日々の業務や学習で活用されるMicrosoft 365が突然アクティベーションできなくなり、エラーコード「29」が表示されると、大切な作業が進まず大きなストレスに直面します。そこで今回は、エラーコード29が出た際に考えられる原因や具体的な解決策を詳しくご紹介します。複数のアカウントを利用している方やOutlookの利用が中心の方にとっても役立つ情報をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
Microsoft 365のアクティベーションエラー「コード29」とは
Microsoft 365(旧Office 365)では、ライセンス認証の仕組みが比較的柔軟に設計されていますが、環境や設定状況によってはうまくライセンスを更新できず、エラーコード「29」が表示されることがあります。具体的には、以下のような状況で発生するケースが多く見受けられます。
- 再インストールやアップグレード直後にライセンスが正しく認証されない
- 複数のMicrosoftアカウントを切り替えながら利用している
- Windowsのユーザープロファイルが破損しているか、認証キャッシュに不整合が生じている
- Microsoft側のサーバー障害または一時的な不具合が発生している
エラーコード29は、結果的にMicrosoft 365アプリが「表示のみ(View Only)」モードになるため、ドキュメントの編集や新規作成ができなくなり、Outlookでのメール送受信にも支障をきたす原因となります。
主な対処方法と解決の流れ
エラーコード29の解消にはいくつかの対処方法が知られています。下記では、比較的試しやすい順序で紹介していきます。
1. OneAuthとIdentityCacheフォルダの削除
まず最初に試していただきたいのが、Windowsのローカルフォルダに存在する認証・ライセンス情報のキャッシュをリセットする方法です。以下の手順で作業を行います。
OneAuth/IdentityCacheフォルダの削除手順
- Windowsキー + Rキーを同時に押して「ファイル名を指定して実行」ダイアログを開く
- 表示された入力欄に以下のパスを入力し、それぞれのフォルダの場所を開く
%localappdata%\Microsoft\OneAuth
%localappdata%\Microsoft\IdentityCache
- 開かれた「OneAuth」フォルダや「IdentityCache」フォルダを、まずはバックアップしておく(フォルダをコピーして別の場所へ保存する等)
- バックアップができたら、元フォルダを削除する
これらのフォルダを削除すると、Microsoft 365のアプリケーションが一度サインアウトされた状態となり、再度サインインが必要になります。このときキャッシュ内の不整合や古い認証情報が再生成されるため、ライセンス認証が正常に行われることが期待できます。
項目 | 内容 |
---|---|
手順の難易度 | 比較的易しい |
メリット | Windowsフォルダの削除のみで、OutlookアカウントやOfficeアプリの不整合をリフレッシュできる |
デメリット | 再ログインが必要(複数アカウントの設定などは保持されるが、再認証の手間が発生) |
2. レジストリ内の「Identity」キーを削除する(必要に応じて)
OneAuthやIdentityCacheフォルダの削除だけでは解決しない場合、レジストリの該当キーを削除し、ライセンス関連の情報を再取得する方法も有効です。ただし、レジストリを誤って編集するとWindows全体に不具合が生じるリスクがあるため、必ずバックアップを取り、慎重に作業を進めてください。
レジストリ編集手順
- Windowsキー + Rキーを同時に押し、「regedit」と入力してレジストリエディタを起動
- 以下のサブキーを探す
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Office\16.0\Common\Identity
- 「Identity」または「Identities」といったキー(フォルダ)をバックアップした上で削除
- レジストリエディタを閉じ、Windowsを再起動
Outlookに複数アカウントを設定している環境では、このキーを削除することで再度アカウント情報を設定し直す必要が出る可能性があります。そのため、「あまりにも手間が大きい」と感じる場合は、最初に紹介したフォルダ削除の方法のみを試すという選択肢も有効です。
注意点 | 内容 |
---|---|
リスク | レジストリ編集を誤るとシステムが不安定になる可能性がある |
対策 | 事前にレジストリのバックアップを行う、またはシステムの復元ポイントを作成 |
再設定 | Outlookアカウントの再サインインや設定が必要になる場合あり |
3. 上記操作後の認証手順
フォルダ削除やレジストリキー削除のいずれを行った場合も、以下の手順で再度ライセンスを有効にして正常に動作するかを確認します。
- すべてのMicrosoft 365アプリケーション(Word, Excel, Outlookなど)を終了する
- Windowsを再起動し、動作環境をリフレッシュ
