デュアルモニターでフルスクリーン動画がフリーズする原因と対処法

日々の作業効率を高めるために、デュアルモニターを導入している方は多いですよね。ところが、片方で動画をフルスクリーン再生すると、もう一方も同時にフルスクリーン再生した途端にフリーズするような症状に悩まされるケースがあります。実は私も同じような状況に陥ってしまい、原因究明にかなり苦労した経験があります。そこで今回は、デュアルモニター環境で動画再生が固まってしまう理由と、その解決策について詳しく解説していきます。

デュアルモニターでのフリーズ症状とは

デュアルモニター環境では、左右もしくは上下に2枚のディスプレイを接続し、それぞれで別々の作業や映像を表示できるため非常に便利です。ところが、ある特定の条件下で、動画をフルスクリーン表示にした瞬間、映像が固まってしまい、再生が止まるだけでなくPC全体が重くなってしまうことがあります。

典型的な症状

突然画面が静止してしまい、カーソルは動かせるものの動画は完全に停止。しばらくすると「読み込み中」のようなぐるぐるした待機アイコンが表示されるため、再生されるのを待ってみても全く改善しないケースがあります。タスクマネージャーを開いてもCPUやメモリの使用率が著しく上がっているわけではないのに、なぜかブラウザや再生ソフト自体が応答しないのです。私もこの現象に最初は困惑しました。

発生しやすい環境

– 高解像度のモニターを2枚以上接続している
– 片方が144Hzなどの高リフレッシュレート、もう一方が60Hzのように異なるリフレッシュレートである
– AMD RadeonやNVIDIAなどのGPUを使い、ドライバを最新にしても改善しない
– ブラウザの種類(ChromeやEdge、Firefoxなど)を変えても症状が続く

こうした条件が揃っていると、同時に動画を全画面表示した瞬間に映像処理が追いつかずにフリーズを起こす場合があります。

私が利用している環境はRyzen 7のCPUとRadeon RX 6800の組み合わせで、まさに高リフレッシュレートの144Hzモニターと60Hzモニターを併用しています。スペック的には問題ないはずなのに、なぜか動画再生が固まってしまい苦労しました。

フリーズの原因を探る

フリーズの原因は単純にスペック不足というより、ドライバやソフトウェア、さらにはモニターの解像度やリフレッシュレートの相違などが複雑に絡み合っている可能性があります。ここでは主な原因を掘り下げてみましょう。

GPUの映像処理負荷

フルスクリーン再生を行うと、GPUはできるだけ高品質な映像処理を優先します。特に2つのモニターで同時にフルスクリーン再生を行うとなると、GPUは両モニター向けに映像処理を走らせるため負荷が増大します。ただ、ハイエンドGPUを搭載している場合でも、この負荷が原因で即フリーズが起きることは少ないようです。そのため、単なるGPU性能不足ではなく、ドライバや他の設定要因が絡んでいると考えられます。

リフレッシュレートの食い違い

144Hzと60Hzなど、リフレッシュレートに大きな差があるモニターを同時に使う場合、GPUは異なるタイミングで描画を更新する必要があります。1秒間に144回書き換えるディスプレイと、60回書き換えるディスプレイとを同時に制御するのは簡単ではなく、特に動画再生ソフトウェアやブラウザのハードウェアアクセラレーション機能が動作する過程で映像処理が上手く噛み合わないことがあるようです。

実際のリフレッシュレート混在による影響

60Hzのディスプレイは1秒間に60フレームを映すので、映像再生時に60FPSをベースに処理しやすい傾向があります。一方、144Hzのモニターはゲームや動画を滑らかに映し出せる利点がありますが、FPS制限が60FPS前後の動画と合わせる際に不整合が生じやすく、同期のズレがフリーズや一時停止を誘発する場合があります。

試してみたい対処方法

フリーズを解消するために多くの方が試している対処法をまとめてみました。私自身も様々な方法を検証した結果、ブラウザ設定の変更が有効でしたが、まずは広く知られている方法を以下の通り挙げていきます。

