Microsoft EdgeのCopilotバーを無効化する方法~「Show Hubs sidebar」ポリシーで一括制御

Microsoft Edgeに搭載されたCopilotバーは、便利な一方で社内ポリシーや業務要件上、サイドバー機能自体を制限したい場合があります。とはいえ、グループポリシーで設定を行おうとしても、該当のポリシーやフォルダが見つからず戸惑うケースも少なくありません。本記事では、管理テンプレート(ADMX/ADML)の導入手順やグループポリシーの適用方法を中心に、Copilotバーの無効化を実現するためのポイントを詳しくご紹介します。

Microsoft EdgeサイドバーとCopilotの概要

Microsoft Edgeには「サイドバー」という仕組みがあり、その一部としてCopilotが搭載されています。CopilotはAI技術を活用して情報収集や検索補助を行う機能で、業務の効率化やユーザーエクスペリエンスの向上に寄与する可能性があります。しかし、企業内ネットワークなどでの運用では、以下のような事情からCopilotを含むサイドバーを無効化したいケースもあるでしょう。

  • セキュリティポリシーの遵守
    機密情報が扱われる環境では、外部との通信を制限し、不要な機能を無効化する要件が定められることがあります。Copilotが動作することで想定外の通信が行われる可能性を懸念する企業もあるでしょう。
  • ユーザーインターフェースの統一
    新機能が追加されることで、社内のヘルプデスクへ問い合わせが増えるなどの運用コストが上昇するリスクがあります。環境を標準化する目的から、ユーザーが触る余地のある機能を削減しておきたい場合に、サイドバー機能全般を無効化したいと考えるかもしれません。
  • 社内ルールへの準拠
    社内のセキュリティガイドラインやITガバナンスの観点で、新しい機能を許可する前にリスク評価や利用目的の審議が求められることがあります。正式な許可が下りるまでは新機能をオフにしておきたい、といったニーズも考えられます。

こうした背景から、Microsoft Edgeのサイドバーを無効にしてCopilotへのアクセスを遮断するために、グループポリシーで制御をかけようとする動きが出てきます。ところが、標準のWindows 11の管理テンプレートでは、対象のポリシーが見つからないという声もあり、解決策として「Microsoft Edge専用の管理テンプレートの導入」が必要になります。

「Show Hubs sidebar」ポリシーとは

Copilotバーを一括で無効化できる仕組み

Microsoft Edgeを管理するうえでは、サイドバーを個別機能ごとにオン・オフするポリシーが細かく用意されているわけではありません。Copilotをピンポイントで無効化するポリシーは現時点では存在せず、サイドバー全般を非表示にすることでCopilotも実質的に無効化するアプローチが行われます。

「Show Hubs sidebar」は、そのサイドバー全体の表示・非表示を制御するポリシーです。これを無効に設定すると、結果としてCopilotも表示されなくなります。企業や教育機関などで「Copilotを含むサイドバーをまとめて無効にしたい」と考える場合、このポリシーが鍵を握ることになります。

管理テンプレート(ADMX/ADML)の導入が必要な理由

Windows 11標準のテンプレートではポリシーが不足

Windows 11が標準で提供している管理テンプレートには、多岐にわたるグループポリシー設定が含まれていますが、Microsoft Edge関連の設定が網羅されているわけではありません。特に、新機能であるサイドバーやCopilotに関するポリシーは、Windows 11のデフォルトテンプレート内に含まれていないケースが多いです。

Microsoft Edge専用テンプレートの入手先

Edgeの管理テンプレートは、Microsoft公式サイトでダウンロードできます。下記のようなリンク先から入手可能です。

ダウンロードしたファイルを展開すると、ADMX/ADMLファイルが含まれており、これらをドメインコントローラー(もしくはローカル)のPolicyDefinitionsフォルダーへ配置することで、グループポリシーエディター(GPMC)にMicrosoft Edge関連の設定が反映されるようになります。

テンプレート配置の具体例

以下のようにフォルダーを整理して配置すると、うまく認識されるケースが多いです。

ファイル名配置先備考
Edge.admxC:\Windows\PolicyDefinitionsEdge用の主要ポリシー定義ファイル
Edge.admlC:\Windows\PolicyDefinitions\ja-JPEdgeポリシーの日本語リソースファイル
MSEdgeChromium.admxC:\Windows\PolicyDefinitionsChromiumベースのEdge向けテンプレート
MSEdgeChromium.admlC:\Windows\PolicyDefinitions\ja-JP上記に対応する日本語リソース

ドメイン環境で運用している場合は、\\<ドメイン名>\SYSVOL\<ドメイン名>\Policies\PolicyDefinitions 配下に配置します。複数のドメインコントローラーがある場合でもSYSVOLが同期されるため、どのコントローラーからGPOを編集しても同じテンプレートが使われるようになるのがポイントです。

グループポリシーでのポリシー確認

「Microsoft Edge」フォルダーの表示

管理テンプレートの配置が完了したら、GPMCを起動して以下の場所を確認します。

  1. 「コンピューターの構成」
  2. 「管理用テンプレート」
  3. 「Microsoft Edge」

上記のフォルダーが見えていれば、Microsoft Edge関連のポリシーが正しくインポートされている証拠です。もし表示されない場合は、配置場所やファイル名のミスがないか再度確認してください。

「Show Hubs sidebar」の場所

Microsoft Edgeのポリシーは多岐にわたりますが、「Show Hubs sidebar」は以下のような階層に含まれている場合が一般的です。

コンピューターの構成
  └ 管理用テンプレート
      └ Microsoft Edge
          ├ ...
          ├ Show Hubs sidebar
          └ ...

