UbuntuでMicrosoft Teamsの画面共有がEdgeで動作しない時の解決策と回避方法

Ubuntu環境でMicrosoft Teamsを利用していると、いつも通りに画面共有を行いたいのに突然エラーが出てしまうと大変ストレスを感じますよね。特に、以前は問題なく使えていたのに、気づかないうちにバージョンが更新されて画面共有が使えなくなると混乱も大きいかと思います。ここでは、Microsoft Edgeのアップデートが原因とされるUbuntu上のMicrosoft Teams画面共有不具合について、その原因や回避策、また実際に確認されている修正バージョンなどをまとめてご紹介します。

Ubuntu上のMicrosoft Teams画面共有が動作しない問題の背景

UbuntuをはじめとしたLinuxディストリビューションでMicrosoft TeamsのWeb版やPWA版を使用している場合、ときどきブラウザ由来の不具合によって画面共有機能が制限されるケースがあります。今回取り上げるのは、Microsoft Edgeがバージョン131系にアップデートされてから生じている、画面全体共有やウィンドウ共有時に「カメラにアクセスできません」というエラーが表示される問題です。
この問題が起きると、Teamsミーティングで画面共有を行いたいのに実行できないという致命的な制約が発生します。特に社内のコミュニケーションや外部との会議などで活用しているユーザーにとっては大きな打撃です。幸いにも、これについてはすでにMicrosoft側で不具合として認識されており、修正バージョンのリリースも進んでいるようです。

どのような不具合が発生しているのか

今回の不具合が特に問題視される理由は、以下のような症状がみられるためです。

  • Microsoft Teams(Web/PWA)で「画面全体の共有」や「ウィンドウの共有」を実行しようとするとエラーが表示され、共有が開始されない。
  • エラー内容として「カメラにアクセスできません」等が表示されるが、実際にはカメラではなく画面共有に関する処理が失敗している。
  • WaylandセッションでもX11セッションでも同様に問題が起きる。
  • タブ共有(Edgeのタブそのものの共有)だけは問題なく動作する。

こうした状況のため、オンラインミーティングでのプレゼンテーションが非常にやりづらくなり、代替手段を探る必要が生じます。

Microsoftが認識している既知のバグと対応状況

本事象については、Microsoftのフォーラムやユーザーコミュニティなどでも活発に議論されており、以下のような経緯と情報がまとめられています。

バージョン131系で発生した問題

Microsoft Edgeバージョン131.0.2903.x以降のLinux版において、Ubuntuや他のディストリビューション上で画面共有ができなくなるという報告が相次いでいます。中でもよく言及されるのが、「131.0.2903.51」付近からの不具合発生です。これ以前の130.0.2849.xや129.0.2792.xなどのバージョンでは通常通りに機能していたため、アップデートが原因であることは明らかです。

公式・非公式の報告例

  • 公式フォーラム: Microsoft Edge InsiderやMicrosoft Tech Communityなどで、Linux版Edgeの画面共有に関する不具合報告が見られます。開発者からも「現在調査中」の旨が回答されているケースがあり、修正予定の存在が示唆されています。
  • 非公式のSNS/掲示板: RedditやGitHub Issueなどで、同様の事象を報告するユーザーが多く、不具合の回避策や一時的な対処法について情報が共有されています。

修正バージョンとそのリリース状況

一部のユーザーからは、131.0.2903.86-1 バージョンのMicrosoft Edgeをインストールすることで、画面共有機能が再度正常に動作するようになったとの報告が挙がっています。これは2023年後半から2024年にかけて提供されているEdgeの安定版に順次反映されるとみられます。

以下は、Linux版Edgeのバージョンと不具合の有無をまとめた例です。実際の環境ではリビルドのタイミングやディストリビューションごとの差異があるため、あくまで参考程度としてください。

Edgeバージョン画面共有不具合発生備考
129.0.2792.x 以前発生なし問題なく画面共有可能
130.0.2849.x発生なし現在でも安定動作が確認されている
131.0.2903.51発生あり「カメラにアクセスできません」エラーが発生
131.0.2903.86-1改善報告あり修正が行われ、正常に共有できたとの報告多数

