Go言語でtesting.Mを活用したセットアップとクリーンアップの方法を徹底解説

Go言語では、テストの前後に行う処理を効率的に管理するためにtesting.Mを使用できます。これは、テスト全体のセットアップとクリーンアップを一元管理する仕組みを提供します。TestMainという特別な関数を定義することで、テストの実行前に必要な初期化処理を行い、テストがすべて完了した後にリソースの解放や後片付けを自動化できます。本記事では、testing.Mを利用してこれらのプロセスをどのように実現できるのかを、具体的なコード例やベストプラクティスを交えて解説します。

目次

`testing.M`の概要と用途


testing.Mは、Go言語の標準testingパッケージで提供されるテストフレームワークの一部で、テスト全体のライフサイクルを管理する役割を持ちます。具体的には、テスト実行の開始から終了までを包括的にコントロールできる仕組みを提供します。

セットアップとクリーンアップの管理


testing.Mを使用することで、以下の処理を効率的に管理できます:

  • セットアップ:テスト全体で共有するリソースの初期化(例:データベース接続や環境変数の設定)。
  • クリーンアップ:テスト終了後に必要なリソース解放(例:ファイルの削除やメモリの解放)。

`TestMain`関数との連携


testing.MTestMainという特別な関数内で使用されます。TestMainを実装すると、main関数のように振る舞い、以下のフローを制御します:

  1. セットアップ処理の実行
  2. 個別テストの実行
  3. クリーンアップ処理の実行

この機能により、複雑なテスト環境の管理が容易になります。

ユースケース

  • 統合テストやエンドツーエンドテストで必要なリソースを準備する場合。
  • 複数のテストケースで共通する初期化処理がある場合。
  • テスト終了後に環境のクリーンアップが求められる場合。

このような場面でtesting.Mを活用することで、テストコードを簡潔かつ再利用可能に保つことができます。

`testing.M`を使うべきケースとは

効率的なセットアップとクリーンアップが必要な場合


testing.Mは、テスト全体を通じてリソースを初期化し、使用後に解放する必要がある状況で特に有用です。以下のようなケースでの活用が推奨されます:

  • データベースや外部サービスのセットアップ:テスト前にデータベースを準備し、テスト後にリセットする場合。
  • 一時ファイルや環境設定の管理:テスト中に一時ファイルを使用し、後片付けをする必要がある場合。

複数テスト間のリソース共有


個々のテストが共通のリソースを使用する場合、testing.Mでリソースの初期化を一度だけ行うことで、処理を効率化できます。たとえば、次のようなシナリオが考えられます:

  • Webサーバーやモックサーバーの起動:複数のテストで同じサーバーを使用する場合。
  • グローバルな設定やキャッシュのロード:テスト全体で利用する設定を一度だけ読み込む場合。

標準テストフレームワークの機能では不十分な場合


通常のtesting.Tやサブテストでカバーできない、テスト全体にまたがるライフサイクル管理が必要な場合に、testing.Mは有効な解決策となります。具体的には:

  • 環境変数の動的変更:テスト前後で環境を切り替える場合。
  • 複数のテスト間でリソースの競合を避けたい場合:共通リソースを安全に管理するための仕組みを提供します。

使わない方がよいケース

  • テストが単一の簡単なケースで完結する場合。
  • 各テストケースが独立しており、セットアップやクリーンアップが不要な場合。

これらの点を踏まえ、testing.Mを活用するかどうかを判断することで、効率的かつメンテナブルなテストコードを構築できます。

`TestMain`関数の基本構造

`TestMain`の役割


TestMainは、Goのtestingパッケージで提供される特別な関数で、テスト全体のエントリーポイントとして機能します。通常のmain関数と同様に動作し、テストの実行前後に任意の処理を挿入できます。これにより、以下のプロセスを制御できます:

  1. テスト全体のセットアップ処理。
  2. 個別テストケースの実行。
  3. テスト終了後のクリーンアップ処理。

基本的な構造


TestMain関数は、次のような形式で実装します:

package main

import (
    "os"
    "testing"
)

func TestMain(m *testing.M) {
    // セットアップ処理
    setup()

    // テストの実行
    code := m.Run()

    // クリーンアップ処理
    cleanup()

