Microsoft Edgeを使っていると、「Secure Preferences」ファイルにマルウェアが検出されるケースがあります。これは不審ソフトウェアによって改ざんされた設定情報であり、削除しても再度検出されることがあるのが厄介です。本記事では、その対策と安全にEdgeを復旧する手順をわかりやすく解説します。
「Secure Preferences」ファイルとは何か
Microsoft Edgeでは、各種設定や拡張機能、言語設定などをファイルに保存しています。その中でも「Secure Preferences」は特にブラウザのセキュリティ関連設定や拡張機能の許可状態などが含まれる重要なファイルです。このファイルが何らかの外部プログラムや不審ソフトウェアによって改ざんされると、ブラウザの起動時や再起動時にマルウェアスキャンソフト(Malwarebytesや他のウイルス対策ソフト)が「PUP.Optional.StartPage」などの脅威として検出することがあります。
なぜマルウェア扱いされるのか
本来、ユーザーが正しくインストールした拡張機能や設定変更は問題になりません。しかし、一部の不正プログラムはEdgeの「Secure Preferences」ファイルに次のような変更を加えることで、悪質な検索エンジンや広告ページへ誘導したり、ブラウザ動作を不安定にさせたりします。
- ホームページURLの強制変更
- 不審な拡張機能の自動有効化
- ユーザーが意図しない検索エンジンの設定変更
- ブラウザのスタートページ書き換え
これらがウイルス対策ソフトやマルウェアスキャンで検出される原因となっています。
「Secure Preferences」ファイル改ざんによる影響
- ブラウザ起動時の読み込みが遅くなる
- 検索を実行すると、意図しないページに飛ばされる
- ブラウザ全体の動作に異常が生じる可能性がある
- 最悪の場合、パスワードなどの個人情報が漏洩するリスクにつながる
ただし、検出されたマルウェア(PUP.Optional.StartPageなど)が常に高度な攻撃を行うわけではありません。ほとんどの場合は煩わしい広告や勝手な初期ページ変更を目的とした「アドウェア」系が多いと考えられますが、油断は禁物です。検出された以上は、早期に削除・無効化するのが望ましいでしょう。
再起動の度に再検出される理由
多くの場合、「Secure Preferences」ファイルを削除しても再度生成される際に、同じ不審ソフトウェアが背後で改ざんしていることが原因です。下記のようなケースが考えられます。
- PC内部にまだ不審ソフトウェアが残っている
- Edge以外のブラウザやシステム設定が改ざんされている
- 何度削除しても、PCを起動するたびに自動で設定を書き換えるプログラムが動作している
このように「Secure Preferences」ファイルを消しても問題が解決しないのは、元凶となるソフトウェアのアンインストールや駆除が行われていない、または何らかのサービスが裏で動いているからです。
マルウェアを完全に削除する全体の流れ
マルウェアを確実に排除し、再度検出されないようにするには、以下の流れで対策を進めると効果的です。
- 不審ソフトウェアのアンインストール
- 「Secure Preferences」ファイルの削除またはEdgeのリセット
- ブラウザ拡張機能の見直し
- システム全体のマルウェアスキャン
- PCの再起動と再度の確認
どれか一つだけの対処にとどまると問題が再発する恐れが高いため、総合的に取り組むことが大切です。
ステップ1:不審ソフトウェアのアンインストール
再発を防ぐには、まず不審ソフト(例:PC App Storeなど)を確実にアンインストールする必要があります。Windows 10やWindows 11の場合は、以下の手順が一般的です。
- Windowsの「設定」を開く
- 「アプリ」または「アプリと機能」を選択
- インストール済みのプログラム一覧から、不審なソフトウェアを探してアンインストール
不審ソフトの見極めが難しいときは、最近インストールしたソフトを上から順に確認していくとよいでしょう。心当たりのないソフトがあれば、インターネットで検索して正当なプログラムかどうかを調べるのも有効です。
