KotlinのEnumクラスにカスタムロジックを追加する方法と実例

KotlinのEnumクラスにカスタムロジックを追加することで、単なる列挙型以上の柔軟な動作が可能になります。Enumクラスは、定数や状態を管理するための基本的な手段ですが、メソッドやプロパティ、カスタムコンストラクタを組み込むことで、ビジネスロジックや複雑な条件処理にも対応できます。

本記事では、KotlinのEnumクラスを活用して、カスタムロジックを追加する具体的な方法を詳しく解説します。シンプルなEnumクラスの定義から始め、メソッドの追加、プロパティやコンストラクタの利用、実践的な応用例まで、ステップごとにわかりやすく紹介します。KotlinのEnumクラスの柔軟性を活かし、効率的で管理しやすいコードを書けるようになることを目指しましょう。

目次

KotlinのEnumクラスとは


KotlinのEnumクラスは、定数や状態を管理するための特殊なクラスです。JavaのEnumと同様に、列挙型として複数の値を定義し、使用することができます。Kotlinでは、Enumクラスに追加のプロパティやメソッドを定義できるため、単なる列挙型にとどまらない柔軟な設計が可能です。

Enumクラスの基本構文


KotlinにおけるEnumクラスの基本的な定義は以下のようになります。

enum class Direction {
    NORTH,
    SOUTH,
    EAST,
    WEST
}

この例では、Direction というEnumクラスに NORTHSOUTHEASTWEST の4つの定数が定義されています。

Enumクラスの使用例


定数を使用する方法は簡単です。以下のコードを見てみましょう。

fun main() {
    val direction = Direction.NORTH
    println("選択した方向は: $direction")
}

出力結果

選択した方向は: NORTH

このように、Enumクラスは定数をシンプルに扱うための手段として非常に有用です。

Enumクラスの特徴


KotlinのEnumクラスには以下のような特徴があります:

  • 定数の集合を簡単に定義できる
  • プロパティやメソッドを追加できる
  • 名前やインデックスへのアクセスが可能

例えば、以下のコードで名前(name)やインデックス(ordinal)を取得できます。

fun main() {
    val direction = Direction.EAST
    println("名前: ${direction.name}, インデックス: ${direction.ordinal}")
}

出力結果

名前: EAST, インデックス: 2

KotlinのEnumクラスは、シンプルな定数管理だけでなく、カスタムロジックの追加によってさらに多機能に拡張できる点が大きな特徴です。次のセクションでは、Enumクラスにカスタムロジックを追加する必要性について解説します。

Enumクラスにカスタムロジックを追加する必要性


KotlinのEnumクラスは、単なる列挙型以上の役割を果たすことができます。Enumにカスタムロジックを追加することで、コードの可読性や保守性が向上し、プログラム全体の設計がシンプルかつ効率的になります。

カスタムロジックを追加するメリット

1. データと振る舞いを一元管理できる


Enumクラスにメソッドやプロパティを追加することで、各定数に固有のデータや振る舞いを持たせることができます。これにより、関連するロジックが分散せず一元管理され、コードが整理されます。

: 状態ごとに異なる動作を管理する場合

enum class State {
    START {
        override fun action() = "開始処理を実行"
    },
    RUNNING {
        override fun action() = "処理中"
    },
    FINISHED {
        override fun action() = "終了処理を実行"
    };

    abstract fun action(): String
}

fun main() {
    println(State.START.action())       // 開始処理を実行
    println(State.RUNNING.action())     // 処理中
    println(State.FINISHED.action())    // 終了処理を実行
}

2. 冗長な`when`文を削減できる


通常のEnumを使う場合、各定数ごとにwhen文を書いて処理を分けることが一般的ですが、カスタムロジックを追加することでこの冗長性を解消できます。

従来のwhen文の例

fun getMessage(state: State): String {
    return when(state) {
        State.START -> "開始処理を実行"
        State.RUNNING -> "処理中"
        State.FINISHED -> "終了処理を実行"
    }
}

