Officeの永続ライセンスがMicrosoft 365に?サブスク要求を解決する方法

MacBook Proを手に入れて、ようやく憧れのOffice環境を整えたはずなのに、なぜか最近になって「Microsoft 365の更新が必要」というメッセージが表示される――こうした状況に戸惑う方は多いのではないでしょうか。今回は、その原因や具体的な対処法について詳しくご紹介します。

目次

突然「Microsoft 365 サブスクリプション更新」の通知が出る理由

パソコンを開くたびに「Microsoft 365の期限が切れている」「更新が必要」などの通知が出て、WordやExcelが一時的に使えなくなってしまう。こうしたトラブルは、Office製品のライセンス形態が何らかの理由でサブスクリプション扱いになっている、または本来サブスクリプションライセンスを使用しているアカウントが期限切れを迎えているために起こります。

買い切り型のはずなのにサブスクリプション扱いされる場合

「Office 2016を買い切りで購入したはずなのに、なぜかMicrosoft 365を求められる…」というケースは珍しくありません。Officeはマイクロソフトアカウントと紐づいてライセンスを管理しますが、以下のような要因で誤ってサブスクリプションライセンスが混在してしまうことがあります。

  • 過去にMicrosoft 365ファミリープラン(Family)やMicrosoft 365パーソナル(Personal)を契約したことがあり、アカウント情報が残っている
  • 家族や友人と共有していたOffice 365(現Microsoft 365)のライセンスが期限切れになった
  • Officeの再インストール時、誤ってサブスクリプション向けのインストールファイルを利用した
  • Office 2016や2019がプリインストールされているPCでも、同時に試用版(Microsoft 365)がアクティブになっていた

Officeのライセンス形態を確認する方法

まずは本当に買い切り型(永続ライセンス)のOfficeなのか、あるいはMicrosoft 365のサブスクリプションが有効になっているかを正確に確認することが重要です。手っ取り早いのはWordやExcelを起動し、アカウント情報や「製品のバージョン情報」をチェックする方法です。

Officeアプリからライセンス形態を確認する

以下はMac版Wordの例ですが、Windows版でも大きくは変わりません。メニューの文言がやや異なる場合があります。

  1. Wordを起動して「Word」メニューから「Word について」もしくは「アカウント」を選択
  2. 画面右側や下部に表示されるライセンス情報を確認
  3. 「Microsoft 365サブスクリプション」「Subscription」という文言が表示されるか、「Office 2016」「Office 2019」「Office 2021」などのバージョンと「永続ライセンス(Retail)」といった表示が出るかチェック

もしサブスクリプションと表示されている場合は、あなたのアカウントがMicrosoft 365(定期契約型ライセンス)で認証されていることを示します。一方で「Retailライセンス」や「パッケージ版」「ボリュームライセンス」などと表示されていれば買い切り型ライセンスの可能性が高いです。

以下に、よくあるライセンス形態の一覧表を載せます。参考にしてみてください。

ライセンス名更新形態主な特徴
Microsoft 365 Family / Personalサブスクリプション月額・年額更新。常に最新版機能が利用可能
Office 2016 / 2019 / 2021 (Retail)買い切り(永続ライセンス)一度購入すれば基本的に追加の契約不要。サポート終了あり
Volume License (例: Office LTSC)買い切りまたは特定契約法人向けの大口契約ライセンス(別途サポート形態)

買い切り型(永続ライセンス)のOfficeなのに更新を求められるときの対処法

Office 2016や2019を購入しているにもかかわらず、Microsoft 365へのアップグレードを促すメッセージが出たり、「サブスクリプションが切れているため使用できません」といったアラートが表示されたりすることがあります。この場合、以下のような手順で問題の切り分けと解決を図りましょう。

1. 正しいOfficeのプロダクトキーで再認証を試す

買い切り型Officeを利用している場合でも、OSのアップデートやOfficeの再インストールなどを行うと、ライセンス情報が外れてしまうことがあります。手元に正規のプロダクトキー(25桁の英数字)がある場合は、もう一度入力してみると問題が解決することがあります。

