PowerShellを活用してVPNクライアント(例: GlobalProtect)を自動インストールし、初期設定を適用する方法を解説します。企業や組織でのVPN環境の展開・管理を効率化するため、スクリプトを活用してセットアップを自動化するメリットは大きいです。
通常、VPNクライアントのインストールと設定には手動作業が必要ですが、PowerShellを使うことで以下のような利点が得られます。
- 作業の効率化:一括で複数の端末にVPNを展開可能
- ヒューマンエラーの防止:手作業による設定ミスを排除
- 再現性の確保:スクリプト化することで同じ環境を再現可能
本記事では、PowerShellを使ってGlobalProtectのインストールを自動化し、必要なVPN接続設定を適用する方法を詳しく解説します。サンプルスクリプトを提供しながら、導入手順やトラブルシューティングについても説明するので、IT管理者の方はぜひ参考にしてください。
PowerShellを使ったVPNクライアントの自動インストールの概要
VPNクライアントをPowerShellで自動インストールすることにより、手作業を削減し、環境構築を効率化できます。特に、企業や組織で複数のデバイスにVPNを展開する場合、自動化のメリットは非常に大きくなります。
VPNクライアントの自動インストールの流れ
VPNクライアント(GlobalProtect など)をPowerShellで自動インストールする一般的な手順は以下の通りです。
- VPNクライアントのダウンロード
- 公式サイトや企業のサーバーからインストーラーを取得
- 必要に応じてダウンロードURLを指定
- サイレントインストールの実行
- GUI操作なしでインストールを実行
- コマンドラインオプションを指定し、必要な設定を適用
- VPNの初期設定を適用
- VPNゲートウェイの設定をスクリプトで指定
- 自動接続の構成やプロファイルの登録
- 動作確認とログの記録
- VPN接続が正常に動作するか検証
- ログを保存し、インストール結果を管理
PowerShellによる自動インストールのメリット
PowerShellスクリプトを活用すると、VPNクライアントのインストールを一貫した手順で実施でき、以下のメリットが得られます。
- 作業負担の軽減:手動でインストールする手間を省ける
- 一括導入が可能:複数台の端末へ同時にインストールできる
- スクリプトの再利用性:異なる環境でも同じ手順で導入できる
- エラーの低減:設定ミスを防ぎ、確実なインストールが可能
次のセクションでは、GlobalProtectのダウンロードとインストール手順を具体的に解説していきます。
GlobalProtectのダウンロードとインストール手順
PowerShellを使用してGlobalProtectのインストールを自動化するための具体的な手順を説明します。GlobalProtectはPalo Alto Networksが提供するVPNクライアントで、企業ネットワークへの安全なリモートアクセスを提供します。
GlobalProtectのインストーラーを入手する
GlobalProtectのインストーラーをダウンロードする方法は、以下のいずれかです。
- 企業のイントラネットやファイルサーバーから取得
- 企業内で管理されている共有フォルダやサーバーからダウンロードする方法
- 公式サイトやPalo Alto Networksのポータルから取得
- IT管理者向けのポータルサイトから最新のインストーラーを入手
PowerShellを使用してインストーラーをダウンロードする場合、次のコマンドを使用できます。
$downloadUrl = "https://your-server.com/path/to/GlobalProtect.msi"
$outputPath = "C:\Temp\GlobalProtect.msi"
Invoke-WebRequest -Uri $downloadUrl -OutFile $outputPath
このスクリプトでは、指定したURLからGlobalProtectのインストーラーをダウンロードし、C:\Temp
フォルダに保存します。
サイレントインストールの実行
インストール時にGUIを表示せず、ユーザー操作なしでインストールを完了させるために、サイレントインストールを実行します。以下のPowerShellコマンドを使用します。
$installerPath = "C:\Temp\GlobalProtect.msi"
$logPath = "C:\Temp\GlobalProtectInstall.log"
Start-Process msiexec.exe -ArgumentList "/i `"$installerPath`" /quiet /norestart /log `"$logPath`"" -Wait -NoNewWindow
このスクリプトの説明:
msiexec.exe
を使用して.msi
インストーラーを実行/i
オプションでインストールを指定/quiet
でGUIを非表示にして無人インストール/norestart
で自動的な再起動を防止/log
でインストールログを保存
インストール完了後の確認
