JavaScriptパフォーマンス分析: Chrome DevToolsとLighthouseの使い方

JavaScriptアプリケーションのパフォーマンスは、ユーザー体験に直接影響を与える重要な要素です。特に、複雑なウェブアプリケーションでは、コードの最適化が求められますが、どこをどのように改善すべきかを見極めるのは容易ではありません。そこで役立つのが、Chrome DevToolsやLighthouseといったプロファイリングツールです。これらのツールを使うことで、JavaScriptの実行速度やリソース使用量を詳細に分析し、パフォーマンス改善のための具体的な対策を講じることが可能になります。本記事では、これらのツールを使ってJavaScriptアプリケーションのパフォーマンスを効果的に分析する方法を詳しく解説します。

目次
  1. Chrome DevToolsとは
  2. DevToolsのプロファイラの使い方
    1. プロファイラの起動方法
    2. プロファイリングデータの確認
    3. 特定の関数やイベントの分析
  3. パフォーマンス分析の実践例
    1. 対象アプリケーションの選定
    2. プロファイリングの実施
    3. タイムラインビューの確認
    4. コールツリービューでの詳細分析
  4. パフォーマンスボトルネックの特定
    1. 関数の実行時間の確認
    2. 高頻度で呼び出される関数の最適化
    3. メモリ使用量の確認
    4. レンダリング性能の分析
  5. Lighthouseとは
    1. Lighthouseの役割
    2. 評価基準とスコア
    3. 自動化とカスタマイズの柔軟性
  6. Lighthouseの使い方
    1. Lighthouseの起動方法
    2. 分析設定の選択
    3. 分析の実行
    4. レポートの保存と共有
    5. カスタムメトリクスの使用
  7. Lighthouseレポートの読み方
    1. パフォーマンススコアの概要
    2. 主要なパフォーマンス指標
    3. 改善点の提案
    4. 診断結果の活用
  8. DevToolsとLighthouseの併用法
    1. 併用するメリット
    2. DevToolsで詳細な調査を行う
    3. パフォーマンス改善のフィードバックループ
    4. 例: レンダリングの最適化
    5. 継続的なパフォーマンスモニタリング
  9. パフォーマンス改善のベストプラクティス
    1. コードの軽量化
    2. ネットワークパフォーマンスの最適化
    3. 非同期処理の適切な活用
    4. レンダリングパフォーマンスの向上
    5. ユニットテストとパフォーマンステストの導入
  10. 演習問題: 自分のコードを分析
    1. ステップ1: 対象コードの準備
    2. ステップ2: Chrome DevToolsを使用したリアルタイム分析
    3. ステップ3: Lighthouseを使用した全体評価
    4. ステップ4: 改善の実施と再評価
    5. ステップ5: 結果の記録と振り返り
  11. まとめ

Chrome DevToolsとは

Chrome DevToolsは、Google Chromeに組み込まれている強力な開発者向けツールです。このツールは、ウェブページの検査、デバッグ、最適化を行うための機能を提供し、特にフロントエンド開発者にとって不可欠なツールとなっています。パフォーマンス分析においては、JavaScriptの実行速度やメモリ使用量、ネットワークパフォーマンスなど、ウェブアプリケーションのさまざまな側面を細かく監視することができます。DevToolsを活用することで、アプリケーションのパフォーマンスを高め、ユーザーに対してより快適な体験を提供することが可能です。

DevToolsのプロファイラの使い方

Chrome DevToolsのプロファイラは、JavaScriptコードの実行を詳細に分析し、パフォーマンスのボトルネックを特定するための強力なツールです。プロファイラを使用することで、関数の実行時間、コールツリー、メモリ消費などの情報を収集できます。以下に、DevToolsプロファイラの基本的な使い方を説明します。

プロファイラの起動方法

DevToolsを開き、”Performance”タブを選択します。ここで、「Record」ボタンをクリックすることで、プロファイリングが開始されます。ページを操作したり、特定の処理を実行した後、「Stop」ボタンを押すことで、プロファイリングが終了し、データが表示されます。

プロファイリングデータの確認

プロファイリングの結果には、タイムラインビューやコールツリービューが表示されます。タイムラインビューでは、ページの各処理がどのように実行されたかを時間軸で確認でき、コールツリービューでは、どの関数がどれだけの時間を消費したかがわかります。

