JavaScriptのPromiseを使った逐次処理と並列処理の実装方法

JavaScriptの非同期処理は、モダンなWeb開発において欠かせない要素です。その中でもPromiseは、コールバック関数を用いた非同期処理に代わる強力な手段として注目されています。本記事では、Promiseを利用した逐次処理と並列処理の実装方法について詳しく解説します。逐次処理はタスクを一つずつ順番に実行し、並列処理は複数のタスクを同時に実行する方法です。これにより、開発者は効率的かつ効果的に非同期処理を扱うことができます。Promiseの基本概念から実装方法、実践的な応用例までを取り上げ、JavaScriptの非同期処理に対する理解を深めていきましょう。

目次

Promiseの基本概念と利用のメリット

Promiseは、JavaScriptの非同期処理をより簡潔かつ直感的に記述するためのオブジェクトです。非同期処理の結果を表すPromiseは、以下の3つの状態を持ちます。

Pending(保留)

Promiseが非同期処理を開始した直後の状態で、処理が完了していない段階です。

Fulfilled(成功)

非同期処理が正常に完了し、Promiseが成功した状態です。このとき、成功の結果が返されます。

Rejected(失敗)

非同期処理が失敗し、Promiseが失敗した状態です。このとき、エラーの原因が返されます。

Promiseの利用のメリット

Promiseを使用することで、非同期処理のコードを以下のように改善できます。

可読性の向上

コールバック関数を使う従来の方法では、ネストが深くなり「コールバック地獄」と呼ばれる状況が発生します。Promiseを使うことで、これを避けることができます。

エラーハンドリングの統一

Promiseは一連の非同期処理の中で発生するエラーを一箇所でキャッチすることができ、エラーハンドリングが統一的に行えます。

非同期処理の順序管理

Promiseを使うことで、逐次処理や並列処理といった非同期タスクの順序を簡単に管理でき、コードの意図を明確に伝えられます。

Promiseを理解し、適切に使うことで、JavaScriptの非同期処理を効率的に管理し、コードの保守性と可読性を大幅に向上させることができます。

逐次処理とは

逐次処理とは、複数のタスクを順番に一つずつ実行する方法です。あるタスクが完了してから次のタスクが開始されるため、処理がシーケンシャルに進行します。

逐次処理の利点

逐次処理には以下のような利点があります。

シンプルなフロー管理

処理が順番に進行するため、フローの管理が直感的で簡単です。各ステップが明確に区切られているため、デバッグやメンテナンスが容易です。

依存関係の明確化

タスク間に依存関係がある場合、逐次処理は自然にその依存関係を維持します。前のタスクが完了してから次のタスクが実行されるため、依存関係の誤りが発生しにくいです。

逐次処理のデメリット

逐次処理には、以下のようなデメリットもあります。

処理速度の低下

全てのタスクが順番に実行されるため、全体の処理時間が長くなる可能性があります。特に、各タスクが非同期処理の場合、この待ち時間が顕著になります。

並列処理との対比

逐次処理に対して、並列処理は複数のタスクを同時に実行するため、処理速度が速くなる可能性があります。しかし、並列処理はフローの管理が複雑になることがあります。

逐次処理は、シンプルで依存関係を明確にすることができる反面、処理速度の面でデメリットがあります。次に、Promiseを使った逐次処理の具体的な実装方法について解説します。

Promiseを使った逐次処理の実装方法

Promiseを使った逐次処理の実装は、非同期タスクを順番に実行するためにPromiseチェーンを利用します。以下に具体的な実装例を示します。

基本的な実装例

以下のコードは、3つの非同期タスクを順番に実行する例です。

function task1() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 1 complete');
            resolve('Result of Task 1');
        }, 1000);
    });
}

function task2(resultFromTask1) {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 2 complete with:', resultFromTask1);
            resolve('Result of Task 2');
        }, 1000);
    });
}

function task3(resultFromTask2) {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 3 complete with:', resultFromTask2);
            resolve('Result of Task 3');
        }, 1000);
    });
}

