Pythonを使っていて、ストア版のアンインストール方法が意外と分かりにくいという声を耳にすることがあります。私も以前、Python 3.12をMicrosoftストアからインストールして混乱した経験がありました。そこで今回は、アンインストールの流れや注意点を詳しくご紹介します。
Microsoftストア版のPythonとは
Microsoftストア版のPythonは、Windows環境でより手軽にPythonを試してみたいという方に向けて配布されています。一般的に公式サイト(python.org)からインストールするPythonと比べ、導入までの手順が短く、更新プログラムもストアを通じて行われるため比較的スムーズです。しかしながら、アンインストールの操作手順が通常のアプリケーションとはやや異なるケースがあり、混乱するユーザーも少なくありません。
Microsoftストア版と従来版の違い
Microsoftストア版のPythonは、Windows 10以降のストア機能を活用してインストールされます。ストア版には専用のパッケージ管理があり、自動アップデートなどのメリットがある一方、従来版(公式サイトからのダウンロード版)とはフォルダ構成や内部設定が異なる場合があります。
バージョン管理の面で気をつけたいこと
複数のPythonバージョンを同時に使う方は、ストア版をインストールした際に従来版と競合する可能性があります。特にWindowsのPATH設定によって、どのPythonが優先されるかが曖昧になってしまい、実行コマンドの混乱を招くこともあります。

私自身、公式のインストーラーでPythonを導入していたところにストア版Pythonを追加インストールした結果、環境変数の設定が食い合ってしまい、仮想環境がうまく起動しなくなったことがありました。
PythonをMicrosoftストアからインストールするメリット
MicrosoftストアからPythonを導入すると、インストールの手順がごく簡単であるという利点があります。たとえば、ストア内で検索して「取得」ボタンを押すだけで自動的に環境が設定され、アップデートがあった場合もストアを介して配信されるため、わざわざ公式サイトへ行ってダウンロードし直す必要がありません。
ストア版での自動アップデート
ストア版は自動更新が働きやすいという利点が大きいです。Pythonの新しいリリースが配布されると、従来版を使うときには手動でインストーラーを再度ダウンロードして更新作業を行う必要がありますが、ストア版では裏側で更新されることがあります。これによって、ユーザーは常に比較的新しいバージョンを手軽に利用できます。
初心者向けの簡単インストール
従来版のPythonインストーラーでは、セットアップオプションやPATHの設定など、選択肢が多く表示されて戸惑う方もいるかもしれません。ストア版ではこれらの設定が簡略化されており、ワンクリックで導入できるという点が初心者やライトユーザーには大きなアドバンテージです。
PythonをMicrosoftストアからインストールするデメリット
ストア版のPythonはシステムフォルダではなく、ストア専用の格納場所(C:\Program Files\WindowsApps 等)に保存されることが多いです。セキュリティ設定や権限まわりで従来のPythonと比べて違いがあり、外部パッケージのインストールやPATH設定の場面で問題が起きることもあります。
開発環境の自由度が下がるケース
公式版のPythonをインストールするときには、カスタムインストールやパス設定を細かく調整して、自分好みのディレクトリ構成を作ることができます。しかしストア版では、アプリとして一括管理されているため、ユーザーが細かくコントロールするのが難しくなる場合があります。
バージョン切り替えが難しい
開発現場ではPythonのバージョン切り替えを頻繁に行うことがあります。pyenvやAnacondaのような仮想環境・バージョン管理ツールがあるとはいえ、ストア版で複数バージョンを同時並行的に管理するのは若干の手間が増えるというデメリットがあります。
アンインストール前にチェックしておきたいポイント
アンインストールする前に、現在のPythonがどのバージョンで、どのように利用されているかを整理しておくことが大切です。特に、開発プロジェクトが複数ある場合や、Visual Studio Codeなどのエディタ・IDEでPythonのパスを指定している場合は要注意です。
Pythonのバージョンを確認する
コマンドプロンプトやPowerShellを開き、python –versionで現在のPythonのバージョンをチェックしてみましょう。ストア版のPythonが使用されている場合、バージョン番号に加えてストアからインストールされたことを示すメッセージが表示される場合もあります。
