「オンライン試験を受けようとしたら、ビデオストリーミングのテスト画面で止まってしまった…」そんな経験はありませんか?本記事では、ネットワークフィルタリングが原因で試験に合格できない場合の対策をわかりやすく解説します。ぜひ最後までお読みいただき、スムーズなオンライン受験環境を整えてください。
ネットワークフィルタリングが原因でオンライン試験が受けられない理由
オンライン試験で利用されるビデオストリーミング機能には、WebRTCやWebSocketといったリアルタイム通信の仕組みが用いられることが多くあります。ところが、企業や学校など管理されたネットワークや、セキュリティソフトによるフィルタリングが厳しい環境下では、これらの通信が遮断されてしまい、結果として映像や音声のテストに失敗してしまうことがあります。
たとえば「*.cloud.wowza.com
のTCPポート80、443、1935へ接続できない」「WebRTCやWebSocket通信を許可する設定が見当たらない」といったエラーが表示され、受験画面そのものに進めないケースも珍しくありません。こうした状況を放置すると、受験時の本番画面でも映像・音声が途切れる、あるいは配信画面を開けないといった大きなトラブルにつながります。
ビデオストリーミングテストに必要な通信
ビデオストリーミングテストをパスするためには、以下のような通信が正常に機能している必要があります。
- TCPポート80 (HTTP)
- TCPポート443 (HTTPS)
- TCPポート1935 (RTMPなど、映像配信のプロトコル)
- WebRTC (UDPやTCPなど様々なポートを利用可能)
- WebSocket (通常TCP 80、443などで動作)
多くのWeb会議ツールやオンライン試験プラットフォームは、セキュリティ上の理由や高品質な映像配信を実現するために、複数のプロトコルやポートを使用します。特に映像や音声のリアルタイム通信を行う場合は、WebRTCが用いられるケースが増えていますが、ネットワークが厳格にフィルタリングされている環境では、デフォルト設定のままでは接続が許可されない場合があります。
WebRTCとは?
WebRTC(Web Real-Time Communication)は、ブラウザ間でリアルタイム通信を行うための技術です。映像や音声、さらにはデータ転送など、様々な用途に対応できる優れた仕組みですが、通信経路が複雑な場合もあるため、企業のファイアウォールやネットワーク機器の設定によっては簡単にブロックされてしまいます。オンライン試験のシステムがカメラやマイクのテストを行う際、背後ではWebRTCが動いていることが多いため、この通信が止められてしまうとテストに合格できなくなるのです。
WebSocketとは?
WebSocketは、双方向通信を効率よく実現するプロトコルです。通常のHTTP通信とは異なり、サーバーとクライアントが相互にリアルタイムでデータを送受信できるため、低遅延なチャットや通知機能などを実現しやすいメリットがあります。オンライン試験の監視機能や、受験者の画面状態を共有するといった仕組みにWebSocketが使われている場合、WebSocketがブロックされると試験開始前のチェック画面でエラーが発生し、先に進めません。
ネットワークフィルタリングを無効化・設定確認する方法
オンライン試験のビデオストリーミングテストに失敗する原因として、ウイルス対策ソフトやセキュリティソフトによるフィルタリングや、企業・学校などの管理されたネットワークで特定ポートが閉じられていることが挙げられます。まずは、自分が利用しているネットワーク環境を整理し、それぞれに応じた対処を行いましょう。
企業・学校ネットワークの場合
企業や学校のネットワークは、情報漏洩やセキュリティリスクを低減するため、管理者が厳格に設定を行っていることが少なくありません。自分で自由にファイアウォールやルーターの設定を変更できない場合も多いため、以下のポイントを押さえつつ、必ず管理者に相談しましょう。
- オンライン試験に必要なTCPポート(80、443、1935など)の開放を依頼する
- WebRTC、WebSocket通信の許可設定が行われているかを確認してもらう
- アンチウイルスソフトやプロキシサーバーによるフィルタリングを一時的に停止できるか相談する
- 特定のドメイン(
*.*.cloud.wowza.com
など)へアクセスを許可してもらう
このように、管理者権限を持つ担当者が設定を変更して初めてテストが成功するケースも多いため、試験直前ではなく余裕を持って連絡し、必要な対処をお願いすることが大切です。
