PHPでリクエストとレスポンスを分割して効率的に処理する方法

PHPにおいて、Webアプリケーションがリクエストとレスポンスを効率的に処理するためには、明確なレイヤー分割が重要です。適切なレイヤー分割を行うことで、コードの可読性が向上し、メンテナンスが容易になります。さらに、リクエストとレスポンスの流れを整理することで、セキュリティやパフォーマンスも向上します。

本記事では、リクエストを受け取ってからレスポンスを返すまでの一連の流れを、MVCモデルやサービス層、リポジトリパターンなどを用いてレイヤーごとに分割し、それぞれの役割や具体的な実装方法について解説します。

目次

リクエストとレスポンスの基本概念

Webアプリケーションにおいて、リクエストとレスポンスはクライアントとサーバー間で情報をやり取りするための基本的な仕組みです。ユーザーがブラウザやアプリケーションから特定の操作を行うと、サーバーに対してリクエスト(要求)が送信され、その結果としてサーバーからレスポンス(応答)が返されます。この一連の流れにより、情報のやり取りが実現します。

リクエストの流れ

リクエストは、ユーザーの操作に基づいて発生し、HTTPプロトコルを介してサーバーに送信されます。リクエストには、GETやPOSTなどのHTTPメソッド、リクエストヘッダー、リクエストボディなどの情報が含まれており、サーバーはこれらを解析して適切な処理を選択します。

レスポンスの流れ

サーバーがリクエストを処理した後、レスポンスを生成してクライアントに送信します。レスポンスには、ステータスコード(200 OKや404 Not Foundなど)、レスポンスヘッダー、レスポンスボディ(HTMLやJSON形式のデータなど)が含まれ、クライアントはこれを受け取り、画面に反映したり次のアクションを決定したりします。

リクエストとレスポンスを適切に処理するためには、レイヤーごとに役割を分担し、整理されたコードを作成することが求められます。

MVCモデルの基礎

PHPでリクエストとレスポンスを効果的に管理するために広く利用されているのがMVC(Model-View-Controller)モデルです。MVCは、それぞれの役割を「Model」「View」「Controller」の3つに分けることで、コードの構造を明確化し、メンテナンスや拡張が容易になる設計パターンです。

Modelの役割

Modelは、アプリケーションのビジネスロジックとデータを管理する層です。データベースとのやり取りを行う役割を担い、データの取得、保存、削除、更新といった操作をここで実装します。Modelはリクエストやレスポンスに直接関わることなく、独立してデータ処理を行います。

Viewの役割

Viewは、ユーザーに表示される画面の構成やデザインを担当します。データをもとにHTMLやJSONなどの形式で出力を生成し、クライアント側に表示される内容を整えます。Viewはあくまで表示に専念し、ビジネスロジックやデータ操作に関するコードは持ちません。

Controllerの役割

Controllerは、リクエストを受け取り、ModelやViewを調整して適切なレスポンスを生成する役割を持ちます。Controllerはユーザーのリクエストに応じてModelを操作し、その結果をViewに渡して出力を生成します。このため、リクエストとレスポンスの中核を担う層となります。

MVCモデルに基づくレイヤー分割により、各層が独立して機能するため、開発効率が向上し、リクエスト処理が整理されるメリットがあります。

コントローラの役割とリクエスト処理

コントローラは、MVCモデルにおいてリクエストを受け取り、必要に応じてモデルやビューを呼び出す中心的な役割を担います。ユーザーの操作や入力を受けて適切な処理を実行し、最終的にレスポンスを生成して返す重要な役割を果たします。

リクエストの受け取りとルーティング

コントローラは、まずルーティングによって特定のURLパスやHTTPメソッド(GET、POSTなど)に応じたリクエストを受け取ります。ルーティングは、リクエスト内容に基づいてどのコントローラが処理を担当するかを決定する仕組みで、アプリケーション全体の流れを整理する上で重要な役割を果たします。

モデルとの連携

コントローラは、リクエスト内容を処理する際に、データの取得や更新が必要な場合、モデルと連携してビジネスロジックを実行します。例えば、ユーザーの情報を取得したり、データベースに新たなレコードを追加したりといった操作が含まれます。こうした処理はすべてモデルを通じて行われ、コントローラ自体にはデータ処理の詳細なコードが含まれません。