特定の関数やイベントの分析

結果に表示される関数やイベントをクリックすると、詳細な情報が表示され、どの部分がパフォーマンスのボトルネックになっているのかを特定できます。また、スクリプトのソースコードと関連付けて問題の箇所を確認することも可能です。

プロファイラを活用することで、パフォーマンスの問題を的確に把握し、改善のための具体的なアクションを見つけることができます。

パフォーマンス分析の実践例

実際のJavaScriptアプリケーションを使用して、Chrome DevToolsのプロファイラを使ったパフォーマンス分析の手順を詳しく見ていきます。この実践例を通じて、プロファイリングデータの収集からパフォーマンスのボトルネックの特定までの流れを学びます。

対象アプリケーションの選定

まず、分析対象となるJavaScriptアプリケーションを選びます。ここでは、サンプルとして、DOM操作やアニメーションを多用するウェブページを取り上げます。この種のページは、複雑なレンダリングやイベント処理が行われるため、パフォーマンスの課題が顕在化しやすいです。

プロファイリングの実施

Chrome DevToolsを開き、”Performance”タブを選択して「Record」ボタンを押します。次に、ウェブページ上で通常の操作を行います。例えば、ページのスクロール、ボタンのクリック、アニメーションの再生などです。これらの操作が終了したら、「Stop」ボタンをクリックしてプロファイリングを終了し、データを確認します。

タイムラインビューの確認

タイムラインビューでは、実行された操作に応じて、各処理がどのように実行されたかが視覚的に表示されます。例えば、スクロール操作中に、JavaScriptのどの部分が処理を行っていたのか、レンダリングにどれだけの時間がかかったのかが一目でわかります。

コールツリービューでの詳細分析

さらに、コールツリービューを使用して、特定の関数がどの程度の時間を消費しているかを確認します。例えば、DOM操作に多くの時間がかかっている場合、その関数を特定し、最適化のためのアクションを検討します。

この実践例により、Chrome DevToolsを使用した具体的なパフォーマンス分析の手順と、その結果から得られるインサイトを理解することができます。これにより、実際の開発において効果的にパフォーマンスを向上させることが可能になります。

パフォーマンスボトルネックの特定

プロファイリングデータをもとに、JavaScriptコードのパフォーマンスボトルネックを特定することは、アプリケーションの最適化において極めて重要です。Chrome DevToolsのプロファイラを活用して、どの部分がアプリケーションのパフォーマンスを低下させているのかを見つける方法を解説します。

関数の実行時間の確認

コールツリービューでは、各関数がどれだけの時間を消費しているかが詳細に表示されます。このビューを使用して、特に時間を要している関数を特定します。たとえば、ある関数が多くの子関数を呼び出しており、それが全体の実行時間を増加させている場合、該当する関数を最適化することでパフォーマンスを向上させることが可能です。

高頻度で呼び出される関数の最適化

次に、頻繁に呼び出される関数に注目します。これらの関数が短い時間であっても、多く呼び出されることで合計時間が長くなり、結果としてパフォーマンスの低下につながることがあります。このような場合、アルゴリズムの見直しやループの最適化が効果的です。

メモリ使用量の確認

メモリタブを使用して、JavaScriptコードがどれだけのメモリを使用しているかを確認します。メモリリークが発生している場合、アプリケーションのパフォーマンスが徐々に低下することがあります。これを防ぐために、不要なオブジェクトの参照を解放するなど、メモリ管理を適切に行うことが重要です。

レンダリング性能の分析

パフォーマンスのボトルネックは、JavaScriptコードだけでなく、ブラウザのレンダリングプロセスにも起因することがあります。タイムラインビューで「Rendering」セクションを確認し、レイアウト、ペイント、コンポジットの処理時間が長い部分を特定します。この情報をもとに、不要なDOM操作や複雑なCSSを見直すことで、レンダリング性能を向上させることができます。

これらの手法を用いることで、JavaScriptアプリケーションのパフォーマンスボトルネックを効果的に特定し、最適化のための具体的なステップを講じることが可能になります。

Lighthouseとは

Lighthouseは、Googleが提供するオープンソースの自動化ツールで、ウェブページのパフォーマンス、アクセシビリティ、SEO(検索エンジン最適化)、プログレッシブウェブアプリケーション(PWA)の品質などを評価するために使用されます。LighthouseはChrome DevToolsに統合されており、数クリックで詳細なレポートを生成できるため、開発者にとって非常に便利なツールです。