// Promiseチェーンを用いた逐次処理
task1()
    .then(result1 => task2(result1))
    .then(result2 => task3(result2))
    .then(finalResult => {
        console.log('All tasks complete:', finalResult);
    })
    .catch(error => {
        console.error('An error occurred:', error);
    });

説明

  • task1task2task3 はそれぞれPromiseを返す非同期タスクです。
  • task1 が完了すると、次のタスクである task2task1 の結果を引数として実行されます。
  • 同様に、task2 が完了すると task3task2 の結果を引数として実行されます。
  • 最終的に、全てのタスクが完了すると、最終結果が出力されます。
  • エラーが発生した場合は、catch ブロックでエラーメッセージが出力されます。

Promiseチェーンの利点

  • 可読性の向上: 各タスクが順番に実行されるフローが明確で、可読性が高まります。
  • エラーハンドリング: catch ブロックで一箇所にエラーハンドリングを集約できます。

Promiseチェーンを利用することで、逐次処理を効率的に管理でき、非同期タスクの実行順序を明確にすることができます。次に、並列処理について詳しく見ていきます。

並列処理とは

並列処理とは、複数のタスクを同時に実行する方法です。これにより、全体の処理時間を短縮することができます。並列処理は特に、各タスクが互いに独立している場合に有効です。

並列処理の利点

並列処理には以下のような利点があります。

処理速度の向上

複数のタスクを同時に実行するため、全体の処理時間を大幅に短縮することができます。特に、I/O操作やネットワークリクエストのような待機時間が長い処理に対して有効です。

リソースの有効活用

並列処理を行うことで、システムのリソースを効率的に活用できます。複数のプロセッサやスレッドを利用することで、全体的な処理能力が向上します。

並列処理のデメリット

並列処理には、以下のようなデメリットもあります。

フロー管理の複雑化

タスクが同時に実行されるため、実行順序が保証されません。これにより、フローの管理が複雑になりやすいです。

競合状態の発生

複数のタスクが同じリソースにアクセスする場合、競合状態が発生する可能性があります。これを避けるためには、適切な同期機構が必要です。

並列処理は、効率的にタスクを実行するための強力な手段ですが、その一方で管理が複雑になる場合があります。次に、Promiseを使った並列処理の具体的な実装方法について解説します。

Promiseを使った並列処理の実装方法

Promiseを使った並列処理では、複数のPromiseを同時に実行し、全てのPromiseが解決されるのを待つ方法があります。これにより、全体の処理時間を短縮することが可能です。

基本的な実装例

以下のコードは、3つの非同期タスクを並列に実行する例です。

function task1() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 1 complete');
            resolve('Result of Task 1');
        }, 1000);
    });
}

function task2() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 2 complete');
            resolve('Result of Task 2');
        }, 2000);
    });
}

function task3() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 3 complete');
            resolve('Result of Task 3');
        }, 1500);
    });
}

// Promise.allを用いた並列処理
Promise.all([task1(), task2(), task3()])
    .then(results => {
        console.log('All tasks complete:', results);
    })
    .catch(error => {
        console.error('An error occurred:', error);
    });

説明

  • task1task2task3 はそれぞれPromiseを返す非同期タスクです。
  • Promise.all メソッドは、配列内の全てのPromiseが解決されるのを待ちます。
  • 全てのPromiseが解決されると、then ブロックが実行され、各Promiseの結果が配列として返されます。
  • 一つでもPromiseが拒否されると、catch ブロックでエラーハンドリングが行われます。

Promise.allの利点

  • 同時実行: 複数のタスクを同時に実行することで、処理時間を短縮できます。
  • 結果の集約: 全てのPromiseの結果を一度に取得でき、後続の処理に利用できます。
  • 一括エラーハンドリング: どれか一つのPromiseが失敗した場合でも、エラーハンドリングが統一的に行えます。

注意点

  • 順序: Promise.all はPromiseが解決される順序ではなく、入力された順序で結果を返します。
  • 失敗の伝播: 一つのPromiseが拒否されると、他のPromiseが解決されても Promise.all は拒否されます。

