Windows 11の最新累積アップデートとOfficeの更新を手動で適用するのは、管理者にとって時間のかかる作業です。企業環境や個人ユーザーでも、これらの更新を自動化することで、作業負担を軽減し、システムの安全性を確保できます。
本記事では、PowerShellを使用してWindows 11の最新累積アップデートを取得し、同時にOfficeの更新を適用するスクリプトの作成方法を解説します。スクリプトの実装方法、スケジュール設定、エラーハンドリングの手法などを具体的に説明し、誰でも簡単に導入できるようにします。
これにより、定期的なシステムメンテナンスを効率化し、常に最新の状態を維持することが可能になります。
Windows UpdateとOffice更新の基本概念
Windows 11の累積アップデートとOfficeの更新は、それぞれ独立した仕組みで管理されています。これらを理解することで、PowerShellを活用した自動化がより容易になります。
Windows Updateの仕組み
Windows Updateは、Microsoftが提供する公式の更新管理システムであり、OSのセキュリティパッチや機能更新を適用するために使用されます。Windows Updateの主な特徴は以下のとおりです。
- 累積アップデート:毎月提供される定例の更新で、過去のパッチも含まれるため、最新のアップデートを適用するだけでOSが最新の状態になります。
- 品質更新プログラム:バグ修正やセキュリティパッチを含む更新で、定期的に提供されます。
- 機能更新プログラム:年に1~2回提供される大規模なOSアップデートで、新機能の追加やUIの変更が含まれます。
Officeの更新管理
Officeの更新は、Microsoft 365(旧Office 365)またはスタンドアロン版で異なる管理方法が取られています。
- Microsoft 365(クラウド版):クラウド経由で自動更新され、企業環境ではIT管理者が更新スケジュールを制御できます。
- Office 2016/2019/2021(スタンドアロン版):Windows Updateを通じて更新される場合が多いが、手動での更新も可能です。
Officeの更新を定期的に適用することで、セキュリティリスクの低減やパフォーマンスの向上が期待できます。
Windows UpdateとOffice更新を同時に適用する必要性
Windows 11の累積アップデートとOfficeの更新を同時に適用することで、以下のメリットがあります。
- システムとアプリケーションの整合性を保ち、互換性の問題を最小限に抑える
- 更新の手間を削減し、作業の自動化を実現
- 重大なセキュリティアップデートを適用し、システムの安全性を確保
次のセクションでは、PowerShellを用いてWindows Updateの最新情報を取得し、適用する方法について詳しく解説します。
PowerShellを使用したWindows Updateの取得方法
Windows UpdateをPowerShellで制御することで、最新の累積アップデートを手動操作なしで適用できます。ここでは、PowerShellを使用してWindows Updateの更新プログラムを検索し、適用する方法を紹介します。
Windows UpdateをPowerShellで管理するための準備
デフォルトでは、Windows Updateを制御するためのPowerShellモジュールは標準でインストールされていません。そのため、Windows Update Module(PSWindowsUpdate) を導入する必要があります。
以下のコマンドをPowerShellの管理者権限で実行し、モジュールをインストールします。
Install-Module -Name PSWindowsUpdate -Force -SkipPublisherCheck
このモジュールをインストールすると、Windows UpdateをPowerShell経由で制御できるようになります。
最新のWindows Updateを検索する
Windows Updateで適用可能な最新の更新プログラムを検索するには、以下のコマンドを実行します。
Get-WindowsUpdate
このコマンドを実行すると、適用可能な更新プログラムの一覧が表示されます。
Windows Updateを適用する
取得した更新プログラムを適用するには、以下のコマンドを実行します。
Install-WindowsUpdate -AcceptAll -AutoReboot
このコマンドは、すべての利用可能なWindows Updateをインストールし、必要に応じて自動的に再起動を行います。
-AcceptAll
:すべての更新を自動的に適用-AutoReboot
:必要に応じて自動的に再起動
特定の更新のみを適用する
特定の更新プログラムだけを適用する場合は、以下のように更新プログラムのタイトルやKB番号を指定できます。
Get-WindowsUpdate -Title "2024-01 Cumulative Update" | Install-WindowsUpdate
または、特定のKB番号を指定してインストールする場合は、以下のように実行します。
Get-WindowsUpdate -KBArticleID KB5006670 | Install-WindowsUpdate
Windows Updateのログを確認する
適用結果をログとして保存し、更新状況を管理することも可能です。
Get-WindowsUpdate | Out-File "C:\Logs\WindowsUpdateLog.txt"
このログを定期的に確認することで、更新が正常に適用されているかをチェックできます。
次のセクションでは、PowerShellを使ってOfficeの最新アップデートを適用する方法について詳しく解説します。