カスタムロジックを追加した場合

fun getMessage(state: State): String = state.action()

when文を使わずに、Enum自体のメソッドを呼び出すだけで済むため、コードがシンプルになります。

3. 状態や設定値の拡張が容易


各定数にプロパティを追加することで、設定値や状態を動的に管理できます。

: 定数ごとに異なる値を設定

enum class Level(val difficulty: Int) {
    EASY(1),
    MEDIUM(3),
    HARD(5)
}

fun main() {
    println("Easyの難易度: ${Level.EASY.difficulty}") // Easyの難易度: 1
}

実際の開発での用途


カスタムロジックを追加することで、以下のようなシチュエーションに対応できます:

  • ゲーム開発で状態や難易度をEnumで管理
  • アプリケーションの状態管理(START、RUNNING、FINISHED)
  • APIや外部データにおけるエラーコードやHTTPステータス管理

このように、Enumクラスにカスタムロジックを追加することで、Kotlinのコードはより柔軟かつ効率的になります。次のセクションでは、シンプルなEnumクラスの定義方法について解説します。

シンプルなEnumクラスの定義


KotlinのEnumクラスは、列挙型をシンプルに管理するための強力な機能を提供します。基本的な定義方法を理解することで、柔軟な設計の基礎を固めることができます。

基本的なEnumクラスの定義


Kotlinでは、enumキーワードを使ってEnumクラスを定義します。

enum class DayOfWeek {
    MONDAY,
    TUESDAY,
    WEDNESDAY,
    THURSDAY,
    FRIDAY,
    SATURDAY,
    SUNDAY
}

この DayOfWeek というEnumクラスには、7つの定数が定義されています。

Enumクラスの使用例


定数にアクセスするのは簡単です。以下のコードを実行すると、Enum定数が取得できます。

fun main() {
    val today = DayOfWeek.FRIDAY
    println("今日の曜日は: $today")
}

出力結果

今日の曜日は: FRIDAY

Enumクラスの名前(name)とインデックス(ordinal)


KotlinのEnumクラスには、定数の名前インデックスにアクセスするためのプロパティがデフォルトで提供されています。

  • name:Enum定数の名前を取得します。
  • ordinal:Enum定数の順番(インデックス)を取得します。

以下は具体例です:

fun main() {
    val day = DayOfWeek.TUESDAY
    println("名前: ${day.name}, インデックス: ${day.ordinal}")
}

出力結果

名前: TUESDAY, インデックス: 1

全ての定数を取得する


Enumクラスでは values() 関数を使って、すべての定数を取得することができます。

fun main() {
    for (day in DayOfWeek.values()) {
        println(day)
    }
}

出力結果

MONDAY  
TUESDAY  
WEDNESDAY  
THURSDAY  
FRIDAY  
SATURDAY  
SUNDAY  

Enumクラスの値を文字列から取得する


valueOf() 関数を使えば、文字列からEnum定数を取得することもできます。

fun main() {
    val day = DayOfWeek.valueOf("MONDAY")
    println("取得した曜日は: $day")
}

出力結果

取得した曜日は: MONDAY

まとめ


シンプルなEnumクラスは、Kotlinで定数や状態を管理するための基本的な機能です。nameordinalプロパティ、values()valueOf()関数を利用することで、Enumクラスを効率的に活用できます。次のセクションでは、さらにカスタムロジックを追加してEnumクラスを拡張する方法を解説します。

Enumクラスにメソッドを追加する方法


KotlinのEnumクラスでは、各定数に振る舞い(メソッド)を追加することができます。これにより、定数ごとに異なる動作を定義したり、共通の処理を簡潔に管理することが可能です。

Enumクラスに共通のメソッドを追加する


すべての定数に対して共通の処理を定義する場合、Enumクラス内に通常のメソッドを追加します。

例:Enumクラスに共通メソッドを追加

enum class Operation {
    ADD, SUBTRACT, MULTIPLY, DIVIDE;

    fun describe(): String {
        return when(this) {
            ADD -> "足し算を行います"
            SUBTRACT -> "引き算を行います"
            MULTIPLY -> "掛け算を行います"
            DIVIDE -> "割り算を行います"
        }
    }
}

fun main() {
    println(Operation.ADD.describe())      // 足し算を行います
    println(Operation.MULTIPLY.describe()) // 掛け算を行います
}