インストールが成功したかを確認するには、以下のPowerShellコマンドを実行します。
Get-WmiObject -Query "SELECT * FROM Win32_Product WHERE Name = 'GlobalProtect'"
これにより、システムにGlobalProtectが正しくインストールされているかをチェックできます。
次のステップ
インストールが完了したら、VPN接続の初期設定を適用する必要があります。次のセクションでは、GlobalProtectの初期設定をPowerShellで適用する方法について解説します。
VPN接続に必要な初期設定の適用方法
GlobalProtectをインストールした後、VPN接続を確立するために初期設定を適用する必要があります。PowerShellを使用して、VPNゲートウェイの設定や自動接続の構成をスクリプト化し、効率的に適用する方法を解説します。
GlobalProtectの設定ファイルの適用
GlobalProtectは、VPN接続に必要な情報をXML形式の設定ファイル(PanGPS.xml
)に保存します。これを事前に用意し、PowerShellで自動適用することで、手動設定の手間を省くことができます。
- 事前に用意した設定ファイルを適切なディレクトリに配置
$sourceConfig = "C:\Temp\PanGPS.xml"
$destinationPath = "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect"
Copy-Item -Path $sourceConfig -Destination $destinationPath -Force
- GlobalProtectサービスの再起動(設定の適用)
Restart-Service -Name PanGPS
この操作により、新しい設定が反映されます。
VPNゲートウェイの設定
GlobalProtectのVPN接続先(ゲートウェイ)を指定するには、gpclient
コマンドを使用します。PowerShellスクリプトで自動的にVPNの接続設定を行うことができます。
$vpnGateway = "vpn.example.com"
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-register -portal $vpnGateway" -NoNewWindow -Wait
このスクリプトの説明:
PanGPA.exe
を使用してVPNポータル(ゲートウェイ)を設定-register
オプションでVPNサーバーを登録
自動接続の設定
VPNを自動的に接続するには、gpclient connect
コマンドをPowerShellから実行します。
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-connect" -NoNewWindow -Wait
また、PCの起動時に自動接続するようにするために、Windowsのタスクスケジューラを利用してスクリプトを実行できます。
VPN接続の確認
設定が正しく適用されたかを確認するには、以下のPowerShellコマンドを使用します。
Get-Process | Where-Object { $_.ProcessName -like "PanGP*" }
または、次のコマンドで接続状態を確認できます。
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-status" -NoNewWindow -Wait
この結果により、VPN接続が確立されているかを判断できます。
次のステップ
ここまでで、PowerShellを使用してGlobalProtectのインストールおよび初期設定の適用が完了しました。次のセクションでは、具体的なスクリプト例とその解説を紹介します。
PowerShellスクリプトのサンプルコードと解説
ここでは、GlobalProtectのインストールから初期設定、VPN接続の確立までを自動化するPowerShellスクリプトの具体的な例を紹介します。これにより、手作業を削減し、効率的なVPN環境の構築が可能になります。
完全自動化スクリプトの概要
このスクリプトでは、以下の処理を自動実行します。
- GlobalProtectのダウンロード
- サイレントインストール
- VPNポータルの設定
- VPN接続の確立
サンプルスクリプト
# PowerShellスクリプト: GlobalProtectの自動インストール&設定
# 設定パラメータ
$downloadUrl = "https://your-server.com/path/to/GlobalProtect.msi" # VPNクライアントのURL
$installerPath = "C:\Temp\GlobalProtect.msi"
$logPath = "C:\Temp\GlobalProtectInstall.log"
$vpnGateway = "vpn.example.com" # VPNの接続先ポータル
# 1. GlobalProtectのダウンロード
Write-Output "Downloading GlobalProtect..."