Officeの最新アップデートをPowerShellで適用する方法
Windows Updateとは別に、Microsoft Officeの更新も定期的に適用することが推奨されます。特に、Microsoft 365(旧Office 365)を使用している場合、最新の機能追加やセキュリティ更新を受け取るために定期的なアップデートが必要です。ここでは、PowerShellを使用してOfficeの更新を検索し、適用する方法を解説します。
Microsoft Officeの更新の仕組み
Microsoft Officeの更新には以下の2つの方法があります。
- Windows Update経由(Office 2016/2019/2021のスタンドアロン版)
- Windows Updateの一部として提供される
- 「設定」→「Windows Update」→「詳細オプション」→「Microsoft 製品の更新プログラムを受け取る」を有効にすることで更新可能
- Office自身のアップデート機能(Microsoft 365)
- Officeアプリケーションが自動的に更新を適用する
- 手動での更新も可能
Microsoft 365を利用している場合は、PowerShellを使ってアップデートを適用できます。
Officeの最新アップデートを確認する
Officeの更新状況を確認するには、PowerShellを使用して以下のコマンドを実行します。
$OfficeC2R = New-Object -ComObject Microsoft.Update.Session
$Searcher = $OfficeC2R.CreateUpdateSearcher()
$Searcher.Search("IsInstalled=0 and Type='Software'")
このコマンドを実行すると、適用可能なOfficeの更新が一覧として表示されます。
Officeのアップデートを適用する
Microsoft 365のOffice更新をPowerShellで適用する場合、以下のコマンドを実行します。
cd "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun"
.\OfficeC2RClient.exe /update user
このコマンドを実行すると、Officeの最新アップデートが適用されます。
サイレントモードでOfficeの更新を適用する
ユーザーの操作なしに、バックグラウンドでOfficeの更新を適用するには、以下のように実行します。
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun\OfficeC2RClient.exe" -ArgumentList "/update user" -NoNewWindow -Wait
このスクリプトは、ユーザーの操作なしでOfficeの更新を適用し、完了するまで待機します。
更新状況をログに記録する
更新の履歴をログファイルに記録することで、どの更新が適用されたかを後で確認できます。
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun\OfficeC2RClient.exe" -ArgumentList "/update user" -NoNewWindow -Wait | Out-File "C:\Logs\OfficeUpdateLog.txt"
このコマンドを使用すると、更新の結果が C:\Logs\OfficeUpdateLog.txt
に記録されます。
次のセクションでは、Windows UpdateとOffice更新を統合するPowerShellスクリプトを作成し、より効率的に更新を適用する方法について解説します。
Windows UpdateとOffice更新を統合するPowerShellスクリプト
Windows 11の最新累積アップデートとOfficeの更新を個別に適用するのではなく、一つのPowerShellスクリプトで統合することで、作業を効率化できます。本セクションでは、Windows UpdateとOfficeの更新を同時に適用するPowerShellスクリプトを作成します。
スクリプトの概要
本スクリプトでは、以下の手順を実行します。
- Windows Updateの適用
- Officeのアップデート適用
- ログを取得
- 必要に応じてPCを再起動
Windows UpdateとOffice更新の統合スクリプト
以下のPowerShellスクリプトを作成し、Update-System.ps1
というファイル名で保存します。
# Windows UpdateとOfficeの更新を適用するスクリプト
# ログファイルのパス設定
$logFile = "C:\Logs\UpdateLog.txt"
# ログを記録する関数
Function Write-Log {
Param ([string]$Message)
$TimeStamp = Get-Date -Format "yyyy-MM-dd HH:mm:ss"
Add-Content -Path $logFile -Value "$TimeStamp - $Message"
}
# Windows Updateの適用
Write-Log "Windows Updateの適用を開始"
Install-Module -Name PSWindowsUpdate -Force -SkipPublisherCheck
Import-Module PSWindowsUpdate
Install-WindowsUpdate -AcceptAll -AutoReboot | Out-File -Append $logFile
Write-Log "Windows Updateの適用が完了"
# Office Updateの適用
Write-Log "Office Updateの適用を開始"