再認証手順の例(Windows版 Office 2019)

# 管理者権限のコマンドプロンプトまたはPowerShellを開く
# Officeのライセンス認証ツールを利用するためのディレクトリに移動
cd "C:\Program Files\Microsoft Office\Office16"

# ライセンス認証状態を確認
cscript ospp.vbs /dstatus

# プロダクトキーを入力(XXXXX-XXXXX-XXXXX-XXXXX-XXXXXの部分に自身のキーを入力)
cscript ospp.vbs /inpkey:XXXXX-XXXXX-XXXXX-XXXXX-XXXXX

# ライセンスを再認証
cscript ospp.vbs /act

上記のコマンドはWindows版の例で、Office 2019/2021などでも同様に利用できます。Macの場合は専用の再インストール手順やライセンス認証プロセスが異なるため、Microsoft公式サイトのサポートドキュメントを確認しましょう。

2. 余計なサブスクリプションライセンスの削除やアカウントの切り替え

Officeを起動した際、Microsoftアカウントでサインインを求められたときに、誤って「サブスクリプション契約」を持っている別アカウントでサインインしている可能性があります。または、過去に試用版(トライアル版)のMicrosoft 365を利用したアカウントが混在していることも。そのような場合は、以下のステップで解決を試みます。

  1. Officeアプリを終了し、Microsoftアカウントの管理ページ(account.microsoft.com)にアクセス
  2. 現在のサインイン情報を確認し、不要なアカウントが含まれていないかをチェック
  3. [サービスとサブスクリプション]画面や[アプリとサービス]などの項目から、試用版や期限切れのサブスクリプションが存在しないか確認
  4. 不要なサブスクリプションは解約、または自動更新を停止
  5. 再度Officeを起動し、本来の買い切り型Officeライセンスを保有するアカウントでログインし直す

これで正しいライセンス状態に復帰できる場合があります。ただし、すでにMicrosoft 365の試用版や共有プランのライセンスが混在している場合は、ライセンス認証画面で優先されるのがサブスクリプションライセンスになることがある点に注意しましょう。

3. Officeのアンインストールとクリーンインストールを行う

どうしてもライセンス認証がうまくいかず、意図しないサブスクリプションメッセージが繰り返し表示される場合は、一度Officeを完全にアンインストールし、クリーンインストールを試すのも手段の一つです。

  • Windowsなら「コントロールパネル」→「プログラムのアンインストール」、または「設定」→「アプリ」からOfficeを削除
  • Macの場合は「アプリケーション」フォルダ内のOffice関連のアプリを削除し、ライブラリフォルダ内の設定ファイル(~/Library/Containers/)からMicrosoft Office関連のデータを手動削除
  • その後、正規のダウンロードリンクもしくは購入時のインストーラを使ってOfficeを再インストール
  • インストール完了後、必ず自分の保有している永続ライセンス用プロダクトキーで認証を実施

このプロセスは少し手間がかかりますが、ライセンス情報が混在している状態をリセットするには有効です。

Microsoft 365サブスクリプションが本来の契約だった場合

一方で、本当にMicrosoft 365のサブスクリプションライセンスを使用していた場合、更新切れを起こすと数日の猶予期間を経た後にOfficeアプリの機能が制限されます。親御さんや家族が契約しているFamilyプランを共有している場合、契約者が更新をしないと家族共有も無効化されてしまうのです。

Familyプランの共有が途切れたとき

  • 契約者(家族など)のMicrosoftアカウントの有効期限が過ぎている
  • 支払い方法が無効になり更新処理に失敗している
  • 別の家族アカウントへの共有設定に切り替わったり、共有枠がいっぱいになっていたりする

こういった理由で共有が外れてしまうと、あなたのアカウントではMicrosoft 365がアクティブに利用できなくなり、「更新が必要」というメッセージが表示されます。契約者に更新を依頼するか、自分で新たにMicrosoft 365を契約する必要があります。