ステップ2:「Secure Preferences」ファイルの削除またはEdgeのリセット
不審ソフトウェアをアンインストールしたら、マルウェアとして検出されている「Secure Preferences」ファイル自体をリセットしましょう。削除しても大きな問題にはなりませんが、以下の点に注意してください。
- 一部のEdge設定が初期化される可能性がある
- 拡張機能の情報もリセットされる場合がある
もしも設定のリセットや削除に抵抗がある場合は、一度バックアップを取っておくと安心です。ブックマーク(お気に入り)やパスワードの同期を利用している場合は、設定を初期化しても再ログインすることで復元できることが多いです。
Edgeリセットと「Secure Preferences」削除の手順例
以下の表に、削除やリセットを行う際のステップと、関連する作業ポイントをまとめました。
手順 | 作業内容 | 備考 |
---|---|---|
1 | Edgeを完全に終了する | タスクマネージャーでEdgeが残っていないか確認 |
2 | 「Secure Preferences」ファイルの場所を特定 | 通常はユーザープロファイル配下のEdgeフォルダに存在 |
3 | 「Secure Preferences」ファイルを削除 | ゴミ箱に移動かShift+Deleteですぐに削除も可 |
4 | Edgeの設定画面から「設定のリセット」を実行 | 設定 > リセット オプションを選択 |
5 | PCを再起動 | 再起動後、マルウェアスキャンを再度実施 |
ステップ3:ブラウザ拡張機能の見直し
「Secure Preferences」ファイルを改ざんしている原因が拡張機能にある場合もあります。特に以下のような拡張機能を利用している場合は要注意です。
- 身に覚えのない拡張機能
- 提供元が不明瞭な広告ブロック系やクーポン系拡張機能
- インストール実績やユーザーレビューが著しく少ない不審なツール
これらを発見した場合は、削除や無効化を検討しましょう。拡張機能の削除は次の手順で行います。
- Edgeを起動し、右上の「…(メニュー)」をクリックして「拡張機能」を選択
- 不審な拡張機能を探し、「削除」または「無効化」を実行
- 再起動後に再度マルウェアスキャンで問題が解消されたか確認
ステップ4:システム全体のマルウェアスキャン
不審ソフトをアンインストールし、Edgeの「Secure Preferences」を削除・リセットしても再度検出される場合は、システム全体のマルウェアスキャンが欠かせません。具体的には以下のような方法がおすすめです。
- MalwarebytesやWindows Defenderなどのアンチウイルスソフトでフルスキャンを行う
- 定期的に使用しているウイルス対策ソフトがあれば、最新の定義ファイルに更新してスキャンを実施
- 感染リスクが高い可能性のあるファイル(例:ダウンロードフォルダ、メール添付ファイル)に注目
また、セキュリティソフトによっては「ブートタイムスキャン」や「セーフモードスキャン」という機能を提供している場合があります。通常起動時には駆除しづらいマルウェアも、OSの起動前や限定的な環境下でより確実に駆除できることがあります。
ステップ5:PCの再起動と再度の確認
最終的にPCを再起動してから、再度マルウェアスキャンを実行します。ここで何も検出されなければ、おおむね駆除は完了です。再起動のたびに同じ脅威が検出されるようなら、次の点を再度確認してみてください。
- アンインストールし切れていない不審ソフトはないか
- 目立たないところで起動するサービスが残っていないか
- 設定のリセットをしっかり行ったか
- 他ブラウザ(Google Chromeなど)も同時に改ざんされていないか
Edgeだけでなく、他のブラウザからも同様のマルウェアが検出される場合は、OSレベルでの感染が疑われるため、より徹底した対策が必要になるかもしれません。
「Secure Preferences」削除による影響は大きい?
