パソコンでPDFを閲覧するとき、Microsoft Edgeの組み込みPDFビューワーを活用している方は多いでしょう。しかし最近、テキストを追加しようとすると意図せず文字に枠線が表示されてしまう問題が報告されています。新しい外観への切り替えやアップデートが影響していると見られ、企業環境ではセキュリティポリシーにより設定画面へアクセスできないなど、簡単に解決できないケースもあるようです。本記事では、この枠線表示の原因や対処法、企業向けに導入を検討すべき代替策までを詳しく解説します。
EdgeのPDFビューワーで枠線が表示される問題の概要
Microsoft Edgeの組み込みPDFビューワーでテキストを追加すると、文字の周囲に枠線(四角いボックス)が付いてしまうという現象が目立つようになりました。以前は問題なく使えていたユーザーも多く、「ある日突然アップデート後に枠線が出るようになった」という声が増えています。この枠線はPDFファイルを注釈(アノテーション)機能で編集するときに表示されるもので、意図しない場合には非常に煩わしく感じられます。
企業など大規模な環境では、パソコンの設定やブラウザのフラグ(Flags)を自由に変更できない場合があるため、いっそう解決が難しくなりがちです。さらに、管理者権限が必要だったり、セキュリティルールで「edge://flags」へアクセスできなかったりと、ユーザー側だけで問題を解消できないケースも少なくありません。
なぜ枠線が表示されるのか
Microsoft EdgeのPDFビューワーは、Google ChromeベースのChromiumエンジンをベースにした機能を備えています。そのため、Edge固有の実装とChromium本体の更新が同時に進んでおり、互換性や仕様の変更が起きる場合があります。加えて、最新のEdgeには「新しい外観のEdgeを試す」機能や「New PDF Viewer」という実験的なフラグが存在し、これらがオン・オフされることでPDFの注釈機能も影響を受けるようになっています。
また、Edge独自の注釈機能が強化される一方で、デフォルト設定が変更され、テキストボックスを付与するときに枠線が常時表示されてしまう挙動が導入された可能性があります。ユーザーにとっては必ずしも望ましい変更ではなく、枠線が目立つために作業効率が下がったり、業務書類の見栄えが悪くなったりすると不満の声が出ています。
主な解決策・回避策と詳細な手順
この問題に対して、ユーザーの間ではいくつかの解決策・回避策が共有されています。以下のステップを試してみることで、枠線が消えるかどうかを確認することが可能です。ただし、企業環境などでセキュリティ設定が厳しい場合は、管理者やIT部門に相談のうえで対応を検討してください。
1. 「New PDF Viewer」を有効化する
手順
- Edgeのアドレスバーに「edge://flags」と入力してアクセスします。
- 画面右上や検索欄で「PDF」と入力し、「New PDF Viewer」が表示されるか確認します。
- デフォルト(Default)設定の場合、「Enabled」に切り替えます。
- ブラウザを再起動すると、変更が反映されます。
期待される効果
一部のユーザー報告によれば、「New PDF Viewer」を有効にすることで従来のPDFビューワーに近い動作に戻り、テキストを追加した際の枠線が表示されなくなるという事例があります。Microsoftは新旧のPDFビューワーを並行して提供しており、実験的機能としてフラグ経由での切り替えが可能です。そのため、旧来の動作を維持したい場合には、この設定変更が最もシンプルな回避策となることが多いです。
注意点
- 企業のグループポリシーなどで「edge://flags」へアクセスが制限されている場合、この設定自体が行えない可能性があります。
- 「New PDF Viewer」はまだ実験的機能として扱われているため、今後のアップデートで挙動が変更される可能性があります。
- フラグの切り替えには管理者権限が必要な場合があります。
2. Edgeの外観設定から新しいデザインをオフにする
手順
- Edge右上の「・・・」をクリックし、表示されたメニューから「設定(Settings)」を選択します。
- 左側のメニューから「外観(Appearance)」を選びます。
- 「Try the new look and feel of Microsoft Edge(新しい外観のEdgeを試す)」という項目があれば、トグルスイッチをオフにします。
- Edgeを再起動し、PDFビューワーで枠線が消えるか確認します。
期待される効果
こちらは「New PDF Viewer」のフラグをいじらずに、ブラウザの外観デザインを旧来の状態に戻すアプローチです。新しい外観のEdgeに切り替わったタイミングで仕様変更が行われた可能性があるため、これを無効化することで枠線の表示トリガーを回避できる場合があります。
注意点
- この設定もユーザーの環境によっては表示されないことがあります。
- 企業環境で「ブラウザ外観の変更が禁止」などの制限ポリシーがあると設定そのものが表示されないケースがあります。
- オフにすると新しい外観や機能を利用できなくなるため、Edgeの最新UIを楽しみたいユーザーにはデメリットかもしれません。
3. EdgeのBeta版・Canary版を試してみる
手順
- Microsoftの公式サイトからInsiderプログラム版のEdge(Beta/Canary)をダウンロードします。
- PCにインストールし、通常版Edgeとは別に起動してテストを行います。
- PDFビューワーの挙動がどう変化するかを確認します。
期待される効果
Beta版やCanary版では、公式にリリースされる前の修正や新機能が先行して適用されることがあります。そのため、問題がすでに修正されていれば、Insider版を利用することで枠線問題が解決される可能性があります。正式版リリース前に試すことで、今後のアップデートの見通しを得られるメリットもあります。
注意点
- 不安定な機能やバグが含まれる可能性があるため、業務利用のPCに導入する際は慎重な検討が必要です。
