NetflixでDolby Visionが再生できない?Edgeの不具合と対処法を徹底解説

パソコンで鮮やかな映像を楽しむために不可欠なDolby Vision。しかし最近、一部のWindows 11ユーザーから「NetflixアプリやMicrosoft EdgeでDolby Visionが突然使えなくなった」という報告が相次いでいます。本記事では原因の考察や対策方法を幅広く取り上げ、トラブルを解消して高画質ストリーミングを取り戻すための手順をわかりやすく解説します。安定版EdgeのDRM処理に不具合があるとの見方もあり、Edge Dev版への切り替えなどで解決に至る事例が報告されています。ぜひ最後までご覧いただき、最適な改善策を探ってみてください。

Dolby Visionが突然使えなくなる背景

Dolby Visionは、映像の明暗差や色彩を豊かに表現できるハイダイナミックレンジ(HDR)の一種です。従来のHDR10よりもメタデータを細かく扱えるため、作品の色表現を制作者の意図どおりに再現できるメリットがあります。Netflixも一部の作品でDolby Visionを採用しており、対応デバイスならより高品位な映像が楽しめるはずです。

ところが、Windows 11の環境下で「NetflixアプリやMicrosoft Edgeのブラウザ版NetflixでDolby Visionが再生されず、単なるSDR画質や最大1080pまでの再生になってしまう」という事象が発生しています。これまで問題なくDolby Visionが利用できていた環境でも急に起こるため、多くのユーザーが戸惑っているようです。また、Dolby Atmosなどの音声面は機能している一方で、Dolby Visionだけが無効化されているケースが報告されています。

こうした症状は、Windowsやドライバの更新による不具合やDRM関連のトラブル、もしくはNetflixアプリあるいはブラウザ側の内部的な問題が原因と考えられていますが、最近の事例では「安定版Edge」に起因する可能性が高いと推測されています。

実際の症状と確認ポイント

Dolby AccessなどでシステムがDolby Vision対応であることを確認しても、NetflixアプリやMicrosoft Edgeでの再生時にDolby Visionマークが表示されず、映像もHDRでなく通常のSDRに落ちてしまうのが大きな特徴です。以下のようなポイントをチェックすると不具合を把握しやすくなります。

ローカルファイル再生では問題なし

同じWindows 11 PC上で、Dolby Vision対応のローカル動画ファイルを再生すると問題なくHDR映像が再生されるケースがほとんどです。これはOSレベルやハードウェアそのものがDolby Visionをサポートしている証拠といえます。ローカル再生で問題ないにもかかわらず、Netflixストリーミング時だけDolby Visionが動作しない点がミソです。

Edgeの内部情報における「Dolby Vision support: false」

Microsoft Edgeでは「edge://gpu」という内部ページで、ハードウェアアクセラレーションやコーデック周りの情報を確認できます。通常、Dolby Visionが有効な状態ならHEVCやHDR、Dolby Visionに関するサポートが「true」になるはずですが、不具合が起きているユーザーの環境では「HEVC – Dolby Vision support: false」などと表示され、Dolby Visionが無効と認識されているように見えます。

Netflixアプリとブラウザの共通点

Windows版のNetflixアプリは、内部的にMicrosoft Edgeのエンジンを利用して動画再生やDRMを処理しているといわれています。そのため、安定版Edgeの不具合がNetflixアプリにもそのまま波及し、共通の症状が発生している可能性が高いのです。

考えられる原因と対処法の全体像

Dolby Visionが使えなくなる原因は多岐にわたる可能性があります。大きく分けると「OS・ドライバ・機能拡張の不具合」「アプリ(EdgeやNetflix)のバージョン不具合」「DRM証明書の期限切れまたは不整合」「ハードウェアアクセラレーションの問題」などが挙げられます。下表に主な原因と想定される対処策をまとめました。