    // テストの終了コードを返す
    os.Exit(code)
}

func setup() {
    // 初期化処理を記述
}

func cleanup() {
    // 後片付け処理を記述
}

各部分の詳細

  1. セットアップ処理 (setup)
    テスト開始前に一度だけ実行される処理を記述します。例として、データベース接続の初期化やモックサーバーの起動が挙げられます。
  2. テスト実行 (m.Run)
    全テストケースを実行します。この関数は、テストの実行結果に応じて終了コードを返します。
  3. クリーンアップ処理 (cleanup)
    テスト終了後に一度だけ実行される処理を記述します。リソースの解放や一時ファイルの削除などを行います。
  4. 終了コードの返却 (os.Exit)
    テストの成否に応じた終了コードを返し、適切な終了ステータスを示します。

注意点

  • 並行性への対応setupcleanupで共有リソースを扱う場合、ゴルーチンやロックを利用して競合を防ぎます。
  • エラー処理:セットアップやクリーンアップ中にエラーが発生した場合は、適切にログを出力し、テストの終了コードに反映させます。

このようにTestMain関数を活用することで、テスト全体の管理を効率化し、コードの保守性を向上させることが可能です。

実際のコード例で学ぶ`TestMain`

基本的なコード例


以下に、TestMainを活用した簡単なテストコードの例を示します。この例では、セットアップ処理で環境変数を設定し、クリーンアップ処理でログファイルを削除します。

package main

import (
    "fmt"
    "os"
    "testing"
)

var testLogFile *os.File

func TestMain(m *testing.M) {
    // セットアップ処理
    if err := setup(); err != nil {
        fmt.Printf("Setup failed: %v\n", err)
        os.Exit(1)
    }

    // テストの実行
    code := m.Run()

    // クリーンアップ処理
    if err := cleanup(); err != nil {
        fmt.Printf("Cleanup failed: %v\n", err)
        os.Exit(1)
    }

    // 終了コードを返す
    os.Exit(code)
}

func setup() error {
    // 環境変数の設定
    os.Setenv("TEST_ENV", "testing")
    fmt.Println("Environment variable set")

    // ログファイルの作成
    var err error
    testLogFile, err = os.Create("test.log")
    if err != nil {
        return fmt.Errorf("failed to create log file: %w", err)
    }
    fmt.Println("Log file created")
    return nil
}

func cleanup() error {
    // ログファイルの削除
    if err := testLogFile.Close(); err != nil {
        return fmt.Errorf("failed to close log file: %w", err)
    }
    if err := os.Remove("test.log"); err != nil {
        return fmt.Errorf("failed to remove log file: %w", err)
    }
    fmt.Println("Log file removed")
    return nil
}

func TestExample(t *testing.T) {
    // サンプルテスト
    if os.Getenv("TEST_ENV") != "testing" {
        t.Errorf("Expected TEST_ENV to be 'testing', got '%s'", os.Getenv("TEST_ENV"))
    }
}

コードの説明

  1. セットアップ処理 (setup)
  • 環境変数TEST_ENVtestingに設定します。
  • テスト用のログファイルtest.logを作成します。
  1. テストケース (TestExample)
  • 環境変数TEST_ENVの値が正しく設定されていることを確認します。
  1. クリーンアップ処理 (cleanup)
  • 作成したログファイルを閉じて削除します。

実行結果の例


このコードをgo testで実行すると、以下のような出力が得られます:

Environment variable set  
Log file created  
PASS  
Log file removed  
ok      command-line-arguments  0.005s  

応用例

  • データベースの初期化とクリーンアップ:データベース接続をセットアップし、テスト終了後にトランザクションをロールバックする。
  • モックサーバーの起動と停止:APIテスト用のモックサーバーをテスト前に起動し、テスト後に停止する。

このように具体的なコード例を基にTestMainの活用法を学ぶことで、実用的なテストコードの作成が可能になります。

セットアップ処理の設計

セットアップ処理の役割


セットアップ処理は、テストを実行するために必要なリソースや環境を準備する工程です。これにより、各テストが独立して動作し、信頼性が確保されます。セットアップが正しく行われない場合、テスト全体が失敗する可能性があるため、慎重な設計が必要です。

典型的なセットアップ処理

1. 環境変数の設定


テストに必要な設定を環境変数として準備します。

os.Setenv("DATABASE_URL", "localhost:5432/testdb")
fmt.Println("Environment variable DATABASE_URL set")

2. 一時ファイルやディレクトリの作成


テスト中に必要な一時ファイルやディレクトリを作成します。

tmpDir, err := os.MkdirTemp("", "testdir")
if err != nil {
    log.Fatalf("Failed to create temp directory: %v", err)
}
fmt.Printf("Temporary directory created: %s\n", tmpDir)