出力結果

足し算を行います  
掛け算を行います  

このように、describeメソッドを追加することで、各定数に対応する動作を管理しています。


定数ごとに異なるメソッドの動作を定義する


KotlinのEnumクラスでは、各定数ごとに異なる動作を持たせることも可能です。

例:定数ごとに異なるメソッドを実装

enum class State {
    START {
        override fun action() = "開始処理"
    },
    RUNNING {
        override fun action() = "処理中"
    },
    FINISHED {
        override fun action() = "終了処理"
    };

    abstract fun action(): String
}

fun main() {
    println(State.START.action())       // 開始処理
    println(State.RUNNING.action())     // 処理中
    println(State.FINISHED.action())    // 終了処理
}

出力結果

開始処理  
処理中  
終了処理  

この例では、action という抽象メソッドを State Enumクラスに定義し、各定数でそのメソッドを具体的に実装しています。これにより、定数ごとに異なる振る舞いを持たせることができます。


定数ごとに共通のメソッドとプロパティを併用する


プロパティを追加して定数ごとに異なる値を持たせつつ、共通のメソッドを実装することも可能です。

例:プロパティと共通メソッドの併用

enum class Level(val difficulty: Int) {
    EASY(1),
    MEDIUM(3),
    HARD(5);

    fun describeDifficulty(): String {
        return "難易度: $difficulty"
    }
}

fun main() {
    println(Level.EASY.describeDifficulty())   // 難易度: 1
    println(Level.HARD.describeDifficulty())   // 難易度: 5
}

出力結果

難易度: 1  
難易度: 5  

まとめ


KotlinのEnumクラスにメソッドを追加することで、単なる定数管理に留まらず、定数ごとに異なる動作や共通の処理を一元管理できるようになります。定数ごとの振る舞いやデータを設計することで、コードの柔軟性と可読性が向上し、管理が容易になります。

次のセクションでは、Enumクラスにプロパティやカスタムコンストラクタを追加する方法について解説します。

Enumのプロパティとカスタムコンストラクタ


KotlinのEnumクラスでは、各定数に対して独自のプロパティやカスタムコンストラクタを追加することが可能です。これにより、定数ごとに異なるデータを設定し、柔軟な管理を実現できます。

プロパティを追加する方法


Enumクラスにプロパティを追加するには、コンストラクタを定義して各定数に値を渡します。

例: Enumクラスにプロパティを追加

enum class DayOfWeek(val isHoliday: Boolean) {
    MONDAY(false),
    TUESDAY(false),
    WEDNESDAY(false),
    THURSDAY(false),
    FRIDAY(false),
    SATURDAY(true),
    SUNDAY(true);
}

fun main() {
    println("土曜日は休日か: ${DayOfWeek.SATURDAY.isHoliday}") // true
    println("月曜日は休日か: ${DayOfWeek.MONDAY.isHoliday}")   // false
}

出力結果

土曜日は休日か: true  
月曜日は休日か: false  

この例では、isHoliday というプロパティを各定数に追加し、休日かどうかを判定しています。


プロパティとメソッドの併用


プロパティに加えて、メソッドを定義することで、定数ごとの振る舞いを組み込むことができます。

例: Enum定数ごとに異なるプロパティと振る舞い

enum class TrafficLight(val duration: Int) {
    RED(30) {
        override fun action() = "止まれ"
    },
    YELLOW(5) {
        override fun action() = "注意"
    },
    GREEN(45) {
        override fun action() = "進め"
    };

    abstract fun action(): String
}

fun main() {
    println("赤信号: ${TrafficLight.RED.action()}, 時間: ${TrafficLight.RED.duration}秒")
    println("黄信号: ${TrafficLight.YELLOW.action()}, 時間: ${TrafficLight.YELLOW.duration}秒")
    println("青信号: ${TrafficLight.GREEN.action()}, 時間: ${TrafficLight.GREEN.duration}秒")
}

出力結果

赤信号: 止まれ, 時間: 30秒  
黄信号: 注意, 時間: 5秒  
青信号: 進め, 時間: 45秒  
  • duration プロパティ:各信号に設定された時間(秒)
  • action() メソッド:信号ごとに異なる指示

このように、Enumクラスにカスタムコンストラクタとメソッドを追加することで、柔軟なロジックを実現できます。


デフォルトのプロパティと追加プロパティの使い分け


Enumにはデフォルトで name(定数の名前)と ordinal(インデックス)というプロパティが提供されていますが、これらに加えて独自のプロパティを定義することができます。