ビューへのデータ提供とレスポンス生成

モデルから必要なデータを取得した後、コントローラはそれをビューに渡して、最終的な出力(HTMLやJSONなど)を生成します。ビューは渡されたデータをもとにクライアントに返す内容を組み立て、コントローラはそれをクライアントにレスポンスとして返します。この段階で、レスポンスの形式や内容が決まり、リクエストに対する応答が完了します。

コントローラがこのようにリクエスト処理の中核を担うことで、リクエストからレスポンスまでの流れが整理され、コードの保守性が向上します。

サービス層の導入とそのメリット

サービス層(Service Layer)は、ビジネスロジックをコントローラから分離し、コードの再利用性と保守性を高めるための層です。これにより、アプリケーション全体で共通するビジネスルールを一元管理し、コントローラの役割をシンプルに保つことが可能です。

サービス層の役割

サービス層は、ビジネスロジックや複雑な処理を集中して担当する場所として機能します。たとえば、ユーザー登録の際に、入力データの検証、パスワードのハッシュ化、メール通知の送信など、複数の処理が必要な場合、それらの一連の処理をサービス層にまとめます。これにより、コントローラは必要なサービスメソッドを呼び出すだけで、登録機能を簡潔に実装できます。

サービス層導入のメリット

  1. コードの再利用性向上:サービス層に処理をまとめることで、他のコントローラやクラスからも同じビジネスロジックを再利用でき、冗長なコードの記述を避けられます。
  2. コントローラの簡潔化:コントローラにビジネスロジックを記述せず、サービス層に任せることで、コントローラがシンプルで読みやすくなり、役割が明確になります。
  3. テストの容易さ:サービス層にビジネスロジックを集約することで、テストの際にサービスメソッドごとにユニットテストを実施しやすくなり、機能の品質を担保できます。

サービス層の実装例

例えば、ユーザー情報を処理するUserServiceクラスを導入する場合、以下のようにビジネスロジックを整理します。

class UserService {
    public function registerUser($userData) {
        // 入力データの検証
        $this->validateUserData($userData);

        // パスワードのハッシュ化
        $userData['password'] = password_hash($userData['password'], PASSWORD_BCRYPT);

        // ユーザー情報の保存
        $userRepository = new UserRepository();
        $userRepository->save($userData);

        // メール通知の送信
        $this->sendNotificationEmail($userData['email']);
    }

    private function validateUserData($userData) {
        // データ検証のロジック
    }

    private function sendNotificationEmail($email) {
        // メール送信のロジック
    }
}

コントローラは、UserServiceのregisterUserメソッドを呼び出すだけでユーザー登録処理を実行できます。これにより、ビジネスロジックの変更がサービス層内で完結し、他の部分への影響を最小限に抑えた管理が可能です。

リポジトリパターンとデータ処理

リポジトリパターン(Repository Pattern)は、データベースとのやり取りを一箇所に集約し、データアクセスロジックを統一するための設計パターンです。これにより、データベースの操作が簡潔になり、他のコードと分離されるため、保守性が向上します。

リポジトリパターンの役割

リポジトリパターンは、データの取得・保存・更新・削除といった操作を専門に扱うクラス(リポジトリクラス)を提供し、データベースアクセスロジックをカプセル化します。例えば、ユーザー情報を扱う際にはUserRepositoryを通じてデータ操作を行い、SQLクエリやデータベース接続のコードを他の層に持ち込まないようにします。

リポジトリパターン導入のメリット

  1. コードの再利用性:データアクセスロジックがリポジトリに集約されるため、他のクラスや層から同じデータアクセス処理を再利用できます。
  2. テストの容易さ:データ操作が一箇所に集約されるため、ユニットテストやモックによるテストが簡単に実施できます。
  3. データベース変更への柔軟性:データベースの変更(テーブル構造やDBMSの切り替えなど)が発生した場合も、リポジトリクラス内で対応すれば済み、アプリケーション全体への影響を抑えられます。