Invoke-WebRequest -Uri $downloadUrl -OutFile $installerPath
# 2. サイレントインストール
Write-Output "Installing GlobalProtect..."
Start-Process msiexec.exe -ArgumentList "/i `"$installerPath`" /quiet /norestart /log `"$logPath`"" -Wait -NoNewWindow
# 3. GlobalProtectサービスの再起動
Write-Output "Restarting GlobalProtect services..."
Restart-Service -Name PanGPS -Force
# 4. VPNポータルの設定
Write-Output "Configuring VPN Gateway..."
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-register -portal $vpnGateway" -NoNewWindow -Wait
# 5. VPN接続の確立
Write-Output "Connecting to VPN..."
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-connect" -NoNewWindow -Wait
# 6. 接続確認
Write-Output "Checking VPN connection status..."
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-status" -NoNewWindow -Wait
Write-Output "GlobalProtect setup completed successfully!"
スクリプトの解説
- ダウンロード (
Invoke-WebRequest
) - 指定されたURLからインストーラーをダウンロードし、
C:\Temp\
フォルダに保存します。 - インストール (
msiexec.exe
) /quiet
オプションを使用してサイレントインストールを実行し、GUIなしでインストールを完了させます。- GlobalProtectの設定 (
PanGPA.exe
) -register
オプションを使用してVPNゲートウェイを設定-connect
オプションを使用してVPNへ自動接続- 動作確認 (
-status
) - VPN接続の状態を確認し、設定が正しく適用されたかを検証
スクリプトの実行方法
このスクリプトを.ps1
ファイルとして保存し、管理者権限で実行することで、自動的にGlobalProtectのインストールおよびVPN接続が設定されます。
powershell -ExecutionPolicy Bypass -File C:\Temp\Install_GlobalProtect.ps1
次のステップ
スクリプトを実行後、VPNが正常に動作しているかを確認する必要があります。次のセクションでは、スクリプトの実行結果の確認方法や、エラー発生時の対処方法について詳しく解説します。
スクリプトの実行と動作確認
PowerShellスクリプトを実行した後、GlobalProtectが正しくインストールされ、VPN接続が適切に設定されているかを確認する必要があります。本セクションでは、スクリプトの実行手順、正常動作の確認方法、ログの取得方法を解説します。
スクリプトの実行方法
スクリプトを適切に実行するには、PowerShellの実行ポリシーを変更し、管理者権限で実行する必要があります。
- PowerShellの実行ポリシーを変更
実行ポリシーの制限により、スクリプトがブロックされる可能性があるため、以下のコマンドで制限を解除します。
Set-ExecutionPolicy Bypass -Scope Process -Force
- スクリプトの実行
.ps1
ファイルを管理者権限で実行します。
powershell -ExecutionPolicy Bypass -File C:\Temp\Install_GlobalProtect.ps1
または、PowerShellを開いて手動実行
cd C:\Temp
.\Install_GlobalProtect.ps1
- スクリプト実行後の確認
スクリプトがエラーなく完了したかを確認し、VPNが正しく接続されたかをチェックします。
VPN接続の確認方法
スクリプトが正常に動作しているかを確認するため、以下の方法を使用します。
- GlobalProtectのプロセス確認
Get-Process | Where-Object { $_.ProcessName -like "PanGP*" }
実行結果に PanGPS
や PanGPA
のプロセスが表示されていれば、GlobalProtectが稼働しています。
- VPN接続の状態を確認
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-status" -NoNewWindow -Wait
VPNの接続状態が出力されるので、Connected
になっているかを確認します。
- ネットワーク経由でVPN接続のテスト VPNが正常に動作しているかをテストするために、VPN経由でアクセスできるIPアドレスに対して
ping
を実行します。
Test-NetConnection -ComputerName vpn.example.com
PingSucceeded : True
