いつも仕事やプロジェクトの進行管理にTeams Plannerを利用していると、タスクの期限をまとめて変えたい状況や、ボードを分かりやすく整理したいと感じるシーンは少なくないはずです。そこで本記事では、複数のタスクを同時に編集するワークアラウンド(回避策)や、列(バケット)の並び替え・削除の可否、さらに他ツールの検討ポイントについて、できるだけ詳しく解説します。
Teams Plannerで複数のタスクの期限を一括変更したい
Teams Plannerを使ってプロジェクト管理を進めていると、状況の変化に伴って「設定した期限を大幅にずらしたい」と感じる場面があるでしょう。しかしながら、Plannerの標準機能には複数タスクの一括変更ができる仕組みが存在せず、以前あったとされる機能も現時点では利用できなくなっています。ここでは、その対処方法や回避策について詳しく解説します。
標準機能の現状
Planner上で複数タスクの期日をまとめて変更する標準機能は、現時点では存在していません。タスクを個別に開き、期日を一つずつ調整していくのが正式なやり方です。工数が大きくなるため、チーム内で大量のタスクを管理している場合には非効率的といえます。
回避策1: Excelへのエクスポートとインポート
Plannerにはタスク情報をExcelへエクスポートする機能が用意されています。ここでは、そのExcelを利用した作業手順の流れと、考慮すべきポイントを解説します。
- Planner画面から「エクスポート」機能を利用
Plannerの上部にある「…」メニューなどからタスク情報のエクスポートが可能です。エクスポートすると、タスクID、タスク名、期限日などがExcelファイルに書き出されます。 - Excelファイル上で期限を一括変更
ダウンロードしたExcelを開き、期限(日付)をまとめて変更します。フィルタ機能や数式を活用すれば、複数のタスクの期日を一気に再設定できます。たとえば、特定の条件に合致するタスクを抽出して一括でセルを上書きすれば効率的です。 - Plannerへの再インポート(要注意)
修正後のExcelをPlannerにインポートすることで、タスク情報を更新できます。しかし、組織やテナントのポリシーによっては「インポート」オプションが表示されない、あるいはユーザー権限上ブロックされている可能性があります。また、一度エクスポートした情報を再インポートする際に、タスクIDやリスト構造が変わっていると整合性の問題が発生しやすく、トラブルの原因となるケースもあります。
チェックポイント
- インポート機能が使用可能かどうか
- 再インポートする前に、タスクIDが変更されていないか
- Excelの編集履歴管理やバックアップの確保
Excelの編集をスムーズにするテクニック
Excelで日付をまとめて変更する際には、以下のような機能を使ってみると便利です。
- オートフィル
隣接するセルに連続した日付を入力したい場合に有効です。ShiftキーやCtrlキーを使うと連続データのコピーやインクリメントが簡単に行えます。 - 条件付き書式
タスクの重要度や期限の緊急度に応じて色を付けると、視覚的にわかりやすくなります。 - テーブル機能
Excelのテーブル化機能を使えばフィルタや並び替えがスムーズに行えます。多くのタスクを管理する場合におすすめです。
回避策2: Power Automate(旧Microsoft Flow)の活用
Excelのエクスポート/インポートが制限されている、あるいは大量のタスクを繰り返し変更したい場合には、Power Automateを利用した自動化も検討に値します。ただし、組織のセキュリティポリシーによりフローの作成自体が制限されているケースがあるため、まずは利用可能かどうかを確認しましょう。
- フローの設計
- トリガーとして「定期的なスケジュール実行」や「ボタン押下時」などを設定します。
- Plannerコネクタを使用してタスク情報を取得し、期限の一括変更処理を組み込みます。
- フローの最後に更新したタスク情報をPlannerへ反映します。
- 条件分岐の設定
すべてのタスクを同じ日付に変更する場合は単純ですが、「特定のバケットのみ期限を1週間延期する」「開始日や完了率に応じて期限を延長する」など、条件分岐を利用すると柔軟な運用が可能です。 - 実行と確認
フローを手動またはスケジュール実行で動かし、Planner上にタスク更新が反映されているかを確認します。問題があれば、フロー内のステップを見直し、トラブルシューティングを行います。
下記は、Power AutomateでPlannerのタスクを更新する際のイメージコード例です。実際のフローはGUI操作中心になりますが、バックグラウンドでは以下のようなAPI呼び出しが行われています。
{
"name": "Update Planner Tasks",
"triggers": [
{
"type": "Recurrence",
"frequency": "Day",
"interval": 1
}
],
"actions": [
{
"type": "ListTasks",
"plannerId": "XXXX",
"bucketId": "YYYY"
},
{
"type": "ForEachTask",
"tasks": "@outputs('ListTasks')",
"actions": [
{
"type": "UpdateTask",
"plannerId": "XXXX",
"taskId": "@items('ForEachTask')?['id']",
"dueDateTime": "@addDays(items('ForEachTask')?['dueDateTime'], 7)"
}
]
}
]
}
上記例では、全タスクの期限を7日後に繰り延べる例となっています。実運用に合わせて条件分岐を追加し、必要に応じて開始日や完了チェックリストへの変更も可能です。
一括変更が難しい場合の選択肢
エクスポート/インポートやPower Automateの利用が組織ポリシーによって制限されている場合、現在のところはタスクを一つずつ開いて手動で期限を変更していくしかありません。手間はかかりますが、確実かつ安全にタスク管理を行える方法でもあります。
手動変更を効率化する工夫
- ショートカットキーの活用: Plannerではタスクの一覧を素早く開閉できるショートカットキーが用意されていないため、ブラウザの「戻る」や「タブを複数開く」などを駆使すると手戻りが減ります。