リポジトリパターンの実装例

以下は、ユーザー情報の取得や保存を行うUserRepositoryクラスの例です。

class UserRepository {
    private $db;

    public function __construct($db) {
        $this->db = $db;
    }

    public function findById($id) {
        $stmt = $this->db->prepare("SELECT * FROM users WHERE id = :id");
        $stmt->bindParam(':id', $id, PDO::PARAM_INT);
        $stmt->execute();
        return $stmt->fetch(PDO::FETCH_ASSOC);
    }

    public function save($userData) {
        $stmt = $this->db->prepare("INSERT INTO users (name, email, password) VALUES (:name, :email, :password)");
        $stmt->bindParam(':name', $userData['name']);
        $stmt->bindParam(':email', $userData['email']);
        $stmt->bindParam(':password', $userData['password']);
        $stmt->execute();
        return $this->db->lastInsertId();
    }
}

コントローラとリポジトリの連携

コントローラでは、リポジトリを利用してデータ操作を行います。これにより、コントローラ内のデータ処理がシンプルになり、リポジトリのメソッド呼び出しだけでデータを扱うことができます。

$userRepository = new UserRepository($db);
$user = $userRepository->findById($id);

リポジトリパターンを導入することで、アプリケーション全体のデータアクセスロジックが整理され、保守性が高まり、効率的なデータ処理が実現します。

レスポンスの組み立てとフォーマット

レスポンスの組み立ては、サーバーがリクエストに対して返すデータやメッセージを適切な形式で構築するプロセスです。PHPでは、HTML、JSON、XMLなどさまざまな形式でレスポンスを返すことができますが、目的やリクエストに応じたフォーマット選択が重要です。

HTMLレスポンスの組み立て

HTMLレスポンスは、通常のWebページ表示に使用される一般的なフォーマットです。HTMLレスポンスを生成する場合、コントローラで取得したデータをViewに渡し、HTMLテンプレートを使って構築します。

class UserController {
    public function showUserProfile($id) {
        $userRepository = new UserRepository();
        $user = $userRepository->findById($id);

        // ViewでHTMLレスポンスの組み立て
        include 'views/user_profile.php';
    }
}

この例では、user_profile.phpというHTMLテンプレートにデータを渡して、レスポンスが組み立てられ、ユーザーに表示されます。

JSONレスポンスの組み立て

JSONレスポンスは、主にAPIやJavaScriptとのやり取りに使用され、データのみをシンプルに返す場合に適しています。JSON形式は軽量で処理が早く、Webアプリケーションのパフォーマンス向上にも役立ちます。

class ApiController {
    public function getUserData($id) {
        $userRepository = new UserRepository();
        $user = $userRepository->findById($id);

        // JSON形式でレスポンスを返す
        header('Content-Type: application/json');
        echo json_encode($user);
    }
}

レスポンスフォーマットの選択

  1. HTML:Webページを表示するためのデフォルトの形式。SEOやデザインが重要なWebサイト向け。
  2. JSON:データのみを提供する際に適した形式。モバイルアプリやフロントエンドでの非同期通信(AJAX)に最適。
  3. XML:XMLフォーマットが必要な場合や、特定の標準仕様に従う際に使用。

レスポンスの構築でのポイント

レスポンスには、HTTPステータスコードやヘッダー情報も含めることが重要です。たとえば、データが見つからない場合には404エラー、権限不足の場合には403エラーなど、適切なステータスコードを設定してクライアントにわかりやすい応答を返すようにします。

if (!$user) {
    http_response_code(404);
    echo json_encode(["error" => "User not found"]);
    return;
}

このように、リクエストに応じたレスポンスフォーマットを適切に選択し、必要なデータとステータスを構築することで、ユーザーやクライアントにわかりやすく、効率的なレスポンスが実現します。

ミドルウェアによる共通処理の抽象化

ミドルウェアは、リクエストの処理過程において、認証やロギング、エラーハンドリングなどの共通処理を抽象化し、コントローラの前後に実行するための仕組みです。これにより、アプリケーションの各機能に共通する処理を一箇所にまとめ、コードの重複を防ぎ、可読性と保守性を向上させます。

ミドルウェアの役割

ミドルウェアは、各リクエストがコントローラに到達する前後で実行される処理のレイヤーです。一般的に次のような役割を持ちます。

  1. 認証・認可:特定のリクエストに対してユーザーの認証やアクセス制御を行います。例えば、ログイン済みのユーザーにのみ特定のページを表示する際に使用されます。
  2. ロギング:各リクエストの情報を記録し、アプリケーションの監視やデバッグに役立てます。
  3. エラーハンドリング:エラーや例外が発生した場合に適切な処理を行い、ユーザーにエラーメッセージを表示したり、エラーログを残します。
  4. リクエスト前後の処理:キャッシュ処理や、特定のヘッダー情報の追加など、リクエストやレスポンスに対して共通の処理を行います。

