最新Microsoft EdgeでのOverscroll強制オン問題を徹底解説:原因と対処法

さまざまなウェブ作業を行ううえで、ブラウザの使いやすさや操作感は非常に重要です。中でもタッチパッドでの操作が多い方にとっては、些細な挙動の変化が大きなストレスとなることもあります。そこで今回は、最新のMicrosoft Edgeで生じたOverscroll(弾力的なスクロール)問題と、その具体的な対処法について詳しく解説していきます。

Microsoft Edge v.128.0.2739.67で発生しているOverscroll問題

最新バージョンのMicrosoft Edge(v.128.0.2739.67)にアップデート後、タッチパッドやタッチ操作によるスクロール時に、通常であれば無効化できるはずのOverscroll(弾力的スクロール)が常にオンになってしまう現象が報告されています。
このOverscrollが常時有効になることで、縦方向のスクロールが誤って横方向のジェスチャーとして認識されるケースが多発し、意図せずページが移動してしまうなどの操作トラブルが発生しているようです。

具体的な症状

  • ノートパソコンのタッチパッドで軽くスクロールしようとすると、上下スクロールだけでなく横スクロールも同時に反応してしまう
  • 見ていたウェブページの戻る・進む操作が意図せず発動し、入力作業やリサーチが中断される
  • スクロールバーが弾力的に動作し、設定で「edge://flags/#elastic-overscroll」を無効化しているはずなのに、常にオンの状態が続く

こうした問題は、特にタッチ操作を多用するユーザーにとって非常にストレスとなります。一方で、セキュリティ上の観点から「旧バージョンへロールバックする」ことを懸念する声もあり、何らかの恒久的な対策が望まれているのが現状です。

なぜOverscrollが問題になるのか

通常、タッチ操作による“弾力的なスクロール”は、モバイル端末やタブレットでの操作性向上のために役立ちます。スクロールが行き止まりに達しても画面が少し弾むように動くため、操作に対する反応が分かりやすく感じる方も多いでしょう。
しかし、ノートパソコンやPCのタッチパッドで同様の挙動が発生すると、細かなジェスチャーの違いで意図しない操作が多発する恐れがあります。特に作業中にブラウザを横方向にスワイプしてしまうと、前のページに戻ってしまったり、別のタブに切り替わったりするなど、業務効率を大きく損ねる原因になります。

Overscroll強制オン問題への対処方法

今回のEdge最新版において、公式には「edge://flags/#elastic-overscroll」フラグの操作でOverscrollを制御できるとされています。しかしながら、「無効化」が効かないとの報告が多く寄せられています。ここでは、現時点で効果があったとされる対策をいくつかご紹介します。

1. アクセシビリティ設定からOverscrollをオフにする

最新アップデートでは、従来のフラグ設定に加えて「設定」→「アクセシビリティ」にOverscrollを切り替える項目が追加されています。日本語UIでは「弾力的なスクロールを無効にする」または「Elastic Overscrollをオフにする」といった表記が見られる可能性があります。

具体的な手順(例)

  1. Edgeを起動し、右上の「…」アイコンから「設定」を開く
  2. 左側のメニューから「アクセシビリティ」を選択
  3. メニュー内に「Overscroll」あるいは「Elastic Overscroll」に該当するチェックボックスやトグルがあればオフにする
  4. ブラウザを再起動し、タッチパッドでのスクロール挙動を確認

この方法で解決したという報告が既にコミュニティでいくつか挙がっています。ただし、Edgeのバージョンやプレビュー版との違い、あるいはOSの設定状況によって表示される項目名が微妙に異なる場合があるので、完全に同じ操作フローが通用しない可能性もあります。

アクセシビリティ設定が表示されない場合の対処

  • 一度Edgeを完全に終了し、再度起動しなおす
  • Windows Updateが最新になっているか、OS側のアップデートも同時に確認する
  • プライマリ言語を切り替えたり、日本語環境の再設定を行ってみる
  • ブラウザの再インストール

もしどうしても該当項目が見当たらない場合は、次に紹介する回避策も検討してください。

2. 旧バージョンへのロールバック(あくまでも応急処置)

不本意ではありますが、どうしても最新バージョンでのOverscroll問題が解消できない場合、Microsoftのサイトから旧バージョンのEdgeを入手して一時的にインストールする手段もあります。ただし、旧バージョンを使い続けることはセキュリティリスクを伴うため、やむを得ない一時的な回避策として利用するに留めましょう。

ロールバックする場合の注意点

  • セキュリティホールが修正されないままの状態が続くため、機密性の高い作業には不向き
  • Microsoftアカウントや同期設定を有効にしている場合、バージョンの差異から不具合が起こる可能性がある
  • Windows Updateやプレビュー版の更新によって、自動的に最新バージョンに再アップデートされてしまうこともある