Pythonのパスを確認する
where pythonコマンドを実行すると、WindowsがどのパスのPythonを呼び出しているかを確認できます。ここでC:\Program Files\WindowsApps\…のようになっていれば、ストア版のPythonが利用されていると判断できます。
MicrosoftストアからPythonをアンインストールする手順
実際にアンインストールを行う手順は、Windowsの設定アプリを使う方法が最もスタンダードです。ただ、バージョンによっては表示名やボタンの配置などが若干異なる場合があります。
Windows設定からのアンインストール
ステップ1: 設定アプリを開く
スタートメニューから「設定」を選び、「アプリ」をクリックします。Windows 10の場合は「アプリと機能」、Windows 11の場合は「インストールされたアプリ」など、表記が多少変わることに注意してください。
ステップ2: Pythonを検索する
アプリの一覧が表示されるので、Python 3.12 (Microsoft Store)やPython 3.12など、アンインストール対象のPythonを探します。複数バージョンを使っている場合は一覧に複数表示されることもあるため、間違えないように確認しましょう。
ステップ3: アンインストールを実行
Pythonの一覧の右にある「アンインストール」ボタンをクリックすると、アンインストールが開始されます。処理が完了するまで待ちましょう。通常は数秒~数十秒ほどで完了しますが、環境や利用状況によっては時間がかかる場合もあります。
Microsoftストアから直接削除する方法
万が一、設定アプリの一覧にPythonが表示されない場合やアンインストールボタンが機能しない場合、Microsoftストアの「ライブラリ」画面から削除する手段もあります。
ストアのライブラリ画面から
1. Microsoftストアを起動し、画面下部または左サイドにある「ライブラリ」を開く。
2. インストール済みアプリの一覧からPythonを探す。
3. 「アンインストール」や「管理」ボタンを使って削除を行う。
アンインストール後のフォルダと環境変数の整理
アンインストールが完了したら、一度コマンドプロンプトやPowerShellを開いて、python –versionを実行し、Pythonが完全に削除されているかを確認してみてください。場合によっては、PATHに残留している設定やフォルダがあると、意図しない場所のPythonが呼び出されることがあります。
残留フォルダを探す
アンインストール後、C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\WindowsAppsなどのディレクトリにPython関連のファイルが残っている可能性があります。ストア版はアプリごとに格納フォルダが決まっていますが、一部の設定ファイルが残るケースもあるので、必要に応じて手動で削除するとよいでしょう。
環境変数の編集
Windowsの「システムのプロパティ」→「詳細設定」→「環境変数」からPATHを確認し、Pythonのパスが残っている場合は削除を検討してください。複数のPythonバージョンを利用している環境では、誤って必要なPATHを消さないように注意しましょう。
アンインストールで起こりがちなトラブル事例
アンインストール作業自体は決して難しくはありませんが、開発環境を長く使っている方や複数バージョンを利用している方は、いくつかのトラブルに見舞われることがあります。
Pythonの別バージョンが起動してしまう
アンインストール後にpythonコマンドを打つと、別バージョンのPythonが起動するケースです。環境変数の設定や残留しているショートカットが原因で、意図したバージョンではないPythonが起動してしまうことがあります。複数のPythonを共存させたい場合は、pyenvやcondaなどのバージョン管理ツールを活用して整理するとよいでしょう。
パッケージが見つからないエラー
ストア版Pythonにインストールしたパッケージ(例えばpipで入れたもの)がアンインストール時に同時に消えてしまい、思わぬエラーが発生することがあります。後から別のPythonバージョンで同じパッケージを使おうとしたら存在しなかった、という混乱も起きがちです。
開発環境をスムーズに整えるためのヒント
Pythonを本格的に活用するのであれば、仮想環境やバージョン管理の仕組みを取り入れることをおすすめします。Microsoftストア版が手軽とはいえ、実務や開発学習に足を踏み入れると、どうしても複数バージョンや特定バージョンが必要になることが多いからです。