Promiseを使った並列処理は、非同期タスクを効率的に実行し、全体の処理時間を短縮するための強力な方法です。次に、逐次処理と並列処理の使い分けについて解説します。

逐次処理と並列処理の使い分け

逐次処理と並列処理は、それぞれ異なる特性と用途を持っています。これらを適切に使い分けることで、非同期タスクの効率を最大化することができます。

逐次処理を選ぶべき場合

逐次処理は、タスク間に依存関係がある場合に適しています。一つのタスクが完了した後でなければ、次のタスクを実行できない場合は逐次処理が必要です。

データの依存関係

各タスクが前のタスクの結果を必要とする場合、逐次処理が最適です。例えば、APIからデータを取得し、そのデータを用いてさらに処理を行う場合です。

順序の重要性

タスクの実行順序が重要で、順番通りに実行する必要がある場合も逐次処理を選びます。例えば、ステップバイステップでデータを加工する場合です。

並列処理を選ぶべき場合

並列処理は、タスクが独立しており、同時に実行できる場合に適しています。これにより、全体の処理時間を短縮することができます。

独立したタスク

各タスクが他のタスクに依存せずに実行できる場合、並列処理が有効です。例えば、異なるAPIエンドポイントからデータを取得する場合です。

パフォーマンスの向上

大量のタスクを短時間で処理する必要がある場合、並列処理を用いることでパフォーマンスを向上させることができます。例えば、画像の一括処理や大量のデータベースクエリを同時に実行する場合です。

逐次処理と並列処理の組み合わせ

現実のアプリケーションでは、逐次処理と並列処理を組み合わせて使用することが多くあります。例えば、複数の独立したデータソースからデータを並列で取得し、その後それらのデータを逐次処理で統合する場合です。

// 並列処理でデータを取得
Promise.all([fetchData1(), fetchData2(), fetchData3()])
    .then(results => {
        // 逐次処理でデータを統合
        return processResultsSequentially(results);
    })
    .then(finalResult => {
        console.log('Final result:', finalResult);
    })
    .catch(error => {
        console.error('An error occurred:', error);
    });

このように、逐次処理と並列処理の特性を理解し、適切に使い分けることで、効率的な非同期タスクの管理が可能になります。次に、Promise.allとPromise.raceの具体的な使い方について解説します。

Promise.allとPromise.raceの使い方

Promise.allとPromise.raceは、JavaScriptのPromiseオブジェクトを使った並列処理でよく利用されるメソッドです。それぞれ異なる用途と特性を持っています。

Promise.allの使い方

Promise.allは、複数のPromiseを並列に実行し、全てのPromiseが解決されたときに一つのPromiseを返します。一つでもPromiseが拒否されると、Promise.all全体が拒否されます。

基本的な使い方

以下の例では、3つの非同期タスクを並列に実行し、全てのタスクが完了したら結果を出力します。

function task1() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 1 complete');
            resolve('Result of Task 1');
        }, 1000);
    });
}

function task2() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 2 complete');
            resolve('Result of Task 2');
        }, 2000);
    });
}

function task3() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 3 complete');
            resolve('Result of Task 3');
        }, 1500);
    });
}

// Promise.allの使用例
Promise.all([task1(), task2(), task3()])
    .then(results => {
        console.log('All tasks complete:', results);
    })
    .catch(error => {
        console.error('An error occurred:', error);
    });

利点

  • 効率的な並列処理: 複数のPromiseを同時に実行し、全ての結果を一度に取得できます。
  • 結果の集約: 全てのPromiseの結果が配列として返されるため、後続の処理が簡単になります。
  • 一括エラーハンドリング: 一つでもエラーが発生すれば、全体のPromiseが拒否されるため、エラーハンドリングが一箇所で行えます。

Promise.raceの使い方

Promise.raceは、複数のPromiseの中で最初に解決または拒否されたPromiseを返します。他のPromiseの状態に関わらず、最初の結果が返されます。