- WordやOutlookなどのOfficeアプリを起動し、Microsoftアカウントでサインイン
- しばらく待つとライセンス認証が再取得され、エラーコード29が解消されているかを確認
場合によっては、再起動後に「アカウントに接続中…」や「ライセンスを確認しています…」と表示されたまま時間がかかることがあります。ネットワーク環境が安定しているか、プロキシ設定やVPNの影響がないかも合わせてチェックしてみてください。
上記で解決しない場合の追加対策
もし上記の操作を試してもエラーコード29が解消されない場合、原因が異なる可能性があります。以下の方法や視点でさらなる対処を試みましょう。
1. Web版のMicrosoft 365を一時利用する
エラーコード29が解決しない状態でも、Webブラウザ経由のOffice.comで提供されるWord, Excel, PowerPoint, Outlookなどは問題なく利用できる場合があります。業務や学習で急ぎの作業があるときには、まずWeb版でしのぎつつ、デスクトップ版の問題解決を進めるのも一つの手段です。
2. Windowsのユーザープロファイル再作成
Windowsのユーザープロファイル自体に破損や権限の不具合がある場合、Microsoft 365のライセンス認証プロセスが正常に動作しないことがあります。別のローカルユーザーまたはMicrosoftアカウントを新規に作成し、そちらでサインイン後にMicrosoft 365を利用すると問題なくアクティベーションできる場合があります。
ただし、ユーザープロファイルを切り替えると、デスクトップの環境や個人設定が初期状態に戻るため、必要なデータの移行や再設定などの手間が発生します。
3. Microsoft公式ツールの活用
Microsoftでは、「Microsoft Support and Recovery Assistant」(通称SaRA)や「Office 修復ツール」を提供しています。これらのツールは、Officeアプリの不具合やライセンス認証まわりの問題を自動検出・修復してくれる場合があるため、一度試してみる価値があります。
- Microsoft Support and Recovery Assistant(SaRA)
自動診断を行い、問題解決のアドバイスや修復処理を実行 - Office 修復ツール
コントロールパネルの「プログラムと機能」からOfficeを選択し、「変更」→「修復(オンライン修復またはクイック修復)」を試す
4. セキュリティソフトやネットワーク環境のチェック
外部のセキュリティソフトがOfficeアプリの通信をブロックしている、あるいはVPNやプロキシの設定がライセンスサーバーへのアクセスを阻害している可能性も否定できません。特に企業内ネットワークや特定のプロキシ環境下では、Microsoft 365に必要な認証要求がブロックされるケースが報告されています。
- 一時的にセキュリティソフトを無効化または緩和設定にしてみる
- VPN接続を解除してみる
- プロキシ設定を解除または確認
これらの手順で通信状況が改善すれば、エラーコード29が解消されることもあります。
エラーコード29再発防止のためのポイント
一度解決しても、再度Microsoft 365が認証できない事態にならないよう、次のような点に注意して運用しましょう。
1. Microsoftアカウントの整理
複数のMicrosoftアカウントをWindowsやOfficeアプリで切り替えながら利用していると、キャッシュの整合性が乱れやすくなります。可能であれば、本来ライセンスを持っているアカウントのみをメインでサインインするように心掛けると、トラブルの発生リスクを軽減できます。
2. 定期的なWindows UpdateとOffice Update
ライセンスエラーがマイクロソフト側のアップデートと関連している場合、Windows UpdateやOfficeアプリの更新が解決の手がかりになることがあります。自動更新をONにしている場合でも、手動で「更新プログラムを確認」する習慣をつけるとよいでしょう。
3. システムメンテナンスとバックアップ
レジストリの編集が必要になるようなトラブルは、日頃からバックアップをこまめに実施していればスムーズに対処できます。外付けHDDやクラウドストレージに定期的にファイルや設定をバックアップしておけば、万一システム全体にトラブルが及んでも復旧が容易です。
まとめ
Microsoft 365のエラーコード29は、認証情報のキャッシュやレジストリの設定が原因で起こることが多く、まずはOneAuthやIdentityCacheフォルダの削除、そして必要に応じてレジストリキーの削除を試すと改善する場合が多く見られます。万が一それでも解決しない場合は、Web版のMicrosoft 365の活用やユーザープロファイルの新規作成など、少し踏み込んだ方法を検討しましょう。
また、再発防止のためには、複数アカウントの利用状況を整理し、常に最新の更新プログラムを適用するなど、運用面からの見直しも重要です。トラブルが長引くと業務に大きな影響が出てしまいますので、早めに対処してスムーズな作業環境を取り戻してください。
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