PowerShellでIEモード用サイトリストをエクスポートし、Edgeに移行する手順を解説

IEモードは、多くの企業や組織でレガシーなウェブアプリケーションやシステムと互換性を保つために利用されてきました。しかし、MicrosoftがInternet Explorerを段階的に廃止する中で、Edgeに統合されたIEモードへの移行が必須となっています。本記事では、PowerShellを使用してWindows環境からIEモード用サイトリストをエクスポートし、Edgeに適切に移行する手順を解説します。この方法により、効率的かつ正確に移行を進めることが可能です。

IEモード用サイトリストとは


IEモード用サイトリストとは、Microsoft EdgeのIEモードで動作させるべきウェブサイトを指定するためのリストです。このリストを用いることで、互換性が必要なウェブアプリケーションやレガシーシステムをEdge上でシームレスに動作させることができます。

IEモードの背景


Internet Explorer(IE)は長年にわたり利用されてきましたが、セキュリティ上の理由や技術的な進化の必要性から、MicrosoftはIEのサポートを終了しました。これに代わり、EdgeにIEモードを導入し、過去の資産を活用できる環境を提供しています。

サイトリストの役割


サイトリストは、以下の役割を果たします。

  • 特定サイトのIEモード動作を指定: リストに登録されたURLは自動的にIEモードで開かれます。
  • 互換性の確保: レガシーシステムが動作しなくなるリスクを回避します。
  • 集中管理: 管理者が中央でリストを更新し、全社的に適用できます。

IEモード用サイトリストの形式


サイトリストは通常、XML形式で構成されており、以下のような構造を持っています。

<site-list version="1">
    <site url="https://example.com" compatibilityMode="IE11"/>
    <site url="https://legacy-app.company.com" compatibilityMode="IE8"/>
</site-list>

この形式は、PowerShellを使用することでエクスポート・編集・インポートが可能です。

移行の準備

PowerShellを使用してIEモード用サイトリストをエクスポートし、Edgeへ移行する前に、必要な準備を整えることが重要です。ここでは、必要な環境設定と操作手順を解説します。

PowerShellの基本操作


PowerShellは、Windows環境で利用可能なコマンドラインシェルおよびスクリプト環境です。以下の手順でPowerShellを起動します:

  1. スタートメニューを開く
  • “PowerShell”と入力し、Windows PowerShellまたはPowerShellを選択します。
  1. 管理者として実行
  • 管理者権限が必要な操作があるため、右クリックして「管理者として実行」を選択します。

必要なモジュールのインストール


PowerShellのスクリプトを実行するために、適切なモジュールやツールを準備します。

  • Windows Management Framework: 最新バージョンをインストールすることで、PowerShellの機能を拡張できます。
  • インストール例
   Install-Module -Name "PSReadline" -Force

システム環境の確認


移行をスムーズに進めるため、以下のポイントを確認してください:

  1. Windowsバージョン
  • EdgeとIEモードが動作するWindows 10以降が必要です。
  1. Microsoft Edgeのインストール
  • 最新バージョンのEdgeがインストールされていることを確認してください。
  1. ネットワーク環境
  • サイトリストの共有やダウンロードに必要なアクセス権限を確認してください。

バックアップの作成


作業中のデータ損失を防ぐために、既存のサイトリストをバックアップします。以下のコマンドを使用すると、バックアップが作成できます:

Copy-Item -Path "C:\Path\To\IE-SiteList.xml" -Destination "C:\Backup\IE-SiteList_Backup.xml"

これで、移行に必要な準備は完了です。次のステップでは、PowerShellを使用してサイトリストをエクスポートする方法について説明します。

サイトリストのエクスポート方法

PowerShellを使用してIEモード用サイトリストをエクスポートする手順を具体的に解説します。この操作により、サイトリストを簡単に管理および移行することが可能になります。

IEモード用サイトリストの保存場所を確認


サイトリストは、Windows環境でローカルまたはネットワーク共有に保存されています。以下の手順で確認してください:

  1. グループポリシーエディタを開く
  • gpedit.mscを実行し、「コンピューターの構成 > 管理用テンプレート > Microsoft Edge > 互換性」内の「エンタープライズモードサイトリストの場所」を確認します。
  1. サイトリストのパスを取得
  • 指定されているパス(例:\\Server\Path\IE-SiteList.xml)をメモします。

PowerShellを使用したエクスポート


以下のコマンドを使用して、指定されたパスからサイトリストをローカルディスクにコピーします:

# サイトリストの保存場所を変数に指定
$SiteListPath = "\\Server\Path\IE-SiteList.xml"
$ExportPath = "C:\Exported\IE-SiteList.xml"

# サイトリストをエクスポート
Copy-Item -Path $SiteListPath -Destination $ExportPath

# エクスポート完了メッセージを表示
Write-Host "サイトリストが $ExportPath にエクスポートされました。" -ForegroundColor Green

エクスポート結果の確認


エクスポートしたサイトリストが正しく保存されているか確認するため、以下の手順を実行します:

  1. エクスポート先フォルダを開く
  • C:\Exported をエクスプローラーで確認します。
  1. XMLファイルを開く
  • メモ帳やブラウザでIE-SiteList.xmlを開き、内容を確認します。

注意点

  • アクセス権限: サイトリストの場所にアクセスするための適切な権限が必要です。
  • ネットワーク共有の確認: サイトリストがネットワーク共有に保存されている場合、接続状態を確認してください。

これで、IEモード用サイトリストのエクスポートが完了しました。次のステップでは、このリストをEdge用に変換する方法について解説します。

Edge用サイトリストへの変換

エクスポートしたIEモード用サイトリストは、Edgeで使用するために適切な形式に変換する必要があります。以下では、XMLファイルの構造確認からEdge対応形式への変換手順を解説します。

エクスポートしたサイトリストの確認


IEモード用サイトリストは通常、XML形式で保存されています。内容を確認するために、以下の手順を実行してください:

  1. XMLファイルを開く
  • メモ帳やVisual Studio Codeなどのエディタを使用して、エクスポートしたXMLファイルを開きます。
  1. 基本構造の確認
  • サイトリストは以下のような構造になっています:
<site-list version="1">
    <site url="https://example.com" compatibilityMode="IE11"/>
    <site url="https://legacy-app.company.com" compatibilityMode="IE8"/>
</site-list>

変換の準備


Edgeでは、IEモード用サイトリストに互換性がある形式をそのまま利用できますが、場合によってはURLや構造を調整する必要があります。以下のポイントを確認してください:

  • 互換モードの確認
  • compatibilityModeの設定が正しいか確認します(例:IE11IE8)。
  • 余分な要素の削除
  • Edgeで不要な要素が含まれていないか確認します。

変換用PowerShellスクリプトの実行


必要に応じて、URLや設定を変換するスクリプトを作成して適用します。以下は、変換の例です:

# エクスポートしたサイトリストの読み込み
$SourcePath = "C:\Exported\IE-SiteList.xml"
$TargetPath = "C:\Exported\Edge-SiteList.xml"
[xml]$SiteList = Get-Content $SourcePath

# Edge用設定の追加または修正
foreach ($Site in $SiteList.'site-list'.site) {
    # 必要に応じてURLの変更
    if ($Site.url -like "*legacy-app*") {
        $Site.url = $Site.url.Replace("legacy-app", "new-app")
    }
}

# 変換結果の保存
$SiteList.Save($TargetPath)
Write-Host "Edge用サイトリストが $TargetPath に保存されました。" -ForegroundColor Green

Edge用リストの検証


変換後のリストが正しく適用できるかを確認します:

  1. 構造を再確認
  • XMLファイルを再度開き、サイトのURLや設定が正しいか確認します。
  1. Edge管理ツールでの確認
  • Edgeの「エンタープライズモードサイトリスト」を設定し、エラーが発生しないか確認します。

注意点

  • 設定ポリシーに合わせる: Edgeの管理ポリシーに適合したリストである必要があります。
  • バックアップの保持: 元のサイトリストをバックアップとして保存しておくことを推奨します。

これで、Edge用サイトリストへの変換が完了しました。次のステップでは、Edgeでのサイトリストインポート方法について解説します。

Edgeへのサイトリストインポート方法

Edgeに変換済みのサイトリストをインポートする手順を説明します。この操作により、IEモード用サイトリストをEdgeに適用して動作を確認できます。

グループポリシーを使用したインポート


組織全体でサイトリストを適用する場合、グループポリシーを使用します。

  1. グループポリシーエディタを開く
  • gpedit.mscを実行して「ローカルグループポリシーエディタ」を起動します。
  1. 適切なポリシーを編集
  • 「コンピューターの構成 > 管理用テンプレート > Microsoft Edge > 互換性」に移動し、「エンタープライズモードサイトリストの場所」をダブルクリックします。
  1. サイトリストの場所を設定
  • ポリシーを「有効」にし、変換済みサイトリストのパス(例:C:\Exported\Edge-SiteList.xmlまたは\\Server\Path\Edge-SiteList.xml)を入力します。
  1. ポリシーの適用
  • 設定を保存し、以下のコマンドを実行してポリシーを適用します:
   gpupdate /force