となれば、VPN経由でネットワークに接続できています。
インストールログの確認
スクリプトがエラーなく完了したかを確認するには、ログファイルを確認するのが有効です。
Get-Content C:\Temp\GlobalProtectInstall.log -Tail 20
SUCCESS
のようなメッセージが記録されていれば、インストールが正常に完了しています。
次のステップ
ここまでで、スクリプトの実行とVPN接続の確認が完了しました。次のセクションでは、VPN設定の変更やアップデート管理の自動化について解説します。
自動化の応用:VPN設定の変更とアップデート管理
GlobalProtectの初期設定が完了した後、VPN環境の管理をより効率的にするために、VPN設定の変更やソフトウェアのアップデートを自動化する方法を解説します。
VPN設定の変更を自動化する
企業環境では、VPN接続先(ゲートウェイ)やプロキシ設定を変更する必要が生じることがあります。PowerShellを活用して、これらの設定変更を自動適用する方法を紹介します。
VPNゲートウェイの変更
VPNの接続先を変更するには、以下のコマンドを使用します。
$vpnGateway = "vpn.new-example.com"
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-register -portal $vpnGateway" -NoNewWindow -Wait
このスクリプトを実行すると、新しいVPNポータルに接続するよう設定が更新されます。
プロキシ設定の変更
VPNを利用する際にプロキシサーバーを設定する場合、レジストリを変更することで適用可能です。
$proxyServer = "http://proxy.example.com:8080"
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings" -Name ProxyServer -Value $proxyServer
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings" -Name ProxyEnable -Value 1
このスクリプトを実行することで、VPN経由の通信にプロキシ設定が適用されます。
GlobalProtectのアップデートを自動化する
GlobalProtectは定期的にアップデートされるため、最新バージョンを維持することが重要です。PowerShellを使用して、自動的に最新版へアップデートする手順を紹介します。
最新バージョンの確認
まず、現在インストールされているGlobalProtectのバージョンを確認します。
Get-WmiObject -Query "SELECT * FROM Win32_Product WHERE Name = 'GlobalProtect'" | Select-Object Name, Version
最新版のダウンロードとインストール
以下のスクリプトを使用すると、GlobalProtectの最新版をダウンロードし、サイレントインストールを実行できます。
$downloadUrl = "https://your-server.com/path/to/GlobalProtect-latest.msi"
$installerPath = "C:\Temp\GlobalProtect-latest.msi"
$logPath = "C:\Temp\GlobalProtectUpdate.log"
# 最新版のダウンロード
Invoke-WebRequest -Uri $downloadUrl -OutFile $installerPath
# サイレントアップデートの実行
Start-Process msiexec.exe -ArgumentList "/i `"$installerPath`" /quiet /norestart /log `"$logPath`"" -Wait -NoNewWindow
# サービスの再起動
Restart-Service -Name PanGPS -Force
このスクリプトを定期的に実行することで、GlobalProtectを最新の状態に保つことができます。
Windowsタスクスケジューラを使った自動実行
VPN設定の変更やアップデートを定期的に実行するには、Windowsのタスクスケジューラを活用します。以下のコマンドを使用して、PowerShellスクリプトをスケジュール実行できます。
$action = New-ScheduledTaskAction -Execute "PowerShell.exe" -Argument "-File C:\Temp\Update_GlobalProtect.ps1"
$trigger = New-ScheduledTaskTrigger -Daily -At 3am
Register-ScheduledTask -TaskName "GlobalProtectAutoUpdate" -Action $action -Trigger $trigger -User "SYSTEM" -RunLevel Highest
この設定により、毎日午前3時にGlobalProtectのアップデートを自動実行できます。
次のステップ
ここまでで、VPNの設定変更とアップデート管理を自動化する方法を解説しました。次のセクションでは、VPNのインストールや設定時に発生しやすい問題と、その解決策について詳しく説明します。
トラブルシューティング:よくある問題と解決策