基本的な使い方

以下の例では、3つの非同期タスクを並列に実行し、最初に完了したタスクの結果を出力します。

function task1() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 1 complete');
            resolve('Result of Task 1');
        }, 1000);
    });
}

function task2() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 2 complete');
            resolve('Result of Task 2');
        }, 2000);
    });
}

function task3() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 3 complete');
            resolve('Result of Task 3');
        }, 1500);
    });
}

// Promise.raceの使用例
Promise.race([task1(), task2(), task3()])
    .then(result => {
        console.log('First task complete:', result);
    })
    .catch(error => {
        console.error('An error occurred:', error);
    });

利点

  • 最初の結果の迅速な取得: 最も早く完了するPromiseの結果をすぐに取得できます。
  • タイムアウト処理: 他のPromiseが時間がかかりすぎる場合に、特定のPromise(例えばタイムアウト処理)を最初に解決することで、全体の処理時間を制御できます。

使い分けのポイント

  • Promise.all: 全てのタスクが完了するのを待ち、結果をまとめて取得したい場合に使用します。例:複数のAPIからデータを取得して集約する場合。
  • Promise.race: 最初に完了するタスクの結果を利用したい場合に使用します。例:複数のリソースの中で最も早く応答するものを選択する場合。

Promise.allとPromise.raceを適切に使い分けることで、非同期処理を効率的に管理し、目的に応じた最適な結果を得ることができます。次に、Promiseを使ったエラーハンドリングについて解説します。

Promiseを使ったエラーハンドリング

非同期処理を扱う際、エラーハンドリングは非常に重要です。Promiseを使用することで、エラーハンドリングをシンプルかつ効果的に行うことができます。

基本的なエラーハンドリング

Promiseチェーンの最後に catch ブロックを追加することで、チェーン内で発生したいずれのエラーも一箇所で処理できます。

実装例

以下の例では、非同期タスクの途中でエラーが発生した場合のエラーハンドリングを示します。

function task1() {
    return new Promise((resolve, reject) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 1 complete');
            resolve('Result of Task 1');
        }, 1000);
    });
}

function task2() {
    return new Promise((resolve, reject) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 2 complete');
            // ここでエラーを発生させる
            reject(new Error('Task 2 failed'));
        }, 2000);
    });
}

function task3() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 3 complete');
            resolve('Result of Task 3');
        }, 1500);
    });
}

// Promiseチェーンでのエラーハンドリング
task1()
    .then(result1 => task2(result1))
    .then(result2 => task3(result2))
    .then(finalResult => {
        console.log('All tasks complete:', finalResult);
    })
    .catch(error => {
        console.error('An error occurred:', error);
    });

この例では、task2 でエラーが発生すると、catch ブロックに制御が移り、エラーメッセージが出力されます。

個別のエラーハンドリング

各Promiseの中で個別にエラーハンドリングを行うこともできます。この方法では、特定のタスクでエラーが発生した場合、そのタスク内で処理を行います。

実装例

function task1() {
    return new Promise((resolve, reject) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 1 complete');
            resolve('Result of Task 1');
        }, 1000);
    });
}

function task2() {
    return new Promise((resolve, reject) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 2 complete');
            reject(new Error('Task 2 failed'));
        }, 2000);
    }).catch(error => {
        console.error('Error in task 2:', error);
        // エラーを再度スローしないことで、後続の処理に影響を与えない
        return 'Default result of Task 2';
    });
}

function task3() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 3 complete');
            resolve('Result of Task 3');
        }, 1500);
    });
}

// 個別エラーハンドリングの例
task1()
    .then(result1 => task2(result1))
    .then(result2 => task3(result2))
    .then(finalResult => {
        console.log('All tasks complete:', finalResult);
    })
    .catch(error => {
        console.error('An error occurred:', error);
    });