本質的な解決策ではないため、時間が許す限り別の方法を探すか、次にご紹介するようなEdge以外の環境調整を検討することをおすすめします。

3. 今後の修正見込み

Overscrollに関するバグや設定の不具合は、Microsoftコミュニティフォーラムを通じてすでに複数報告が行われています。Microsoftの技術チームもこれを認識しており、フォーラム上で公式のやり取りが行われることも少なくありません。
実際に過去のEdgeバージョンでも、類似のフラグが無効化できない問題が報告されており、その際は数週間ほどで修正版がリリースされました。今回のケースでも同様に、比較的早い段階で修正パッチが適用される可能性があります。アップデート通知やEdgeのリリースノートをこまめにチェックすることで、問題解決のタイミングを見逃さないようにしましょう。

Edgeだけが原因じゃない?ドライバ設定やOS設定の確認

一見するとブラウザの問題に見える現象でも、OSやドライバ設定の影響で過度に感度が高くなっている可能性があります。特にタッチパッドのドライバソフト(SynapticsやElanなど)を利用している場合、Windows側の設定で「2本指ジェスチャー」や「3本指ジェスチャー」が有効化されていることがあります。

OS側・ドライバ側の設定チェック

  • Windowsの設定
    「設定」→「デバイス」→「タッチパッド」で、2本指ジェスチャーや3本指ジェスチャーの項目を確認し、不要な操作が割り当てられていないかをチェックします。
  • ドライバの詳細設定
    メーカー独自の設定パネル(例:Synaptics TouchPad、Elan TouchPadなど)を開き、スクロール関連の感度や弾力的な設定がある場合はオフにしてみてください。
  • OS更新のタイミング
    Edgeのバージョンアップと同時期にOS更新が行われると、設定ファイルがリセットされることもあります。いつのまにかジェスチャー設定が初期化されている可能性もあるため注意が必要です。

以下のような表を作り、各設定項目と効果を整理してみると状況を把握しやすくなります。

設定項目確認場所推奨設定
2本指ジェスチャーによる水平方向移動Windows「設定」→「デバイス」→「タッチパッド」オフにする、あるいは検出感度を「低」にする
3本指・4本指ジェスチャーWindows「設定」→「デバイス」→「タッチパッド」「何もしない」へ変更
Synaptics等のドライバのスクロール設定メーカー独自のコントロールパネル弾力的なスクロール機能があればオフにする
Edgeのフラグ(elastic-overscroll)edge://flags/#elastic-overscroll無効に設定(現状無効化不可報告あり)
Edgeのアクセシビリティ機能Edge「設定」→「アクセシビリティ」「Overscrollをオフ」にする

上記のように、全体の設定状況を一覧できるようにすると、どこに問題があるかを段階的に切り分けられます。最終的に、EdgeのOverscroll設定だけでなく、ドライバやWindows側での設定を最適化しておくことが望ましいといえます。

ブラウザの使い分けも検討しよう

急ぎの業務がある場合など、どうしても最新バージョンのEdgeでスクロールが不安定なままでは作業効率が落ちてしまいます。一時的な措置として、同じChromiumベースのGoogle ChromeやBrave、またはFirefoxといった別ブラウザを使い分けるのもひとつの方法です。
特にChromiumベースのブラウザであれば、拡張機能の互換性やUIが比較的似通っているため、Edgeから乗り換えやすいというメリットがあります。ただし、業務環境によってはMicrosoftアカウントやAzure Active Directoryとの統合を前提としたEdge特有のメリットを捨てがたい場合もありますので、状況に応じて検討してください。

まとめと今後のポイント

Microsoft Edge v.128.0.2739.67で発生しているOverscroll強制オン問題は、タッチパッドを中心に操作しているユーザーにとって大きな悩みとなっています。しかし、以下のような対処法を組み合わせることで、問題の緩和・解消が期待できます。

  1. アクセシビリティ設定でOverscrollをオフにする
  • Edge本体の「設定」→「アクセシビリティ」からOverscroll機能を無効化する。
  • バージョンによっては項目が表示されない場合もあるため要確認。
  1. 旧バージョンへのロールバックを最終手段として検討
  • セキュリティリスクを伴うため、長期的な運用には向かない。
  • 企業ネットワークや機密情報の扱いが多い環境では特に推奨度は低い。
  1. 今後の修正版リリースの可能性をチェック
  • Microsoftコミュニティや公式リリースノートを随時確認。
  • コミュニティで継続的に報告されているため、早期修正に期待。
  1. ドライバ設定やOS設定を並行して確認
  • タッチパッドのジェスチャー割り当てや感度設定、Windows側のアップデート状況などを総合的に見直す。
  1. 状況によっては他ブラウザの導入を検討
  • 緊急の業務や作業に支障が出る場合、一時的な代替策としてChromeやFirefoxに切り替える。

最終的にはMicrosoftからの修正アップデートを待つ形になると予想されますが、それまでの間はアクセシビリティ設定やタッチパッドのジェスチャー設定を活用しつつ、少しでもストレスを軽減していきましょう。Edge独自の機能を活かしながら快適に作業を行うためにも、定期的にリリースノートを確認して、最新の情報をキャッチアップすることが大切です。

コメント

コメントする