$OfficeUpdatePath = "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun\OfficeC2RClient.exe"
if (Test-Path $OfficeUpdatePath) {
Start-Process -FilePath $OfficeUpdatePath -ArgumentList "/update user" -NoNewWindow -Wait
Write-Log "Office Updateの適用が完了"
} else {
Write-Log "Office Updateの適用に失敗:OfficeC2RClient.exe が見つかりません"
}
# ログの出力
Write-Log "システム更新処理が完了しました"
スクリプトの実行方法
作成した Update-System.ps1
をPowerShellの管理者権限で実行します。
powershell -ExecutionPolicy Bypass -File "C:\Scripts\Update-System.ps1"
このスクリプトを実行すると、Windows UpdateとOfficeの更新が適用され、C:\Logs\UpdateLog.txt
に処理ログが記録されます。
スクリプトのポイント
- Windows Updateの適用:
PSWindowsUpdate
モジュールを活用 - Officeの更新:
OfficeC2RClient.exe /update user
を実行 - ログ管理:
Write-Log
関数を用いて処理を記録
次のセクションでは、スクリプトを定期的に自動実行する方法を解説します。
スクリプトの実行方法とスケジュール設定
Windows UpdateとOfficeの更新を統合したPowerShellスクリプトを、手動で実行するだけでなく、定期的に自動実行できるように設定することで、管理の手間を省き、常に最新の状態を維持できます。本セクションでは、スクリプトの実行方法と、タスクスケジューラを用いた定期実行の設定方法を解説します。
スクリプトの手動実行
PowerShellスクリプトを手動で実行するには、管理者権限のPowerShellウィンドウを開き、以下のコマンドを実行します。
powershell -ExecutionPolicy Bypass -File "C:\Scripts\Update-System.ps1"
この方法は簡単ですが、毎回手動で実行するのは手間がかかるため、自動化が推奨されます。
タスクスケジューラを使った自動実行
タスクスケジューラを利用してスクリプトを定期実行することで、毎週または毎月などのスケジュールに従って自動でWindows UpdateとOfficeの更新を適用できます。
タスクスケジューラの設定手順
- タスクスケジューラを開く
- Windowsの検索バーで「タスクスケジューラ」と入力し、開きます。
- 新しいタスクを作成
- 右側の「基本タスクの作成」をクリック。
- タスクの名前を「Windows Update & Office Update」に設定し、「次へ」をクリック。
- トリガーの設定(実行タイミングの設定)
- 「毎週」または「毎月」を選択し、「次へ」。
- 実行したい曜日や時間を設定(例:毎週月曜日の午前2時)。
- 操作の設定(スクリプトの実行)
- 「プログラムの開始」を選択し、「次へ」。
- 「プログラム/スクリプト」の欄に以下を入力:
powershell.exe
- 「引数の追加」に以下を入力:
-ExecutionPolicy Bypass -File "C:\Scripts\Update-System.ps1"
- タスクの最終設定
- 「完了」をクリックしてタスクを保存。
スクリプト実行の確認
設定したタスクが正しく動作するかを確認するには、タスクスケジューラの「タスクを実行」ボタンを押して手動でテスト実行します。成功すれば、C:\Logs\UpdateLog.txt
に更新履歴が記録されます。
スクリプトの実行結果を確認する
タスクスケジューラの履歴や、スクリプトのログファイル (C:\Logs\UpdateLog.txt
) をチェックし、スケジュール実行が正常に動作しているか確認できます。
次のセクションでは、環境に応じてスクリプトをカスタマイズする方法について解説します。
スクリプトのカスタマイズ方法
Windows UpdateとOfficeの更新を自動化するPowerShellスクリプトは、そのままでも利用可能ですが、環境や運用要件に応じてカスタマイズすると、より効率的な管理が可能になります。本セクションでは、スクリプトのカスタマイズ方法を解説します。
更新の種類を選択する
Windows Updateでは、すべての更新を適用するのではなく、特定の種類の更新(累積アップデートやセキュリティパッチなど)だけを適用することも可能です。例えば、特定のKB番号の更新のみを適用する場合は以下のように指定できます。
Get-WindowsUpdate -KBArticleID KB5006670 | Install-WindowsUpdate
また、ドライバー更新やプレビュー更新を除外したい場合は、以下のようにフィルタリングできます。
Get-WindowsUpdate | Where-Object { $_.Title -notmatch "Preview" -and $_.Title -notmatch "Driver" } | Install-WindowsUpdate
Officeのアップデートチャネルを変更する
Microsoft 365(旧Office 365)では、更新の受け取り方を Current Channel(最新の機能を頻繁に受け取る)や Semi-Annual Channel(半年ごとの安定版)などに変更できます。