自宅・個人ネットワークの場合
自宅や個人で管理しているネットワークにおいても、ウイルス対策ソフトやルーターのファイアウォール機能が原因で映像テストに失敗することがあります。特にセキュリティソフトの「ウェブ保護」「ネットワーク保護」などがアクティブになっていると、WebRTCやWebSocketの通信が遮断されることがあるため、一時的に無効化してテストを行ってみましょう。
- ウイルス対策ソフトの一時停止
Windowsの設定画面やソフト独自のUIから、リアルタイム保護を一時停止してみると、問題が解決する場合があります。ただし、停止中はセキュリティリスクが高まるため、テストが終わったら必ず元に戻すようにしてください。 - ルーターのファイアウォール機能を確認
ホームルーターの管理画面に入り、ファイアウォール機能やフィルタリング機能が必要以上に厳しく設定されていないか確認します。必要なポート(80、443、1935など)を開放しても問題ない環境であれば、ポートフォワーディングやUPnPの設定を見直してみると良いでしょう。 - プロバイダが提供するフィルタリングサービス
一部のインターネットプロバイダでは、セキュリティサービスの一環として通信をフィルタリングしていることもあります。契約内容によっては特定ポートの開放が制限されている場合があるため、契約中のサービスやオプション設定を確認してみてください。
Windows Firewallでのポート開放手順
もし自宅や個人で使用しているPCのWindows Firewallが原因の場合、必要なポートを開放することで問題が解決することがあります。以下の手順を参考に設定を見直してみましょう。
手順 | 操作内容 |
---|---|
1 | 「コントロールパネル」から「システムとセキュリティ」→「Windows Defender ファイアウォール」を開く |
2 | 左ペインの「詳細設定」を選び、表示された画面で「受信の規則(Inbound Rules)」をクリック |
3 | 右クリックでメニューを表示し、「新しい規則(New Rule)」を選択 |
4 | 「ポート」を選択して次へ進む |
5 | 対象となるポート番号を入力する(80、443、1935 など)。プロトコルを「TCP」に設定 |
6 | 「接続を許可する」を選択 |
7 | ドメイン、プライベート、パブリックの各ネットワークのうち、該当するものにチェックを入れる |
8 | わかりやすい名前(例:「オンライン試験用TCPポート開放」など)を付けて完了 |
上記のように、必要なポートを開放するだけでなく、実際にアプリケーションの「送信の規則(Outbound Rules)」にも制限がかかっていないかどうかも確認しておくと安心です。通信が正しく外部へ送信できないと、ビデオストリーミングテストが正常に行えない場合があります。
# Windows PowerShell から新規の受信規則を追加する例
New-NetFirewallRule `
-DisplayName "OnlineExam Inbound 80" `
-Direction Inbound `
-Protocol TCP `
-LocalPort 80 `
-Action Allow
PowerShellを活用すると、まとめてポート開放設定を行うことも可能です。
それでも解決しない場合の対策
ネットワークフィルタリングやWindows Firewallの設定を見直してもなお問題が解決しない場合、さらに深いレベルの原因を疑う必要があります。以下では追加の対策をいくつか紹介します。
ファイアウォールやセキュリティソフトの一時停止
一部のセキュリティソフトやファイアウォールでは、既定のポート開放に加えて、通信の中身を検査してブロックする「パケット検査」機能を持っていることがあります。このような機能はポートが開放されていても特定のヘッダやトラフィックパターンを検出して通信を拒否することがあります。
テスト目的で一時的にセキュリティソフトやWindows Defenderをオフにしてみると、問題の切り分けがしやすくなります。ただし、前述のとおりセキュリティソフトを停止すると危険性が増すため、試験の必要最小限の時間のみ行い、作業が終わり次第必ず有効に戻してください。
ルーターや回線事業者の設定
ご家庭のルーターが古いファームウェアを使用していたり、マルチキャストやUDP通信を適切に処理できない場合もあります。オンライン試験で利用されるWebRTCは、UDPを使用しているケースも多いため、ルーターのファームウェアを最新版に更新するだけで問題が解消する可能性があります。