結論として、通常の操作で生じる不具合は限定的です。多くのユーザーが懸念する部分としては、次のようなものがあります。
- スタートページや検索エンジンの再設定が必要
- ブラウザ拡張機能の設定がリセットされる
- 保存しているパスワード情報が初期化される可能性(アカウント同期を有効にしていればオンライン上から復元可)
もしブラウザの同期機能(Microsoftアカウントでの同期)を使っていれば、設定の大半はクラウドから復元できます。同期を無効にしている場合は、作業前に手動でブックマークをHTMLファイルとしてエクスポートするなど、バックアップを取っておくと安心です。
同期機能を活用したバックアップ方法
- Edge右上の「…(メニュー)」をクリックし、「設定」を選択
- 「プロフィール」または「アカウント」などの項目から、「同期」設定を確認
- 「お気に入り」「パスワード」「拡張機能」などを同期対象に含める
- Microsoftアカウントにログインし、同期状態を確認
このように同期機能を設定しておくと、Edgeを初期化してもサインイン後にブックマークや保存パスワードが復元される場合があります。
再検出時の追加対策とポイント
ここまでの対策を行っても、再起動後にマルウェアが再検出されるときは以下も試してみてください。
システムの復元ポイントを利用する
問題が始まる前の日付にシステムの復元ポイントが存在する場合は、システムをその復元ポイントまで巻き戻す方法が有効です。ただし、復元ポイントによってはインストール済みプログラムやドライバが古い状態に戻ってしまうため、メリット・デメリットをよく考慮して行いましょう。
セーフモードでの徹底スキャン
Windowsをセーフモードで起動すると、通常よりも起動するサービスやドライバが少ない状態になるため、マルウェアの活動を抑えつつスキャンが可能になります。特にしぶといプログラムの駆除には、セーフモードでのスキャンが有効です。
マルウェアを完全駆除した後のセキュリティ対策
一度マルウェアを駆除したとしても、今後再発しないように普段からセキュリティを強化することが重要です。代表的な対策をいくつか紹介します。
定期的なOSおよびソフトウェアのアップデート
Windowsやブラウザ、セキュリティソフトのアップデートを常に最新状態に保ちましょう。脆弱性が放置されると、そこを悪用されて再び感染するリスクが高まります。
怪しいサイトやメールの添付ファイルに注意
マルウェア感染の多くは、怪しいサイトの閲覧や不審な添付ファイルを開くことで発生します。セキュリティソフトが警告を出した場合は、必要に応じてアクセスをブロックし、安全性を確認できるまではダウンロードしないようにしましょう。
複数のセキュリティツールを併用
常駐型のアンチウイルスソフトが1つであれば十分ですが、補助的にオンデマンドスキャン専用のツール(Malwarebytesなど)を併用するのも一つの手です。検出エンジンの違いによって、見落としていた脅威を補完できる可能性があります。
まとめ:Edgeの「Secure Preferences」マルウェア削除のポイント
Microsoft Edgeの「Secure Preferences」ファイルで検出されるマルウェア(PUP.Optional.StartPageなど)は、多くの場合不審ソフトウェアや怪しい拡張機能を通じて設定を改ざんされていることが原因です。以下のポイントを押さえて対策すれば、再起動後に再び検出されるリスクを大幅に下げることができます。
- まずは不審ソフトをアンインストール:再感染を防ぐための第一歩
- 「Secure Preferences」削除 or Edgeリセット:改ざんされた設定をリセット
- 拡張機能の見直し:不明な拡張機能を無効化・削除
- フルスキャンでシステム全体を洗浄:ブートタイムスキャンやセーフモードでの駆除も検討
- バックアップと設定の再確認:同期機能やシステムの復元ポイントを活用
最初は少々面倒に感じるかもしれませんが、一度しっかりと掃除を行っておけば、快適かつ安全にMicrosoft Edgeを利用することが可能になります。大事なのは、その後もセキュリティ意識を高めておくことで、同様のトラブルを繰り返さないようにすることです。
コメント