Lighthouseの役割

Lighthouseは、特にウェブページのパフォーマンス分析において強力な役割を果たします。JavaScriptの実行時間やリソースの読み込み速度など、ユーザー体験に直結するパフォーマンス指標を詳細に分析し、改善のための具体的なアドバイスを提供します。これにより、開発者はパフォーマンスの課題を明確にし、迅速に対策を講じることができます。

評価基準とスコア

Lighthouseは、各カテゴリ(パフォーマンス、アクセシビリティ、SEOなど)に基づいてページを評価し、スコアを付与します。特にパフォーマンススコアは、ページの読み込み速度やインタラクティブ性に関する重要な指標を含んでおり、ページの改善箇所を一目で把握できるようになっています。

自動化とカスタマイズの柔軟性

Lighthouseは、コマンドラインインターフェースやAPIを通じて自動化することが可能で、CI/CDパイプラインに組み込んで継続的にウェブページの品質を監視することができます。また、カスタム設定を使用して、特定のメトリクスに重点を置いたレポートを生成することも可能です。

Lighthouseは、ウェブページの総合的な品質を向上させるためのツールとして非常に有用であり、特にパフォーマンス最適化の第一歩として重要な役割を担っています。

Lighthouseの使い方

Lighthouseを使ったパフォーマンス分析は、ウェブページの改善点を特定するための効果的な手段です。このセクションでは、Lighthouseを使用して具体的にパフォーマンス分析を行う手順と設定方法について解説します。

Lighthouseの起動方法

Lighthouseを起動するためには、まずChromeブラウザを開き、分析対象のウェブページをロードします。次に、Chrome DevToolsを開き、「Lighthouse」タブを選択します。このタブには、分析を開始するためのオプションが表示されます。

分析設定の選択

Lighthouseには、パフォーマンス、アクセスビリティ、SEO、PWAなど、さまざまなカテゴリに基づいて分析を行うオプションがあります。パフォーマンスに特化した分析を行いたい場合は、「Performance」オプションを選択します。必要に応じて、他のカテゴリも選択可能です。また、デバイスの種類(モバイルやデスクトップ)を選んで、異なる環境でのパフォーマンスを評価することもできます。

分析の実行

設定が完了したら、「Generate report」ボタンをクリックして分析を開始します。Lighthouseはウェブページをロードし、その間にさまざまなメトリクスを測定します。このプロセスは数秒から数十秒かかる場合がありますが、完了後に詳細なレポートが自動的に生成されます。

レポートの保存と共有

生成されたレポートは、ブラウザ上で確認できるほか、HTMLやJSON形式で保存することができます。これにより、チームメンバーと結果を共有したり、後で再度分析結果を確認することが容易です。また、レポートを継続的に比較することで、パフォーマンスの改善状況を追跡することも可能です。

カスタムメトリクスの使用

Lighthouseの設定は、カスタムメトリクスを含めるように調整することも可能です。これにより、特定のニーズに応じたより詳細なパフォーマンス分析を行うことができます。カスタムメトリクスを追加する場合は、Lighthouseの設定ファイルを編集し、必要なパラメータを追加します。

これらの手順に従ってLighthouseを使用することで、JavaScriptアプリケーションやウェブページのパフォーマンスに関する深い洞察を得ることができ、具体的な改善策を講じるための基礎が築かれます。

Lighthouseレポートの読み方

Lighthouseによって生成されたレポートは、ウェブページのパフォーマンスやその他の品質指標に関する詳細な情報を提供します。このセクションでは、Lighthouseレポートの各項目をどのように解釈し、具体的な改善につなげるかを解説します。

パフォーマンススコアの概要

レポートの最初に表示されるのがパフォーマンススコアです。このスコアは、0から100までの範囲で示され、ページの全体的なパフォーマンスを評価します。スコアが高いほど、ページのパフォーマンスが優れていることを意味します。このスコアは、複数のメトリクスをもとに計算されており、後述する各メトリクスの改善がスコア向上に直結します。

主要なパフォーマンス指標

Lighthouseレポートには、以下のような主要なパフォーマンス指標が含まれています。

First Contentful Paint (FCP)

FCPは、ページの最初のコンテンツ(テキストや画像)がユーザーに表示されるまでの時間を測定します。これが短いほど、ユーザーはページの読み込みが速いと感じます。

Largest Contentful Paint (LCP)