GlobalProtectのインストールや設定時には、さまざまなエラーや問題が発生する可能性があります。本セクションでは、よくあるトラブルとその解決策を紹介します。
1. インストール時の問題
問題1: インストールが失敗する
現象: スクリプトを実行してもGlobalProtectがインストールされない。
解決策:
- インストールログ(
C:\Temp\GlobalProtectInstall.log
)を確認 - PowerShellを管理者権限で実行
msiexec.exe
のエラーログをチェック
以下のコマンドでログを確認できます。
Get-Content C:\Temp\GlobalProtectInstall.log -Tail 20
問題2: 「msiexec.exe」が実行されない
解決策:
以下のコマンドでインストーラーが正しくダウンロードされたか確認
Test-Path C:\Temp\GlobalProtect.msi
もしファイルが見つからない場合は、ダウンロードURLやネットワーク接続を確認してください。
2. VPN接続の問題
問題3: VPNに接続できない
現象: GlobalProtectがインストールされてもVPNに接続できない。
解決策:
VPNの状態を確認するには、以下のコマンドを実行してください。
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-status" -NoNewWindow -Wait
Not Connected
の場合、VPNポータルの設定が正しく適用されていない可能性があります。以下のコマンドでVPNポータルを再設定してください。
$vpnGateway = "vpn.example.com"
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-register -portal $vpnGateway" -NoNewWindow -Wait
問題4: 「ポータルに接続できません」と表示される
解決策:
- VPNポータルのアドレスが正しいか確認
ping
を使用してポータルへの接続確認
Test-NetConnection -ComputerName vpn.example.com
PingSucceeded : False
の場合、ネットワークやファイアウォールの設定を見直してください。
3. サービスの問題
問題5: GlobalProtectサービスが動作していない
現象: VPN接続ボタンがグレーアウトし、操作できない。
解決策:
GlobalProtectのバックグラウンドサービス(PanGPS
)を手動で開始します。
Start-Service -Name PanGPS
もしサービスが停止している場合、再起動してください。
Restart-Service -Name PanGPS -Force
問題6: PCの再起動後にVPNが自動接続しない
解決策:
WindowsのタスクスケジューラでVPN接続を自動実行する設定を追加する。
$action = New-ScheduledTaskAction -Execute "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -Argument "-connect"
$trigger = New-ScheduledTaskTrigger -AtLogOn
Register-ScheduledTask -TaskName "AutoConnectGlobalProtect" -Action $action -Trigger $trigger -User "SYSTEM" -RunLevel Highest
これにより、PC起動時にGlobalProtectが自動でVPN接続を開始するようになります。
4. その他のトラブル
問題7: 設定ファイル(PanGPS.xml)が適用されない
解決策:
設定ファイルが正しいフォルダに配置されているか確認。
Test-Path "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPS.xml"
ファイルがない場合、正しいパスへコピーしてください。
Copy-Item -Path "C:\Temp\PanGPS.xml" -Destination "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect" -Force
Restart-Service -Name PanGPS
次のステップ
ここまでで、GlobalProtectのインストールや設定時に発生しやすい問題と、その解決策を紹介しました。次のセクションでは、企業ネットワークでPowerShellを活用する応用例について解説します。
応用例:企業内ネットワークでのPowerShell活用
企業環境では、多数のPCにGlobalProtectを展開し、統一されたVPN接続設定を適用する必要があります。本セクションでは、PowerShellを活用した企業向けのVPN管理の応用例を紹介します。
1. 複数のPCへGlobalProtectを一括インストール
企業ネットワーク内の複数のPCへGlobalProtectを自動インストールする場合、リモートPCに対してPowerShellを実行する方法が有効です。Invoke-Command
を使用し、複数のマシンに対してスクリプトを同時に適用できます。
リモートPCへGlobalProtectをインストールするスクリプト
$computers = @("PC01", "PC02", "PC03") # 対象のPCリスト