また、回線事業者が提供する独自のセキュリティサービスが通信をブロックしている場合もあるため、契約中のプランやオプションを確認し、必要に応じて問い合わせしてみましょう。
ログを確認して原因を追究する
問題解決のヒントを得るために、Windowsやセキュリティソフト、ルーターのログを確認するのも有効です。たとえば以下のようなポイントを調べてみましょう。
- Windows イベントビューア (Event Viewer) で「セキュリティ」「システム」のログを確認し、ブロックされた通信がないか探す
- セキュリティソフトのログでリアルタイム保護やウェブ保護のブロック履歴を調べる
- ルーターの管理画面でパケットフィルタのログが残っていないか確認する
ログに「WebRTC」や「WebSocket」「RTMP」「TCPポート1935」などの文字が含まれ、それらが拒否されている形跡があれば、原因特定に大きく近づきます。
トラブルシューティングの具体例
より現場感のある例を挙げながら、トラブルシューティング手順をイメージしてみましょう。
- オンライン試験のチェック画面でエラーが表示される
受験サイトにアクセスしたところ、ビデオストリーミングテストで「WebRTC/RTMPがブロックされています」という趣旨のエラーが出る。 - セキュリティソフトを一時停止し、再テスト
NortonやMcAfeeなどのリアルタイム保護を一時的にオフにし、オンライン試験サイトを再度開く。改善した場合はセキュリティソフトのフィルタリング機能が原因とわかる。 - Windows Firewallで該当ポートの設定を確認
Windows Firewallの「受信の規則」「送信の規則」を確認。もしTCP 1935やUDPの特定ポートがブロックされていたら、ルールを作成して許可する。 - ルーターのログをチェック
管理画面を開き、パケットフィルタやアクセス制御リスト(ACL)が存在していないか確かめる。設定変更後に、もう一度オンライン試験のチェック画面にアクセス。 - 原因切り分け後、セキュリティソフトを再度有効にする
無事にテストが通ったら、セキュリティソフトを元に戻し、今後もテストに支障が出ないように必要なポートやドメインを例外登録する。
受験前に行うべき推奨チェックリスト
オンライン試験をスムーズに受けるために、以下の事前準備をおすすめします。
- ブラウザのバージョンを最新にする
古いブラウザはWebRTCやWebSocketの動作が不安定な場合があります。Google ChromeやMozilla Firefox、Microsoft Edgeを最新バージョンに更新しておきましょう。 - Cookieやキャッシュのクリア
ブラウザに蓄積されたキャッシュやCookieが原因で、正しくテストが行えないことがあります。試験直前にクリアしておくと、思わぬエラーを回避できる可能性があります。 - ネットワーク回線速度の確認
速度が遅い、または回線品質が不安定だと映像が乱れたり、音声が途切れたりします。試験前にSpeedtestなどを利用して、自分の回線速度を把握しておくと安心です。 - ファイアウォール・ウイルス対策ソフトの設定メモ
受験直前にエラーが発生した場合、焦って何をどう設定してよいかわからなくなることもあります。事前に設定画面のスクリーンショットやメモを取っておくと、素早く問題を特定できます。 - テストツールの早期利用
オンライン試験プラットフォームによっては、受験前に専用の接続テストツールを提供している場合があります。時間に余裕があるうちに利用し、ビデオストリーミングのチェックを済ませておきましょう。
まとめ
オンライン試験のビデオストリーミングテストに合格できない原因の多くは、ネットワークフィルタリングやファイアウォール設定による通信ブロックにあります。企業や学校ネットワークの場合は管理者に相談し、自宅や個人環境の場合はセキュリティソフトやルーターの設定を見直すことで、ほとんどの問題は解決に導けます。
とはいえ、セキュリティを軽視してネットワークやファイアウォールを無防備な状態にしてしまうのは推奨されません。あくまでオンライン試験を受けるために必要最小限の通信を許可し、テスト終了後は適切な対策を再度有効にすることが大切です。
今回ご紹介した内容を参考に、快適かつ安全にオンライン試験が行える環境を整え、受験に専念してください。スムーズにオンライン試験に挑戦できるよう、ぜひ事前準備と設定確認を徹底して行いましょう。
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