例: デフォルトプロパティとカスタムプロパティの利用

enum class Level(val difficulty: Int) {
    EASY(1),
    MEDIUM(3),
    HARD(5);

    fun describe(): String {
        return "レベル: $name, 難易度: $difficulty, インデックス: $ordinal"
    }
}

fun main() {
    println(Level.EASY.describe())
    println(Level.HARD.describe())
}

出力結果

レベル: EASY, 難易度: 1, インデックス: 0  
レベル: HARD, 難易度: 5, インデックス: 2  

まとめ


KotlinのEnumクラスにプロパティやカスタムコンストラクタを追加することで、定数にデータや振る舞いを組み込むことが可能です。これにより、Enumが単なる定数管理ツールから、柔軟なロジック管理のツールへと進化します。

次のセクションでは、実用的なカスタムロジックの具体例を紹介します。

実用的なカスタムロジックの例


KotlinのEnumクラスにカスタムロジックを追加すると、現実のシナリオで非常に効果的に活用できます。ここでは具体的な例を通じて、Enumクラスの実践的な使い方を紹介します。


1. HTTPステータスコードの管理


API開発などでHTTPステータスコードをEnumクラスで管理し、それぞれのコードに意味や説明を持たせる例です。

コード例

enum class HttpStatus(val code: Int, val description: String) {
    OK(200, "成功"),
    BAD_REQUEST(400, "不正なリクエスト"),
    UNAUTHORIZED(401, "認証エラー"),
    FORBIDDEN(403, "アクセス禁止"),
    NOT_FOUND(404, "リソースが見つかりません"),
    INTERNAL_SERVER_ERROR(500, "サーバーエラー");

    fun isServerError(): Boolean = this.code >= 500
}

fun main() {
    val status = HttpStatus.INTERNAL_SERVER_ERROR
    println("ステータス: ${status.name}, コード: ${status.code}, 説明: ${status.description}")
    println("サーバーエラーか: ${status.isServerError()}")
}

出力結果

ステータス: INTERNAL_SERVER_ERROR, コード: 500, 説明: サーバーエラー  
サーバーエラーか: true  

このように、HTTPステータスコードとその説明を一元管理し、ロジック(isServerError)も組み込むことでコードの可読性と保守性が向上します。


2. ゲーム内のキャラクター属性管理


ゲーム開発において、キャラクターの属性や能力をEnumクラスで定義する例です。

コード例

enum class CharacterType(val health: Int, val attackPower: Int) {
    WARRIOR(health = 150, attackPower = 30) {
        override fun specialAbility() = "強力な一撃"
    },
    MAGE(health = 80, attackPower = 50) {
        override fun specialAbility() = "魔法の呪文"
    },
    ARCHER(health = 100, attackPower = 40) {
        override fun specialAbility() = "遠距離攻撃"
    };

    abstract fun specialAbility(): String
}

fun main() {
    val character = CharacterType.MAGE
    println("タイプ: ${character.name}")
    println("体力: ${character.health}, 攻撃力: ${character.attackPower}")
    println("特殊能力: ${character.specialAbility()}")
}

出力結果

タイプ: MAGE  
体力: 80, 攻撃力: 50  
特殊能力: 魔法の呪文  

ここでは、キャラクターごとに異なる体力攻撃力特殊能力を管理し、動的な振る舞いも実装しています。


3. アプリケーションのモード切り替え


アプリケーションの動作モード(例:デバッグ、リリース、テスト)をEnumクラスで管理する例です。

コード例

enum class AppMode(val description: String) {
    DEBUG("デバッグモード。詳細なログを出力します。"),
    RELEASE("リリースモード。最適化された動作をします。"),
    TEST("テストモード。テストデータで動作します。");

    fun logMessage(): String = "現在のモード: $name - $description"
}

fun main() {
    val mode = AppMode.DEBUG
    println(mode.logMessage())
}

出力結果

現在のモード: DEBUG - デバッグモード。詳細なログを出力します。  

このように、アプリケーションの設定をEnumクラスで管理すると、コードがシンプルで明瞭になります。


まとめ

  • HTTPステータス管理:ステータスコードと説明の一元管理
  • ゲームキャラクター管理:キャラクター属性や特殊能力の定義
  • アプリモード管理:設定や挙動の切り替え