3. 外部リソースの初期化


データベースやモックサーバーなどの外部リソースを初期化します。

func setupDatabase() (*sql.DB, error) {
    db, err := sql.Open("postgres", "host=localhost port=5432 user=test dbname=testdb sslmode=disable")
    if err != nil {
        return nil, fmt.Errorf("failed to connect to database: %w", err)
    }
    fmt.Println("Database connection established")
    return db, nil
}

4. グローバル変数の初期化


テスト全体で使用する共有リソースをグローバル変数として初期化します。

var sharedResource *Resource

func setupSharedResource() {
    sharedResource = NewResource()
    fmt.Println("Shared resource initialized")
}

セットアップ処理のベストプラクティス

1. テストに必要なものだけを初期化する


すべてのテストに共通して必要なリソースのみをセットアップに含め、個別テスト専用の初期化はそれぞれのテスト内で行います。

2. エラー処理を徹底する


セットアップ中のエラーは、即座にテストの中断や適切なログ出力を行い、原因を明確にします。

if err := setup(); err != nil {
    fmt.Printf("Setup failed: %v\n", err)
    os.Exit(1)
}

3. セットアップを疎結合に保つ


セットアップコードを関数化して再利用可能にし、他の部分と過剰に依存しない設計を心がけます。

まとめ


セットアップ処理を適切に設計することで、テストの信頼性と再現性が大幅に向上します。環境の準備やエラーハンドリングを徹底することで、効率的で保守性の高いテストコードを構築できます。

クリーンアップ処理の設計

クリーンアップ処理の役割


クリーンアップ処理は、テストが終了した後に実行する処理で、テストで使用したリソースや環境を適切に解放するために重要です。これにより、次のテスト実行時に予期しない影響を与えないようにすることができます。クリーンアップを適切に実行しないと、テスト環境が汚染され、後続のテストが失敗する原因となることがあります。

典型的なクリーンアップ処理

1. 一時ファイルやディレクトリの削除


テストで使用した一時的なファイルやディレクトリは、必ずクリーンアップで削除します。

if err := os.RemoveAll(tmpDir); err != nil {
    log.Printf("Failed to remove temp directory: %v", err)
}
fmt.Println("Temporary directory removed")

2. 外部リソースの解放


データベース接続やネットワークソケットなど、外部リソースを使用した場合は、テスト後に確実に解放する必要があります。

if err := db.Close(); err != nil {
    log.Printf("Failed to close database connection: %v", err)
}
fmt.Println("Database connection closed")

3. グローバルリソースの解放


テストで使用したグローバル変数や共有リソースをクリーンアップします。

sharedResource.Close()
fmt.Println("Shared resource cleaned up")

4. 環境変数のリセット


テスト中に変更した環境変数は、クリーンアップで元に戻します。

os.Unsetenv("DATABASE_URL")
fmt.Println("Environment variable DATABASE_URL unset")

クリーンアップ処理のベストプラクティス

1. クリーンアップを確実に実行する


テストが失敗した場合でも、クリーンアップ処理は必ず実行されるようにします。deferを使って遅延処理を登録する方法が効果的です。

defer cleanup()

2. エラーをログに残す


クリーンアップ処理中にエラーが発生した場合は、必ずエラーログを残し、何が問題だったのかを明示的に示します。

if err := cleanup(); err != nil {
    fmt.Printf("Cleanup failed: %v\n", err)
    os.Exit(1)
}

3. リソースの二重解放を避ける


同じリソースを複数回解放しないように、リソースが解放されているかを追跡します。適切な状態管理が重要です。

クリーンアップのタイミングと順序

1. 依存関係のあるリソースの順序


複数のリソースをクリーンアップする際は、依存関係を考慮して順序を決める必要があります。例えば、データベース接続を閉じる前に、関連するトランザクションを適切にロールバックしておくべきです。

2. テスト失敗時のクリーンアップ


テストが途中で失敗しても、リソースを解放するためにクリーンアップ処理は必ず実行するようにします。deferos.Exitを活用し、テスト結果に関わらず処理が漏れないようにします。

クリーンアップに関する注意点

1. 後片付けを複雑にしない


クリーンアップ処理はシンプルであるべきです。もしクリーンアップが複雑になりすぎると、管理が難しくなり、失敗するリスクが高まります。必要最小限の操作にとどめることが理想です。