1. ケーブルやハブの確認

モニターケーブルが不良品だったり、挿し込みが甘かったりすると映像が途切れることがあります。また、USBハブなどを通してディスプレイを接続している場合も信号の不安定要因になることがあるので、PCとモニターを直接接続して確認してみることが大切です。もし問題が解決しない場合は、ケーブルを別のものに変えて再度試すと良いでしょう。

2. モニターの解像度やリフレッシュレートの変更

1440pを2枚、または4KとフルHDを混在させているなど、解像度に差がある環境では、いったん解像度を揃えてみるのも一つの方法です。ただし解像度を下げると見た目や作業効率が低下するため、できればリフレッシュレートを合わせるほうが自然かもしれません。144Hzのモニターをわざわざ60Hzにするのはもったいないと感じる方もいるでしょうが、フリーズの原因特定のためのテストとして試してみる価値はあります。

設定で変える場所

– Windowsの「ディスプレイ設定」から解像度を変更
– コントロールパネルやGPUの設定ソフト(Radeon SoftwareやNVIDIA Control Panelなど)でリフレッシュレートを変更

私の場合、144Hzのモニターを使うときの快適さを手放すのは惜しくて、結局解像度やリフレッシュレートの統一は避けたいと思いました。同じ思いの方も多いかもしれませんが、原因切り分けには非常に有効なので、一度は試して損はありませんでした。

3. ブラウザを変えて再生テスト

Chrome、Edge、Firefoxなどブラウザによって動画再生エンジンやハードウェアアクセラレーション機能の有無、実装方法が異なります。普段Chromeでフリーズする場合、EdgeやFirefoxなら問題なく再生できる可能性もあります。逆にEdgeでフリーズするのにChromeは大丈夫、というケースもあるので、複数ブラウザで試すことで不具合箇所を絞り込むことができます。

4. ブラウザのハードウェアアクセラレーションを無効化

多くのブラウザには、GPUを活用して映像処理を高速化する「ハードウェアアクセラレーション」が備わっています。本来は動画やWebサイト表示をスムーズにする機能ですが、環境によっては2つのモニターで映像処理を同時に行う際に不具合を誘発することがあります。私が試したところ、この機能をオフにした瞬間にフリーズ症状がピタリと治まりました。

無効化の手順(Chromeの場合)

1. 画面右上のメニューボタン(縦に点が3つ並んだアイコン)をクリック
2. 設定を選択
3. 詳細設定項目から「システム」を選択
4. 「可能な場合はハードウェアアクセラレーションを使用する」のチェックを外す
5. ブラウザを再起動

EdgeやFirefoxなど他のブラウザでも、基本的には設定メニューから同様の変更が可能です。再起動後に再度動画をフルスクリーンにして確認してみると、フリーズが起きにくくなる可能性が高いと感じました。

ハードウェアアクセラレーションをオフにすると、2つのモニター同時フルスクリーン再生でもストレスなく動画を楽しめました。

5. 拡張機能やプラグインの無効化

ブラウザに多数の拡張機能(アドオン)を導入している場合、それらが干渉してフリーズを起こしている可能性も捨てきれません。一度すべての拡張機能をオフにした状態で動画を再生してみて、問題が解消するかを確認しましょう。私も普段から多数の拡張機能を入れていたので、最初はそのせいかと疑っていましたが、結局は関係なかったようです。ただ、人によっては広告ブロック系の拡張機能などが原因になる場合があるので、一度はチェックする価値があります。

6. バックグラウンドアプリの負荷をチェック

動画再生と同時に重いソフトを実行している場合や、アンチウイルスソフトが常に走っている場合などは、CPUやGPUへの負荷が高くなる可能性があります。タスクマネージャーを開いて、CPU・メモリ・GPUの使用率を確認してみると良いでしょう。もし使用率が常に高止まりしているようであれば、不要なソフトを停止して負荷を下げることでフリーズを回避できるかもしれません。

ハードウェアアクセラレーションをオフにする理由

なぜハードウェアアクセラレーション機能が原因になり得るのか、もう少し掘り下げてみましょう。もともと動画やゲームはGPUを使うことで高速化と高品質表示が実現されますが、デュアルモニターで2つのフルスクリーン再生を同時に行うと、描画タイミングのズレやGPUリソースの過剰使用など、単一モニター使用時には起こらない状況が生まれやすいのです。