Microsoft Edgeブラウザでの確認


グループポリシーを適用した後、Edgeでサイトリストが正しく読み込まれているか確認します。

  1. Edgeを開く
  • 最新バージョンのMicrosoft Edgeを起動します。
  1. Edgeの設定を確認
  • 「設定 > 既定のブラウザ」に移動し、「IEモード用サイトリスト」が正しく設定されていることを確認します。
  1. サイトをテスト
  • サイトリストに登録したURLをEdgeで開き、IEモードで動作するか確認します。

レジストリを使用した手動設定(個別環境向け)


小規模な環境や個別ユーザーの設定では、レジストリを直接編集する方法が便利です。

  1. レジストリエディタを開く
  • regeditを実行して「レジストリエディタ」を起動します。
  1. キーの場所
  • 以下のキーに移動します:
   HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge
  1. 新しい値の作成
  • EnterpriseModeSiteListという文字列値を作成し、値にサイトリストのパスを設定します(例:C:\Exported\Edge-SiteList.xml)。

注意点

  • ポリシー設定の優先度: グループポリシーが有効な場合、レジストリ設定は上書きされることがあります。
  • 接続性の確認: サイトリストがネットワーク共有に保存されている場合、Edgeが正しくアクセスできることを確認してください。

これで、Edgeへのサイトリストインポートが完了しました。次のステップでは、トラブルシューティングの方法を解説します。

トラブルシューティング

IEモード用サイトリストをEdgeに移行する際に、問題が発生することがあります。ここでは、よくあるエラーや問題点とその解決方法を解説します。

サイトリストが適用されない場合


Edgeでサイトリストが正しく適用されない場合、以下の点を確認してください。

1. ポリシー設定の確認


グループポリシーやレジストリで設定したサイトリストの場所が正しいか確認します。

  • ポリシー確認手順:
  1. Edgeの「設定 > 既定のブラウザ」で「IEモード用サイトリスト」を確認します。
  2. 設定が反映されていない場合、以下のコマンドでグループポリシーを更新します:
   gpupdate /force

2. サイトリストのフォーマットエラー


XMLファイルに構文エラーがあると、Edgeがサイトリストを読み込めません。

  • XMLフォーマット確認手順:
  1. XMLファイルをブラウザで開いて構文エラーがないか確認します。
  2. PowerShellでバリデーションを実行します:
   [xml]$SiteList = Get-Content "C:\Exported\Edge-SiteList.xml"
   if ($SiteList -eq $null) {
       Write-Host "XMLにエラーがあります。" -ForegroundColor Red
   } else {
       Write-Host "XMLは有効です。" -ForegroundColor Green
   }

特定のサイトがIEモードで動作しない場合


サイトリストに登録したURLがIEモードで開かない場合、以下を確認します。

1. URLの設定ミス

  • URLにタイプミスがないか、完全な形式(https://example.com)で記述されているか確認します。

2. 互換モードの確認

  • サイトリスト内のcompatibilityModeが正しい設定になっているか確認します(例:IE11IE8)。

ネットワーク共有へのアクセスエラー


サイトリストがネットワーク共有に保存されている場合、接続に問題がないか確認します。

1. アクセス権限の確認

  • サイトリストの保存先にアクセスする権限があることを確認します。
  • ネットワーク接続が有効であることを確認してください。

2. パスの形式

  • UNCパス形式(例:\\Server\Path\Edge-SiteList.xml)を使用し、パスが正しいことを確認します。

Edgeのキャッシュ問題


Edgeが古いキャッシュを使用している場合、変更が反映されないことがあります。

  • キャッシュのクリア手順:
  1. Edgeの「設定 > プライバシー、検索、サービス」で「閲覧データをクリア」を選択します。
  2. キャッシュとCookieを削除します。

よくあるエラーメッセージと解決方法

エラーメッセージ原因解決方法
サイトリストが無効ですXML構文エラーまたはパスが無効XMLのフォーマットとパスを確認する
Edgeがサイトリストを見つけられませんパス設定ミスまたはネットワークエラーパスとアクセス権限を確認する
サイトが正しく表示されませんIEモード設定の不備互換モードやURL設定を確認する

これらの対策により、Edgeへのサイトリスト移行時のトラブルを解消することができます。次のステップでは、本記事のまとめを行います。

まとめ

本記事では、PowerShellを活用してIEモード用サイトリストをエクスポートし、Microsoft Edgeに移行する手順を詳しく解説しました。サイトリストの役割や形式の確認から、PowerShellを使ったエクスポート、Edge用形式への変換、インポート方法、そしてトラブルシューティングまで、移行作業をスムーズに進めるための具体的な方法を紹介しました。

適切な移行手順を踏むことで、IEモードの利用を確実に継続し、レガシーなウェブシステムの互換性を維持できます。また、PowerShellを使用することで、作業を効率化し、エラーを最小限に抑えることが可能です。

この記事を参考に、安全かつ効率的なサイトリスト移行を実現してください。

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