Microsoftアカウント管理ページでの確認が重要

Microsoft 365の管理状況を把握するには、以下の手順を踏んでください。

  1. https://account.microsoft.com にアクセス
  2. メインのMicrosoftアカウントでサインイン
  3. 「サービスとサブスクリプション」から現在の契約状況(Family / Personalなど)や有効期限をチェック
  4. 家族の共有管理(Family Safety)にアクセスして、共有メンバーに自分のアカウントが含まれているか再度確認

もし期限切れになっている場合は、更新手続きを進めるか新たにライセンスを取得する必要があります。

原因別対処法まとめ

ここまでの内容を整理すると、買い切り型ライセンスとサブスクリプション型ライセンスは、それぞれ次のように対処するのがベストです。

1. 買い切り型(Office 2016/2019/2021など)の場合

  • プロダクトキーを再入力して再認証を試みる
  • サブスクリプションアカウントが混在していないか確認する
  • どうしても問題が解決しないときはOfficeを一度アンインストールし、クリーンインストールを実施
  • サポート終了後もライセンス自体は使い続けられるが、セキュリティ更新が限られる可能性あり

2. Microsoft 365サブスクリプション(Family / Personal)の場合

  • 家族共有の場合は、契約者のサブスクリプションが更新されているか確認する
  • 自分のアカウントが正しく共有されているか、または期限切れになっていないかをチェック
  • 必要であれば、自分自身でMicrosoft 365を新規契約する
  • オンラインのMicrosoftアカウント管理ページでライセンス状態を随時把握する

「Officeをアップグレードしませんか?」の案内を非表示にしたい

買い切り型Officeを使い続けたいユーザーにとって、Microsoft 365へのアップグレード誘導メッセージはやや煩わしく感じる場合もあるでしょう。残念ながら、マイクロソフト側がOffice 2016や2019のサポートライフサイクルを縮めたり、新バージョンを積極的に案内する傾向があるため、完全に案内が消えることは保証できません。

ただ、一部レジストリの編集(Windows環境)やOfficeのアップデート設定を調整することで、アップグレードの案内を抑止できるケースもあります。以下はWindows環境向けの一例です(レジストリ操作は自己責任で行ってください)。

Windows Registry Editor Version 5.00

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Office\16.0\Common\Portal]
"ShowGraphics"=dword:00000000
"ShowPrompt"=dword:00000000

これはOffice 2016/2019/2021のリボンや起動時に表示されるアップグレード通知を抑制する可能性があります。ただし、すべての環境で有効とは限らず、バージョンアップの状況により設定が変わる場合もあるため注意しましょう。

まとめ: Officeライセンスを正しく把握して快適な環境を維持しよう

本来は一度買い切りで済むはずのOffice製品が、いつの間にかMicrosoft 365サブスクリプション扱いになってしまうのは、アカウントの混在や過去の試用版ライセンスなど、さまざまな原因が考えられます。しかし、まずは「本当に買い切り型なのか」または「実はサブスクリプションを利用していたか」をしっかりと確かめることが大切です。

  • 買い切り型の場合: ライセンスキーの再認証や、不要なサブスクリプションアカウントの削除、アンインストールと再インストールなどを行いましょう。
  • サブスクリプション型の場合: 更新切れや共有トラブルを疑い、管理ページで契約状況や共有設定を改めて確認してみてください。

Office 2016や2019といった永続ライセンス版は、メインストリームサポートが終了してもすぐに使えなくなるわけではありませんが、セキュリティリスクやソフトウェアの更新が限られる点に注意が必要です。仕事や学習で常に最新の機能を必要とするなら、Microsoft 365への移行を検討するのも賢明でしょう。一方、「機能は十分足りている」「とにかく追加のコストをかけたくない」という方は、永続ライセンス版を引き続き活用し、余計な通知を出さないよう設定を最適化することが重要です。

自分の用途や予算、利用スタイルに合わせて最適なOffice環境を選び、スムーズな作業を続けていきましょう。混乱を防ぐためにも、Officeアプリでのライセンス表記やMicrosoftアカウントの「サービスとサブスクリプション」を定期的にチェックし、常にライセンス状態を把握しておくことをおすすめします。

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