ミドルウェアの実装例

以下は、ユーザー認証をミドルウェアで処理する例です。この例では、認証が成功しなければリクエストがコントローラに渡されず、認証ページにリダイレクトされます。

class AuthMiddleware {
    public function handle($request, $next) {
        // ユーザーが認証済みであるかチェック
        if (!isset($_SESSION['user'])) {
            // 認証されていない場合、ログインページにリダイレクト
            header('Location: /login');
            exit;
        }

        // 認証済みであれば次の処理へ
        return $next($request);
    }
}

ミドルウェアの導入方法

ミドルウェアは、通常、アプリケーションのリクエスト処理チェーンに組み込まれます。リクエストが発生すると、ミドルウェアが最初に実行され、条件が満たされれば次の処理(コントローラ)にリクエストを渡します。以下は、ミドルウェアをルーティングに組み込む例です。

// ミドルウェアの適用
$request = $_SERVER;
$authMiddleware = new AuthMiddleware();
$authMiddleware->handle($request, function($request) {
    // コントローラ処理へ
    (new UserController())->showUserProfile($request['user_id']);
});

ミドルウェア導入のメリット

  1. 共通処理の一元化:複数のコントローラで必要な認証やロギングなどの共通処理を一箇所に集約し、重複を減らせます。
  2. コードの簡潔化:各コントローラに認証やロギングの処理を記述する必要がなくなり、コントローラがシンプルになります。
  3. 保守性と拡張性の向上:認証方法やエラーハンドリングの方式が変わった際に、ミドルウェアのみを変更すれば済むため、アプリケーション全体の変更が容易になります。

ミドルウェアによる共通処理の抽象化により、PHPアプリケーションの構造が整えられ、メンテナンスが容易でセキュアなシステムが実現できます。

エラーハンドリングと例外処理

エラーハンドリングと例外処理は、PHPアプリケーションにおける信頼性と安定性を確保するために不可欠な要素です。予期しないエラーや例外が発生した際に適切に対処することで、ユーザー体験の向上やデバッグの効率化が図れます。

エラーハンドリングの重要性

エラーハンドリングを適切に行うと、以下のメリットがあります。

  1. ユーザー体験の向上:エラー発生時に、ユーザーに適切なエラーメッセージを表示することで、システムが安定していると感じさせます。
  2. デバッグの効率化:エラーの種類や原因をログに残すことで、デバッグ作業が効率的になります。
  3. セキュリティ向上:エラーメッセージが過度に詳細でないように制御することで、システムの内部情報を漏らさないようにします。

例外処理の基本

PHPでは、try-catch構文を用いて例外処理を行います。tryブロック内でエラーが発生した場合、それに対応するcatchブロックで例外をキャッチして適切な処理を行います。

try {
    // 例外が発生する可能性のある処理
    $user = $userRepository->findById($id);
    if (!$user) {
        throw new Exception("User not found");
    }
} catch (Exception $e) {
    // 例外発生時の処理
    http_response_code(404);
    echo json_encode(["error" => $e->getMessage()]);
}

上記のコードでは、ユーザーが見つからない場合に例外を発生させ、適切なエラーメッセージとステータスコードを返します。

PHPでのカスタム例外の利用

アプリケーションの要件に応じて、独自のカスタム例外を作成することも可能です。これにより、特定のエラーに対する柔軟な処理が可能になります。

class UserNotFoundException extends Exception {}

try {
    $user = $userRepository->findById($id);
    if (!$user) {
        throw new UserNotFoundException("User not found");
    }
} catch (UserNotFoundException $e) {
    http_response_code(404);
    echo json_encode(["error" => $e->getMessage()]);
}

エラーログの活用

エラーログを残すことで、アプリケーションの稼働状況を把握し、エラーが頻発する箇所やパターンを特定できます。PHPのerror_log関数やログライブラリを活用して、エラー情報を記録しましょう。

error_log($e->getMessage(), 3, '/path/to/log/file.log');