現在の更新チャネルを確認するには、以下のコマンドを実行します。
cd "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun"
.\OfficeC2RClient.exe /showrelease
更新チャネルを変更するには、以下のように実行します(例:Semi-Annual Channel に変更)。
cd "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun"
.\OfficeC2RClient.exe /changesetting Channel=SemiAnnual
.\OfficeC2RClient.exe /update user
メール通知機能を追加する
スクリプト実行後に更新結果を管理者に通知するようにカスタマイズすると、状況をすぐに把握できるようになります。以下のPowerShellコードをスクリプトの最後に追加すると、ログをメール送信できます。
$SMTPServer = "smtp.office365.com"
$SMTPPort = "587"
$Username = "admin@example.com"
$Password = "YourPassword"
$EmailFrom = "admin@example.com"
$EmailTo = "it-support@example.com"
$Subject = "Windows & Office Update 実行結果"
$Body = Get-Content "C:\Logs\UpdateLog.txt" | Out-String
$SecurePassword = ConvertTo-SecureString $Password -AsPlainText -Force
$Credential = New-Object System.Management.Automation.PSCredential ($Username, $SecurePassword)
Send-MailMessage -From $EmailFrom -To $EmailTo -Subject $Subject -Body $Body -SmtpServer $SMTPServer -Port $SMTPPort -UseSsl -Credential $Credential
このコードを追加すると、スクリプトが実行されるたびに、更新結果が it-support@example.com
に送信されます。
エラーハンドリングの強化
スクリプト実行中にエラーが発生した場合、適切に処理し、管理者に通知できるようにします。以下のように、エラーハンドリングを組み込むことで、スクリプトが途中で止まらないようにできます。
Try {
Install-WindowsUpdate -AcceptAll -AutoReboot -ErrorAction Stop
Write-Log "Windows Update の適用が完了"
} Catch {
Write-Log "Windows Update の適用中にエラー発生: $_"
}
Try {
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun\OfficeC2RClient.exe" -ArgumentList "/update user" -NoNewWindow -Wait -ErrorAction Stop
Write-Log "Office Update の適用が完了"
} Catch {
Write-Log "Office Update の適用中にエラー発生: $_"
}
このカスタマイズにより、エラー発生時にスクリプトが適切にログを記録し、処理を継続できるようになります。
次のセクションでは、スクリプトの実行結果を確認し、ログを取得する方法を詳しく解説します。
スクリプトの実行結果の確認とログ取得
スクリプトの実行結果を記録し、正常に更新が適用されたかを確認することは、管理の上で非常に重要です。特に、Windows UpdateやOffice更新はネットワーク環境やシステム状態によって失敗することがあるため、適切にログを取得し、エラー時の対応をスムーズにする必要があります。
ログファイルの出力方法
PowerShellのスクリプトにログ機能を組み込むことで、実行結果を記録し、後で確認できるようにします。Write-Log
関数を活用し、以下のようにログを記録します。
# ログファイルのパス
$logFile = "C:\Logs\UpdateLog.txt"
# ログ記録関数
Function Write-Log {
Param ([string]$Message)
$TimeStamp = Get-Date -Format "yyyy-MM-dd HH:mm:ss"
Add-Content -Path $logFile -Value "$TimeStamp - $Message"
}
# Windows Updateの実行ログ
Write-Log "Windows Updateの適用を開始"
Try {
Install-WindowsUpdate -AcceptAll -AutoReboot -ErrorAction Stop | Out-File -Append $logFile
Write-Log "Windows Updateの適用が完了"
} Catch {
Write-Log "Windows Updateの適用中にエラー発生: $_"
}
# Office Updateの実行ログ
Write-Log "Office Updateの適用を開始"
Try {
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun\OfficeC2RClient.exe" -ArgumentList "/update user" -NoNewWindow -Wait -ErrorAction Stop