- 企業のIT部門がInsider版の導入を認めていない場合、管理者権限が必要になったりインストール自体が制限されるケースがあります。
- Beta/Canary版への切り替えと設定移行に手間がかかるため、導入コストを見極める必要があります。
4. 別のPDFビューアを利用する
概要
どうしてもEdgeのフラグ設定や外観変更ができない、あるいは試してみても改善しない場合、Adobe Acrobat Readerや他社製PDFビューアをインストールし、そちらでPDFを開いて注釈を行う方法が最も確実な回避策となります。
期待される効果
- 枠線表示がEdge固有の問題であれば、他のPDFビューアではそのような挙動が起きないため、ストレスなく注釈を付与できます。
- 企業環境で採用されている場合には、既に管理者側でインストールが推奨・許可されていることも多いので導入がスムーズです。
注意点
- Edgeでオンライン上のPDFをプレビューする手軽さが失われるため、都度、別ソフトを開く手間が発生します。
- Adobe Acrobatなどの有償ソフトを使用する場合、ライセンスコストがかかる可能性があります。
- 企業ポリシー上、許可されていないアプリケーションのインストールが難しい場合は管理部門との調整が必須です。
企業環境での考慮点
企業や職場でのパソコン利用では、セキュリティポリシーや管理者権限の問題から簡単にEdgeのフラグをいじることができません。特に「edge://flags」へのアクセスがブロックされている場合、個人の手だけでは解決が困難です。以下のポイントを踏まえて、適切な対処を検討すると良いでしょう。
グループポリシーの確認と管理者への相談
セキュリティを重視する企業では、レジストリやグループポリシー(GPO)でブラウザの挙動を細かく制御していることがあります。このため、ユーザーが勝手に「edge://flags」を変更できないよう制限しているケースが多々あります。こうした場合はIT管理者に相談し、フラグを変更するのか、別のPDFビューアを導入するのかという対策を社内で検討してもらう必要があります。
バージョンアップのスケジュール
大企業ではEdgeやWindowsのバージョンアップを制御し、安定版のみを導入する運用を敷いていることがあります。今回の枠線表示問題は比較的新しいバージョンのEdgeで起きやすいとの報告もあるため、企業のアップデートポリシーに沿って段階的に更新が行われるのを待つしかない場合もあります。将来的にMicrosoftから正式な修正が入れば、通常のアップデートとともに解決される可能性が高いでしょう。
代替ブラウザの利用に関するポリシー
企業によっては「業務上使用するブラウザはEdgeのみ」と定められている場合があり、その場合は簡単にChromeやFirefoxを使えないことがあります。PDFビューアについても同様の規定があることがあり、Adobe Acrobatの導入が許可されていない場合は社内稟議を通す必要があるなど、実務的なハードルが存在します。こうした状況をふまえて最適な回避策を検討することが大切です。
表で見る主な回避策とメリット・注意点
以下の表に、主な回避策とメリット・注意点を整理しました。自分の環境でどの方法が最も実践しやすいか、参考にしてください。
回避策 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
「New PDF Viewer」を有効化 | 簡単な設定変更で枠線が消える可能性 旧来のPDFビューワーに近い動作 | edge://flagsへのアクセス制限があると実施不可 実験的機能のため将来的に仕様変更の恐れ |
外観設定から新しいデザインをオフ | フラグをいじらずに手軽にできる 設定画面から切り替えるだけ | 企業ポリシーで設定画面が制限される可能性 新しいUIを利用できなくなる |
Beta版・Canary版のEdgeを試用 | 問題が修正済みの場合は早期解決 最新機能を体験できる | 不安定でバグが潜むリスク 管理者権限や企業ポリシーの承認が必要 |
別のPDFビューアを使う | Edge固有の問題を回避しやすい PDF編集機能が豊富なソフトを選べる | Adobe Acrobatなどは有料の可能性 都度起動の手間や企業ポリシーの問題 |
Edgeアップデートによる最新情報と今後の展望
一部のユーザーからは、最近のEdgeアップデートで突然枠線が消えた、あるいはクリックすると枠線が外れるようになったという報告も出ています。これはMicrosoftが段階的にロールアウトしている修正や仕様変更が、すでに一部の環境に適用されているためと推測されます。
しかし一方で、同じバージョンでも枠線が残り続ける環境があるなど、一貫性に欠ける面も見受けられます。Edgeは頻繁にアップデートされており、小さな修正が積み重なって最終的に問題が解消される可能性も高いですが、企業環境のようにアップデートが遅れるケースでは、しばらく不便を我慢しなければならないこともあります。
最終的なまとめ
Microsoft EdgeのPDFビューワーでテキスト追加時に意図せず枠線が表示される問題は、多くのユーザーが体験しており、アップデートや実験的フラグが原因になっていると考えられます。手元で対処できる場合は「New PDF Viewer」を有効化したり、外観設定から新しいデザインをオフにするのが第一の手段ですが、企業や職場ではセキュリティポリシーや管理者権限の問題から、簡単に設定変更できない場面も多々あるでしょう。
そうした制限のある環境では、IT管理者に状況を報告し、許可を得てからフラグを変更する、あるいは代わりに別のPDFビューアを導入するなどの方法を検討する必要があります。現状、Microsoftからの公式アナウンスはまだ限定的ですが、今後のアップデートで恒久的な修正が入ることを期待できます。それまでの間、業務効率や書類の体裁を損ねないためにも、今回紹介した回避策をうまく取り入れて対処してみてください。
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