- 優先順位付け: 期限が近いタスクや、後工程に影響が大きいタスクから順に変更すると、チーム全体の遅延リスクを下げられます。
- メモ欄の活用: タスクごとに「変更理由」や「変更日」をメモに残しておくと、後から振り返ったときに管理しやすくなります。
Plannerの列の削除や並び替えはできるのか
Plannerでタスクを管理していると、「列(バケット)の並び替えがうまくできない」「不要な列を削除して見やすくしたい」といった要望が出てくることがあります。特に複数人で同じボードを操作していると、列構成の混乱がプロジェクトの見通しを悪くする原因にもなります。
現状の制限
Plannerの標準機能では、バケット(列)の自由な並び替えや削除を細かく設定できるオプションがありません。新規バケットは追加できますが、既存のバケットを完全に削除する場合にはタスクの移動などを先に行わなければならず、プロジェクトが進行中だと整理しづらい状況が生まれます。
ワークアラウンド
- バケット名の再利用
バケットそのものを削除する代わりに、バケット名を変更して新たな用途として使い回す方法です。古いタスクをすべてアーカイブ的に別バケットへ移動し、使わなくなったバケット名を上書きして再利用することで、Planner上の混乱を防げる場合があります。 - タスクを移動して不要バケットを空にする
どうしてもバケットを削除したい場合は、各バケット内のタスクを別のバケットへ移動して空にした上で削除します。タスクがひとつでも残っていると削除できないため注意が必要です。
Microsoftへのフィードバック
UIのカスタマイズは多くの利用者から要望が寄せられている機能のひとつです。Microsoft公式のFeedback Hubやコミュニティフォーラムなどを活用して、直接要望を出すことが推奨されます。多くのユーザーが同じ声を上げることで、将来的に列の操作機能が強化される可能性があります。
サードパーティ製タスク管理アプリの検討
Plannerの機能が限定的で、かつ組織内の制限によりエクスポート/インポートやPower Automateが使えない場合、Microsoft 365と連携が可能なサードパーティ製のタスク管理ツールを導入する選択肢があります。最近ではオンラインでの共同作業が当たり前になってきており、UI/UXや機能性、ライセンスコストなど、さまざまな観点で製品を比較できます。
サードパーティ製品を導入するメリット
- 豊富なカスタマイズ性
Plannerにはない列の並び替えやタスク一括変更などの機能をサポートしているツールもあります。カスタムフィールドやガントチャートなど、プロジェクト管理の幅を大きく広げられます。 - 詳細なレポーティング機能
タスクの進捗をグラフィカルに表示したり、リソースの稼働状況をモニタリングしたりといった高機能レポートを備えていることが多いです。経営層への報告やKPI管理がスムーズになります。 - M365との統合
OutlookカレンダーやTeamsチャットへの通知連携など、Microsoft 365の主要アプリケーションとシームレスに連動できる製品が増えています。サインインもAzure AD(Azure Active Directory)アカウントで行えるケースが多く、ユーザビリティの向上が期待できます。
導入時に検討すべきポイント
- ライセンス形態とコスト
ユーザー単位の月額料金がかかるものから、組織規模ライセンスまでプランは様々です。機能とコストのバランスを見極めて選ぶと良いでしょう。 - UI/UXの使いやすさ
現場担当者が実際に使いやすいかどうかは極めて重要です。トライアル版やデモ版を利用し、直感的に操作できるか確認することをおすすめします。 - サポート体制
日本語の問い合わせが可能か、障害発生時に迅速に対応してもらえるかなど、サポートのクオリティも運用コストに大きく影響します。 - セキュリティ要件
コンプライアンスやデータ保存場所、アクセス制御の仕組みなど、組織が求めるセキュリティレベルを満たしているかを事前に確認しましょう。
サードパーティ製品比較表の一例
以下は、架空ツールを例にして比較したイメージ表です。実際の製品選定時には、公式ドキュメントやレビューサイトなどで最新情報を調べましょう。
製品名 | カスタマイズ性 | M365連携 | ライセンス費用 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
TaskPro | 充実 | 対応 | 月額1ユーザー数千円 | ガントチャート機能が豊富。API連携が充実 |
ManageMaster | 中程度 | 対応 | 年額契約のみ | テンプレート機能と豊富なダッシュボード |
SimpleBoard | やや限定的 | 一部対応 | 無料プランあり | 小規模プロジェクト向けで、UIがシンプル |
HyperTask | 非常に高い | 深く対応 | エンタープライズ契約 | 大規模組織向け。カスタム権限設定が細かい |
まとめ
Teams Plannerを利用していると、一度に多くのタスクの期限を変更したり、バケット(列)を柔軟に操作したりといったニーズが必ず出てきます。現状では、以下のように対処するしかありませんが、今後のアップデートや外部ツールの活用によって、よりスムーズな運用が期待できます。
- 複数タスクの期限一括変更: Excelのエクスポート/インポートやPower Automateを使った自動化が主要な回避策。
- エクスポート/インポート不可の場合: 手動で一つずつ期限を変更するしかないが、ショートカットやタブ切り替えなどで効率化を図る。
- Plannerの列の並び替え/削除: 標準機能では制限が大きい。フィードバックをMicrosoftに送り、改善を待つのが現実的。
- サードパーティ製の検討: Microsoft 365と連携できる製品が増えており、複雑なプロジェクト運用には有力な選択肢となる。
いずれにせよ、Plannerは日々進化を続けているため、実際に利用しながらアップデート情報をチェックし、組織のニーズに合った運用ルールやツールを最適化していくことが重要です。日々の業務効率化とチームコラボレーションを高めるためにも、今回紹介した各回避策や代替アプリを積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
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