エラーハンドリングのベストプラクティス

  1. 適切な例外メッセージの表示:ユーザーには簡潔で安全なエラーメッセージを表示し、内部エラーログには詳細なメッセージを記録します。
  2. レスポンスの一貫性:エラーハンドリングでも、通常のレスポンス形式(例:JSON形式)を維持することで、一貫性のあるレスポンスを返します。
  3. カスタム例外の活用:特定のエラーに応じてカスタム例外を使用し、エラーハンドリングの柔軟性を高めます。

エラーハンドリングと例外処理を適切に実装することで、アプリケーションの信頼性と安全性が向上し、エラー発生時の影響を最小限に抑えることができます。

ユニットテストとリクエスト・レスポンスのテスト方法

ユニットテストは、PHPアプリケーションの品質を保つために重要なプロセスです。リクエストとレスポンスのテストを含めて、各機能が期待通りに動作するかを確認することで、コードの信頼性が向上します。PHPでは、PHPUnitを使用してテストを実行することが一般的です。

ユニットテストの基本概念

ユニットテストは、アプリケーションの小さな単位(ユニット)を独立してテストし、意図した通りの結果が得られるかを確認するテストです。例えば、サービス層やリポジトリ層の関数に対してテストを行い、個々の処理が正しく動作しているかを検証します。

PHPUnitを使ったテストの例

PHPUnitをインストールした後、テストを実行するには、まず各クラスのテストケースを作成します。以下は、UserServiceクラスのregisterUserメソッドに対するテストの例です。

use PHPUnit\Framework\TestCase;

class UserServiceTest extends TestCase {
    public function testRegisterUser() {
        // モックリポジトリの準備
        $userRepositoryMock = $this->createMock(UserRepository::class);
        $userRepositoryMock->method('save')->willReturn(1);

        $userService = new UserService($userRepositoryMock);

        // テスト対象メソッドの実行
        $result = $userService->registerUser(['name' => 'Test', 'email' => 'test@example.com', 'password' => 'password123']);

        // 結果の確認
        $this->assertEquals(1, $result);
    }
}

この例では、UserRepositoryのモックを作成し、UserServiceのregisterUserメソッドが正しく動作するかをテストしています。モックを使用することで、データベースへの実際のアクセスを避け、純粋なビジネスロジックのみをテストします。

リクエストとレスポンスのテスト方法

リクエストとレスポンスのテストでは、コントローラが期待通りのレスポンスを返すかを検証します。テストフレームワークでリクエストをシミュレーションし、レスポンスの内容やステータスコードが正しいかを確認します。

use PHPUnit\Framework\TestCase;

class ApiControllerTest extends TestCase {
    public function testGetUserData() {
        // モックのリポジトリを作成
        $userRepositoryMock = $this->createMock(UserRepository::class);
        $userRepositoryMock->method('findById')->willReturn(['id' => 1, 'name' => 'Test User', 'email' => 'test@example.com']);

        $apiController = new ApiController($userRepositoryMock);

        // 出力バッファリングを使用してレスポンスをキャプチャ
        ob_start();
        $apiController->getUserData(1);
        $output = ob_get_clean();

        // レスポンスのアサーション
        $this->assertJson($output);
        $responseData = json_decode($output, true);
        $this->assertEquals('Test User', $responseData['name']);
        $this->assertEquals('test@example.com', $responseData['email']);
    }
}

上記のコードでは、getUserDataメソッドをテストし、期待通りのJSONレスポンスが返されることを確認しています。レスポンスの内容が適切かどうかや、フォーマットが正しいかを確認することができます。

テストの自動化とCI/CDとの連携

ユニットテストやリクエスト・レスポンステストは、継続的インテグレーション(CI)/継続的デリバリー(CD)環境で自動的に実行させることで、コード変更時に即座にテストを行い、エラーを素早く発見できます。GitHub ActionsやJenkinsなどを用いると、プッシュごとに自動でテストが実行され、合格しなければデプロイされないようにするなどのワークフローが可能です。

ユニットテストのメリット

  1. エラーの早期発見:コードの不具合を迅速に見つけ出し、品質を維持できます。
  2. 保守性の向上:テストにより機能変更時の動作が保証され、コードのリファクタリングも安心して行えます。
  3. ドキュメントとしての役割:ユニットテストは、コードがどのように動作するかを示すドキュメントとしても機能します。