これらの実例を参考にすることで、KotlinのEnumクラスを実用的に活用でき、複雑なロジックも効率的に整理できます。

次のセクションでは、when式とEnumを組み合わせてロジックをさらに効率化する方法について解説します。

Enumクラスとwhen式の組み合わせ


KotlinのEnumクラスwhen式を組み合わせることで、Enumの各定数に応じた処理をシンプルに実装できます。when式は条件分岐を簡潔に記述できるため、Enumクラスとの相性が非常に良いです。


基本的なwhen式の利用


when式を使って、Enum定数ごとに異なる処理を行う例を見てみましょう。

例: 曜日ごとに異なるメッセージを表示

enum class DayOfWeek {
    MONDAY, TUESDAY, WEDNESDAY, THURSDAY, FRIDAY, SATURDAY, SUNDAY
}

fun getSchedule(day: DayOfWeek): String {
    return when(day) {
        DayOfWeek.MONDAY -> "会議の準備をしましょう。"
        DayOfWeek.TUESDAY -> "進捗報告の日です。"
        DayOfWeek.WEDNESDAY -> "集中作業日です。"
        DayOfWeek.THURSDAY -> "チームミーティングがあります。"
        DayOfWeek.FRIDAY -> "週末の振り返りを行います。"
        DayOfWeek.SATURDAY, DayOfWeek.SUNDAY -> "休息の日です。"
    }
}

fun main() {
    val today = DayOfWeek.FRIDAY
    println(getSchedule(today)) // 週末の振り返りを行います。
}

出力結果

週末の振り返りを行います。

このように、when式を利用することでEnum定数ごとに異なる処理を簡単に記述できます。


Enum定数にプロパティを持たせつつwhen式を使う


Enumにプロパティを追加し、その値に基づいてwhen式で処理を分岐する例です。

例: 信号機の状態ごとに異なるアクションを表示

enum class TrafficLight(val duration: Int) {
    RED(30),
    YELLOW(5),
    GREEN(45)
}

fun getAction(light: TrafficLight): String {
    return when(light) {
        TrafficLight.RED -> "止まれ(${light.duration}秒)"
        TrafficLight.YELLOW -> "注意(${light.duration}秒)"
        TrafficLight.GREEN -> "進め(${light.duration}秒)"
    }
}

fun main() {
    val currentLight = TrafficLight.YELLOW
    println(getAction(currentLight)) // 注意(5秒)
}

出力結果

注意(5秒)

この例では、TrafficLight Enumクラスにdurationというプロパティを追加し、when式を使って各信号の動作を表示しています。


Enumクラスとwhen式を使ったデフォルト処理


when式にはすべてのEnum定数を網羅する必要がありますが、elseブロックを利用してデフォルトの処理を指定することもできます。

例: 未定義の状態への対応

enum class Status {
    STARTED, RUNNING, FINISHED, UNKNOWN
}

fun getStatusMessage(status: Status): String {
    return when(status) {
        Status.STARTED -> "処理が開始されました。"
        Status.RUNNING -> "処理が進行中です。"
        Status.FINISHED -> "処理が完了しました。"
        else -> "不明な状態です。"
    }
}

fun main() {
    val status = Status.UNKNOWN
    println(getStatusMessage(status)) // 不明な状態です。
}

出力結果

不明な状態です。

elseブロックを使うことで、すべてのケースをカバーしつつ、予期しないEnum定数への対処が可能になります。


まとめ

  • 基本的な条件分岐when式を使ってEnumごとの処理を簡潔に記述する。
  • プロパティと併用:Enumクラスにプロパティを追加し、when式で活用する。
  • デフォルト処理elseを利用して未定義のケースにも対応可能。

when式とEnumクラスを組み合わせることで、コードの可読性と柔軟性が向上し、複雑なロジックもシンプルに管理できます。

次のセクションでは、Enumクラスの応用例と理解を深めるための演習問題を紹介します。

Enumクラスの応用例と演習問題


KotlinのEnumクラスにカスタムロジックやプロパティを追加することで、さまざまな実用的なシナリオに対応できます。ここでは、具体的な応用例と理解を深めるための演習問題を紹介します。