LCPは、ページ内で最大のコンテンツ(大きな画像やブロック要素など)が表示されるまでの時間を測定します。この指標は、ユーザーがページのメインコンテンツにアクセスできるまでの時間を示すため、重要です。

Total Blocking Time (TBT)

TBTは、ページがインタラクティブになるまでに発生するすべてのブロッキング時間の合計を示します。これが長いと、ユーザーがページを操作できるまでに待つ時間が長くなります。

Cumulative Layout Shift (CLS)

CLSは、ページ読み込み中にレイアウトのシフトが発生した量を示します。これが高いと、ユーザーが意図しない場所をクリックするなどの問題が発生する可能性があり、視覚的な安定性に影響を与えます。

改善点の提案

Lighthouseレポートでは、各指標に基づいて具体的な改善提案が提供されます。たとえば、「JavaScriptの削減」や「不要なCSSの除去」など、パフォーマンス向上のための具体的なアクションが示されます。これらの提案を実行することで、スコアを向上させ、ユーザー体験を改善することが可能です。

診断結果の活用

レポートの「Diagnostics」セクションには、さらに詳細な技術情報が含まれています。ここには、スクリプトのロード順序、リソースのキャッシュ設定、画像の最適化など、開発者が直面する可能性のある細かな問題がリストアップされています。これらをチェックすることで、パフォーマンスに影響を与える隠れた問題を見つけ出し、修正することができます。

Lighthouseレポートを正しく読み解き、提供された情報を基に改善策を講じることで、ウェブページのパフォーマンスを大幅に向上させることが可能です。

DevToolsとLighthouseの併用法

Chrome DevToolsとLighthouseは、それぞれ異なる強みを持つパフォーマンス分析ツールですが、これらを併用することで、より包括的かつ効果的なパフォーマンス最適化が可能になります。このセクションでは、DevToolsとLighthouseをどのように組み合わせて活用するかを解説します。

併用するメリット

DevToolsとLighthouseを併用することで、詳細なリアルタイム分析と全体的なパフォーマンス評価の両方を得ることができます。DevToolsは、特定のコードブロックやイベントのリアルタイムパフォーマンスを追跡するのに優れており、JavaScriptの詳細なデバッグやメモリリークの特定に最適です。一方、Lighthouseは、ページ全体のパフォーマンスを評価し、改善提案を提供するため、サイト全体の最適化の方向性を示すのに役立ちます。

DevToolsで詳細な調査を行う

まずはLighthouseを使用して、ページ全体のパフォーマンスを評価し、主要なボトルネックを特定します。Lighthouseレポートで指摘された問題のうち、特に深刻なパフォーマンス低下の原因となっている箇所について、DevToolsで詳細な調査を行います。たとえば、LighthouseがJavaScriptの実行時間が長いことを指摘した場合、DevToolsのプロファイラを使用して、どの関数がその原因となっているかを特定します。

パフォーマンス改善のフィードバックループ

Lighthouseでの初期評価とDevToolsでの詳細な分析を行った後、コードを最適化します。この際、DevToolsを使って最適化の効果をリアルタイムで確認しながら、ボトルネックを取り除いていきます。最適化が完了したら、再度Lighthouseを使用して、全体のパフォーマンススコアをチェックし、改善が反映されているかを確認します。このフィードバックループを繰り返すことで、効率的にパフォーマンスを向上させることが可能です。

例: レンダリングの最適化

例えば、Lighthouseが「Largest Contentful Paint (LCP)」が遅いと指摘した場合、DevToolsを使って、レンダリングに時間がかかっている要素を特定します。特定された要素が画像であれば、その画像のサイズや形式を見直し、またはLazy Loadingを導入することで最適化を行います。その後、再びLighthouseで評価し、LCPが改善されているかを確認します。

継続的なパフォーマンスモニタリング

プロジェクトの進行に伴い、新たな機能追加や変更が行われると、パフォーマンスが再び悪化する可能性があります。DevToolsとLighthouseを定期的に使用して、継続的にパフォーマンスを監視し、問題が発生した際には早期に対応できるようにします。特に、CI/CDパイプラインにLighthouseを組み込むことで、自動的にパフォーマンスチェックを行い、問題があればすぐに検出できるようになります。

DevToolsとLighthouseを併用することで、JavaScriptアプリケーションのパフォーマンスを全方位的に改善し、ユーザー体験を向上させることができます。これにより、開発者はより高品質なウェブアプリケーションを提供することが可能になります。