2. 早期にクリーンアップを始める


できるだけ早い段階でリソースのクリーンアップを開始することで、他のテストに影響を与えるリスクを減らします。特に大きなリソース(例えば大規模なデータベース接続やファイルシステム)を使用している場合は、早期にリリースすることが推奨されます。

まとめ


クリーンアップ処理は、テストの健全性を保つために不可欠です。リソース解放や環境のリセットを徹底し、テスト終了後の環境汚染を防ぎます。適切なクリーンアップ処理を設計することで、次回以降のテストがよりスムーズに実行でき、テスト環境が安定します。

テストの並行性と`TestMain`の併用

テストの並行性の重要性


テストの並行性を活用することで、テストの実行速度を大幅に向上させることができます。特に、大規模なコードベースやリソースが重いテストケースでは、並行テストを有効に活用することで、全体のテスト実行時間を短縮できます。しかし、並行してテストを実行する場合、リソースの競合やデータの整合性の問題に注意する必要があります。

`TestMain`と並行テストの組み合わせ


TestMainを使用することで、セットアップとクリーンアップ処理をテスト全体で一元管理することができます。しかし、並行テストを実行する場合には、テストのスコープ内でのリソースの競合を避けるためにいくつかの工夫が必要です。

1. 並行テストの基本設定


Goでは、t.Parallel()を使用することで、テストを並行して実行することができます。これにより、テストケースごとに並行処理が可能になります。

func TestExample1(t *testing.T) {
    t.Parallel()  // 並行実行を許可
    // テストコード
}

func TestExample2(t *testing.T) {
    t.Parallel()  // 並行実行を許可
    // テストコード
}

2. 共有リソースの管理


並行して実行するテストケースが共通のリソースにアクセスする場合、リソース競合を避けるために、以下の方法で管理します:

  • Mutex(ミューテックス): 共有リソースへのアクセスを同期させるために、sync.Mutexを使用して排他制御を行います。
  var mu sync.Mutex

  func TestSharedResource(t *testing.T) {
      mu.Lock()
      // 共有リソースにアクセス
      mu.Unlock()
  }
  • テストデータの分離: 各テストケースで独立したデータを使用するようにします。例えば、テストケースごとに異なるデータベースやファイルを使用することで、リソースの競合を防ぎます。

3. テストの整合性と状態管理


並行テストを行う場合、テストが依存する外部リソースや環境の状態を管理することが重要です。例えば、共有状態を変更するテストがある場合、並行実行を避けるか、リソースをロックする必要があります。可能であれば、テストを完全に独立した状態で実行し、テストが終了するたびにその状態をリセットすることが理想です。

並行テストのエラーハンドリング


並行テストでは、複数のテストが並行して実行されるため、エラーの発生タイミングが不確定になります。エラーが発生した場合、そのエラーが他のテストに影響を与えないように、適切にログを記録し、テスト全体の結果に反映させる必要があります。

func TestParallelExample(t *testing.T) {
    t.Parallel() // 並行実行を許可

    // ここでエラーが発生した場合、t.Errorf()を使用して記録
    if err := someFunction(); err != nil {
        t.Errorf("Expected no error, got: %v", err)
    }
}

`TestMain`で並行テストを安全に使うための注意点

1. 並行性を考慮したセットアップ


TestMainでのセットアップ処理は、並行テストを実行するために安全である必要があります。特に、セットアップ時にグローバル変数や共有リソースを操作する場合、それらが並行実行に影響を与えないようにする必要があります。例えば、セットアップの中でミューテックスを使って排他制御を行うなどの対策が考えられます。

var mu sync.Mutex

func setup() error {
    mu.Lock()
    // 共有リソースのセットアップ
    mu.Unlock()
    return nil
}

2. 並行テスト中の状態管理


並行テストを行う際は、各テストケースが他のテストケースの状態に依存しないようにすることが重要です。外部リソースやグローバル変数を使う場合は、その状態をテストごとにリセットすることを心掛けましょう。

3. テストの順序に依存しない設計


テストが並行して実行される場合、テストの順序に依存しない設計を心がけるべきです。テストの順序に依存すると、並行実行時に問題が発生する可能性があります。各テストは独立して実行できるように設計し、状態を共有しないようにします。

まとめ


TestMainを活用しつつ、並行テストを取り入れることで、テストの効率を高めることができます。しかし、並行テストにはリソースの競合や状態管理に関する注意が必要です。適切な同期機構や独立したテスト設計を心がけることで、並行テストのメリットを最大限に活用することができます。