応用例:エラーハンドリングのステータス管理


エラーハンドリングや状態遷移をEnumクラスで管理することで、コードの可読性や拡張性が向上します。

例:APIエラーコード管理

enum class ApiError(val code: Int, val description: String) {
    BAD_REQUEST(400, "リクエストが不正です"),
    UNAUTHORIZED(401, "認証エラー"),
    FORBIDDEN(403, "アクセスが禁止されています"),
    NOT_FOUND(404, "リソースが見つかりません"),
    INTERNAL_SERVER_ERROR(500, "サーバーエラー");

    fun handleError(): String {
        return when(this) {
            BAD_REQUEST -> "入力データを確認してください。"
            UNAUTHORIZED -> "認証情報を再確認してください。"
            FORBIDDEN -> "権限がありません。"
            NOT_FOUND -> "対象のデータが存在しません。"
            INTERNAL_SERVER_ERROR -> "サーバー側でエラーが発生しました。"
        }
    }
}

fun main() {
    val error = ApiError.NOT_FOUND
    println("エラーコード: ${error.code}, 説明: ${error.description}")
    println("対処法: ${error.handleError()}")
}

出力結果

エラーコード: 404, 説明: リソースが見つかりません  
対処法: 対象のデータが存在しません。  

このように、APIエラーコードや説明、さらにエラーごとの対処方法を一元管理できます。


応用例:ユーザー権限管理


ユーザーの権限レベルをEnumクラスで管理し、各権限ごとにアクセスを制御する例です。

コード例

enum class UserRole(val accessLevel: Int) {
    ADMIN(3) {
        override fun getRoleDescription() = "管理者権限:全ての操作が可能"
    },
    EDITOR(2) {
        override fun getRoleDescription() = "編集者権限:コンテンツの編集が可能"
    },
    VIEWER(1) {
        override fun getRoleDescription() = "閲覧者権限:閲覧のみ可能"
    };

    abstract fun getRoleDescription(): String
}

fun main() {
    val role = UserRole.EDITOR
    println("役割: ${role.name}")
    println("アクセスレベル: ${role.accessLevel}")
    println("説明: ${role.getRoleDescription()}")
}

出力結果

役割: EDITOR  
アクセスレベル: 2  
説明: 編集者権限:コンテンツの編集が可能  

このように、役割ごとに異なる動作やプロパティを割り当てることで、権限管理がシンプルに実装できます。


演習問題


以下の問題に挑戦して、KotlinのEnumクラスへの理解を深めましょう。

  1. 問題1: 温度の状態をEnumクラスで管理
  • 以下の状態をEnumクラスで定義してください。
    • LOW(低温): “寒いです”
    • MEDIUM(適温): “快適です”
    • HIGH(高温): “暑いです”
  • 各状態にコメントを追加し、getTemperatureMessage() メソッドを実装してください。
  1. 問題2: ゲームの難易度レベル管理
  • EASY、MEDIUM、HARD の3つの難易度をEnumクラスで作成し、各難易度に対応する敵の出現頻度(数値)をプロパティとして追加してください。
  • 各定数ごとに「ゲームの説明」メソッドを実装し、出現頻度と共に表示してください。
  1. 問題3: 銀行口座の操作モード
  • Enumクラスを使って「口座の操作モード」を作成してください。
    • DEPOSIT(入金): “金額を入金します”
    • WITHDRAW(出金): “金額を引き出します”
    • BALANCE_CHECK(残高確認): “残高を確認します”
  • モードごとに操作の説明を出力するメソッドを実装してください。

まとめ


応用例では、APIエラー管理ユーザー権限管理、そしてシステム状態管理といったシナリオでEnumクラスが活用されることを紹介しました。演習問題に取り組むことで、Enumクラスの定義やカスタムロジックの実装をより深く理解できるでしょう。

次のセクションでは、本記事のまとめを行います。

まとめ


本記事では、KotlinのEnumクラスにカスタムロジックを追加する方法について、基本から応用まで詳しく解説しました。シンプルなEnumクラスの定義方法から始まり、プロパティやメソッドの追加、when式との組み合わせ、さらには実践的な応用例を紹介しました。

  • シンプルなEnum定義:定数の管理が可能
  • プロパティとメソッドの追加:データと振る舞いを一元化
  • when式との連携:Enumごとの動作を効率的に管理
  • 応用例:エラー管理や権限管理、ゲーム設計など現実のシナリオで活用

KotlinのEnumクラスを適切に使いこなすことで、コードの可読性や拡張性が大幅に向上します。この記事を参考にして、柔軟で管理しやすいプログラム設計を実現してください。

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