複数モニターで起きる非同期問題

1秒間に144回書き換えを要求するモニターAと、60回のモニターBでは、フレームの同期が合いにくい状態となります。ハードウェアアクセラレーションは基本的に「表示を最適化する」設定になっているため、どちらも最大性能を引き出そうとしてGPUに処理を要求します。この同時要求が衝突すると、限られたリソースや描画キューに渋滞が起き、結果としてフリーズや映像停止が発生しやすくなるというわけです。

ソフトウェア側の映像補正のズレ

ブラウザや動画プレーヤーはフレームのコマ落ちや遅延を回避するために、映像補正を行うことがあります。しかし異なるリフレッシュレート環境で2つのフルスクリーンを同時に行うと、ソフトウェアのスケジューリングが混乱し、映像補正機能が想定外のタイミングで動作して停止するケースがあるようです。実際に私の環境でも、144Hzモニターの方で映像が数秒動いた後に急に停止し、60Hzモニター側も固まるという症状を何度も確認しました。

ハードウェアアクセラレーションを切ると、動画やWebページの描画がソフトウェア側に回り、CPU負荷が若干上がる可能性があります。その結果、バッテリー駆動のノートPCなどでは、バッテリー消費が増える懸念もあります。

具体的対処策一覧表

一通りの方法を検討しやすいように、簡単な比較表を作成しました。ご自分の環境に合った手順から優先的に試してみてください。

対処方法 詳細 期待できる改善度
ケーブル・ハブ確認 モニター接続の再チェックや不良ケーブル交換
解像度・リフレッシュレート統一 144Hzを60Hzに合わせるなど設定を変更
ブラウザ変更 Chrome、Edge、Firefoxなど複数で検証
ハードウェアアクセラレーション無効化 ブラウザの設定からオフ、ソフト再起動
拡張機能の無効化 ブラウザ拡張を一時停止して再生テスト 低~中
不要アプリの終了 バックグラウンドの負荷を下げる 低~中

ハードウェアアクセラレーションをオフにする際の注意点

前述の通り、ハードウェアアクセラレーションを切ることでフリーズ現象は高確率で改善するかもしれません。しかしながら、ブラウザ表示の一部処理がCPUに回るため、PC全体の処理負荷や電力消費が増える可能性があります。特にバッテリー駆動のノートPCを使う場合は、電池の持ちが悪くなるかもしれませんし、CPUがそこまで高性能でない場合はタブをたくさん開いた時に動作が重くなることも考えられます。

適切なバランスを探る

ゲーム用など高性能のデスクトップPCであれば、GPUリソースを一時的に使わない程度の負荷増であればさほど気にならないかもしれません。一方で、スペックに余裕のない環境や、あまり電力を消費したくない状況では、常にハードウェアアクセラレーションをオフにしておくのは避けたい場合もあるでしょう。フリーズが起きる状況だけオフにする、あるいは必要なときだけオンにするなど、適宜使い分けることでトラブルを回避できます。

私自身は普段からマルチタスクを多用するため、ブラウザのハードウェアアクセラレーションをオフにしておくと、複数のタブを開いたときにCPU使用率が上がる傾向が気になりました。ただ、デュアルモニターで動画をフルスクリーン再生するシチュエーションのときだけはスムーズになるので、状況によって設定を切り替えています。

フリーズ対策をより確実にするには

ここまで紹介した対処法を試しても改善しない場合には、さらに踏み込んだチェックが必要かもしれません。OSやドライバのバージョンによって微妙な違いもありますので、複数の可能性を一つずつ検証してみましょう。

ドライバのクリーンインストール

GPUドライバをただ更新するだけでなく、一度完全に削除してから再インストールを行う方法があります。例えば、DDU(Display Driver Uninstaller)というツールを使えば、既存のドライバを完全にアンインストールしてから再設定できるため、不具合が残りにくい環境を構築できます。

モニターのファームウェア更新

ハイリフレッシュレートのゲーミングモニターの中には、製造元からファームウェアアップデートが提供されることがあります。ファームウェア更新によって異常なフリッカーや描画遅延が改善されるケースもあるので、特に新しいモニターをお使いであれば製品公式サイトをチェックしてみてください。