この例では、task2 内でエラーが発生した場合でも、catch ブロック内でエラーハンドリングを行うため、後続のタスクへの影響を最小限に抑えます。

複数のエラーハンドリングポイント

複数のエラーハンドリングポイントを設定することで、異なるステージでのエラーに対処することもできます。

実装例

task1()
    .then(result1 => task2(result1))
    .catch(error => {
        console.error('Error after task 1:', error);
        // 必要ならば代替処理を行う
        return 'Default result after task 1';
    })
    .then(result2 => task3(result2))
    .catch(error => {
        console.error('Error after task 2:', error);
    })
    .then(finalResult => {
        console.log('All tasks complete:', finalResult);
    })
    .catch(error => {
        console.error('Final error handling:', error);
    });

この例では、各ステージで個別のエラーハンドリングを行い、最終的なエラー処理も行っています。これにより、柔軟で詳細なエラーハンドリングが可能になります。

Promiseを使ったエラーハンドリングを適切に行うことで、非同期処理におけるエラーの影響を最小限に抑え、信頼性の高いコードを実現できます。次に、Promiseチェーンの活用例について解説します。

Promiseチェーンの活用例

Promiseチェーンを活用することで、非同期処理の流れをシンプルかつ直感的に記述できます。ここでは、実際のシナリオに基づいた活用例をいくつか紹介します。

シナリオ1: APIデータの逐次取得と処理

複数のAPIエンドポイントからデータを取得し、それらのデータを順次処理する例です。

実装例

function fetchUserData(userId) {
    return fetch(`https://api.example.com/user/${userId}`)
        .then(response => response.json());
}

function fetchUserPosts(userId) {
    return fetch(`https://api.example.com/user/${userId}/posts`)
        .then(response => response.json());
}

function fetchPostComments(postId) {
    return fetch(`https://api.example.com/posts/${postId}/comments`)
        .then(response => response.json());
}

// ユーザーデータを取得し、その後投稿データ、コメントデータを順次取得
fetchUserData(1)
    .then(user => {
        console.log('User Data:', user);
        return fetchUserPosts(user.id);
    })
    .then(posts => {
        console.log('User Posts:', posts);
        // 最初の投稿のコメントを取得
        return fetchPostComments(posts[0].id);
    })
    .then(comments => {
        console.log('Post Comments:', comments);
    })
    .catch(error => {
        console.error('An error occurred:', error);
    });

この例では、ユーザーデータ、投稿データ、コメントデータを逐次的に取得し、各ステップで結果を処理しています。

シナリオ2: フォームデータの逐次送信と確認

複数のフォームデータを逐次的にサーバーに送信し、各送信の結果を処理する例です。

実装例

function sendFormData(formData) {
    return fetch('https://api.example.com/submit', {
        method: 'POST',
        body: JSON.stringify(formData),
        headers: {
            'Content-Type': 'application/json'
        }
    }).then(response => response.json());
}

const formData1 = { name: 'Alice', age: 25 };
const formData2 = { name: 'Bob', age: 30 };
const formData3 = { name: 'Charlie', age: 35 };

// フォームデータを逐次的に送信
sendFormData(formData1)
    .then(result1 => {
        console.log('Form 1 Result:', result1);
        return sendFormData(formData2);
    })
    .then(result2 => {
        console.log('Form 2 Result:', result2);
        return sendFormData(formData3);
    })
    .then(result3 => {
        console.log('Form 3 Result:', result3);
    })
    .catch(error => {
        console.error('An error occurred:', error);
    });

この例では、複数のフォームデータを順番にサーバーに送信し、各送信結果を処理しています。

シナリオ3: 画像の逐次処理とアップロード

複数の画像を逐次的に処理し、その後サーバーにアップロードする例です。

実装例

function processImage(image) {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Processing image:', image);
            resolve(`Processed ${image}`);
        }, 1000);
    });
}

function uploadImage(image) {
    return fetch('https://api.example.com/upload', {
        method: 'POST',
        body: JSON.stringify({ image }),
        headers: {
            'Content-Type': 'application/json'
        }
    }).then(response => response.json());
}

const images = ['image1.png', 'image2.png', 'image3.png'];