仮想環境の利用
PythonにはvenvやVirtualenvといった仮想環境を作成する仕組みが標準装備されています。プロジェクトごとに環境を分けることで、パッケージの衝突やバージョンの混乱を防ぐことができます。ストア版をアンインストール後、従来版Pythonをインストールして開発環境を構築する場合も、仮想環境を取り入れるだけでトラブルを激減させることが可能です。
複数バージョン管理のテクニック
pyenvやAnacondaを使えば、複数のPythonバージョンを同じPC内で便利に切り替えて利用できます。Microsoftストア版で発生しがちなフォルダや権限の問題を回避しながら、好きなバージョンを柔軟にインストール・アンインストールできるのが大きな魅力です。
手順をまとめた簡単な比較表
以下の表で、ストア版と公式サイト版のアンインストール手順や管理面の違いを比べてみましょう。
項目 | Microsoftストア版 | 公式サイト版 |
---|---|---|
導入 | ストアからワンクリック | 公式サイトからインストーラーをダウンロード |
更新 | ストアが自動的に実施 | 手動でダウンロードし更新 |
アンインストール | Windows設定 or ストアライブラリ | Windows設定 or コントロールパネル |
管理フォルダ | WindowsApps等(ユーザー権限が特殊) | 任意のインストール先を選択可能 |
複数バージョン運用 | やや困難(ストア管理) | 柔軟に設定可能 |



表を見ても分かるように、ストア版は始めやすいという利点がありますが、開発用途が増えてくると公式サイト版やバージョン管理ツールに移行しておいたほうが自由度は上がります。
アンインストール後に推奨される次のステップ
アンインストールした後は、場合によっては必要な機能が一時的に利用できなくなる可能性があります。新しいPythonバージョンをインストールする、あるいは他の管理手段に乗り換えるなど、目的に応じて次の行動を取りましょう。
公式サイト版Pythonのインストール
Windows環境で安定してPythonを使い続けるには、python.orgから提供されるインストーラーを利用する方法が一般的です。インストール時に「Add Python to PATH」のチェックを入れておくとコマンドプロンプトでの利用がスムーズになります。
pyenvやAnacondaの導入
複数のプロジェクトで異なるPythonバージョンを使いたい場合、pyenvやAnacondaなどのツールは非常に便利です。これらはPython自体のインストール・アンインストールも一括で管理し、仮想環境の作成や切り替えが容易になります。
よくある質問(FAQ)
Q1: ストア版を消したらプログラムが動かなくなった
A1: ストア版Pythonに依存していたプログラムやスクリプトがあると、アンインストールによって動かなくなる場合があります。すぐに必要なケースでは、公式サイト版のPythonを導入し、同じパッケージをインストールして対応しましょう。
Q2: Pythonがアンインストールできずにエラーが出る
A2: アンインストール作業中に、Windowsがファイルを使用中で削除できない場合などが稀にあります。アンインストール時には、Python関連のプログラムをすべて終了し、場合によってはPCを再起動してから再度試してみてください。
アンインストールできない時の対策例
1. タスクマネージャーでPythonに関連するプロセス(例えばpython.exeやpip.exe)が動いていないかチェック。
2. コマンドプロンプトやPowerShell等を閉じる。
3. 再起動後に再度アンインストールを実行する。
まとめ
Microsoftストア版のPythonは、導入のしやすさと自動アップデートの手軽さが魅力ですが、開発用途ではフォルダ構成や権限まわり、バージョン管理の柔軟性などの面で不都合が生じる場合があります。アンインストールを行う際は、まずWindowsの設定アプリから「アプリの一覧」を確認する手順が最も基本的です。もし表示されない場合やエラーが発生する場合でも、ストアのライブラリから直接削除するといった方法が用意されています。アンインストール後は環境変数や残留フォルダの整理を行い、今後のPython利用計画に合わせて公式サイト版やバージョン管理ツールを導入すると、より快適にPythonを使っていけるはずです。



私も最初はストア版の利便性に惹かれて使い始めたのですが、開発学習を進めていくうちに仮想環境や複数バージョン管理が必要になり、結局公式サイト版に切り替えた経験があります。ぜひ皆さんも環境に合った手段を選択し、Pythonの世界を存分に楽しんでくださいね。
コメント