Windowsの電源オプション調整

OSレベルで省電力設定が働いていると、GPUやCPUのクロック周波数が想定より下がり、それが原因で映像処理が遅れてフリーズの引き金になる場合もあります。高パフォーマンスモードに切り替えることで、安定的な動作を得られる可能性があります。

トラブル解決後も快適に使い続けるコツ

無事フリーズの原因がわかっても、マルチモニター環境では今後も何かとトラブルが起こりやすいです。そこで、長期的に安定して動画再生を楽しむためのコツをいくつか紹介します。

定期的なドライバアップデート

グラフィックドライバやブラウザは、更新することで動作の改善やセキュリティ強化が期待できます。特にGPUドライバは各メーカーが頻繁にアップデートを行っているので、自動更新だけに頼らず、自分でも公式サイトをチェックするのが安心です。更新にはリリースノートもあるので、自分の症状に合った修正が加わっていないか確認しておきましょう。

ブラウザのキャッシュや履歴のクリア

動画を大量に視聴したり多数のタブを頻繁に開閉していると、キャッシュが蓄積しブラウザが重くなる場合があります。キャッシュが破損すると、動画再生の際に支障が出ることもあるので、定期的にキャッシュのクリアや履歴の整理を行うと良いでしょう。

キャッシュクリアのメリット

– 最新のページ情報が正しく読み込まれる
– 古い破損したデータが削除される
– ブラウザの動作が軽くなる可能性がある

まとめ

デュアルモニター環境で動画をフルスクリーン再生するとフリーズしてしまう原因は、モニター間のリフレッシュレート差やブラウザのハードウェアアクセラレーション機能の相性が大きく関わっていることが多いようです。ケーブルの確認や解像度の統一といった一般的な手順から、ブラウザ変更やハードウェアアクセラレーションのオフといった具体的な設定変更まで、一つずつ試すことで徐々に問題を絞り込むことができます。特にハードウェアアクセラレーションをオフにする方法は高い改善効果が期待できる反面、CPU使用率が上がるなど別のデメリットもあるため、環境や状況に応じて使い分けるのがおすすめです。

私の場合は最終的にブラウザのハードウェアアクセラレーションをオフにして落ち着きました。同時フルスクリーン再生が快適になったので、複数の作業や映像を同時にチェックできて満足度がグッと上がりました。ただ、一部の3Dゲームをしながら動画を見るときは再度オンに戻すこともあります。状況に合わせて設定を変えていくのが大事ですね。

今後の展望

ハードウェアアクセラレーションとリフレッシュレートの非同期問題は、技術的にはハイリフレッシュレートモニターが普及するに伴い、様々な面で改善が進むと考えられます。GPUメーカーもマルチモニター環境に最適化されたドライバを開発しており、ブラウザ側も映像処理エンジンを進化させ続けています。近い将来、ユーザーが意識せずともスムーズに複数モニターでの動画再生を楽しめる時代がくるかもしれません。

メディアコンテンツのさらなる多様化

ストリーミングサービスの映像品質は今後も4K、8Kといった高解像度化が進む見込みです。また、VRやARなど新しい映像の形態も普及しており、複数の映像を同時に視聴するシーンはさらに増えていくでしょう。その際、複数モニターでの同時再生という使用スタイルもいよいよ主流になるかもしれません。

GPUのさらなる高性能化

最近のGPU市場では、AMDもNVIDIAもハイエンドモデルを続々とリリースし、AI処理などの新たな活用も進んでいます。こうしたGPUの進化によって、複数の4Kモニターや高リフレッシュレートモニターを同時に扱うのが当たり前になる日は遠くないかもしれません。逆に言えば、今はまだ過渡期とも言えるので、不具合が出たときにユーザーが自力で対処する必要がある状況とも言えそうです。

最後に

もしデュアルモニター環境で同時に動画をフルスクリーン再生する際のフリーズが発生しているなら、まずはハードウェアアクセラレーション設定を切り替えてみると解決の糸口が見つかるかもしれません。そのうえで、ケーブルや解像度の統一、ドライバのクリーンインストールなど、他の対処法も試してみてください。あなたの環境が快適なマルチディスプレイ・ライフになるよう、この記事がお役に立てば幸いです。

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