Write-Log "Office Updateの適用が完了"
} Catch {
Write-Log "Office Updateの適用中にエラー発生: $_"
}
ログファイルの確認
スクリプト実行後、C:\Logs\UpdateLog.txt
に記録された内容を確認できます。例えば、次のようなログが記録されます。
2025-01-29 02:00:00 - Windows Updateの適用を開始
2025-01-29 02:05:30 - Windows Updateの適用が完了
2025-01-29 02:05:35 - Office Updateの適用を開始
2025-01-29 02:10:00 - Office Updateの適用が完了
エラーが発生した場合、以下のようなログが記録されます。
2025-01-29 02:00:00 - Windows Updateの適用を開始
2025-01-29 02:02:15 - Windows Updateの適用中にエラー発生: エラーコード 0x80240022
2025-01-29 02:05:35 - Office Updateの適用を開始
2025-01-29 02:10:00 - Office Updateの適用が完了
Windows Updateの履歴を取得する
PowerShellを使用して、Windows Updateの適用履歴を確認することもできます。
Get-WindowsUpdate -History | Format-Table -AutoSize
これにより、過去に適用されたWindows Updateの一覧が表示されます。
Officeの更新履歴を確認する
Officeのアップデート履歴を確認するには、以下のコマンドを実行します。
cd "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun"
.\OfficeC2RClient.exe /showupdatehistory
これにより、Officeの過去の更新履歴を表示できます。
ログをメールで通知する
スクリプト実行後に、管理者へメール通知を送ることで、システムの更新状況を素早く把握できます。
$SMTPServer = "smtp.office365.com"
$SMTPPort = "587"
$Username = "admin@example.com"
$Password = "YourPassword"
$EmailFrom = "admin@example.com"
$EmailTo = "it-support@example.com"
$Subject = "Windows & Office Update 実行結果"
$Body = Get-Content "C:\Logs\UpdateLog.txt" | Out-String
$SecurePassword = ConvertTo-SecureString $Password -AsPlainText -Force
$Credential = New-Object System.Management.Automation.PSCredential ($Username, $SecurePassword)
Send-MailMessage -From $EmailFrom -To $EmailTo -Subject $Subject -Body $Body -SmtpServer $SMTPServer -Port $SMTPPort -UseSsl -Credential $Credential
このスクリプトを実行すると、更新結果が it-support@example.com
に送信され、管理者は即座に状況を確認できます。
次のセクションでは、スクリプトの実行時に発生しうるエラーとその解決策について詳しく解説します。
トラブルシューティングとよくあるエラーへの対処
PowerShellを使用したWindows UpdateとOfficeの自動更新スクリプトを実行する際、環境によってさまざまなエラーが発生することがあります。本セクションでは、よくあるエラーとその解決策を紹介します。
1. Windows Updateのエラー
エラー: `0x80240022` – Windows Updateのアクセス拒否
原因:
- Windows Updateの実行に管理者権限が必要
対処方法:
- PowerShellを管理者権限で実行する
ExecutionPolicy
を適切に設定する
Set-ExecutionPolicy Bypass -Scope Process -Force
- 必要ならば、管理者権限でPowerShellを開き、以下を実行
Install-WindowsUpdate -AcceptAll -AutoReboot
エラー: `Install-WindowsUpdate` コマンドが見つからない
原因:
PSWindowsUpdate
モジュールがインストールされていない
対処方法:
- 以下のコマンドでモジュールをインストール
Install-Module -Name PSWindowsUpdate -Force -SkipPublisherCheck
Import-Module PSWindowsUpdate
- 必要に応じてWindows Updateサービスが実行されているか確認
Get-Service wuauserv
- サービスが停止している場合は、以下で再起動
Start-Service wuauserv
2. Officeのアップデートエラー
エラー: `OfficeC2RClient.exe` が見つからない
原因:
- Officeが正しくインストールされていない
Click-to-Run
方式ではないインストール
対処方法:
OfficeC2RClient.exe