パフォーマンス改善のベストプラクティス

JavaScriptアプリケーションのパフォーマンスを最適化するためには、いくつかのベストプラクティスを意識して開発を進めることが重要です。ここでは、パフォーマンス改善に効果的なアプローチや技術を紹介し、開発の現場で即実践できるように解説します。

コードの軽量化

JavaScriptのファイルサイズが大きくなると、ダウンロード時間が増加し、ページの初期表示が遅くなります。コードの軽量化を図るために、次のようなアプローチを取ります。

不要なコードの削除

使用していない変数、関数、ライブラリを削除します。また、重複したコードや一貫性のないコードも整理し、全体のコードベースをクリーンに保ちます。

コードの圧縮とミニファイ

ビルドプロセスで、JavaScriptファイルを圧縮(minify)することで、ファイルサイズを削減します。これにより、ページのロード時間が短縮されます。WebpackやGulpなどのツールを使用して、自動的にミニファイを実行することができます。

ネットワークパフォーマンスの最適化

ネットワーク通信がパフォーマンスに与える影響は大きいため、効率的にリソースをロードすることが重要です。

HTTP/2の使用

HTTP/2を利用することで、複数のリクエストを並行して処理できるため、リソースのロード時間を短縮できます。また、サーバープッシュを活用することで、必要なリソースを早期に送信することも可能です。

キャッシュの活用

ブラウザキャッシュを適切に設定することで、再度訪問した際にリソースの再ダウンロードを避け、ページの表示速度を向上させます。適切なキャッシュ制御ヘッダーを設定し、リソースの有効期限を指定します。

非同期処理の適切な活用

JavaScriptの非同期処理を適切に利用することで、ユーザーインターフェースがブロックされることを防ぎ、よりスムーズな操作体験を提供できます。

async/awaitの利用

Promiseやコールバック関数よりも、async/awaitを使うことで、非同期コードをより読みやすく、管理しやすくなります。これにより、エラー処理やデバッグが容易になり、パフォーマンス問題の早期解決が可能になります。

必要に応じたデファーと遅延ロード

JavaScriptファイルが多い場合、不要なスクリプトをページの初期表示時にロードしないようにします。deferasync属性を使用して、スクリプトの実行を制御し、パフォーマンスを最適化します。

レンダリングパフォーマンスの向上

ブラウザのレンダリングプロセスが効率的に行われるように、以下の方法で最適化を図ります。

DOM操作の最小化

頻繁なDOM操作は、ページの再描画やレイアウトのリフローを引き起こし、パフォーマンスを低下させます。バッチ処理や、必要な時にのみDOMを更新することで、これを最小限に抑えます。

CSSの最適化

レンダリングブロックとなるCSSの読み込みを最小限に抑えるために、重要なCSSをインライン化し、残りのスタイルシートを遅延ロードすることを検討します。また、不要なスタイルや複雑なセレクタの削減も効果的です。

ユニットテストとパフォーマンステストの導入

定期的なテストは、パフォーマンスが劣化していないことを確認するために重要です。

自動化されたユニットテスト

JavaScriptコードに対して、自動化されたユニットテストを実行することで、機能が正しく動作していることを保証します。JestやMochaなどのテストフレームワークを活用します。

パフォーマンステストの継続的な実行

Lighthouseや他のパフォーマンステストツールをCI/CDパイプラインに組み込み、コード変更がパフォーマンスに与える影響を常に監視します。これにより、パフォーマンス劣化を防ぐことができます。

これらのベストプラクティスを実践することで、JavaScriptアプリケーションのパフォーマンスを効果的に改善し、ユーザーに優れた体験を提供することができます。

演習問題: 自分のコードを分析

ここでは、これまでに学んだ内容を実際に試してみるための演習問題を提供します。自分のJavaScriptコードを対象に、Chrome DevToolsとLighthouseを使用してパフォーマンス分析を行い、改善点を見つけ出しましょう。

ステップ1: 対象コードの準備

まず、自分が開発しているウェブページまたはJavaScriptアプリケーションを準備します。もし適切なコードがない場合は、サンプルコードを作成するか、オープンソースのプロジェクトを利用しても構いません。