最新の安定版にも段階的に反映されるため、まずは使用しているバージョンを確認し、可能であればバージョンアップで解決するかを試してみることをおすすめします。

不具合が解消されない場合の回避策

もし、最新の安定版に更新しても問題が直っていない場合や、Edgeを更新できない制約がある場合には、いくつかの回避策が検討できます。

1. Edgeのバージョンをロールバックする

最も直接的な回避策は、不具合が生じるバージョンを避けて、既知の安定バージョン(130.0.2849.xや129.0.2792.xなど)にダウングレードする方法です。Ubuntuの場合、以下のような手順で実施することが可能です。

# まず現在のMicrosoft Edgeをアンインストール
sudo apt remove microsoft-edge-stable

# ダウングレードしたいバージョンのdebパッケージを入手(以下は例)
wget https://example.com/path/to/microsoft-edge-stable_130.0.2849.deb

# ダウングレード版をインストール
sudo dpkg -i microsoft-edge-stable_130.0.2849.deb

インストール先のdebファイルURLは、Microsoft公式リポジトリやサードパーティのアーカイブ等を利用して取得します。なお、Gentoo Linuxなどを使っている場合には、パッケージ管理の都合上、旧バージョンがすでにリポジトリから外されていることもあります。そのため、常にローカルに過去バージョンのパッケージを保存しておくなど工夫が必要です。

ロールバック後の注意点

  • 一度アンインストールしても、通常はEdgeのユーザーデータ(ブックマークや設定情報)はユーザープロファイルに保持されるため、再インストール後も基本的に引き継がれます。
  • 自動更新が再度走ると最新バージョンに戻ってしまう可能性があるため、「自動更新をオフにする」設定を行うか、更新のタイミングを管理者が制御する必要があります。
  • セキュリティ上のアップデートが適用されなくなる懸念もあるため、長期間のロールバック運用は推奨されません。問題解決の一時手段として利用するのがベターです。

2. 他ブラウザを使用する

Microsoft Teamsは本来、Google ChromeやChromiumなどChromium系ブラウザでもほぼ同じように動作します。実際、Edgeで画面共有がうまくいかない場合でも、Chrome系ブラウザでは問題なく行えるケースが報告されています。

Chrome/Chromiumを使った対策

  • UbuntuソフトウェアセンターやaptコマンドなどからGoogle ChromeまたはChromiumを導入する。
  • インストール後、TeamsのWeb版またはPWA版をChrome/Chromiumで開き、画面共有機能をテスト。
  • もし正常に動作するようであれば、Edgeの不具合が解消されるまで暫定的にChrome/Chromiumを利用する。

企業や組織内での運用ポリシー上、Edgeしか使用できない場合は難しいかもしれませんが、利用ブラウザに制約のないユーザーには比較的スムーズな回避策となります。

3. Microsoft Edgeのベータ版・Dev版を使用する

Microsoft Edgeには、安定版とは別にBeta/Dev/Canaryといった開発チャネルが用意されています。特にDev版は比較的頻繁にアップデートが行われるため、新たに検知された不具合の修正がいち早く取り込まれる可能性が高いです。

  • 例として、Edge Dev版「133.0.2992.0」を利用してみたユーザーからは、既に画面共有不具合が解消されているという報告もあります。
  • ただし、Dev版は安定性が完全に保証されるわけではないので、業務利用の場合は注意が必要です。
  • インストール時に安定版とDev版を共存させることも可能なので、切り替えながら様子を見る運用も考えられます。

原因と技術的背景への考察

Microsoft EdgeはChromiumベースのブラウザであるものの、Linux環境特有の依存関係やグラフィックススタック(Wayland/X11)の差異など、Windows版やmacOS版とは異なる動作をする場面があります。

Chromiumベースでの画面共有の仕組み

一般的に、Chromiumベースのブラウザは「getDisplayMedia API」というWeb標準の機能を用いて画面共有を実現しています。このAPIがOSのグラフィックススタックやウィンドウマネージャとやり取りを行い、実際のウィンドウキャプチャや画面キャプチャを可能にしています。
しかし、これらの機能はディストリビューションや使用するセッション(Wayland/X11)などによって挙動が異なる場合があり、ちょっとした実装変更が思わぬ不具合を引き起こすことも少なくありません。