ユニットテストとリクエスト・レスポンステストにより、アプリケーションの品質を高く保ち、堅牢で信頼性のあるPHPアプリケーションを構築できます。

応用例:API開発でのレイヤー分割

API開発においても、レイヤー分割のアプローチは重要です。PHPでのAPI開発では、リクエストとレスポンスの効率的な処理が求められ、MVCモデルやサービス層、リポジトリパターンといったレイヤー分割の手法を活用することで、APIの可読性、保守性、拡張性が向上します。

APIのMVC構造

API開発では、MVCモデルをベースにしつつ、データの形式やエラーハンドリング、セキュリティの要件を踏まえて設計します。APIでは、以下のような構成でレイヤーを分割します。

  1. コントローラ:リクエストを受け取り、サービス層を利用してデータ処理を行い、レスポンスを返す役割を持ちます。
  2. サービス層:ビジネスロジックやデータの整形など、コントローラが持つべきでない複雑な処理を担当します。
  3. リポジトリ層:データベースとのやり取りを担当し、データ操作の統一的なアクセス方法を提供します。

APIエンドポイントの設計例

以下に、ユーザー情報を取得するAPIエンドポイントの例を示します。この例では、コントローラがリクエストを受け取り、サービス層を経由してリポジトリからデータを取得し、JSON形式でレスポンスを返します。

class ApiController {
    private $userService;

    public function __construct(UserService $userService) {
        $this->userService = $userService;
    }

    public function getUserData($id) {
        try {
            $userData = $this->userService->getUserById($id);
            header('Content-Type: application/json');
            echo json_encode($userData);
        } catch (UserNotFoundException $e) {
            http_response_code(404);
            echo json_encode(["error" => $e->getMessage()]);
        }
    }
}

サービス層でのビジネスロジック

サービス層では、リポジトリから取得したデータに対するビジネスロジックやデータ整形を行います。たとえば、ユーザーのデータを整形して返すgetUserByIdメソッドは次のようになります。

class UserService {
    private $userRepository;

    public function __construct(UserRepository $userRepository) {
        $this->userRepository = $userRepository;
    }

    public function getUserById($id) {
        $user = $this->userRepository->findById($id);
        if (!$user) {
            throw new UserNotFoundException("User not found");
        }

        // 必要に応じてデータ整形
        return [
            "id" => $user['id'],
            "name" => $user['name'],
            "email" => $user['email']
        ];
    }
}

リポジトリ層でのデータベース操作

リポジトリ層は、APIが必要とするデータベース操作を統一的に提供し、データベース操作の詳細を抽象化します。以下はユーザー情報を取得するリポジトリの例です。

class UserRepository {
    private $db;

    public function __construct($db) {
        $this->db = $db;
    }

    public function findById($id) {
        $stmt = $this->db->prepare("SELECT * FROM users WHERE id = :id");
        $stmt->bindParam(':id', $id, PDO::PARAM_INT);
        $stmt->execute();
        return $stmt->fetch(PDO::FETCH_ASSOC);
    }
}

レイヤー分割によるAPI開発のメリット

  1. コードの整理と保守性向上:ビジネスロジック、データベースアクセス、リクエスト処理が明確に分離されるため、コードが整理され、変更に対応しやすくなります。
  2. 再利用性とテストの向上:サービス層やリポジトリ層が個別にテスト可能で、特定のビジネスロジックやデータ処理を再利用しやすくなります。
  3. セキュリティ強化:サービス層でのバリデーションや例外処理を統一することで、セキュリティ上のリスクも管理しやすくなります。

API開発においてレイヤー分割を実践することで、PHPアプリケーションが効率的に動作し、変更にも柔軟に対応できる構造が実現します。

まとめ

本記事では、PHPアプリケーションにおけるリクエストとレスポンス処理の効率化を図るために、MVCモデルやサービス層、リポジトリパターン、ミドルウェアの活用方法について詳しく解説しました。これらのレイヤー分割を実践することで、コードの保守性、拡張性が向上し、開発スピードの向上にもつながります。また、テストやエラーハンドリングの容易化により、アプリケーションの信頼性やセキュリティも強化できます。

適切なレイヤー分割は、規模が拡大するプロジェクトにおいて特に有効です。これを活用し、効率的で安定したPHPアプリケーション開発を実現しましょう。

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