ステップ2: Chrome DevToolsを使用したリアルタイム分析

  1. Chromeブラウザでウェブページを開き、Chrome DevToolsを起動します(右クリックして「検証」を選択するか、F12キーを押します)。
  2. “Performance”タブに移動し、「Record」ボタンをクリックしてプロファイリングを開始します。
  3. ページ上で通常の操作(スクロール、クリック、データの入力など)を行い、パフォーマンスデータを収集します。
  4. 「Stop」ボタンを押してプロファイリングを終了し、収集されたデータを確認します。
  5. コールツリービューやタイムラインビューを使用して、パフォーマンスのボトルネックを特定します。

ステップ3: Lighthouseを使用した全体評価

  1. DevToolsの”Lighthouse”タブに移動し、「Performance」カテゴリにチェックを入れて「Generate report」ボタンをクリックします。
  2. Lighthouseが生成するレポートを確認し、全体のパフォーマンススコアや改善点を把握します。
  3. レポートに基づいて、特に注目すべき指標(FCP、LCP、TBTなど)を特定します。

ステップ4: 改善の実施と再評価

  1. DevToolsとLighthouseで特定されたボトルネックや改善点に基づいて、コードの修正を行います。具体的には、コードの軽量化、非同期処理の適用、キャッシュ設定の最適化などを検討します。
  2. 修正を行った後、再度DevToolsとLighthouseを使用してパフォーマンスを分析し、改善が確認できるかをチェックします。

ステップ5: 結果の記録と振り返り

  1. 初回のパフォーマンスデータと改善後のデータを比較し、どの程度パフォーマンスが向上したかを記録します。
  2. 振り返りとして、どの改善が最も効果的だったか、今後どのような点に注意するべきかをまとめます。

この演習を通じて、実際のコードに対してパフォーマンス分析を実施し、得られたデータを基に最適化する経験を積むことができます。これにより、パフォーマンス改善のための実践的なスキルが身につくでしょう。

まとめ

本記事では、JavaScriptアプリケーションのパフォーマンスを最適化するために、Chrome DevToolsとLighthouseを活用する方法について解説しました。DevToolsによる詳細なリアルタイム分析とLighthouseによる全体評価を組み合わせることで、パフォーマンスのボトルネックを効率的に特定し、効果的な改善策を講じることができます。また、演習問題を通じて、これらのツールを実際に使用し、自分のコードのパフォーマンスを向上させる実践的なスキルを習得することができました。これにより、より高速でユーザーにとって快適なウェブアプリケーションを提供できるようになるでしょう。

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目次
  1. Chrome DevToolsとは
  2. DevToolsのプロファイラの使い方
    1. プロファイラの起動方法
    2. プロファイリングデータの確認
    3. 特定の関数やイベントの分析
  3. パフォーマンス分析の実践例
    1. 対象アプリケーションの選定
    2. プロファイリングの実施
    3. タイムラインビューの確認
    4. コールツリービューでの詳細分析
  4. パフォーマンスボトルネックの特定
    1. 関数の実行時間の確認
    2. 高頻度で呼び出される関数の最適化
    3. メモリ使用量の確認
    4. レンダリング性能の分析
  5. Lighthouseとは
    1. Lighthouseの役割
    2. 評価基準とスコア
    3. 自動化とカスタマイズの柔軟性
  6. Lighthouseの使い方
    1. Lighthouseの起動方法
    2. 分析設定の選択
    3. 分析の実行
    4. レポートの保存と共有
    5. カスタムメトリクスの使用
  7. Lighthouseレポートの読み方
    1. パフォーマンススコアの概要
    2. 主要なパフォーマンス指標
    3. 改善点の提案
    4. 診断結果の活用
  8. DevToolsとLighthouseの併用法
    1. 併用するメリット
    2. DevToolsで詳細な調査を行う
    3. パフォーマンス改善のフィードバックループ
    4. 例: レンダリングの最適化
    5. 継続的なパフォーマンスモニタリング
  9. パフォーマンス改善のベストプラクティス
    1. コードの軽量化
    2. ネットワークパフォーマンスの最適化
    3. 非同期処理の適切な活用
    4. レンダリングパフォーマンスの向上
    5. ユニットテストとパフォーマンステストの導入
  10. 演習問題: 自分のコードを分析
    1. ステップ1: 対象コードの準備
    2. ステップ2: Chrome DevToolsを使用したリアルタイム分析
    3. ステップ3: Lighthouseを使用した全体評価
    4. ステップ4: 改善の実施と再評価
    5. ステップ5: 結果の記録と振り返り
  11. まとめ