「カメラにアクセスできません」となる理由

画面共有時に「カメラにアクセスできません」エラーが出るのは、一見矛盾しているように感じます。実際には、Microsoft Teams側が画面共有用のメディアストリームを取得しようとした際、OSまたはブラウザが何らかの理由で必要な権限を拒否し、結果として「メディアソースが確保できない」状態になっていると推測されます。
Teamsのコード側では、「ビデオストリーム(カメラ)を取るためのAPIエラー」と「スクリーンキャプチャ用ストリームを取るためのAPIエラー」が判別しにくい仕様になっている可能性があります。そのため、スクリーンを共有できない状況が「カメラのアクセスエラー」として報告されてしまうのかもしれません。

現時点でのおすすめの対応策

最終的に、Linux向けのMicrosoft Edge安定版で修正が反映されるのを待つことが王道の解決策です。しかし、実務でTeamsを頻繁に使う方で今すぐにでも画面共有が必要な場合は、以下の対応策を検討しましょう。

  1. Edgeの最新安定版へアップデート
  • 不具合が解消されたという報告のある「131.0.2903.86-1」以上のバージョンにまず更新し、問題が再現するかどうかを確認します。
  • リポジトリやパッケージの更新タイミングによって、すぐには新しいバージョンが降りてこない場合もあるため、その場合は後述の回避策を検討します。
  1. 既知の安定バージョンへダウングレード
  • 今すぐ安定して画面共有を行いたい場合、ロールバックは有力な選択肢です。
  • ただし、セキュリティ更新も含めて古いバージョンになるリスクを理解した上で一時的な運用を行いましょう。
  1. 他ブラウザの利用
  • Google ChromeやChromiumなどでの動作が確認できるケースが多いため、組織のルールが許すなら乗り換えがスムーズです。
  1. Dev版などの先行チャネルの活用
  • Dev版やBeta版で修正をいち早く取り込める可能性が高いです。
  • 安定性は劣る可能性があるため、生産環境などではテストを慎重に行う必要があります。
  1. Microsoft 365 管理センターからのサポート要請
  • 企業利用などで公式サポートが必須の場合は、管理センターから直接問い合わせることで、正式な対応や最新情報を得られる可能性があります。

トラブルシューティングのポイント

画面共有トラブルはブラウザ以外の要因も絡む場合があります。もしEdge以外のブラウザでも問題が発生するようであれば、以下の点もあわせて確認してみてください。

WaylandかX11かの確認

Ubuntuデスクトップのログイン画面では、セッションとしてWaylandとX11が選択できる場合があります。Waylandセッションではグラフィック周りの仕組みが大きく異なるため、画面共有機能が制限されるケースがありました。一時的にX11セッションでログインしてからTeamsを試すと、問題が解決する場合もあるので試してみる価値があります。

ブラウザの権限設定をチェック

EdgeやChromeなどでは、Webサイトごとにカメラやマイク、画面共有の許可・拒否を細かく設定できます。設定ミスでTeamsの画面共有がブロックされていないか念のため確認しましょう。

  • Edgeの場合: 「設定」→「Cookie とサイトのアクセス許可」→「サイトのアクセス許可」でMicrosoft TeamsのサイトやTeamsの関連ドメインに適切な共有権限が付与されているかどうかを確認する。

まとめと今後の展望

Ubuntuを含むLinux環境でMicrosoft Teamsを利用しているユーザーにとって、画面共有はオンラインミーティングでのプレゼンや情報共有の要となる重要機能です。今回のようにMicrosoft Edgeのバージョン更新が原因で画面共有が突如使えなくなるトラブルは大きな障害ですが、幸いにもMicrosoft側では問題を認識しており、131.0.2903.86-1以降での修正が報告されています。

そのため、まずはEdgeのバージョンを最新の安定版にアップデートしてみることを推奨します。それでも改善しない場合は、ロールバックや他ブラウザの利用、あるいはDev版のテストなどの回避策を適宜活用してください。長期的には、正式に修正が行われた安定版がリリースされれば、複雑な対処は必要なくなるはずです。

また、企業ユーザーであれば、Microsoft 365 管理センターからサポートリクエストを送ることで、より詳細な情報や特別なパッチ提供を受けられる可能性もあります。いずれにせよ、画面共有機能を頻繁に使う業務やコミュニケーションが停滞しないよう、早めの対処と情報収集がカギとなります。


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