原因の可能性具体的事例対処方法難易度
OSやドライバの不具合Windows 11の更新でHDR関連機能がバグを起こす
GPUドライバの不整合
・Windowsの更新状況を確認して最新に保つ
・NVIDIA/Intelの公式ドライバを再インストールまたは最新化
HEVC/ドルビービジョン拡張機能の問題HEVC Video ExtensionsやDolby Vision Extensionsの破損・Microsoft Storeから拡張機能を再インストール
・ストアアプリを修復
Netflixアプリ/ブラウザのバージョン不具合安定版Edgeの不具合でDRM認証が通らない
Netflixアプリのキャッシュ破損
・Edge Dev版等への移行
・Netflixアプリの再インストール
低~中
DRM証明書の期限切れ古いDRM証明書で再生がブロック・アプリの再インストール
・システム日付が正しいか確認
Windowsエディションの制約HomeエディションではEdgeのロールバックが難しい・上位エディションの利用
・OSごと再インストール

上記の中で、特に注目されているのが「安定版Edgeの不具合」によってDolby Visionがオフになっているケースです。これはEdgeやNetflixアプリを再インストールしても直らず、DRM周りの設定がうまく通らなくなっているのではないかと推測されています。

試してみる価値が高い手順一覧

ここでは、個人でも比較的試しやすい対処法を具体的に紹介します。まずは難易度の低い順から取り組んでみることをおすすめします。

1. Edge Dev版をインストールして再生する

最も簡単かつ効果的な回避策とされているのが、安定版Edgeではなく「Edge Dev版」「Edge Canary版」「Edge Beta版」といった開発系チャンネルのEdgeを利用する方法です。以下の手順で導入できます。

  1. Microsoft公式サイトから「Edge Dev版」あるいは「Edge Canary版」などをダウンロード
  2. インストーラーを起動し、画面の指示に従ってインストールを完了
  3. インストール後、新たに追加されたEdge Dev(またはCanary)を起動
  4. Netflixにアクセスし、Dolby Vision対応作品を再生してみる

多くのユーザーが、この方法で4K/HDR10/Dolby Visionが復活したと報告しています。ただし、Netflixアプリ自体は安定版Edgeのエンジンに依存しているため、アプリでの再生には効果がありません。ブラウザ視聴での回避策と割り切る必要があります。

2. Netflixアプリやブラウザのキャッシュを完全削除

手軽な対策として、次のようなキャッシュ削除や再インストールも試してみる価値があります。

  • Netflixアプリをアンインストール → Microsoft Storeから再インストール
  • EdgeブラウザのキャッシュとCookieを削除 → 再起動して再ログイン

DRM関連の証明書やストアアプリの設定が破損している場合、再インストールで復旧することがまれにあります。とはいえ、今回の不具合に関しては完全な解決に至らないケースも多々報告されています。

3. GPUドライバ・HEVC拡張機能の更新

Dolby Visionの再生にはHEVC(High Efficiency Video Coding)が必須です。Windows 11では「HEVC Video Extensions」が有料またはOEMプリインストール形態で提供される場合がありますが、これが破損していたり古いバージョンだったりすると再生ができないことがあります。以下をチェックしてください。

  • NVIDIA/Intelの公式サイトで、最新ドライバを入手して更新
  • Microsoft Storeで「HEVC Video Extensions」や「Dolby Vision Extensions」が正しくインストールされているか確認
  • それでも改善がない場合は一度アンインストールして再インストール

なお、Windows Updateから自動的にドライバが配信されることもありますが、必ずしも最新とは限らないため、公式サイトを定期的にチェックするのが望ましいでしょう。

4. WindowsのHDRストリーミング設定を再確認

Windows 11には「HDRストリーミング」を有効化するための設定項目があります。コントロールパネルから「システム」→「ディスプレイ」→「HDR」または「Windows HD Color設定」を開き、HDRが有効になっているかを確認してください。加えて、「バッテリー駆動時はHDRをオフにする」という設定が働いているとDolby Visionが使えない場合があります。ACアダプタを接続した状態でのテストも試してみると良いでしょう。

WindowsのロールバックやEdgeの旧バージョンへの切り替え

もしも上記の対処法を試しても改善しない場合、もう一つの手段として「Windows自体を古いバージョンに戻す」あるいは「Edgeのバージョンをロールバックする」という方法があります。ただし、この作業はリスクと手間が大きいため、慎重に検討する必要があります。