// 画像を逐次的に処理し、アップロード
images.reduce((promise, image) => {
    return promise
        .then(() => processImage(image))
        .then(processedImage => {
            console.log('Processed Image:', processedImage);
            return uploadImage(processedImage);
        })
        .then(uploadResult => {
            console.log('Upload Result:', uploadResult);
        });
}, Promise.resolve())
.catch(error => {
    console.error('An error occurred:', error);
});

この例では、画像を一つずつ処理し、それをサーバーにアップロードしています。

Promiseチェーンを活用することで、非同期タスクの複雑なフローをシンプルに記述でき、可読性と保守性が向上します。次に、逐次処理と並列処理のパフォーマンス比較について解説します。

逐次処理と並列処理のパフォーマンス比較

逐次処理と並列処理は、それぞれ異なる特性を持ち、使用するシナリオによってパフォーマンスが大きく変わります。ここでは、両者のパフォーマンスを具体的に比較します。

逐次処理のパフォーマンス

逐次処理は、タスクを一つずつ順番に実行します。以下の例では、3つの非同期タスクを逐次的に実行し、その所要時間を測定します。

実装例

function task1() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 1 complete');
            resolve('Result of Task 1');
        }, 1000);
    });
}

function task2() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 2 complete');
            resolve('Result of Task 2');
        }, 2000);
    });
}

function task3() {
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            console.log('Task 3 complete');
            resolve('Result of Task 3');
        }, 1500);
    });
}

console.time('Sequential Processing');
task1()
    .then(result1 => task2(result1))
    .then(result2 => task3(result2))
    .then(finalResult => {
        console.timeEnd('Sequential Processing');
    })
    .catch(error => {
        console.error('An error occurred:', error);
    });

この例では、全てのタスクが順番に実行されるため、合計時間は各タスクの実行時間の合計(1秒 + 2秒 + 1.5秒 = 4.5秒)となります。

並列処理のパフォーマンス

並列処理は、複数のタスクを同時に実行します。以下の例では、同じ3つの非同期タスクを並列に実行し、その所要時間を測定します。

実装例

console.time('Parallel Processing');
Promise.all([task1(), task2(), task3()])
    .then(results => {
        console.timeEnd('Parallel Processing');
    })
    .catch(error => {
        console.error('An error occurred:', error);
    });

この例では、3つのタスクが同時に実行されるため、合計時間は最も時間のかかるタスクの実行時間(2秒)となります。

パフォーマンス比較

処理方法実行時間
逐次処理約4.5秒
並列処理約2秒

並列処理は、全てのタスクを同時に実行するため、逐次処理に比べて大幅に時間を短縮できることが分かります。ただし、並列処理が常に最適というわけではなく、以下のようなケースでは逐次処理が適しています。

逐次処理が適しているケース

  • タスク間の依存関係: 一つのタスクが完了しなければ次のタスクを実行できない場合。
  • 順序が重要な場合: タスクの実行順序が結果に影響する場合。

並列処理が適しているケース

  • 独立したタスク: 各タスクが互いに独立している場合。
  • パフォーマンス重視: 全体の処理時間を最小化したい場合。

逐次処理と並列処理の特性を理解し、適切に使い分けることで、アプリケーションのパフォーマンスを最適化できます。最後に、この記事の内容をまとめます。

まとめ

本記事では、JavaScriptのPromiseを使った逐次処理と並列処理の実装方法について詳しく解説しました。まず、Promiseの基本概念とその利点を理解し、次に逐次処理と並列処理の違いと使い分けについて学びました。具体的な実装例を通して、Promiseチェーンの活用方法やエラーハンドリングの手法を紹介し、さらにPromise.allとPromise.raceの使い方についても触れました。

逐次処理はタスク間の依存関係がある場合に適しており、コードのフローが明確でデバッグが容易です。一方、並列処理はタスクが独立している場合に適しており、処理時間の短縮に効果的です。各シナリオに応じて、これらの処理方法を適切に使い分けることで、非同期処理を効率的に管理できます。

Promiseを正しく利用することで、JavaScriptの非同期処理のコードが簡潔で読みやすくなり、保守性が向上します。今後もPromiseを活用し、より効率的で信頼性の高い非同期処理を実装していきましょう。

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