ポリシー名は英語のまま表記されていることもあります。「Hubs sidebar」という単語を探してみると発見しやすいでしょう。見つからない場合は、管理テンプレートのバージョンに依存している可能性があるため、最新のテンプレートをダウンロードしてみることをおすすめします。

「Show Hubs sidebar」ポリシーの設定手順

サイドバーとCopilotを無効化する方法

「Show Hubs sidebar」ポリシーを開くと、以下のようなオプションが表示されます。

  • 未構成 (Not Configured): 既定の状態
  • 有効 (Enabled): サイドバーが表示される
  • 無効 (Disabled): サイドバーが非表示になる

Copilotだけでなく、すべてのサイドバー機能がまとめて無効化されます。設定を「無効」にしてGPOを適用し、Edgeを再起動または強制更新するとCopilotバーも現れなくなるはずです。

ドメインGPOとローカルGPO

一般的には、社内全体で適用する場合はドメインGPOを使用します。ドメインGPOを作成し、「コンピューターの構成」の方で「Show Hubs sidebar」を無効に設定したうえで、適切なOU(組織単位)やセキュリティグループを対象にポリシーをリンクすれば、対象のWindows端末で一括管理が可能です。テスト環境で試す場合など、ローカルGPOで同じ設定を行うこともできます。

ドメインGPOの設定例

1. Group Policy Management Console(GPMC)を起動
2. 該当する組織単位(OU)を右クリックし、「Create a GPO in this domain, and Link it here...」を選択
3. 新規GPOにわかりやすい名前(例: "Disable Edge Sidebar")を付ける
4. 作成したGPOを右クリックし、「Edit」を選択
5. エディターが開いたら「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「Microsoft Edge」を展開
6. 「Show Hubs sidebar」をダブルクリックし、「無効」に設定
7. GPOを閉じて変更を保存

その後、クライアントPCでグループポリシーの更新を行うと設定が反映されます。コマンドプロンプトまたはPowerShellで下記コマンドを実行すれば、ポリシーの強制更新を実行できます。

gpupdate /force

Edgeが起動中であれば、一度ウィンドウを閉じて再起動すると、サイドバーのアイコンが消えていることを確認できます。

よくあるつまずきポイントと対処法

1. テンプレートが正しく配置されていない

管理テンプレート(ADMX/ADML)を正しい場所へ配置していなかったり、ファイル名を変更してしまった場合、GPMCに「Microsoft Edge」のポリシーが表示されないことがあります。ファイルの配置パスを再確認したり、テンプレートのバージョンをチェックして最新のものに差し替えてみてください。

2. Windowsのエディションやバージョンが古い

ChromiumベースのEdgeが動作しないWindows 7やWindows 8.1など、サポートが終了に近いOS環境で利用している場合、最新のテンプレートを導入しても不具合が生じる可能性があります。基本的にはWindows 10やWindows 11の最新バージョンで試すことを推奨します。

3. ポリシーが適用されない

ドメイン環境であれば、GPOの適用範囲が正しく設定されているか(リンク先のOUやセキュリティフィルターなど)を確認しましょう。また、競合するポリシーや上位のGPOによるオーバーライドの可能性もチェックが必要です。同一設定が複数のGPOに含まれている場合は、最優先となるGPO(リンクの順序が上位のもの)が最終的に適用されます。

サイドバー無効化以外の考慮ポイント

Edgeのバージョン管理

「Show Hubs sidebar」などのポリシーはEdgeのバージョン依存で挙動が変わる可能性があります。企業内で大量のクライアントを一斉に管理する場合には、Edgeのバージョンをある程度固定したり、自動更新をコントロールしておくと、混乱を避けやすくなります。

Copilotの今後のアップデート

MicrosoftはCopilot機能を積極的に拡張しているため、今後ポリシー名や制御方法が変わる可能性もあります。公式ドキュメントやMicrosoft 365管理センターのリリース情報を定期的にチェックすることで、機能追加やポリシー拡張が告知されるタイミングを把握しておくと良いでしょう。

ユーザー教育と周知

サイドバーの無効化は技術的な制御だけでなく、ユーザーへの周知や教育も重要です。なぜ無効化が必要なのか、セキュリティや運用管理上の観点から説明することで、混乱や反発を最小限に抑えられます。また、今後Copilotが再度有効化される可能性がある場合、導入時期やルールについてもあらかじめガイドラインを設けておくとスムーズです。

まとめ

Copilotを含むMicrosoft Edgeのサイドバーを無効化するためには、まず「Microsoft Edge専用の管理テンプレート(ADMX/ADML)」をダウンロード・インストールしておく必要があります。そのうえで「Show Hubs sidebar」ポリシーを無効に設定することで、サイドバー全体が非表示になり、結果的にCopilotの利用を制限できます。

企業や教育機関など大規模な環境の場合、ドメインGPOを用いて一括設定するのがおすすめです。ポリシーが見当たらないトラブルの多くは、テンプレートの導入ミスやバージョン不一致などによって発生します。ファイル配置やエディターの表示を丁寧に確認し、最新のテンプレートを活用しましょう。

また、今後もMicrosoft EdgeやCopilotのアップデートが行われる可能性があるため、常に最新情報を追いかけつつ、ポリシー設定が組織の運用に合った形になっているかを定期的に見直すことをおすすめします。

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