テスト結果の収集とレポート出力

テスト結果の収集


テスト結果を収集することは、テストの進行状況や品質を監視するために重要です。testing.Mを使用すると、テストを実行した後に結果を収集し、必要に応じてレポートとして出力することができます。Goのテストフレームワークでは、標準出力やエラーログを利用してテスト結果を収集しますが、テストの規模が大きくなると、外部ツールやカスタムレポートを活用した結果の可視化が有効になります。

標準的なテスト結果の取得


Goの標準テストツール(go test)は、テスト結果を標準出力に出力します。成功したテストと失敗したテストの情報は、コンソールで簡単に確認できます。また、testing.Mを使用して、テスト前後にカスタム処理を追加することで、より詳細な情報を収集できます。

go test -v  // 詳細なテスト結果を表示

1. 詳細なテスト結果


-vオプションを指定することで、各テストの成功・失敗の結果を詳細に確認できます。これは、テストがどの段階で失敗したのかを把握するために非常に有用です。

go test -v

出力例:

=== RUN   TestExample
--- PASS: TestExample (0.00s)
=== RUN   TestAnotherExample
--- FAIL: TestAnotherExample (0.01s)
    main_test.go:15: Expected no error, got: some error
FAIL
exit status 1

2. テスト結果のレポート化


Goの標準テストフレームワークには、XML形式やJSON形式でのレポート出力をサポートするオプションがあります。例えば、外部のツールと連携してCI/CDパイプラインでテスト結果を可視化するために、XMLやJSONフォーマットでレポートを出力することが可能です。

go test -v -json > test_result.json

カスタムテストレポートの生成


testing.Mを使って、テストを実行した後にカスタムレポートを生成することができます。レポートの生成には、テスト結果を格納するデータ構造を作成し、テストの進行中にこれを更新する方法があります。

1. レポートデータ構造の定義


まず、テストの結果を格納するためのデータ構造を定義します。これにより、個別のテスト結果やメタデータ(開始時間、終了時間、エラーメッセージなど)を追跡できます。

type TestResult struct {
    Name    string
    Success bool
    Message string
}

2. テスト結果の収集


testing.M内で、各テストの成功・失敗を追跡し、結果を格納する方法を説明します。

var testResults []TestResult

func TestMain(m *testing.M) {
    // テスト実行前のセットアップ
    setup()

    // テスト実行
    result := m.Run()

    // テスト結果を収集
    for _, test := range m.Tests() {
        testResults = append(testResults, TestResult{
            Name:    test.Name(),
            Success: test.Failed() == nil,
            Message: test.Err(),
        })
    }

    // レポートをJSON形式で出力
    report, _ := json.MarshalIndent(testResults, "", "  ")
    fmt.Println(string(report))

    // 結果に基づいて終了コードを設定
    os.Exit(result)
}

3. レポートの出力


結果をJSONまたはXML形式でレポートとして出力することで、外部ツールやCIツールで活用できる形になります。

go test -v > result_report.json

これにより、テスト結果をJSONファイルに保存し、後から解析や可視化が可能になります。

外部ツールとの連携


Goのテスト結果は、CI/CDツールや監視ツールと連携することで、テスト結果の可視化やモニタリングが可能になります。例えば、JenkinsやGitLab CIでテスト結果を可視化する場合、XMLレポートをJenkinsで解析できるようにすることが一般的です。

go test -v -xml > test_report.xml

1. Jenkinsとの統合


Jenkinsでは、XML形式でテスト結果を出力し、ビルドパイプライン内でテスト結果を視覚的に確認することができます。JUnit形式で出力したテスト結果をJenkinsに読み込ませ、ダッシュボードで結果を可視化できます。

go test -v -xml > result.xml

2. GitLab CIでの利用


GitLab CIでは、テスト結果をCIパイプライン内で収集し、結果を自動的にレポートとして生成します。これにより、プルリクエストの際にテスト結果をすぐに確認でき、CIパイプラインを通じてフィードバックを得ることが可能です。

まとめ


テスト結果を収集してレポートを出力することは、テストの透明性を高め、品質管理を強化するために不可欠です。Goでは、標準ツールで簡単にテスト結果を収集し、さまざまなフォーマット(JSONやXML)でレポートを生成できます。これを活用することで、CI/CDパイプラインや外部ツールと連携し、テスト結果を効率的に管理・可視化することが可能です。

まとめ

本記事では、Goのtesting.Mを使用して、セットアップとテスト後のクリーンアップ処理を効率的に管理する方法について解説しました。TestMainを利用することで、テストの前後に共通の処理を挿入し、テスト環境を整えることができます。また、並行テストを取り入れる際の注意点や、共有リソースの管理方法、エラーハンドリングについても触れました。

