップ1:テレビとサウンドバーの接続確認

  1. テレビとサウンドバーがeARC対応なら、テレビ側のHDMI eARCポートとサウンドバーのeARCポートを正しく接続する。
  2. どちらかがARCしか対応していない場合は、ARCポート同士を接続するが、リニアPCMマルチチャネルは通らないことを理解しておく。

ステップ2:テレビのオーディオ設定を最適化

  1. テレビの音声出力を「ビットストリーム」または「自動」「パススルー」に設定する。
  2. サウンドバー側の設定も確認し、受け取る音声信号のフォーマットを自動認識するようにする。

ステップ3:Xboxのオーディオ設定を調整

  1. 「設定 > ディスプレイとサウンド > 音声出力」で「Dolby Digital」または「DTS」を試す。
  2. それでもダメなら「Audio Passthrough」を有効にしてみる。
  3. 5.1 Uncompressedを使いたい場合はテレビ・サウンドバー双方がマルチチャネルPCMに対応しているか念入りに確認する。

ステップ4:複数のゲームや動画アプリでテスト

  1. Xbox専用のサラウンド対応タイトルや、映画アプリ(Netflix、Amazon Prime Videoなど)でもリアスピーカーが鳴るか試す。
  2. 特定のアプリやタイトルだけで発生する場合は、そのアプリやタイトルに原因がある可能性が高い。

ステップ5:サウンドバーへの直接接続を検討

  1. すべての手順を踏んでもリアスピーカーやサブウーファーが動作しないときは、XboxをサウンドバーのHDMI入力へ直結し、サウンドバーからテレビへHDMI出力する。
  2. ゲーム機の高リフレッシュレートや低遅延機能が犠牲になる可能性があるので、優先度を見極める。

リアスピーカーを活用するうえでのワンポイントアドバイス

リアスピーカーの効果は、ゲームの種類やコンテンツによって大きく差が出ます。FPSやTPSのようにサラウンド音声が豊富に使われるゲームでは、後ろからの足音や銃声などの臨場感が大きく向上します。一方、ストーリー重視のアドベンチャー系タイトルではリアスピーカーの使われ方が控えめなことも多く、「リアから音が出ているのか分かりにくい…」となる可能性もあります。

また、リアスピーカーの角度や設置場所も大切です。左右の後方に適度な角度で配置し、できれば耳の高さに近い位置に設置するとサラウンド感が向上します。床に直置きしたり、家具の陰になる場所に置いたりすると音がこもりやすくなるので注意しましょう。

サブウーファーが動かないときのチェックポイント

リアスピーカーと同様、サブウーファーから低音が出ていない場合の原因には以下のようなものが考えられます。

  • LFEチャンネル(0.1ch)が無音になっているコンテンツ
    一部のゲームや動画はLFEチャンネルをほとんど使わないことがあります。テスト用に爆発音や低音の多いアクション映画などを再生して確認するとよいでしょう。
  • サブウーファーの音量設定
    サウンドバー側にサブウーファーの音量レベルを調整できるメニューがある場合、初期値が非常に低くなっているかもしれません。
  • 配置場所
    低音は空間の影響を受けやすく、壁際や部屋の角に近い場所にサブウーファーを置くと音が増幅されることがあります。逆に部屋の中央にポツンと置くと低音が抜けてしまう場合もあります。

まとめ:サラウンドを諦める前に試したいこと

Xbox Series Xでリアスピーカーやサブウーファーが動作しない場合でも、接続や設定を丹念にチェックすれば解決できる可能性は十分あります。特に以下の点を重点的に見直しましょう。

  1. テレビの音声出力設定が正しくパススルーできるかどうか
  2. Xboxのオーディオ設定を「Dolby Digital」や「DTS」にしてみる
  3. どうしても5.1 Uncompressedが使えないなら、圧縮形式に切り替える
  4. サウンドバーのHDMI入力へ直接Xboxを接続するという回避策も検討
  5. サウンドバーやテレビのファームウェアを更新して最新状態に保つ

正しく設定されていれば、後方からの足音や敵の位置を察知したり、重厚な低音が響く演出を存分に楽しめるはずです。ゲームや映画など、コンテンツによって迫力のあるサラウンドを余すところなく体感するためにも、まずは今の配線や設定をじっくり見直してみてください。

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