Windowsのロールバック

  • 過去のWindows 11イメージ(例えば23H1や22H2など)をRufusやUUP dumpなどを利用して作成し、クリーンインストール
  • ドライバやアプリもすべて再設定が必要になるため、実施には時間がかかる
  • そもそも「問題が発生していなかった時期」のWindowsバージョンが明確でないと、効果があるか分からない

Edgeの旧バージョンロールバック

  • Windows 11 ProまたはEnterpriseエディションなら、グループポリシーや企業向けの管理ツールを使ってEdgeのバージョン固定やロールバックが可能
  • Windows Homeエディションでは公式にはロールバック手段が用意されていないため、ツールを駆使する必要がある
  • ロールバック後に再度自動更新されるリスクもあるので注意

実際にロールバックを行う人は少数派ですが、安定版Edgeに実装された変更点が原因の場合、旧バージョンに戻すことでDRMの認証が通るようになる可能性があります。ただし、セキュリティリスクや他の機能への影響を考慮する必要があります。

Netflixアプリでの再生にこだわる場合

Edge Devや他のブラウザで4K/HDRが動作するからといって、Netflixアプリ側も同様に治るわけではありません。アプリ再生にこだわりがある場合、次の選択肢を考慮する必要があります。

  1. 安定版EdgeやWindowsのアップデートを待つ
    MicrosoftやNetflixが不具合を正式に認めてパッチをリリースするのを待つ方法です。ただし、いつ修正が行われるかは不透明です。
  2. WindowsおよびEdgeのロールバックまたはクリーンインストール
    すでに紹介した方法ですが、手間が非常にかかります。
  3. 別のデバイスでのNetflix視聴
    PCにこだわらず、Dolby Vision対応のスマートテレビやストリーミングデバイス(Apple TVなど)で代用するという実質的な回避策もあります。

トラブルを避けるためのポイント

Dolby Vision対応コンテンツを安定して楽しむためには、以下のような点にも気を配っておくとよいでしょう。

ネットワーク環境の整備

4K/HDR動画を安定して再生するには、ダウンロード速度が25Mbps以上の回線が推奨されています。Dolby Visionを扱う場合はさらに帯域を使う場合があるため、Wi-Fiの状態が不安定な場合はLANケーブルの利用も検討してみてください。

Netflixプランの確認

Dolby Visionや4K再生は、Netflixのプランによっては制限されています。スタンダードプランだとフルHDまでしか利用できない場合があるので、プレミアムプランに加入しているかを一度チェックしてください。

外部モニターやケーブルの問題

ノートPC本体のディスプレイではなく外部モニターを使っている場合は、接続ケーブルやモニターがDolby VisionやHDRに対応しているかを再確認する必要があります。HDMIケーブルが古い規格だとHDR信号を正しく伝送できないことがあります。

ハードウェアアクセラレーションの設定

EdgeやChrome系ブラウザでハードウェアアクセラレーションがオフになっていると、HDRやDolby Vision再生に悪影響が出ることがあります。Edgeの場合は「設定」→「システムとパフォーマンス」→「可能な場合はハードウェアアクセラレーションを使用する」をオンにして再起動してみてください。

まとめ:最もおすすめの対処法は「Edge Dev版の導入」

現時点で報告されている事例を総合すると、安定版Edgeが原因でDRM周りの認証が正常に機能せず、Dolby Visionが再生されなくなっている可能性が非常に高いようです。そのため、Netflixアプリにこだわらず「Edge Dev版」や「Edge Canary版」を使ってブラウザ経由でDolby Vision再生を楽しむのが、最も簡単かつ再現性の高い解決策となっています。

その他、Windows Pro/EnterpriseならEdgeの旧バージョンをロールバックする、あるいはWindows自体をダウングレードしてみる方法もありますが、手間とリスクが大きいため、まずはEdge Dev版の導入を試してみることを強くおすすめします。Netflixアプリでの再生にこだわる方は、修正パッチのリリースを待つか、Windowsのロールバックを検討する必要があるかもしれません。

いずれにせよ、突然Dolby Visionが使えなくなった場合は焦らず、まずはブラウザを替えて再生できるか試すのが一番の近道です。Dolby Visionの華やかな映像を再び楽しむためにも、今回ご紹介した手順をぜひお役立てください。

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