の場所を確認
Get-ChildItem "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun" -Name
OfficeC2RClient.exe
のパスを修正してスクリプトを変更
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun\OfficeC2RClient.exe" -ArgumentList "/update user" -NoNewWindow -Wait
エラー: `OfficeC2RClient.exe` の更新が途中で止まる
原因:
- ネットワークの問題
- 既に他のプロセスがOfficeを使用している
対処方法:
- Officeのすべてのプロセスを停止してから更新を実行
Stop-Process -Name "WINWORD" -Force -ErrorAction SilentlyContinue
Stop-Process -Name "EXCEL" -Force -ErrorAction SilentlyContinue
Stop-Process -Name "POWERPNT" -Force -ErrorAction SilentlyContinue
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun\OfficeC2RClient.exe" -ArgumentList "/update user" -NoNewWindow -Wait
- ネットワークが不安定な場合、手動でOfficeの更新を試す
cd "C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun"
.\OfficeC2RClient.exe /update user
3. スクリプトのスケジュール実行時の問題
エラー: タスクスケジューラがスクリプトを実行しない
原因:
- タスクスケジューラの権限が不足している
ExecutionPolicy
が適用されていない
対処方法:
- タスクスケジューラを管理者権限で実行
- 「タスクスケジューラのライブラリ」から該当タスクを選択
- 「プロパティ」→「全般」→「最上位の特権で実行する」にチェックを入れる
- タスクスケジューラの引数を確認
タスクの「操作」で以下のように指定されているか確認 プログラム:
powershell.exe
引数:
-ExecutionPolicy Bypass -File "C:\Scripts\Update-System.ps1"
- スクリプトのパスを確認
タスクスケジューラでは、スクリプトのフルパスを指定することが重要です。例えば、C:\Users\Username\Documents\Update-System.ps1
の場合、以下のように実行する。
powershell.exe -ExecutionPolicy Bypass -File "C:\Users\Username\Documents\Update-System.ps1"
4. ログが記録されない
原因:
C:\Logs\UpdateLog.txt
の書き込み権限がない- スクリプトに
Write-Log
の関数が適切に組み込まれていない
対処方法:
C:\Logs
フォルダの書き込み権限を確認し、適切に設定
icacls "C:\Logs" /grant Everyone:F
Write-Log
関数がスクリプト内で正しく機能しているか確認
Write-Log "スクリプト実行テスト"
- ログの手動確認
Get-Content "C:\Logs\UpdateLog.txt"
まとめ
本セクションでは、Windows UpdateやOffice更新を実行する際によく発生するエラーとその解決策を紹介しました。
✅ Windows Updateのエラー対応(管理者権限、PSWindowsUpdateモジュールのインストール)
✅ Office Updateのエラー対応(OfficeC2RClient.exe
のパス確認、プロセス終了後の実行)
✅ タスクスケジューラの問題解決(管理者権限、正しい引数の指定)
✅ ログ取得の問題解決(書き込み権限の確認、手動ログ出力)
これらの対処法を活用すれば、スクリプトの実行エラーを最小限に抑え、Windows 11とOfficeの更新を確実に自動化できます。
次のセクションでは、本記事のまとめを行います。
まとめ
本記事では、PowerShellを活用して Windows 11の最新累積アップデート と Officeの更新 を統合的に適用する方法について解説しました。
- Windows Updateの適用:
PSWindowsUpdate
モジュールを使用して最新の更新を取得・適用 - Officeのアップデート:
OfficeC2RClient.exe
を活用し、Microsoft 365やスタンドアロン版Officeの更新を適用 - 統合スクリプトの作成:Windows UpdateとOffice更新を一つのPowerShellスクリプトで自動化
- スケジュール設定:タスクスケジューラを使用して、定期的にスクリプトを実行
- ログ取得とエラーハンドリング:更新の成功・失敗をログファイルに記録し、問題発生時にトラブルシューティング可能
PowerShellを活用することで、WindowsとOfficeの更新作業を自動化し、手動でのメンテナンス負担を大幅に軽減できます。カスタマイズやスケジュール実行を適切に設定することで、常に最新の環境を維持し、セキュリティリスクを最小限に抑えることができます。
今後は、スクリプトの改良や他のソフトウェアの自動更新への応用など、さらなる効率化を図ることも可能です。
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