foreach ($computer in $computers) {
Invoke-Command -ComputerName $computer -ScriptBlock {
$downloadUrl = "https://your-server.com/path/to/GlobalProtect.msi"
$installerPath = "C:\Temp\GlobalProtect.msi"
Invoke-WebRequest -Uri $downloadUrl -OutFile $installerPath
Start-Process msiexec.exe -ArgumentList "/i `"$installerPath`" /quiet /norestart" -Wait -NoNewWindow
Restart-Service -Name PanGPS -Force
} -Credential (Get-Credential)
}
解説:
$computers
に対象のPC名をリスト化Invoke-Command
を使い、各PCでGlobalProtectのダウンロードとインストールを実行-Credential
オプションで管理者権限を指定
このスクリプトを使えば、IT管理者が手動でPCごとに作業する必要がなくなり、大幅な時間短縮が可能になります。
2. グループポリシー(GPO)と連携したVPN設定管理
企業環境では、VPN設定を統一するために グループポリシー(GPO) とPowerShellを併用するのが効果的です。
GPO経由でPowerShellスクリプトを実行
- GPOでログオンスクリプトとしてPowerShellを設定
gpedit.msc
を開き、- 「コンピュータの構成」→「Windowsの設定」→「スクリプト(スタートアップ/シャットダウン)」を開く
- 事前に用意したPowerShellスクリプトを追加
- スクリプト内容(VPN自動接続)
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-connect" -NoNewWindow -Wait
この設定を適用すると、すべてのドメイン参加PCがログオン時にVPNへ自動接続されます。
3. ログ管理とVPN接続状況の監視
VPNの接続状況をリアルタイムで監視し、ログを収集することで、ネットワークの安定性を維持できます。PowerShellを使用して、VPN接続の状態を定期的にチェックし、結果を管理サーバーに送信するスクリプトを紹介します。
VPNの接続状態をログに記録
$logFile = "C:\Logs\VPN_Status.log"
$status = Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Palo Alto Networks\GlobalProtect\PanGPA.exe" -ArgumentList "-status" -NoNewWindow -Wait -PassThru
Add-Content -Path $logFile -Value "$(Get-Date) - VPN Status: $status"
このスクリプトをWindowsのタスクスケジューラで定期実行すれば、VPNの安定性を継続的に監視できます。
4. VPN利用者への通知機能
VPNのメンテナンスや設定変更をユーザーに通知する場合、PowerShellを使用してポップアップメッセージを表示することができます。
$msgTitle = "VPNメンテナンス通知"
$msgBody = "本日22時よりVPNのメンテナンスを実施します。接続が一時的に中断される可能性があります。"
[System.Windows.MessageBox]::Show($msgBody, $msgTitle, "OK", "Information")
また、社内の全ユーザーに通知を送る場合は、msg
コマンドを使用できます。
msg * /SERVER:YourServer "本日22時よりVPNメンテナンスを実施します。"
次のステップ
ここまでで、企業ネットワークにおけるPowerShellの応用例として、VPNの一括インストール、設定管理、監視、通知の自動化について解説しました。次のセクションでは、この記事のまとめとして、PowerShellを活用したVPN環境管理の利点を整理します。
まとめ
本記事では、PowerShellを活用してGlobalProtect VPNクライアントのインストールを自動化し、初期設定を適用する方法について解説しました。手動でのインストールや設定作業を省略し、企業内ネットワークで効率的にVPN環境を展開する手法を詳しく紹介しました。
主なポイント:
- VPNクライアントの自動インストール:PowerShellを使い、GlobalProtectをサイレントインストール
- 初期設定の適用:VPNポータルの登録や接続設定の自動適用
- VPN接続の管理:スクリプトを活用した自動接続、設定変更の適用
- エラー対策とトラブルシューティング:よくある問題とその解決策を紹介
- 企業ネットワークでの応用:複数のPCへの一括インストール、ログ管理、VPNの監視を自動化
PowerShellを活用することで、IT管理者の負担を軽減し、ネットワーク環境を効率的に維持できます。今後は、さらに高度な自動化(VPNの利用状況ログの解析や、接続トラブルの自動検出)を組み合わせることで、より安定したVPN環境の運用が可能になるでしょう。
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