さらに、テスト結果の収集とレポート出力の方法を学び、標準出力や外部ツール(JSON、XMLなど)を用いた結果の可視化方法を紹介しました。これにより、テストの進行状況を簡単に把握でき、CI/CDパイプラインとの統合も容易に行えます。

Goでのテスト管理を効率化し、より堅牢で高速なテスト環境を構築するための基礎知識を身につけることができました。

次のステップ:実践的なテストケースの作成

テストの設計と実装


ここまでで学んだtesting.Mを活用したセットアップとクリーンアップ処理を実践に活かすためには、まずは具体的なテストケースを設計することが重要です。例えば、外部APIの呼び出し、データベース操作、ファイルシステムのアクセスなど、実際のコードをテストする際にTestMainを使った環境整備をどのように行うかを計画します。

1. APIテストの例


外部APIとのインタラクションをテストする際には、TestMainを使って事前にAPIのモックサーバーを立ち上げ、テスト後にそのサーバーをクリーンアップすることが考えられます。これにより、実際のAPIに依存せず、安定したテスト環境を提供できます。

func TestMain(m *testing.M) {
    // モックAPIサーバーのセットアップ
    server := startMockServer()
    defer server.Close()  // テスト終了後にサーバーをシャットダウン

    // 必要な環境設定やグローバル変数の初期化

    // テスト実行
    code := m.Run()

    // クリーンアップ処理
    cleanup()

    // 結果を返す
    os.Exit(code)
}

func TestAPI(t *testing.T) {
    resp, err := http.Get("http://localhost:8080/api/data")
    if err != nil {
        t.Fatalf("Error while fetching data: %v", err)
    }
    if resp.StatusCode != 200 {
        t.Errorf("Expected status 200, got %d", resp.StatusCode)
    }
}

2. データベースのテスト例


データベースを利用するテストの場合、TestMain内でテスト用のデータベースをセットアップし、テスト終了後にデータベースをクリーンアップすることが有効です。これにより、テスト環境が毎回初期状態にリセットされ、結果が一貫します。

func TestMain(m *testing.M) {
    // データベースのセットアップ
    db := setupDatabase()
    defer db.Close()  // テスト後にデータベースを閉じる

    // 必要な環境設定やグローバル変数の初期化

    // テスト実行
    code := m.Run()

    // クリーンアップ処理
    cleanupDatabase()

    // 結果を返す
    os.Exit(code)
}

func TestDatabase(t *testing.T) {
    // データベースにアクセスしてテスト
    result := db.Query("SELECT * FROM users WHERE id = 1")
    if result == nil {
        t.Errorf("Expected result, got nil")
    }
}

テストの自動化とCI/CDの統合


テストを効率化するためには、CI/CDツールを活用して自動化することが重要です。Goで書いたテストを、GitHub ActionsやGitLab CI、Jenkinsなどで自動的に実行し、プルリクエストやコミット時に自動でテストを走らせることができます。

1. GitHub Actionsでのテスト自動化


GitHub Actionsを使うことで、コードがリモートリポジトリにプッシュされるたびにテストを自動で実行することができます。これにより、開発者は常にテスト結果を確認でき、バグを早期に発見することができます。

name: Go Test

on:
  push:
    branches:
      - main
  pull_request:
    branches:
      - main

jobs:
  test:
    runs-on: ubuntu-latest

    steps:
      - name: Checkout code
        uses: actions/checkout@v2

      - name: Set up Go
        uses: actions/setup-go@v2
        with:
          go-version: '1.18'

      - name: Run tests
        run: go test -v

2. Jenkinsでのテスト自動化


Jenkinsを使用してCI/CDパイプラインを構築し、Goのテストを自動的に実行することができます。Jenkinsでは、ビルドステップとしてGoのテストを追加し、結果を解析することで、コードの品質を保つことができます。

pipeline {
    agent any

    stages {
        stage('Checkout') {
            steps {
                checkout scm
            }
        }
        stage('Go Test') {
            steps {
                script {
                    sh 'go test -v'
                }
            }
        }
    }
}

まとめ


実践的なテストケースを作成することにより、testing.Mを使ったテストのセットアップやクリーンアップ処理がどのように活用されるかを理解することができます。さらに、テストの自動化とCI/CDツールとの統合を通じて、テストの効率性と精度を向上させ、品質管理を強化することができます。

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